イタリア人はとてもはっきりと自分の意見を主張する人種です。日常生活の中でも相手が誰であれ、「嫌なことは嫌だ」と少し大げさに思えるくらいに主張します。その国民性が顕著に現れているのが、各種ストライキの起こる頻度ではないでしょうか。
イタリアでは誰もがしばしばストライキに遭遇します。一般人が一番わかりやすく被害を受けるのが、電車やバスなどの公共交通機関のストライキです。
上手に対応して慣れていかないとイタリアでは生活できないので、この記事ではイタリアでのストライキについて詳しく解説します。
「ストライキ」のイタリア語「ショーペロ(sciopero)」
イタリア語でストライキを意味する単語は「ショーペロ(sciopero)」です。英語やドイツ語では「ストライキ」に近い発音の単語になるので、日本人にも伝わりやすいのですが、イタリア語では全く響きの異なる単語に変換されてしまいます。
それを知らない旅行者などがストライキに巻き込まれた時には、現状を理解するまでに少し時間がかかってしまうかもしれません。
英語を喋れるイタリア人は駅員などの中にも少ないので、イタリア旅行の際にはこの「ショーペロ」という単語だけでも頭に入れておいた方がよいでしょう。
全国的な各種機関合同のストライキ
※ジェノヴァ・プリンチペ広場駅
一番広範囲に影響を及ぼすのが、全国規模の合同ストライキです。イタリア語で「ショーペロ・ナツィオナーレ(sciopero nazionale)」といいます。
このショーペロ・ナツィオナーレが決行される数日前には、テレビや新聞などで大々的に報道されます。
確率的には金曜日に当たることが多くなります。私のイタリア人の友人曰く「金曜をサボって3連休にしたいんだろ。」とのことです。
ショーペロ・ナツィオナーレの日にはバス、電車、お役所などの公共の機関が機能しなくなります。都市の中心部で、労働者らによるデモ集会やデモ行進が行われることもあります。
このストライキが行われる日には、大人しく家にいるか、徒歩圏内のお出かけまでにしておく方が賢明でしょう。前もって告知されるので、準備できるのがせめてもの救いです。
バスのストライキ
こちらは各都市のバス会社が、個別に起こすストライキです。ショーペロ・ナツィオナーレほどの影響力はないにしても、その町に住んでいる人にとってはかなり迷惑です。
バスのストライキの場合、大抵は終日ではありません。朝の9時までは通常運行し、その後ストライキが始まるというのが、よく見られるパターンです。そのため、朝9時直前のバスは通常の数倍混雑します。人が多過ぎて乗車できないこともあります。
ストライキ中も日に数本のバスだけはかろうじて運行するのですが、時刻が当てにならない上にとにかく混むので、あまり利用したいという気にはなりません。
電車のストライキ
ビジネスマンや海外からの旅行客を巻き込んで行われるのが、電車のストライキです。
こちらも事前にテレビなどのメディアで告知はされるのですが、海外から来ている人々はイタリアのニュースを毎日チェックするわけではありませんよね。そのため、多くの観光客らが困惑します。
ですがイタリアの高速電車で「フレッチャ(freccia)」と呼ばれるシリーズの電車は、ストライキの際にも運行が保証されています。フレッチャ・シリーズの他にも、長距離移動のいくつかの電車は運行が保証されています。
イタリアの主要鉄道会社であるトレニタリア(Trenitalia)は、ストライキなどの際にも運行が保証されている電車のリストをホームページで公開しています。鈍行やローカル電車は高い確率で運行見合わせとなるので、注意しましょう。
※参考リンク(イタリア語表記):http://www.trenitalia.com/
その他の珍しいストライキ
私がイタリア生活の中で主に見てきたのは上記のバスや電車のストライキですが、稀にその他の職種のストライキにも出くわします。
学校の先生のストライキ
例えば学校の先生のストライキ。こちらはイタリアで学校に通っていない人には関係のないことですが、かなり頻繁に起こっているようです。ただし、賛同するかしないかは、先生個人個人の自由なので、通常通り通勤する人もいます。
歌劇場でのストライキ
また、歌劇場でのストライキも稀に目にします。公演がキャンセルになると、チケットの払い戻しで莫大な赤字が出ることになります。
観客側は、やっとの思いで手に入れたチケットが無効になるので非常に憤慨します。イタリアでの歌劇場のチケットは競争率が高く、購入そのものが難しいので、払い戻せばよいというものでもないのです。
歌劇場でのストライキで公演が中止になるのは、幸い数年に一度と頻度は高くありません。
まとめ
ストライキは残念ながら、イタリアの一種の名物ともいえます。短期の旅行でも巻き込まれる可能性はかなり高いので、万が一のことを想定して最低限心の準備をしておきましょう。
迅速に対応するには、ニュースや新聞、ネットで事前に情報収集しておくことが大切になります。いつどこで何のストライキが起こるのかを把握しておけば、自分の予定を崩されるのを最小限に抑えることができますよ。
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