日本では歯医者に気軽に行けますが、アメリカという異国の地では勝手もわからず、しかも高額な医療費が取られる心配もあります。またほとんどの留学生が歯科もカバーする保険には入っていないという現状もあります。
そんなアメリカの歯医者での上手な立ち回り方を紹介します。
渡米前に歯を治しておく
アメリカで保険無しで歯医者に行くのはなるべくなら避けたいことです。アメリカは病院それぞれで医療費が設定できるようになっているので、駆け込んだ病院で馬鹿高い医療費を請求されることはめずらしくありません。
また留学保険は6ヶ月より長いコースだと歯科治療をカバーするコースは10万円ほど追加で支払いが必要な場合がほとんどです。ですから渡米前に、虫歯等あれば、しっかりと治しておくのがよいでしょう。
歯の治療は長くかかることもありますから、渡米の半年前には歯科を受診しておくことをおすすめします。痛くないから大丈夫と思っていても、隠れていた虫歯が飛行機での気圧の変化によって痛み始めるなんてこともあります。
歯科治療をカバーする保険に入る
それでも歯科治療をアメリカで受ける必要がある場合は、保険で事前に歯科治療をカバーするコースに加入しておくことをおすすめします。通常のコースではカバーされていないことがほとんどなので、項目をチェックしてから加入するようにしましょう。
また日本を発った後では日本の保険にはもう加入できないので、日本の保険を利用したい場合は出発前に入るのを忘れないようにしましょう。
また英語に自信がある人はアメリカの保険に入ることもできます。インターネットで簡単に加入できる保険が主流になってきています。
私が試したことのある保険をご紹介します。
AIG損害保険
公式サイト:https://www-429.aig.co.jp/ota/
留学生の間で最強と言われている保険。やはり日本の保険に入っておくのが安心ですね。歯科では使えませんがキャッシュレスメディカルサービスが便利です。TP3、TP1のコースが歯科治療に対応しています。
Tokio Marine America
公式サイト:https://www.hccmis.com/
日本での保険が切れてしまい、アメリカで加入した保険です。やはり日本の企業だとなんとなく安心できるので、東京海上日動の系列会社の保険にしました。
インターネットから申し込みができ、月払いにも対応しています。Smart plan以外のプランは歯科治療に対応しています。
歯が痛い!でも保険はない!
いつも突然やってくるのが歯の痛み。歯の痛みは耐え切れないほどのものですし、我慢するのは症状を更に悪化させる原因にもなります。
まず確認していただきたいのは、海外旅行保険が緊急歯科治療に対応しているかどうかです。もしも緊急性のある歯科治療の場合はそれを利用できる場合があります。歯のホワイトニングや矯正治療には対応していません。
近々日本に帰る予定のある人は、歯科でどの程度症状が進行しているか確認してもらうこともできます。診察だけではそこまで高い値段の治療費を取られることはありません。
また、アメリカでは全ての人が保険に入っているわけではないので、薬局でさまざまな薬が買えます。歯の痛みを和らげる塗り薬等も売っているのでそれを利用して様子を見る、というのも手です。
保険無しの虫歯治療の病院選び
それでも今すぐに虫歯を治療する必要がある場合、病院は慎重に選びましょう。アメリカでは病院選びで治療費が大きく変わってきます。
一番安いオプションはフリー/ローコスト・メディカルサービスです。アメリカには貧しい人たちのための安価、または無料の病院があります。
これらは総合病院になっていることが多いです。しかし、歯科医が常駐していることは少ないので、緊急時には向きません。
それ以外には、歯科大学の生徒さんに治療してもらう、という手もあります。こちらも予約を取る必要はありますが、私は朝のオープンと同時に行ったら、キャンセルになったところに入れてもらえたことがあります。
学生といっても、ちゃんとプロの歯科医と一緒にやってくれるので、プロの仕事には変わりありません。お値段も普通の歯科に比べとっても安いです。
アメリカで親知らずを抜く
私は去年歯科大学の病院で親知らずを抜きました。親知らずの虫歯が進行してしまい、日本で詰めた詰め物が取れてしまったからです。症状は悪く、もう一度詰め物を入れるのも不可能な状態になっていました。
私が治療を受けたのはUCLAの歯科学生さんが働いているこの施設です。
名称:UCLA Venice Dental Center
- 住所:323 Lincoln Blvd, Venice, CA90291
- アクセス:バス停から徒歩五分。Big Blue Busの3かR3が止まります。
- 営業時間:月曜日から金曜日8:00am~5:00pm(土日はお休みなので注意)
- 電話番号: (310) 392-4103
- 公式サイト:https://www.dentistry.ucla.edu/
大通りのリンカーンブルバード上にあり、ベニス、サンタモニカの地域に位置します。こちらの病院は緊急であることを伝えると門前払いされてしまうようでした。
歯が悪いときはどんな症状でも緊急だと思ってしまいますが、ここは緊急の患者は診察しないことがポリシーなようで、目前のお客さんが緊急だと言うと断られて他の病院を紹介されていました。
私も緊急といえば緊急だったのですが、それを見て、緊急とは伝えませんでした。実質その後三日間は治療無しで耐えられたので、そこまで切羽詰まってはなかったのかもしれません。
上記のように、予約無しの飛び込みでしたが40分くらいの待ち時間で診てもらえました。
しかし私はオープンと同時に待っていたからだと思うので、予約なしの場合は早くから待つことをおすすめします。17時には閉まってしまうので、遅い時間で予約無しだと診てもらえない可能性もあります。
診察をしてもらい、歯の状況が悪いので抜いたほうがいいと言われましたが、親知らずの抜歯はアメリカでは1,000ドル以上することもあると聞いていたので、保険無しでの抜歯はまるで悪夢です。
ドクターには、値段的に抜きたくないとは伝えていましたが、もう抜くしかないとのことだったので、抜歯を決意しました。
アメリカの親知らず抜歯手術とは?
初日の診察から話はとんとんと進み、三日後の抜歯手術が決定しました。
値段は事前に聞いて、症状によっても変わりますが、3万円ほどで済むとのことでした。これは、事前の診察とレントゲン、手術とすべてトータルしたお値段です。1,000ドルに比べれば安く感じます。
アメリカでは全身麻酔で寝かせて手術したり、笑気ガスで気分良く治療したりするのが主流ではあるみたいですが、それは結構贅沢な治療の仕方のようで、私は、昔ながらの注射での部分麻酔での抜歯でした。
手術は1時間ほどにわたり、部分麻酔ですから、自分の歯が割れる音を耳元で聞きました。斜めに生えていたようで、結構深く切ったと言われましたが、麻酔にかかっていますからまったく感じず、横になっていたら手術が終わったような感じでした。
手術後は真っ二つに割れた自分の歯を見せてもらい、24時間は運動厳禁、食事は流動食のみ、つばを吐き出す動作は禁止といった説明を受けました。
地獄は麻酔が切れたあと
私の本当の地獄は麻酔が切れた直後でした。医者からは薬はまったく処方されず、市販の痛み止めを飲むように言われただけでしたが、飲み薬はまったく効かず、ジンジンと痛む歯茎の縫い目は人生で一番痛かった痛みでした。
痛みで夜は一睡もできず、横になるのも痛むので、座ったような状態で痛みから何度も目を覚ましながらの睡眠でした。治癒過程の筋肉の硬直であごがどんどん開かなくなり、おかゆでさえ食べられなくなってしまいました。
大人になってから、痛みで泣きわめいたのはこの時だけです。
やっぱり薬は処方してもらえず
あまりの痛みに病院に戻りましたが、私の縫い目は化膿は起こしていなくて、極めて良い状態でした。化膿があると抗生物質を処方できるらしいです。
アメリカでは抗生物質の処方はとても慎重に行われます。日本のように気軽には処方してくれません。なぜなら、抗生物質の摂取のし過ぎにより、体が抗生物質に慣れてしまう恐れがあるからです。
抗生物質を軽症時に多く摂取することにより抗生物質への抗体が体の中にできてしまい、重大な病気のときに抗生物質が効かなくなってしまうことがあるのです。
親知らずの治療にも飲み薬タイプの抗生物質を使うことは少なく、口でゆすぐマウスウォッシュタイプのものを使用します。
痛みに打ち勝つには?
※こちらは安価なジェネリックのタイラノールです。
私がひとつ学んだ痛みに打ち勝つ方法は、痛む前に痛み止めを飲むこと。4時間に1回は痛み止めを飲んでいました。一日の限界量は若干超えていましたが、この痛みは耐えられないので、数日間はそんな調子でした。
タイラノール(Tylenol)とアドビル(Advil)痛み止めのブランド
アメリカにはタイラノール(Tylenol)とアドビル(Advil)という大きな痛み止めのブランドがありますが、このような痛みにはアドビルが効くということで、早く胃で溶ける液体カプセルのアドビルを服用していました。
普通の歯痛にはタイラノールのほうが良いようです。しかし抗炎症効果はないので、今回のような縫い傷には効きません。
タイラノールはアセトアミノフェン、日本で言うバファリンと同じ成分です。アドビルはイブプロフェン配合でイブなどの薬と同じ成分です。
タイラノールのほうが効き目が穏やかなので、最初はタイラノールを試し、効かなければアドビルを試す、ということみたいです。またタイラノールのほうが効くまでに時間がかかり、聞く時間も短めなので、軽い痛みにはタイラノールが適しています。
基本的にアメリカの薬は日本の薬に比べて大容量なので、日本人の体には少なめで飲むとちょうど良いみたいです。
また抗生物質は摂れないので、天然の抗生物質であるにんにくを多く摂取するように心がけていました。食事にミキサーが大活躍で、おかゆを食べられなかったときには、ミキサーで全部液体状にしてしまってポタージュのようにして食べていました。
この痛みは1週間ほど続きました。その間はまともに生きた心地がしませんでした。親知らずの抜歯はできるなら、長期休み前に行うことをおすすめします。私は次の日から普通の生活を送る予定でしたが、実際3日間は家で寝込むことになりました。
きちんと歯を磨きましょう
その後は虫歯がとっても怖くなり、歯は以前よりも余計に磨くようになりました。
水圧フロスというものがあり、私も愛用しています。糸ようじのようなものやデンタルフロスの糸などと同じ効果ですが、水なので切らしてしまうことがなく便利です。デンタルフロスのように使った後の糸に触れる必要もないのが魅力です。
- 参考URL:口腔洗浄器 ジェットウォッシャー ドルツ
まとめ
アメリカの歯科のいろはを私の恐怖の歯科体験と共にお届けしました。アメリカでの歯科治療はなんだか信用がおけなくて不安な気持ちもあるとは思いますが、私にとっては長所も短所も感じた経験でした。
また病院によって異なる部分は大きいと思うので、Yelp等アプリで口コミを確認してから来院すると不安もやわらぐと思います。アメリカではYelpの口コミの評価をどの店も気にするほどの大きな影響力があり、病院の口コミもこのアプリで確認できます。
- 公式サイト:https://www.yelp.com/
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