イタリアでイタリア人に囲まれて生活していると、日本ではあまり遭遇することのないハプニングに出会うことがあります。
イタリア人は慣れているので、不測の事態に巻き込まれても臨機応変に対応します。また、そのときは不安になったり、イライラしたりするのに、後で思い出してみると笑い話になってしまうマジックがイタリアにはあります。
そんなイタリアでの生活に慣れてから日本に帰国すると、あらゆることがスムーズにいき過ぎて妙に不安になってしまうほどです。
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イタリア生活でのハプニング1. 役所の窓口担当に振り回される
結婚を機に滞在許可を学生用から家族用に切り替えることになりました。前もって警察署で聞いて揃えておいた必要な書類をすべて持って警察署の移民局へ向かいます。
役所の窓口は分かりにくい
家族用だけは申請窓口が異なっていたようなのですが、移民局の窓口には番号以外の記載がなく、私自身もそのことを知らなかったため、学生の時と同じ窓口で整理券をもらって並んでいました。
すると、別の窓口での申請になると言われ、家族用の申請窓口に並び直すよう言われます。
指定された窓口では別の整理券を配っていたのを見たので、整理券がないけれど大丈夫かと聞いたところ、「大丈夫だから一番最後の札を持っている人の次に見てもらって」。
そういうことならと安心して、整理券を持っている最後の人が終わるまで順番を待ちました。
7時間待った挙句…
全員終わったのを確認して指定された窓口に行くと、案の定お姉さんに「あなた整理券持っていないでしょ?」と言われます。
事情を説明したのですが、こちらの話も聞かず「だからできないって言ってんでしょ!」と怒鳴られ、お姉さんは窓口から消えてしまいました。
朝7時に警察署に到着して、そのお姉さんにキレられたのが午後2時。7時間かけて結局何もできずに警察署を後にしました。
担当者の意識の違い
最初の窓口の人の「整理券がなくても大丈夫」を信じなければよかったのですが、出直すのも二度手間だからとじっと待った挙句、やはり懸念していた通り拒否されたわけです。
整理券のある人だけに対応するというのがその警察署のルールだと思うので、私を怒鳴った女性職員の言い分が正しいのだと思うのですが、最初の窓口の人は「まあ早い時間に並んでいるのだし、1人くらい増えたっていいんじゃない?」と考え、実際その人は自分の窓口にそういうケースが起きたら1人くらい増えても対応する人なのだと思います。
そして私は、そんな2人の窓口の考え方の違いに振り回されてしまったのです。 こういう食い違いはイタリアではよく起こります。
翌日、2分で申請終了
結局、次の日にまた朝から出かけて整理番号をもらい、前日に受け付けてもらえなかった窓口に再度並ぶと、何事もなかったように申請が受理されました。
しかも、前日に私を追い返したお姉さんが対応したのですが、書類は全部そろっていたので2分で申請終了。前日の無駄な待ち時間はなんだったんだろう……と、かなり寂しい気持ちになりました。
日時や職員の機嫌で異なる対応
警察署を含めたイタリアの役所の窓口では、手続きや書類の発行を拒否されることがあります。でも、同じ内容で日を替えて出直すと大丈夫という不思議な現象が起きます。
また、初日の私の場合のように、終業時間ギリギリの時間帯の申請は窓口の人の気分で受け付けてもらえないこともあります。
その際に「時間だからできない」とは言わず、何か理由をつけてこちらのせいにしようとする傾向があるので、理不尽な扱いを受けることになるのです。
外国人であることが理由じゃない
こういう扱いについて、「やっぱり外国人だからなのかな~」と思ってイタリア人に愚痴ると、「いやいや、イタリア人でも役所では同じ目に遭うから!」とのこと。
つまり、イタリア人でも間違えられたり、手続きをしてもらえなかったりということがあるそうです。
納得いかなくても、イタリアはこういうものだから我慢が必要だと諭されました。
※役所ではとにかく我慢が必要。この湖面のように心を平静にして順番を待ちましょう!
イタリア生活でのハプニング2. 信用できない踏切や信号
上がったままの遮断機
旅行中にヴェネト州のある住宅街を車で走っていると、前方に踏切が見えてきました。遮断機が上がっていたのですが、線路の反対側にいる男性が車から降りてきて手で「待て」のジェスチャーをしています。
車を停めるとその男性が「この遮断機は壊れているから、線路を渡る前にちゃんと左右確認して」と言いました。親切にわざわざ車から降りてきて教えてくれたのです。
下りたままの遮断機
これ以外にもやはり旅先で故障している踏切に出くわしたことがあります。遮断機が閉じたままになっていました。
それを知らず10分ほどひたすら待っていたのですが、見通しの良い牧草地のど真ん中で電車が来る様子がまったくないのが見てわかります。
おかしいなあと感じ始めたところで反対側から来たスクーターに乗った男性が「この踏切は故障しているから、来た道を戻って迂回しないとだめだ」と教えてくれました。
スクーターの男性はうまく遮断機の間を通り抜けて行ったのですが、車ではそういうわけにもいかず、Uターンせざるを得ませんでした。
両方向とも青の信号
信号については流石に故障しているものを見かけたことはありませんが、道路工事中で1車線通行になっている場所で使われている信号が誤作動していることがありました。
赤信号が青に変わったので走り出そうとしたら反対側から数台まとめて車が出てきたので、「赤になっているのを無視してきたのかな?」と思い、それらが通り過ぎるのを待ってから発進。100mほどカーブになっている工事中の道を抜けてバックミラーを見ると、対向車線の信号も青になっていました。
こんなこともあるので、イタリアで車に乗る時は標識や信号を100%信じないように注意しましょう!
イタリア生活でのハプニング3. 電話開通に6ヶ月
イタリアで最大手の電話会社TIMの固定回線を引いたときのこと。直営の路面店で契約し、1週間以内の回線設置の予約を取りました。
1ヶ月経ってもつながらない
予約の日に無事、回線を設置してもらい、その日のうちにネットがつながりました。電話については少し時間がかかるけれど近いうちにつながる、と言い残し、設置に来たお兄さんは帰っていきました。
ところが、1週間、2週間経っても電話が開通しません。1ヶ月を過ぎたところで電話会社のコールセンターに問い合わせてみました。
「まだ開通手続き中という状態なので、すぐ開通できるよう担当者に促します」という返事をもらったのですが、それでもつながりません。
同じやり取りを半年間
1ヶ月後、再度電話するとまた同じ返事。前もそう言われたんですけど……と言うと、「作業が混んでいて遅れが出ているようなので、もう少し待ってください。担当者に至急作業するよう催促しますので」という返事。
このやり取りを1ヶ月毎に繰り返し、最終的に電話線が開通したのが設置工事から6ヶ月後でした。
知り合いの中にも固定電話の会社を乗り換えた時に2ヶ月電話回線が不通になってしまったという人もいて、割とよくあるトラブルのようです。
契約トラブル相談のラジオ番組も
こういう各種契約についてのトラブルを生電話で訴えるラジオ番組もあります。RTL102.5というイタリアで最も大きなラジオ局の一つで土曜日の午前中に放送しているコーナーです。
「電話会社からセールスがあったので契約したのに、ADSLが開通していない地域だと後で分かった。正当な理由があるのに無償での解約を受け付けてくれない」と訴える人もいました。
こうしてラジオに訴えるのも一つの手ですが、消費者センターもあるので、本当に大きなトラブルに巻き込まれたら相談するのも良いと思います。
あきらめる方が早い?
ただ、被害があまり大きな金額でない場合、トラブルを解決する時間、労力、費用を考えて、「今回は仕方ない」とあきらめてしまう人も多いです。
イタリアのサービスの質が改善されないのにはそういう背景があるのではないかと思っています。
イタリア生活でのハプニング4. 道端で倒れそうなおばあさんを拾う
初夏のとある暑い日、車で買い物に出かけると、川にかかる橋の途中のところで膝を地面につけて欄干にしがみついているおばあさんの姿が見えます。
長距離を歩いていた理由は「スト」
前を走る車は2台とも通り過ぎてしまったので、私は車を停めて窓を開け、「大丈夫ですか?」と声をかけました。すると、おばあさんは「もうだめ、歩けない……」と言うので、車に乗ってもらいその橋からおばあさんの家まで送りました。
助手席でおばあさんは私に「本当に死ぬかと思ったわ!ありがとう!」と何度も言い、どうしてこの暑い中、長距離を歩くことになったのか、一部始終を語り始めました。
朝、バスに乗って墓地にお墓参りに行き、帰りのバスを待っていたものの、時間になっても一向にバスが現れないのでおかしいと思ってバス停の時刻表を見ると、ストライキ決行の張り紙があったそうです。
決行前に出かけてしまった
私の住んでいる地域ではちょこちょこバスのストライキがあるのですが、学生や働く人の移動する時間帯は通常に運転し、昼間の時間帯に決行することが多いです。おばあさんが家を出た時間はまだスト前でバスが走っていたため、その日がストだと気が付かずに墓地まで出かけてしまったようでした。
こういうこともあるので、ストライキ情報を提供するローカルニュースは要チェックです。
イタリア生活でのハプニング5. 女同士でも目のやり場に困る?夏の装い
※イタリアの夏は青空も女性の服装も開放的です
下着姿で過ごすホストファミリーの母娘
かつてホームステイをしていたときのことです。6月に入って30度を超す真夏日がやってきました。
語学学校の授業を終えて家に帰ると、ホストマザーであるおばさんと大学生の娘が下着姿で歩いています。母娘と私の3人暮らしだったので、「女同士だから良いわよね!あなたも家の中ではこうしなさいよ」と言われました。
窓の外から見えるのに
確かに女同士なのですが、暑い日は中庭に面した窓を開けっ放しにしています。反対側の家の人の動きが丸見えなくらいだったので、「でも窓の外から見えるし、私はちょっとできない」と言って断りました。
おばさんは「窓の外からは見えない」と言い張っていたのですが、その後「前に住んでいた家は裏が山だったから、暑い日は真っ裸で過ごしてたのよ~」と話していたので、やはり今住んでいるその家は窓の外から見えているという認識はあったようです。
真っ裸にはなれないけれど下着姿くらいなら見えてもいいかなということでしょうか?女同士とは言え、一応外からも見える家の中で下着だけで過ごす勇気は私にはありませんでした。
薄着になると喜ばれる
おばさんは、暑いのに半袖と足首まで隠れる服を着て過ごしている私に「暑いからもっと薄着にしなさい」と何度も言ってきました。逆に、ノースリーブのシャツを着ると「それが正しい格好よ!」と喜んでいました。
どうやら私を見ているだけで暑苦しかったみたいです。
TPOをわきまえない露出はNG
イタリア人女性は日本人女性より肌見せ度が高く、胸の谷間や下着のチラ見せなどに寛容なのですが、必ずしも露出が良いとされているわけではありません。
胸元がきちっと閉まっていても肩が出た服で教会には入れませんし、年配の女性はあまりに露出が多い服を着ている女性に対して良い顔をしないこともあります。
そのため、一般的な常識を持ち合わせている女性はTPOを考慮しながら適度な肌見せをしています。
語学学校にふさわしくない大胆な服装
ある日、語学学校のクラスメートであるロシア人女性が真っ白いホルターネックのシャツで学校に来ました。背面は素肌が全部見えていて、前面は下着をつけていない胸の部分が完全に透けている、かなり大胆な格好です。
授業を担当していた女性教師が教室に入るとすぐ彼女に目をとめて、「あなた、それで外を歩いてきたの?」と驚いて彼女に質問しました。するとそのロシア人女性は「もちろん。おかしいですか?」とあっけらかんと答えたのです。
彼女の隣に座っていたエストニア人の男の子はニヤニヤしています。中国人男性はうつむいてしまい、ハンガリー人の女性は嫌悪感を露わにしていました。
多文化が集まる場所では配慮が必要
先生はそのロシア人女性に、「そうね、それなら裸のほうがマシよ」と皮肉を言ったのですが、言われた本人は冗談だと思って笑って済ませていました。
これはイタリア人から見ても行き過ぎの例です。特に、語学学校のように様々な文化背景を持つ人が集まる場所では彼女の姿は適切ではありませんでした。夜遊びの時ならアリかもしれませんが……。
まとめ~役者になったつもりで「困っている」をアピール
ハプニングを前にしたイタリア人を見ていると、感情表現が豊かな話し方のせいか、まるでお芝居を見ているような錯覚をしてしまいます。慣れない頃は彼らのそういう姿を間近に見てびっくりしました。
でも、そのくらい派手にアピールしないと必死さが伝わらないこともあるので、困ったときはこれでもか!というくらい悲壮な顔をしてアピールするようにしています。
イタリア人は情に厚いので、困っていれば力になってくれます。その代わり助けを求められることもあるので、できる範囲で助けてあげることも大切です。
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