アメリカで仕事をしながら出産することは、産休制度が充実していないため、なかなか苦労します。仕事復帰する点でも、あまり状況はよくありません。日本では保育園が足りないという話が出ますが、アメリカでは費用などの問題があります。
私はアメリカ現地の医療系器具のメーカーに勤めており、仕事を始めた時に1歳半の子供がいて、途中に産休を取得して、2人目を産みました。小さな子供を預けるのに、どのような選択肢があるのか、そして前もって知っておくべきことをご紹介します。
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アメリカで保育園に子供を預けるには
アメリカで仕事をする親が未就学児を預ける場合大きく分けて二つ方法があります。デイケア(保育園)とナニー(母親に代わって子育てをする女性のこと)に分別されます。保育園の形態は日本と同じです。
保育園の施設に子供を預けにいくか、自宅で子供の面倒を見てもらうという選択肢です。
保育園の特徴
保育園の施設に、営業時間内子供を預けます。時間は施設によって多少前後しますが、午前7時から午後6時までです。
生後6週間ぐらいから受け入れていて、公立のプログラムがキンダーガーデン(日本の年長にあたる)から始まるので、その前のプリKと呼ばれる(年中にあたる)年齢4~5歳まで受け入れるところが多いです。
たいてい年齢によって部屋が別になっており、それぞれ担当の先生がいます。工作などを通してアルファベットや数字、形など色々なことを学んでいきます。預かるだけでなく、カリキュラムがあり、他のプリKやプリスクール(幼稚園のようなもの)と同じように子供は学んでいきます。
ナニーの特徴
ナニーは仕える家族の子供の面倒全般を請け負う専門職です。広く浸透してる「ベビーシッター」との違いは、ナニーはこれを職業としており、経験や知識もあります。
親のいない間に子供を預かる一時的なお世話と違い、子供のしつけなど、母親の代わりのように物事をおこない、「家族」の一員のようになります。
良い点は、面倒を見てくれる時間の融通が利くことでしょう。保育園が開いていない時間に仕事をする人には、ありがたいことです。子供が発熱すると保育園には行けませんが、ナニーはいつでも戻って面倒をみてくれます。
ただ、保育園より高くつきますので、ナニーはお金に余裕がある人が雇うことが多く、多くの働く親は子供を保育園に預けます。
アメリカでの保育園の探し方
子供を保育園に預けようと決めたなら、仕事復帰の時期にもよりますが、出産前から探し始める人が多いです。デイケアは数多くあるのですが、人気のあるところは定員に達している場合もあり、待機になる可能性があるので、早めに連絡することをおすすめします。
州が定めた決まりに従い、認定されているデイケアの方がやはり安心だと思いますが、個人でこじんまりやっているところもあります。
インターネットや口コミ
デイケア探しはまずインターネットで検索しましょう。そこで、まずは「state licensed daycare」と検索をして、自分のエリアのどこに州認定の保育園があるか確認します。
保育園がホームページを運営していれば、それをチェックすればよいでしょうし、なければ、電話をして問い合わせましょう。
他に、同僚や同じエリアに住んでいる友人やすでに子供を持っている人に聞いて知る口コミが役に立ちます。また、近所をドライブしている時に見かけたりして、直感でいいなと思ったら、調べて問い合わせるのもいいと思います。
見学をする
これは必須です。訪問して、施設がどのようなものなのか、先生方や取りまとめるディレクターはどのような人なのかを自分の目で見て、肌で感じることが大事です。雰囲気というものは、その場にいないと分かりませんし、ホームページを見て受けた印象と違うことがあります。
私は上の子の保育園を探していた時に3、4か所見学しましたが、見学に行って印象が変わったりしました。お世話になる先生方のフレンドリーさだったり、子供たちとどのように接しているかなどを見ることができ、実際にそこに通ったらどうなるのかとイメージがしやすかったです。
それと、教室の大きさや、明るさ、遊び場なども、自分の子供が1日9~10時間過ごすことになる施設なので、「カリキュラム」などよりは、私は気にしながら見ていました。
アメリカの保育園の費用
保育園の費用は住んでいる地域によって違うと言われており、都市部の方が高くなります。私のエリア(マンハッタン郊外のニュージャージー州)は都市部に入り、高い方かと思います。
週5のフルタイム(午前7時から午後6時ぐらいの時間)で月1,200ドルから1,900ドル(約12万9千円から20万5千円)ぐらいします。これは1カ月の1人分の費用です。
これだけでもすごい出費ですが、多くの園で兄弟割引があるとは言え、2人以上預けるとなるとかなりの額になります。働いてもマイナスになってしまうからと、仕事を辞め、出産後3~5年専業主婦になる人が多いのもうなずけます。
ナニーの場合、2017年のInternational Nanny Associationが発表した調査結果によると、平均週861.30ドル(約93,882円)の給料なので、1カ月最低3,445.20ドル(約375,526円)かかることになります。
※1ドル109円換算(2019年7月)
アメリカ政府、自治体や会社から手当や保育園補助はあるのか
政府は、税金の負担額を減らしてくれますが、自治体は特にないです。会社からの子供の手当はまちまちだと思います。私の会社は月々の援助はありませんが、ベビーシッターを探すのに使えるオンラインサイトのアクセス権を授与されています。
旦那の会社もシッターを探してくれるサービスに加入しているうえ、150時間分はシッター代を援助してくれます。日本のように、収入に関係なく、毎月配給される子供手当はありません。よって、全て家庭内の収入でやりくりをしなくてはいけません。
Flexible Spending Account (FSA) for dependent care
これは家族扶養費用積立口座というのでしょうか、自分が開くものではなく、会社が福利厚生の一部で提供するものです。1年につき最大5,000ドル(約545,000円)を自身の給料から積み立てることができます。
この利点は税のかからない収入となることです。つまり、稼いだ5,000ドル分がら税が引かれることなく、全額を家族扶養費用に使えます。
マイナスな点は、年内に全て使いきらないと繰り越しされないので消えてしまうことと、前年の11月にあるオープンエンロールメントの期間中に加入する手続きをしなくてはいけないことです。
アメリカの保育園の送り迎えは誰が?
誰が保育園への送り迎えをするのかは、それぞれの家庭で違います。日本と違いアメリカでは夫婦が協力し合って育児をするのが普通なので、保育園に行くとパパたちをよく見かけます。うちは日本人夫婦ですが、共働きなので、現地のスタイルをまねて2人で協力してやっています。
家庭によっては、シッターを雇ってお迎えをしてもらっている人もいます。あと、渋滞に巻き込まれ、いつもより時間がかかって間に合わない時に、他の子の親に頼んだりすることがあります。
お迎えが規定の時間を過ぎると、最初の30分は1分1ドル、その後は1分2ドルと超過料金を取られたりするので、頑張って時間厳守で迎えに行きます。
子供が体調不良で保育園にいけないとき
子供が体調を崩したりして保育園へ行けない時は、病気休暇を使って仕事を休んだり、短縮した時間で働いたりします。そして、保育園の病気時のポリシーは結構はっきりしています。年度初めにはその旨を理解したと書類にサインをさせられます。
どのようなポリシーかといいますと、例えば、熱は37.8以上になると、下痢は2回あると、保育園からお迎えを催促する電話が来ます。保育園には、平熱に戻ったり、下痢が止まったりしてから24時間経つとやっと通うことができます。
ものもらいの場合、医者から抗生物質入りの目薬を処方してもらい、使いだしてから24時間経ってから保育園に戻れます。感染症の湿疹を疑われると、医者に行くように指示され、保育園に通える状態ならそのことを書いた紙を提出してくださいと言われます。
他の州に住んでいる友人とこのことについて話をしても同じだと言われるので、このようなポリシーはアメリカでは一般的なことのようです。ちなみに、このようなルールは小学校でも適用されています。
保育園卒園後の小学生になる子供向けのプログラム
小学校なんて保育園の先の話ですが、日本とは勝手が違うので、気持ち的にも金銭的にも準備が出来るようここで触れておきます。
大人の監視下に置く必要
アメリカでは小学生低~中学年までは常に大人の監視下にいなくてはいけません。つまり、学校が終わったあとに家へ1人で帰らせたり、留守番をさせたりしてはいけないのです。
よって、働いている親は午後2時半~3時ぐらいに小学校の時間が終わった後、「Afterschool Program」という、学童保育のようなプログラムに子供を参加させなくてはいけません。
仕事終了後に子供を決まった時間までに(大体夕方6時で終了、ところによっては6時半、7時まで)迎えに行きます。小学生なのに保育園に通わせていた時と似たようなことが数年続きます。
問題は何歳から1人で帰宅させていいのか。どうやら明確なラインは無いようですが、小学高学年で、その子の性格や行動によって、1人で帰宅や留守番をさせても大丈夫なようです。
まとめ
出産時の制度が充実していないアメリカですが(出産手当もありません)、その後の仕事復帰のための環境も、残念ながらよくありません。子供を持つ親と話すと、誰もがデイケア代はバカ高い、おかしい!と口にするほどです。
この状況はすぐには変わらないので、対策として現状を早いうちから知り、理解することがカギだと思います。それと、住む地域や仕事場近くにあるデイケアを早いうちからリサーチしたり、子供の資金を蓄えたりすることをおすすめします。
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