ドイツはベリー系などの酸味の多いものの名産地です。
ラズベリーやブラックベリー、ブルーベリーやいちご、そして赤、白のすぐりにカシスやにわとこの実、ほおずきなど、収穫には手間がかかるものばかりです。
まるまる太ったスペイン産やチリ産のものがパック詰めで売っていますが、自分で収穫したものはやはり味が違いますね。また、ベリー系は実がなってから水をやると大きく育つものの、甘みが薄くなります。
ドイツでベリー系の実がなるのは夏の乾燥した時期なので、現地で収穫したものは小振りなものの、甘みが強くて美味しくなります。熟れ時が同時な大量のベリー系のフルーツは痛むのが早いので、ジャムやムースにします。
今回はドイツ・ライプツィヒのお母さん、おばあさん達に教えてもらったレシピをご紹介します。(1ユーロは約128円)
カシスのジャム
写真は私の家の庭で採れたいちご、カシス、ラズベリーです。カシスには花房がまだ付いているのでよく洗って、落ちないものはつまむとぽろっと取れます。
まず、ジャムに使う砂糖の種類ですが、カシスやその他多くのベリーには凝固する成分であるペクチンが含まれていないため、ペクチンが配合されているGelierzuckerを使用します。
Gelierzuckerは日本でもジャム用の砂糖として販売されています。
ドイツでは小さな小売店でも、白砂糖、黒砂糖に並んでこのジャム用の砂糖が、500g一袋で1ユーロ〜2ユーロ程のお手頃な値段で販売されています。
カシスの実は収穫時期が短いので売り出す期間も短いですが、コクがあり、パンに乗せるだけでなくヨーグルトやケーキともとてもよく合います。
材料
- カシスの実:1kg
- ジャム用の砂糖:500g
- レモン汁:大さじ1
作り方
- カシスの実をブレンダーにかける
- ブレンダーにかけたカシスの実とジャム用の砂糖を合わせて弱火にかける
- ぐつぐつ煮たってきたら5分ほど待って火を止める
- レモン汁を混ぜる
- 熱いうちに煮沸消毒した瓶に詰める
ごろごろ実が入ったジャムが好きな場合
実を全部ブレンダーにかけずにいくつか取っておいて鍋にいれると、「食べごたえ」のあるジャムになります。
また、実を全くブレンダーにかけずに弱火で煮ながら軽く押しつぶしながら混ぜても、ごろごろ果実が入ったままのジャムができました!
いちごのジャム
いちごは追熟しないので、甘くなってから収穫するのが一番です。
そうなると遠方で収穫されて輸入されたものより、地産のいちごがおいしいのは納得できますよね!ライプツィヒではいちごの収穫時期には道路沿いなどに小さな小屋が立ち、地産のいちごとアスパラガスを売り出します。
値段が特に安いわけではありませんが、やはり採れたて、しかも熟れてから採られているものが多いので、甘さはスーパーのものより数段上です!
一般に販売されているいちごのジャムはいちごが50%から60%ほど使用されているものが多いですが、一部オーガニックショップでは70%,80%いちご使用のものを特別に売り出しています。より濃厚ないちごジャムは倍の値段を払って買うよりも、自宅で簡単に作れます。
また、私にジャムのレシピを教えてくれた近所の人の家にはいちご畑があり、日々収穫されるいちごに頭を悩ませています。そのため、「どれだけ短時間に効率的にいちごを使い切れるか」をモットーとしているので、よりたくさんのいちごを使ったレシピになっています。
材料
- いちご:1kg
- ジャム用砂糖:500g
- レモン:1個
作り方
- いちごを洗ってへたを取る。
- へたを取ったいちごをブレンダーにかける
- ジャム用砂糖と合わせて弱火にかける。煮立ってから5分ほど煮詰める(焦げないように注意!)
- レモン汁を絞って足す。
- 熱いうちに煮沸消毒した瓶に詰める。
ホーロー鍋のほうがおいしくできる?
近所のおばあさんはジャム作りには必ずホーロー鍋を使うとのことでした。酸味が強いものはなおさらホーローで煮た方が美味しくできると教えてくれました。
少し調べてみたら、ホーロー鍋は温度変化がゆっくり伝わる上、同じ温度を長く保てるとの事でした。たしかに赤、白のすぐりや赤カシスなど、酸味がきつい果実のジャムはホーロー鍋で作ったもののほうが美味しく感じました!
定番、りんごムース
ドイツ人はりんごをそれはそれはよく食べます。
以前私が借りていた畑にも、3本のりんごの木が植わっていましたが、7月に収穫できる種、8月に収穫できる種、10月に収穫できる種だったので、夏はりんごまみれの日々でした。
りんごには凝固する成分であるペクチンがすでに含まれているので、簡単にジャムにできます。りんごをジャムやムースにする時にとても便利なものがこれです!
種、皮の濾し器です。これがあると、りんごの皮むき、種取りから解放される上、りんごを丸ごと煮詰めるので皮に含まれる栄養分がジャムにも含まれます。
濾し器の穴の部分は大小あるのでりんごのように大きな種の場合とベリーのような小さいもの(花房やぶどうの種が通らないような大きさの網)と交換して使えます。
りんごムースはホットケーキやヨーグルトに入れて食べるのが主流ですが、そのまま瓶から豪快に食べている人も見かけます。また、こちらでは離乳食としても代表的な一品です。
材料
- りんご:1kg
- 砂糖:大さじ2杯
- レモン:1個
- りんごジュース:250g
- シナモン:1本
作り方
- りんごを四つ切りにしてどんどん鍋に入れる。(皮、芯はそのままでOK)
- 砂糖を足して弱火でじっくり煮込む。
- りんごジュースを足して更に煮込む。
- とろみがでてきたら濾し器を通して別の鍋へうつす。
- シナモンスティックを入れてもう一煮立ちさせる。
- 熱いうちに煮沸消毒した瓶に入れる。
ジャムでもムースでも一番簡単なのはりんご!
日本のりんごと違ってドイツのりんごはやや小ぶりで酸味の強いものが主流です。
健康志向の高いドイツ人のスナックとして重宝されています。学生のカバンにはりんごがそのまま入っている事もしばしばです。スーパーでも1kg単位で売っている上、ペクチンが含まれているので普通の砂糖で簡単にジャムやムースができます。
少し甘みがあるから、と砂糖の量を減らすのは厳禁です。糖分が低いとせっかく作ったジャムに、数日でカビが生えてしまいます。
果物だけじゃない!にわとこの花ジュース
4月から5月にかけて、ドイツ国内のどこでもにわとこの花の良い香りが漂います。
holunderblüten(にわとこの花)はのど飴やお茶などにも製品化されるほど、健康上昇作用がありドイツ人に愛される食材の一つとなっています。
あまりにもどこでも採れる上、成分の大部分が花粉にあり採取や移動に弱いため、お店では売っていません。咲き始めの4月下旬に集めると虫もついていないので簡単にできますよ!
材料
- にわとこの花房(holunderblüten):7~8房
- 砂糖:1kg
- 水750ml
- レモン:3個
作り方
- 水750mlに砂糖1kgを入れて弱火にかけながらゆっくり溶かし、砂糖シロップを作る。
- 砂糖シロップににわとこの花房を完全に漬ける。
- 一昼夜置いたらレモン汁を足して混ぜ、花房を取り除き瓶に詰める。
にわとこの花のシロップは風邪予防に最適
にわとこの花シロップは夏は炭酸で割って飲んだり、冬はお茶に入れたりお湯で割ってのんだりと一年中賞味できます。
また、一日一杯シロップを飲むとインフルエンザ予防になると言われています。アンチエイジングにも効果があり、冷え性やストレス解消にも効果があると言われるにわとこの花は、古代エジプトやアメリカ大陸の先住人からも薬用として使われていたものです。
果物だけじゃない!にわとこの花のジャム
にわとこの花の健康効果はもとより、その味と風味は病み付きになるものです。シロップを作ってそれを下にジャムにする方法もありますが、色々試して私が一番気に入ったレシピをご紹介します。
材料
- りんごジュース:750ml
- にわとこの花房(holunderblüten):5~6房
- ジャム用の砂糖:500g
作り方
- りんごジュースに花房を完全に漬け込み(写真では花を見える様に少し表面から出していますが、しっかり完全に漬け込みましょう。)一晩置く。
- 花を取り除いたジュースを鍋に移し、砂糖を入れて煮込む。
- 煮立ったら軽く混ぜながら5分程煮立たせる。
- 熱いうちに煮沸消毒した瓶に移す。
ポイント
にわとこの花を摘む時は爪で茎を折って優しく摘みましょう。花の花粉が落ちてしまうと香りや効果が減少してしまいます。また、ジュースに漬け込む前によく観察して小さい昆虫を取り除きましょう!
クモや羽虫などの小さい昆虫は、ザルなどの小さい編み目を通ってしまうので、毒ではないものの見た目が悪くなってしまいます。
ジャム作りのポイント
煮沸消毒した瓶に詰め替えたジャムは、熱いうちに蓋をしっかり締めると、あら熱が採れた時にすでに密封されています。
しかし長期保存用であるならば、瓶を逆さまにして鍋にいれ、10分ほど煮るとより保存性が高くなります。出来たジャムの瓶を冷ましてから瓶の蓋を触ってみましょう。
べこべこする場合は脱気ができていません。もう一度瓶ごと煮て脱気するか、近日中に完食しましょう!
おばあちゃん達がジャム作りで必ず使うのが木べらです。そこに秘訣があるのか、どの家にも年季のはいった魔法の杖のような木べらがありました。
ご近所の家ではジャム作り用の木べら、と決められているものまであったので、ここにもおいしいジャムの秘密が隠されているのかもしれません!
まとめ
ライプツィヒで多くの地元の人と知り合い、彼らのキッチンにある「手作り」食品の多さに感心しました。
ドライハーブを始め、お茶やジャム、シロップ、トマトソース、ピクルスなどなど、さまざまなものを手作りしています。
ドイツ人らしいと思うのが、一度に大量の作り置きをするところです。現在では四季を通してなんでも手に入るものの、冬季には収穫物がほぼなかった土地柄も手伝っているようです。パンが主流の食文化で生活する時にかかせない「パンにのせるもの」のを是非手作りで挑戦してみてください。
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