「病気になったらどうしよう」は、台湾に限らず日本人が海外で生活するにあたり最も気になることの一つでしょう。国が変われば制度が変わります。それは病院のシステムなども例外ではありません。
私はもともとワーキングホリデービザを利用して台湾へ来ましたが、このビザの期間中にも、現在の労働ビザに切り替えてからも、体調が悪くなり病院へかかったことがあります。
その経験から、台湾の医療制度がどれだけ便利なものであるかをご紹介したいと思います。
※1台湾元=約3円
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台湾の健康保険証について
台湾で就業許可が下りると、台湾の居留証を得ることができるとともに、勤務先の企業から台湾の全民健康保險(日本でいうところの国民健康保険)への加入を申請してもらうことができます。
申請後2週間程度で健保卡(健康保険カード)が届き、それを持って病院へ行けば台湾人と同じ基準で台湾の医療制度を利用することができます。保険料は給与に応じて異なるので、下記のサイトでご確認いただければと思います。
- 衛生福利部中央健康保險署の全民健康保険ハンドブック:http://www.nhi.gov.tw/resource/
毎回忘れずに持参を
日本で病院にかかるときは月初に健康保険証を提示すれば良いですが、台湾で病院にかかる場合は毎回必ず健保卡を持っていかなければなりません。
なぜかというと台湾の病院には診察券の制度がなく、この健保卡の中に病院を利用した履歴がすべて記録されるからです。持っていくのを忘れると、いくら過去に同じ病院を利用した記録があっても保険の適用外になってしまうので気をつけてください。
一定期間内に健保卡を持っていけば差額を返金してもらうことができますが、病気が治ったのにまた病院へ行くのはちょっと面倒です。
台湾で風邪をひいたら耳鼻咽喉科の診療所へ
季節の変わり目には風邪をひきやすいと言いますが、私にも毎週のように風邪をひいていた一時期がありました。しかし、ちょっと風邪をひいたからといっておいそれと仕事を休むわけにはいきません。
そのため、私は少しでも喉の痛みを感じたら、速やかに近所の耳鼻咽喉科へ行って喉に薬を塗布してもらっていました。
格安で治療が受けられる
どうして市販の風邪薬を買わずに病院へ直行していたかというと、台湾の診療所の治療費はとても安いからです。
私がよくかかっている耳鼻咽喉科は、診察内容にもよるとは思いますが、風邪の症状程度なら1回の診察料が健康保険を利用して150元(約450円)です。
この150元の中には薬代も含まれています。診察を受けたあとに処方箋を持って近くの薬局へ行くと、保険証の提示のみで3日分程度の薬を処方してもらえます。薬局では健保卡を見せるのみで、お金を払う必要はありません。
市販の薬を買うより診察を
病院での受診はとても簡単で、直接診療所を訪れて健保卡を提示し、受付を済ませて診察料を払えば、順番待ちのあと医師の診断を受けることができます。
市販の風邪薬を買って服用するのもいいかもしれませんが、同程度の料金を払うならやはり医師に見てもらう方が良いでしょう。
病院でしてもらう消毒と薬の塗布はやはり効き目抜群。私は職業柄、喉を大切にしなければならないということもあるので、風邪をひいた時にはさっさと病院へ行くようにしています。
台湾で歯医者に行くと日本の歯医者にはかかれない
私は台湾で歯医者にかかったことがあります。虫歯治療で歯に詰め物をした、神経を抜いた、両方の経験がありますが、治療費が安くとても驚きました。
診療費のことを中国語で「掛號費」というのですが、その掛號費が1回につき100元(約300円)だったからです。
安くて治療もスムーズ
治療した歯は1本のみで、最初は詰め物をしてもらい、それでも痛みが収まらなかったので最終的に神経を抜いてもらった、という流れでした。
神経を抜いた時の治療の内容としては、歯を削り神経を抜いてから詰め物をしてもらいました。全部で3回に分けて治療しましたが、すべての治療が終わってから掛號費として100元をお支払いしたのみでした。
もちろん麻酔をかけたからというのもありますが、治療中も治療後も痛くて耐えられないというようなことはなく、かなりスムーズに完了しました。
日本の歯医者は高い
日本に在住している台湾人の方が「日本の歯の治療はなんでこんなに高いのか。次に帰国した時に歯医者に行くことにする」と言っていたのを聞いたことがありますが、いざ台湾で歯医者さんに通ってみるとまったく頷ける話です。
治療も上手だし親切だし、その上こんなに治療費が安いわけですから。
台湾で大きな病院へかかる場合は予約が必要
上述の耳鼻咽喉科や歯科など、街なかにある個人開業の病院や比較的規模の小さい病院を台湾では診所(診療所)と呼び、それに対して規模が大きいものを醫院(病院)と呼びます。
醫院は日本でいうところの総合病院のようなもので、様々な診療科があり設備も充実しているのが特徴です。
私が訪れたことのある大きな病院は長庚醫院という病院で、居留証を取得するための健康診断を受ける時に利用しました。
直接行っても空いていない
病院にもよりますが、長庚醫院で居留証の健康診断を受ける場合は事前に予約をする必要があります。
運が良ければ健康診断実施日に直接訪れて診断を受けることができますが、受診者が多い時には当日に行っても人数オーバーで受け入れてもらえないためです。
また、他の診療科にかかる場合にも、当日訪れて診察を受けられることはほぼありません。医者のスケジュールに合わせて予約を取る必要があります。
基本情報
- 名称:林口長庚紀念医院
- 住所:桃園市龜山區復興街5號
- アクセス:MRT長庚醫院駅
- 時間:8:30~11:30、13:30~16:30、17:30~20:00
- 公式サイト:http://www.chang-gung.com/
台湾で自主的に健康診断を受けてみる
日本で企業に勤めていると、労働安全衛生法の定めるところにより1年に1度、健康診断が実施されます。
台湾にも同じような形で健康診断の実施を規定する法律(労働者健康保護規則)があるのですが、実施の頻度は日本より低く、40歳以下の労働者については5年に1度の健康診断が義務付けられているのみです。
しかし、やはり1年に1度は自分の体の健康状態を知っておきたい ……。そう思った時には、直接病院へ行って健康診断を受けましょう。
多数の検査項目を選択した私の場合
私が健康診断を受けたことがあるのは輔仁大學付属の病院で、予約の必要もなく直接行って受けることができました。
気になる病気の項目ごとに細かく分けて検診を受けることもできますが、私はなるべく多くの検査をまとめて受けたかったので、体の異常に関する項目を4,400元(約13,200円)で受けることができる検診を選択しました。この金額で、全30項目の検査を行ってもらえます。
検査項目としては血液、尿、X線で、検査を受けてから検診結果をもらえるまでは3営業日。中国語もしくは英語になりますが、もちろん医師による所見も聞かせてもらうことができます。
ちょっと高額ではありますが、健康だという安心感を得るために思い切って受けても損はないと思います。
基本情報
- 名称:輔大聯合診所
- 住所:新北市新莊區中正路510號
- アクセス:MRT輔大駅
- 時間:9:00〜12:00、14:30〜17:30、18:30〜21:30(土曜は午前のみ、日曜定休)
- 公式サイト:https://www.fjuclinic.com/
台湾でのワーホリ期間中、保険証なしで病院にかかった時の話
ここまでは概ね、台湾の健康保険証を取得してから病院にかかった時の状況と料金をご紹介してきましたが、実はワーキングホリデーの期間中、保険証を手に入れていなかった時分にも一度、病院にかかったことがありました。
胃の痛みと気持ち悪さで、胃薬を飲んでもなかなか良くならなかったというのが病院を訪れた経緯です。当時、私は輔仁大學の言語センターで中国語を勉強していたので、輔仁大學の付属病院を訪れて診察してもらいました。
保険証がなくても十分払える診察代
上記のような不調が出た場合には、台湾では家庭醫學科での診察を勧められます。
日本ではあまり聞かない名前の診療科ですが、体に何か不調がある時に気軽に相談することができる、日本でいうところの近所のクリニックのようなものを想像していただくといいと思います。
その時の診察料は600元(約1,800円)。別途、薬代を支払いました(こちらの詳細な金額は忘れてしまいましたが、そんなに驚くほどの高額ではありませんでした)。
健康保険を利用した場合より高いことは確かですが、決して支払いができないという金額ではないので、大分安心した記憶があります。健康保険証がないからといって我慢せずに、調子が悪ければ速やかに病院へ行ってしまった方が良いでしょう。
まとめ~適切に利用したい優れた医療システム
保険適用外でも決して払えない額の治療費を請求されることはなく、そういう面でも台湾は安心して住める場所だと思います。保険適用時の医療費など安すぎて、もっと支払い医療従事者に貢献してもいいと思えるくらいです。
医療に従事している知り合いが数人いるのですが、彼ら曰く、台湾の健康保険制度は便利すぎて医師にとっては悩みの種にもなるそうです。
治療費が安いため、時に必要のない人までもが病院に来ます。また、安価で質のいい医療制度を利用するため、何らかの方法で一時的に健康保険の加入資格を得る人もいるとのニュースを聞いたこともあります。
便利だからといって安直に利用しすぎず、必要な時にだけ病院へ行こうと思っています。
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