「フランス」と聞いて、みなさん何をイメージされますか?
お洒落な服装でさっそうと歩く女性、情熱的な男性、旋律のように流れるフランス語、素敵な街並、可愛い雑貨屋さん……。「フランス」という響きだけでも素敵!という方もいらっしゃいますよね。
私も、フランスで生活する前はそう思っていました。美食、ファッション、芸術……すべてが繊細で美しいイメージを持っていました。
生活する前は、です。
敢えて「南フランス」と強調したのは、私の住んでいるニースとパリでは、少々勝手が違うだろうという認識からです。
日本で例えれば、パリが東京、ニースが沖縄、といった感じかもしれません。
実際に南フランスのニースで生活したからこそ分かった現実。今回は、私が想像もしていなかった驚きの事実をご紹介すると同時に、生活のワンポイントアドバイスもお伝えしていきます。
ニースのビーチ
紺碧の海に真っ青な空。南仏の夏はパラダイスです。各国からたくさんの観光客が訪れ、ビーチは日光浴や海水浴で楽しむ人々で溢れかえります。
さて、水着を持ってビーチにレッツゴー!
ちょっと待って下さい。それはあまりおすすめしません。なぜなら、日本のような「海の家」は存在しないからです。
ではどこで着替えるのかと言うと、大衆の面前です。
地元のフランス人は、みんなタオルを巻いてビーチでゴソゴソ生着替えです。なんと、惜しげもなく胸を露にさらけ出して豪快に着替える女性もたくさんいます。
ですから、人様の前で(といってもじっと見る人はいないと思いますが)着替えるのに抵抗がある方は、水着を着てからビーチに行くことをおすすめします。
しかし海に入ってしまったら、これはもう二択しかありません。濡れた水着の上に洋服を着て帰るか、諦めて生着替えをするかです。
私も初めは、男女含めた大勢の友達の前で、ゴソゴソ着替えるのには抵抗がありました。しかし、今となっては、義父の前でも平気で生着替えする自分がいます。
ニースの道路
フランスに行ったことのある方の話で、よく聞いていたのが「パリの街は犬の糞だらけ」ということ。
これは全仏共通と言えるでしょう。
ニースに住み始めた頃、あまりの犬の落とし物の多さに愕然としました。歩いていると、数メートルおきに塊が見えるのです。それも歩道のど真ん中に堂々と。
フランスでも犬を飼っている人はたくさんいますが、飼い犬の糞の始末をしている姿を見るのは稀です。
拾っている人を見ると、思わず「ブラボー!」と声をかけたくなってしまいます。
事実、私が義父の犬の散歩をしていた時、糞の始末をしていると、近くにいたマダムに「偉いわね」と褒められたことがありました。
以前こんなことがありました。犬を連れた男性が、飼い犬が歩道にした排出物を拾っていたので、それをどうするのか見ていたところ、なんと車道に投げ捨てました。
歩道にあったものを車道に移しただけという、予期しなかった行動に唖然としたのを覚えています。
フランスでは誰かが掃除してくれるだろう、という概念があるのでしょうか。
あなたの大切な靴を汚したくなければ、歩きながら携帯を見るのは避けましょうね。
ニースの街中のゴミ箱
街の中を歩いていて、犬の糞とともに気になるのがゴミです。
たばこの吸い殻、紙くずなど、あちこちにゴミが落ちています。ゴミ箱がないのかと言うと、街の至る所にあるのです。
フランスに来て驚いたのが、喫煙者の多いこと。歩きタバコをしている人もたくさんいます。
そういう人を見ていると、平気で道端に吸い殻を捨てるのです。それも火を消さずにそのままポイと。そういえば、ゴミ箱は街中あちこちで見かけますが、吸い殻捨てはあまり見ないかもしれません。
ゴミ箱がすぐ目の前にあるのに、見えているのかいないのか、地面に紙くずを捨てた人も見かけたことがあります。
なぜフランス人はこんなにも平気でポイ捨てするのか?自分の街を自分の手で汚すのか?と不思議で仕方がありませんでした。
その話を友人にしたら、こんなことを教えてくれました。
幼稚園や小学校などでは、お掃除のおばさんがいます。日本では、教室やトイレなど生徒が掃除することになっていますが、フランスでは生徒は掃除などしません。そのおばさんがするのです。
おばさんは掃除するのが仕事ですから、生徒は平気で地面にゴミを捨てます。その生徒は「だって掃除のおばさんが拾うから」と。
そんな小さい頃から、そのような環境で育っているフランスの子供達。なんたる学校の教育だと、憤りさえ感じましたが、これが現実なのです。
ニースの仕事の昼休み
平均的な日本の企業の昼休憩は、12時から13時までの1時間ですよね。営業マンなど忙しい方は、15分くらいでお昼を済ませるなんてこともあります。
フランスでは、平均的なお昼の休憩時間は2時間です。もちろん企業によっては1時間というところもありますが、平均して2時間のところが多いです。
しかも、銀行や郵便局などの公共機関、さらに美術館などが、その2時間という長い間店舗を完全に閉めるのです。(場所や店舗にも寄ります)
日本だと考えられないですよね。私も慣れるまではうっかり昼休みの間に行ってしまい、「そうだ、閉まっているんだった!」と出直しをくらったことが何度もあります。
シフト制にすればいいのに……とよく思いますが、そういう概念がないのでしょうか。
2時間もあったら時間を持て余してしまうのではないか、と思いますが、フランス人はこの昼休憩をのんびりと有意義に使っています。
職場から家が近い人は、一度家に帰って食事をしてから、また職場に戻ります。私の旦那も、職場から我が家までは歩いて15分なので、お昼を食べに一度帰ってきます。
2時間もあるので、シエスタ(昼寝)をする時もあります。ヨーロッパではよく聞く話ですよね。
ニースのエレベーター
アパートやスーパー、駐車場などのエレベーター、中に入ると何かが足りないことに気が付きます。
何だか分かりますか?
それは、「閉ボタン」です。
日本のエレベーターは、必ず「開閉」のボタンがありますよね。フランスは『開』はあっても『閉』のボタンがないのです。
ですから、どんなに急いでいても、扉がゆっくり閉まるのを辛抱強く待たなければなりません。
南仏にいると、東京のようなせかせかとした忙しなさをまったく感じません。だからでしょうか、「閉」ボタンがないのは。
以前、父親が我が家に来た時、一人で散歩に行くと言って出て行きました。しかし数分後、血相を抱えて帰ってきました。
「閉まるボタンだと思って押したら、緊急ボタンだった!警報ベルが鳴り響いている!」と……
なんでも、開ボタンの横にあった、鈴のマークのボタンを押してしまったとのこと。
どう見ても警報ベルのマークでしょう、と突っ込まずにはいられませんでしたが、日本人はエレベーターに乗るとすぐ閉まるボタンを押す習慣になっていますよね。
ニースの信号
車が来ていないにもかかわらず、赤信号だと絶対に渡らない日本人。欧米人などから見ると、その光景は信じられないようですが、フランス人もその人種でしょう。
フランスでは、「青信号は渡れ、赤信号も渡れ」です。
そのマナーの酷さといったら、恐らく天下一品でしょう。青信号でも、車が詰まっていたら大勢が一斉に渡り始めます。
さらに、車が来ていない時ならまだ分かりますが、目の前に車が来ているというのに、赤信号でも強引に車を止めて渡る人もいます。
しかも、あたかも車が悪いかのように、運転手をにらみつけて渡る人も見かけたことがあります。
これは親の教育が物を言うとしか考えられませんが、親が子供を連れて赤信号でも渡っているので、それでは子供も同じことをしますよね。
ニースのトイレ
日本では、コンビニやらデパートやら、至る所にトイレがあって、誰でも気軽に使えますよね。
フランスにはまずコンビニというのがないので、街を歩いていて用を足したくなった場合、トイレを探すのが至難の業です。
私はパリに行った時、トイレを探しまわっても見つからなくて、恥をかき捨てレストランに入り「トイレを借してください」とお願いしたことがあります。
ニースには大きいデパートが2つ(NicetoileとGaleries Lafayette)ありますが、トイレの利用は有料です。50セント(約60円)を払うのが基本です。
公衆トイレもありますが、数少ないですし、特に女性は気分的に使いたくない方もいらっしゃいますよね。
ニース市街中心に、大きな公園(Promenade du Paillon)が2013年にオープンし、そこの公衆トイレは新しく、常に清掃員がいるようなので、50セントと有料ですが問題なく利用できます。
マクドナルドなどのファーストフードは、客しかトイレを利用できないようになっている所が多いです。
どういうことかと言うと、商品を購入した時に渡されるレシートに、トイレに入るための暗証番号が書いてあるのです。
ですから、気軽に使うことはできません。
出かける前には必ず用を足して、街のトイレの場所を下調べしてから、お出かけされることをおすすめします。
ニースの宅急便
不在時に荷物が届くと、日本と同じ様に「不在票」を入れてくれます。配送会社に電話をして、再配達の日時指定ができる日本。フランスはそんなに便利ではありません。
未配達の荷物は、郵便局なり配送会社なりに保管されます。日本と違うところは、「自分で取りに行かなくてはならない」ということ。しかも、指定された場所に行かなくてはならないのです。
私が以前住んでいた所には、近くに郵便局はあったのですが、指定された郵便局はもっと離れた場所にありました。
しかもその時の荷物がインターネットのモデムセットだったので、大きい段ボールを渡され、どうやって持って帰ろというのか?と狼狽えてしまいました。
仕方なくその大きい段ボールを一人で担いで帰りましたが、再配達のシステムがないのは不便です。
まとめ
想像していたフランスと比べて、大きな差があった方もそうでない方も、日本の常識と比べると大きく異なりますよね。
何もかもが便利な日本。フランスのニースに住んでいると、日本の便利さがとても恋しくなります。
しかし、住めば都というのは本当で、生活しているうちに慣れてしまうものです。逆に、日本は過剰ではないのか?と思ってしまう程です。
私もフランスに来た時は、「これがフランスか?すべてが遅れている……」と感じました。想像と現実は違うものですね。これは住んでみないと分からないことでした。
これからフランスでの生活を始める方、ご紹介した内容以外にも驚かれることが多々あるかと思いますが、文化と習慣の違いを発見するのも面白いものですよ。
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