人生は計画通りにならないものです。
山梨県で商業高校に通っていた私は2年の時、「卒業後、このまま地元で就職、結婚、子育てか……」と、漠然と将来の自分が見えて怖くなりました。
好きだった洋楽の影響で英語には自信があったため、英語を使った仕事をしたいと考えるようになり、高校3年から猛勉強。短大英文学科に入学し、在学中にアメリカ・ロサンゼルス郊外へ夏期留学しました。
アメリカ人が物事をストレートに表現する様子を見て衝撃が走り、「いつかアメリカに住んでみたい」と考えます。ただ、自分がそのアメリカで国際機関に勤めることになるとは夢にも思いませんでした。
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アメリカの国際機関で就職する前の仕事
1991年にバブルが崩壊。短大を卒業した1993年は就職難でした。苦労の末、経理事務職に就きました。
それまで夢見ていた「英語を使った仕事」とは全く逆。日本の礼儀作法を叩き込まれ、自分の意見を正直に言えば先輩方から非難を浴びる中小企業です。
父が早くに亡くなったため、福祉機関から借りていた短大学費を返済する義務があった上、留学を考えていた私は、資金稼ぎのためこの経理事務職を続けました。
社会生活にも慣れた頃、知人の紹介により日本でビジネスをしていたインド人経営の小会社で英語通訳もしました。
アメリカで働くことを考える
憧れていたアメリカや英語とは関係のない職に就き日本で働いていたわけですが、ある時から心理学に関心を持ち、当時あまり日本になかった心理カウンセラーの職業を目指すようになりました。
そして、ヨーロッパのオーストリアで心理学を勉強するため、ウィーンにドイツ語留学をします。心理学者として有名なフロイトが学んだ大学であるウィーン大学で勉強したい思いがありました。
ヨーロッパは国が学費を賄(まかな)っているため、大学費用がとても安いです。1990年中期の留学当時、ウィーン大学の年間学費は10万円くらいでした。欧州連合によるユーロ統一前だったので、かなり安かったのではないかと思います。
目標へたどり着くにはアメリカが近道
ただ将来、ドイツ語圏で就職することは難しく、心理カウンセラーへの道もかなり長いことが分かります。心理カウンセラーなら学費が高くてもアメリカの方がいいと勧められ、留学先をアメリカに変更。
アメリカはヨーロッパに比べて経済が安定していること、また心理カウンセラーという職が一般に浸透していることから、卒業後に資格を取り、カウンセラーとして働くことを考えていました。
アメリカで大学を卒業、仕事を探す
アメリカで仕事をするには就労ビザが必要です。私は大学卒業後に1年だけ仕事ができるオプショナル・プラクティカル・トレーニングというビザを取得し、労働許可が下りました。
日米協会のサービスを利用
仕事探しは、大学の求人掲示板を見たり、ワシントンポスト紙の求人欄を隅々と調べたりしました。山のような数の履歴書を送ったのですが、ほとんど連絡が来ず落胆していました。
その後、日米協会の履歴書転送サービス(参照リンク:http://www.jaswdc.org/)を利用します。
この日米協会には、ワシントンDCエリアを基盤とする日本企業が登録されており、手数料を支払って履歴書を転送してもらいます。このサービスを利用した結果、数社から連絡があり、そこから採用につながりました。
諸事情によって、就職した会社は辞めることになったのですが、またも日米協会の求人掲示板を見て国際機関への採用が決まったのでした。
英語のレベルは就職に問題なし
一般に英語の能力において、アメリカの大学を卒業するのは大学院を卒業するよりも難しいと聞きます。
なぜなら、大学を卒業するには、グループのプロジェクトで話し合いをして人前で発表したり、200人くらい収容できる大講堂で自分の得意としない教科も受講したりするなど、専門分野以外の英語知識も求められるからです。
私の英語能力も、大学を卒業した時には全く不自由なくコミュニケーションが取れるほどでした。
アメリカで就活を始めたタイミングと採用までにかかった期間
アメリカでは6月から8月まで夏休みのシーズンとなり、家族で2週間、多い場合は4週間の休暇を取る人が多いです。
当時、私はそのことを知らなかった上、大学卒業で忙しくしていたため、少々出遅れてしまいました。5月の下旬に大学を卒業後、就活を始めたのですが、もっと早くに始めていればよかったと思います。
ただ、日本のように「内定」をもらって数ヶ月後に働き始めるのではなく、採用後すぐに出勤することになるので、早く職探しをすればいいというわけではありません。
就活期間は2、3ヶ月を見ておく
前述した通り、相当数の履歴書を送った後、最終的に2ヶ月くらいかかって就職先が見つかりました。日米協会がなかったら、もっと時間がかかっていたかもしれません。
アメリカで就職活動をするのならば、期間は最低でも2、3ヶ月くらい予定しておいた方がいいです。
アメリカの国際機関で働くまでに私が経験した仕事
もともとカウンセラーになることを目的にアメリカ留学しましたが、いろいろな事情が絡み、計画した通りにはいきませんでした。
外国通貨送金に関するデータ処理
アメリカで初めて働いたのは外国通貨の送金を行う企業で、データ処理の仕事でした。
フォームに記入された情報をコンピュータへ入力する作業です。アメリカの別支店で送金金額や情報に間違いがあった時には、電話で連絡して確認を取りました。
法律事務所アシスタント
日本語の知識があるということから、翻訳業も兼ねて法律事務所のアシスタントをしました。
日本語・英語のビジネス翻訳に加えて、訴訟に必要な書類をファイルしたり、アメリカ商務省(Department of Commerce)へ行って書類を受け取ったりしました。
国際機関スタッフ
後に転職した国際機関の教育研究所では、経済に関するセミナーなどに備えた会場の準備・手配、イベントスピーカーのホテルや航空券の手配などを行うアシスタントを担当します。
別の部署では、融資を受けている発展途上国のスタッフに向けた遠隔トレーニング業務のアシスタントをしました。
教師
その後、教育に興味を持ったため、日本語教師と公立小学校の臨時教師もしています。
臨時教師には様々な種類があり、通常クラスの他、特別学級、ESL(英語を母語としない人のための英語)、音楽、美術など、専門分野の臨時授業に入ることもあります。
アメリカで国際機関の仕事へ転職
海外に住んでいると、様々な幸運、または不幸な出来事に出くわします。上に挙げた仕事の中でも国際機関で働くことを選んだ理由は、当時の境遇です。
試用期間中に起こった同時多発テロ
法律事務所のアシスタントとして採用された時は、試用期間3ヶ月という条件付きでした。
働き始めて1ヶ月半が経った2001年9月、アメリカ同時多発テロ事件が起きました。発生の1時間後、ワシントンDC全体に「避難命令」が勧告され、すべての人が自宅に帰ることを言い渡されます。
どこに爆弾が仕掛けられているか分からないという懸念から、ほとんどの人は地下鉄を使わず、歩いて帰りました。私も大勢の人たちと一緒に歩き、ポトマック川に掛かる橋を渡り始めたその時でした。
左横に見えるペンタゴン(国防総省)建物に突っ込んだ飛行機がモクモクと燃え上がり、黒い煙が無念さをはっきり物語っていました。
解雇後に待っていた運命の出会い
2日後、アメリカ国民がテロ事件で消沈する中、私は法律事務所から解雇の通知を受けます。落胆に浸っている中、日米協会に立ち寄ると、たまたま国際機関の求人募集広告を見つけ、すぐに応募しました。
採用後の話によると、私が応募した日が締め切り日だったとのこと。もし法律事務所から解雇されていなかったら国際機関で働くこともなかったと思うと、偶然というより運命を感じます。
アメリカの国際機関で仕事をしてよかったところ
効率と結果を重視
日本では形式に捕らわれがちですが、アメリカでは仕事の効率を重視します。
例えば、時間に厳しい日本社会では、始業時間5~10分前に出社し仕事準備に取りかかるのが普通です。その上、就業時間になっても上司がいるのでなかなか帰りづらく、仕事もないのになんとなく残らなくてはいけない雰囲気がありますよね。
それに比べてアメリカでは、出勤時間の数分前に到着し、仕事を始めます。早く終わった日などは、30分も早く帰宅することもあります。
ただ、仕事が終わらない時は始業時間より早く出社したり、夕方遅くなっても仕上げたりと、効率バランスを取る点が気に入っています。
多様な文化に触れられる
私が今までに勤務した職場には様々な人種の人がいたため、それぞれの国の文化や習慣、価値観、食べ物など、想像もしなかった考えを聞くことができて刺激になります。
日本文化を紹介すると、日本製品の性能の良さや日本人の優しさをよく褒められるので、日本人として誇らしいです。また、日本の教育水準の高さにも改めて気づかされました。
他国の文化と日本の文化を比べて、良いところは取り入れ、悪いところは受け入れないという選択ができる点は、アメリカに住んでいていいと思うところです。
まとめ~あきらめなければ道は開ける
アメリカでは、年齢制限なく何度でも進路変更できます。私自身、何度も仕事を替えましたが、努力すればその度に機会が与えられてきました。
成功している人たちは、必ず努力をしています。アメリカで認められたい、成功したいと思うのであれば、どんなに辛い境遇になったとしても、あきらめずに続けることです。そうすれば、必ず道は開かれます。
計画したような人生を歩めるかどうかは分かりませんが、壁にぶつかった時にどう対応するかが求められます。自分を信じてアメリカ就職に挑んでください。
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