自由と可能性があふれる国、アメリカ。多くの人にとって憧れの場所であるアメリカで活躍している人たちは、きっと学歴も高く英語もペラペラに違いない!と思って夢をあきらめかけている人がいるかもしれません。
しかし、私はズバリ、基本の学習程度の英語力で渡米し、現地のエンターテインメント会社に就職しました。成功というには程遠いもののなんとか働くことができたその体験談を、恥ずかしながらお披露目させていただきます。
あと少しの勇気が足りなくて日本を飛び出せない方に、「自分にもできるかもしれない!」と思っていただけたら幸いです。
※1ドル=約114円
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アメリカで就職しようと思った理由
幼い頃から習っていたフィギュアスケートの合宿のため、10歳の夏休みに初めてアメリカへ行きました。その頃は小学校の授業に英語は組み込まれておらず、今のようなスマートフォンもなかったため、親のPHSを借りて使っていました。
そんな時代に訪れたアメリカは壮大で、のちに漠然と「アメリカへ行きたい」と思わせるほど強い印象を私に与えました。
そして、中学、高校、大学と進学していく中、世界はグローバルに動き始めているのに、このまま日本で普通の会社に就職して普通に働き続けるのが自分の人生なのかと疑問に思うように。
そうして、習い続けたフィギュアスケートを生かして、アメリカのアイスショーを手がける会社に就職することを決めたのです。
アメリカで働くための就職活動
海外で働くにあたって重要なポイントは「ビザを入手すること」です。これが確実にクリアできなければ、場合によっては渡航できなくなるリスクを伴います。
アメリカで働くことを目的としているならば、どこかの企業に就職してビザを取得する必要があります。
私の場合は特定のアメリカの会社を希望していたため、その会社のウェブサイトから採用情報を検索し、記載されていたメールアドレスへ英語の履歴書とPRビデオを送りました。
会社によって必要な書類が異なるので、きちんと確認することが必要です。
履歴書は簡潔かつ魅力的に
英語の履歴書は日本のそれとは書き方が違い、名前、生年月日、住所と電話番号、簡潔な志望動機と学歴や経歴を記載するだけでOKです。
良い英語版履歴書のポイントは「いかに簡潔に、心をつかむ表現で書かれているか」です。言葉を巧みに使って読む側を引きつける必要があります。
私はPRビデオによって特技をアピールすることができましたが、それでも英語が全くできなかったため、インターネットをフル活用して履歴書を完成させました。自分を売り込むツールなので少々大げさに書いた方が良いですよ!
応募後は進行に注意
希望する会社に履歴書等を送ると、おそらく数日で返信がきます。それは合否を伝えるものではなく、履歴書を受け取ったので選考後に連絡する、などの確認メールです。
その後に「全く返事がこなくなった」というのはよくある話ですが、節度を守って再度メールを送り、進行状況を確認しましょう。
就活の仕方は状況により様々
一口にアメリカ就職と言っても、そのための方法は様々です。大学生や大卒の方であればインターンシップを利用することができます。また、海外を視野に入れている日本の会社に就職するという手もあります。
残念ながらアメリカにワーキングホリデーの制度はありませんが、カナダやニュージーランドなどでワーキングホリデーを利用して働けば、その経験を履歴書に書くことができます。
アメリカ就職が決まったら日本でビザ取得の手続き
いざ就職が決まると、ビザ取得に必要なP1フォームの記入や個人情報の送付を行います。それによって、会社がビザ取得に必要な書類を用意してくれます。
私の場合「Travel Package」という名称で、「Iー797B」「Iー129」「コンサーンレター」「ビザ取得の詳細」の計17枚が届きました。
すぐに在日アメリカ大使館にビザ取得のための面接予約をして申請代金の190ドル(約22,000円)を支払い、面接当日には届いた書類と戸籍謄本、犯罪証明書、健康診断書、大学卒業証書とそれらの英訳、パスポートや印鑑を持参しました。
集める資料が多く、戸籍謄本などには英訳をつける必要があるので、早めに行動しましょう。英訳は自分で行ってもいいですが、オンラインで英訳してくれる会社もあるので利用してみてもいいでしょう。
大使館での面接
面接では英語でも話す必要があります。
かなり緊張していて質問内容はよく覚えていませんが、「働くため」にアメリカに行くのであって、「永住しようとしているのではない」ことを明確に伝えたことを覚えています。
2001年の911事件から、ビザの取得や永住がとても厳しくなりました。それでも、まだ多くの外国人がアメリカの永住権を得るため、不法にビザを取得しようとしています。
心配な方は、ビザ取得をサポートするサービスがあるので、利用してもいいかもしれません。
無事にビザ取得
ビザが問題なく許可されるとカードが送られてきて、パスポートに有効期限の書かれたスタンプが押されます。
無事にビザが取得できたことを就職先の会社に報告すると即、航空券が届きました。
アメリカへ到着、まずは現地で仕事と生活の準備
期待と不安に胸を膨らませながらアメリカに到着すると、お迎えなどはなく、自分でタクシーに乗ってホテルまで行きました。タクシーの運転手さんに書類に書かれたホテルの住所を見せましたが、正しい場所へ向かっているのかわからず、とても不安だったのを覚えています。
翌日からは、仕事の内容やSSC(ソーシャルセキュリティーカード)の取得、銀行口座の開設、保険加入など、難しすぎる英語のやりとりが行われます。ただ、外国人を雇うことが多い会社だったので、担当の方がほとんどの手続きを手伝ってくれました。
しかし、書類の記入は自分で行わなければいけません。アメリカは印鑑を使わず全てサインなので、書きやすいサインを考えておくといいでしょう。
SSC取得
SSC(ソーシャルセキュリティカード)はアメリカで働く場合に必要不可欠なもので、銀行口座開設や保険加入などほぼすべての手続きに必要です。
これがなければ何も始まらないということで、取得を申請するための施設へ営業開始時刻前に赴きましたが、すでに行列ができており、取得にほぼ1日かかりました。
アメリカに来て思うことは、何にせよ仕事が遅いということです。もちろんきっちりしている方々もいますが、日本のようにスムーズに、親切な対応で物事が進むとは考えないようにしましょう。
携帯電話の用意
これも必須アイテムである携帯電話。現地へ到着すると、会社や家族への連絡など、日米双方に使える電話が必要になります。
ほとんどの空港やショッピングモール、ホテルなどには無料Wi-fiがありますが、早い段階で何らかのプランかSIMカードを契約することをオススメします。
翻訳アプリや、タクシーを予約できるアプリ「Uber(ウーバー)」などをダウンロードしておくと現地で使えますよ!
アメリカのエンタメ業界での働き方
私の就職した会社は、毎週違う場所へ移動しながらショーを行うエンターテインメント会社でした。そのためホテル住まいで、日曜の仕事が終わると次の土地へ移動、月曜と火曜は休みで、水木金土日と働きました。
ほとんどがバス移動でしたが、さすがアメリカ。州をまたぐわけでなくとも移動にすごく時間がかかります!夜に仕事を終えてバスに乗り、移動に7時間以上かかることがほとんどで、ホテルに到着するのは深夜か早朝でした。
旅好きな人は翌日も早く起きて観光していましたが、私は食品を買うためにスーパーマーケットなどへ行ったり、モールへ買い物に出かけたりすることが多かったです。今思えば、もっと観光しておくべきでした。
契約は約1年ごと
勤務先の会社はとても大きく、数々のグループが世界中を拠点にツアーをしていました。
契約期間は約1年だったので、半年で次の契約の話をしました。このまま同じグループに残るか、違うグループへ移動するかなどの話し合いです。
そのまま残れば役柄が引き継がれたため、すでに良い役を持っている人はなかなか動かない傾向にありました。希望するポストにいる人が移動か引退するとチャンスが生まれましたが、能力によってポジションが換わるということはなかったです。
数年ごとに内容が大きく変わった時や、新しいグループが作られた時には、運が良ければ良い役をもらえました。
︎人事評価
おそらくどの会社でも同じことだと思いますが、私の勤めていた会社では半年、1年ごとに人事評価を行います。自分の役割を全うできているか、他のメンバーとはうまくいっているか、不満や意見はないか、といったところです。
問題がなければスムーズに進みますが、質問や疑問がある場合は事前に英語で言えるよう考えておきます。
アメリカはとても大きな国です。もし、自分の仕事に見合った代価が得られなければ、仕事を替えるか上司と話し合うことを考えましょう。
アメリカのエンタメ業界での給料と税金
1カ月の手取りは約15万円
アメリカは州によって税金の割合が異なるので、移動が多い私の仕事ではお給料は週払いでした。月収は2,500ドル(約285,000円)ほどでしたが、ホテルの料金や保険料、税金などを差し引いて手取りは約1,300ドル(約148,000円)でした。
貯金することはほぼできなかったです。
1年ごとに基本給がアップし、良い役をもらうと給料も上がる仕組みだったので、長年続けているベテランの方々か、高卒で数年働くことを予定している方がほとんどでした。
確定申告は慎重に
アメリカには「Tax return」と呼ばれる制度があり、自分で確定申告を行わなければなりません。そのため、会社から送られる「W-2(源泉徴収票)」や仕事を行う上で発生した出費のレシートなど、必要となるものをきちんと管理しておく必要があります。
毎年、年末が近づくと、オンラインショップでは申告のためのソフトウェアが販売され、大きなショッピングセンターには専用のブースが設けられます。これらのソフトウェアを購入して自分で行うのも良し、会計士を利用するのも良しです。
私はこの制度をよく理解していなかったため、大きな損をしました!住む地域によりますが、多い場合は数千ドルが返済されます。
入社時に手渡される書類の中に、税金について書かれているものがあるはずです。内容をよく読んで理解しておきましょう。
アメリカ就職、英語ができなくても通用するのか
まだ日本にいた時は、送られてくる英文メールや英文書類を悪戦苦闘しながら訳し、なんとか対処できました。しかし、実際に現地へ来てぶつかった大きな壁は「発音」でした。
アメリカでは、日本のように外国人が目立ちません。英語が流暢なアジア人はたくさんいるため、相手もこちらが話せると思って話しかけてきます。しかし、会話したくても向こうが何を言っているのか理解できず、返事ができません。
こちらからなんとか話しかけてみても、簡単な単語でさえ正しく発音できず、会話が成り立ちませんでした。笑顔を作ることしかできなかったです。
完璧な英語を目指さない
そんな私を変えたのは、ある出来事。英語を第一言語としないフランス人が英語を使って会話しているのを聞いて、「何を言っているのかわからない」と思ったことでした。
アメリカにいるたくさんの人々は、完璧な英語を話していません。でも、話さなければ、何も伝わらず何も変わりません。
そう感じたその日から、別に通じなくても大丈夫、と失敗を恐れないよう努めました。聞き取れなければ「わからなかった、もう一度お願いします」と正直に言いました。
「わかった」と嘘をつくよりも、わかるまでしつこく聞いて、お互い良い仕事をした方が気持ちが良いものです。
ほとんどの人が、分かるまで親切に対応してくれます。ただし、甘えすぎず間違いを繰り返さないように努力することは必要です。
言葉より大切な熱意と笑顔
「英語ができなくても通用するのか」の答えはYES。確かに、英語力はあるに越したことはないです。
しかし、最も大事なことはどの国にいても同じで「仕事に対する姿勢・熱意」でしょう。言葉が通じなくても、真面目に取り組んでいれば誰かが見ているものです。
その次に大事なものは「笑顔」。笑顔で挨拶すれば、相手も笑顔で話してくれます。
まとめ~今から英語を勉強しておけばよりうまくいく
英語力ほぼ0でアメリカ就職した私ですが、やはり言葉の壁は大きかったです。当初は何も話せず、一緒に行動する人もいませんでした。しかし、1年後にはみんなから話しかけられ、自分のできることを褒めてもらい、英語がわからない時には協力してもらうことができました。
そして、今ではアメリカで働くことを「心地よい」と感じています。
ただ、いまだに「あの時もっと話せていたら、もっと深く分かり合えたのでは」と思うことがあります。よって、これからアメリカに進出しようと考えている方は、どうぞ英語の「発音」を最重要課題として勉強してくださいね!
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