インターネットの普及が進み、世界各地の情報があっという間に個人へ届けられるようになりました。日本の小学校も英語の授業を導入していますね。
しかし、人々の知識はグローバル化するものの、実際に海外で活躍している日本人はまだまだ少ないのが現状です。日本の未来に欠かせない、人材の海外進出を促すためには、実際に「見て、聞いて、感じる経験」がもっと必要です。
アメリカのエンターテインメント業界で働いていた私の経験を知って、誰かに「アメリカへ行きたい!」「ショービジネス界で活躍したい!」と思ってもらえるよう、この業界独特の働き方をお教えします。
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アメリカのショービジネス界に就職した理由
私は大学を卒業後、アメリカのエンターテインメント業Feld Entertainment社に就職し、パフォーマーとしてアメリカ国内外をツアーで回っていました。
渡米経験があった
なぜアメリカを選んだのかというと、数回の渡米経験があったからです。少しずつアメリカの文化や雰囲気に触れ、「いつかここに住みたい!」という希望を抱いていました。
また、中学から英語を必修科目として学び言語にも親しみがあったため、ヨーロッパではなくコミュニケーションに困らない英語圏を選びました。
渡米を繰り返すうちに、最初は恥ずかしくて挨拶もできなかった私が「話したい」と思うようになり、英語の勉強にも力を入れるようになりました。
恋人がいた
当時、アメリカ人男性とお付き合いしていました。ショービジネスは1年契約が基本ですが、その前後や合間に会うことができるかもしれないと考え、アメリカを選びました。
彼に出会う前からすでに、漠然と「アメリカに行きたい!」という希望を持っていたので、彼との出会いは運命のように思っていました。
現在その彼と結婚し、アメリカに住んでいます。
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[/col][col][/col][/2col]アメリカのショービジネス界で働くこととは
娯楽を提供
ショービジネスとは、演劇などを観客に提供するエンターテインメント業です。舞台に立つパフォーマーから、照明や音響を手がける裏方、ツアーの手配やお金の管理まで様々な仕事があります。
ツアーは、世界中の劇場を回るものもあれば国内をめぐるもの、特別な期間だけ開催されるものもあります。1日1〜3回公演があり、1公演は約1時間半です。私はパフォーマーとして働きましたが、一人だいたい4〜5役を持ち、時には代役も務めます。
観客は子供連れの親子が多く、自分の演技が大きな歓声となって返ってくるため、とてもやりがいのある仕事です。
一般の人が休みの日に勤務
娯楽を提供する仕事なので、週末や祝祭日に勤務となる傾向があります。アメリカの多くの企業は、週末や祝祭日を従業員の休日として確保しますが、ショービジネスは例外です。
私の働いていたツアーでは、パフォーマーが約40名、裏方が約20名、販売員が約40名の100名ほどで、一緒に各地を回りました。皆ホテル住まいで、時には一緒にレストランへ行ったり買い出しに行ったりします。
仕事だけでなく生活も共にするため、他の仕事よりも友達ができやすいですよ。
アメリカのショービジネス界の勤務スタイル
年間スケジュール
私の所属していたツアーグループでは、契約が成立すると8月からリハーサルを行い、9月から公演を始めます。翌年の5月までの約9ヶ月間で、35の異なる都市を回りました。
ツアー中に新たな契約を結び、次のツアーが始まるまでの約3ヶ月は休暇です。といってもその間、給料なしは厳しいので、自分の所属しているツアーが休みの間は別の箇所で行われているツアーのお手伝いとして働く人が多いです。
新しいショーに移籍する場合や異なるグループに移籍する場合、または公演内容が大きく変わる時にはリハーサルが長くなるので、休暇が縮まります。
勤務開始時には「チェックイン」
朝10時半からの公演が最も早く、夜7時半から始まるものが最後です。週末には午後1時や2時、3時や5時など様々ですが、「必ず公演の1時間前にチェックインを行うこと」が義務です。
「チェックイン」とは、日本企業でいうタイムカード打刻のようなもので、名簿にサインします。
アメリカツアーの場合の勤務体系
基本的に日曜日は「トラベルデー」と呼ばれ、公演後にバスで次の都市へ向かいます。飛行機で移動する際には、月曜日がトラベルデーになります。
会社の規約で必ず週1日は休日が確保されますが、例外で休みが取れない場合は特別給が用意されます。パフォーマーはだいたい月曜日と火曜日が休日、裏方や販売員はトラベルデーの翌日だけが休みです。ごく稀に3日間の連休がもらえました。
月曜日や火曜日にクリスマスなどの祝日が重なる場合は休めますが、そうでなければ通常通りに公演を行います。
ヨーロッパ、アジアツアーの場合の勤務体系
公演の開催地は大都市に絞られる傾向があり、国中から観客が集まるため、3回公演が1週間近く続くこともあります。仕事はアメリカツアーに比べて過酷です。
ただ、国をまたいで公演を行うので物資の運搬に時間がかかります。そのため数週間の休暇がもらえることが多く、その間は帰国するか、訪れている国に留まって観光を楽しむことができます。
アメリカで働く日のスケジュールは公演回数によって異なる
公演初日
水曜日、または木曜日など、公演初日は夜1回だけ公演を行うことが多いです。
開演の2時間前には会場に到着し、運ばれてきた荷物や衣装などの準備を行います。また、「クラス」と呼ばれるパフォーマー全員での練習もあります。演目に手直しが加わる場合には、クラスなしでリハーサルを行うこともあります。
裏方は舞台の組み立てがあるので、公演初日の前日から働きます。会場の設計は毎回異なるので、ショーがスムーズに行えるよう衣装部屋や更衣室などの配置を工夫します。
2回公演の日
平日や週末には、午前10時半と午後7時の2回公演を行うことが多いです。公演の間はホテルに帰って休みますが、リハーサルが入ることもあります。
また、PRというメディアへのパフォーマンスが入る場合もあり、PRメンバーに指定されている時は居残りとなります。
裏方は公演の前後に衣装の修繕や機材の修復を行うため、公演と公演の間にホテルに帰ることはほとんどありません。
3回公演の日
週末に多いのが3回公演です。午前11時、午後3時と7時に行われることが多く、朝から夜までずっと会場にいます。ショー自体は約1時間半なので、公演が終わると更衣室や休憩室で時間をつぶします。
会場の近くに飲食店などがある場合は出かけることもできますが、公演の1時間前には必ずチェックインをしなければいけません。
裏方は2回公演と同じく、公演後に修復や修繕を行います。次の公演が始まるまでの時間がそれほど長くないため、修復するものが多いと大変です。
アメリカのショービジネス界のトラベルデー(移動日)
バス移動
最終公演の後すぐに移動するため、出勤する前に荷物をホテルの空き部屋に預けておきます。公演後にホテルへ戻り、預けておいた荷物を受け取ってバスに詰め、次の土地へ出発します。
具体的な距離は忘れてしまいましたが、移動距離によってバス移動か飛行機移動かが決定されます。バス移動の場合、短い時は5時間程度、長い時は10時間近くバスに乗るため、ホテルに到着するのは深夜か翌朝になります。
裏方や販売員は会場を片付けてから移動するため、翌日は丸一日寝ていることが多いです。
飛行機移動
最終公演の翌日がトラベルデーになるので、公演後にホテルへ帰って休めるメリットがあります。その反面、スーツケースの重さや荷物の量が決められているため、荷物詰めが大変です。
また、飛行機移動は空港までのバス移動とチェックインや荷物待ち、さらにホテルまでのバス移動を含めて丸一日を費やします。移動中に液体が気圧で漏れたり、繊細なものが振動で壊れたりする危険性があるなど、気を使う点が多いのがデメリットです。
アメリカのメディアに向けてショーのPR
多くの人に観に来てもらうため、ラジオやTVへのPRを行います。軍を引退した方の家族や、障害を持つ方などのために写真撮影を行うこともありました。
用意された会場に司会とお手伝い数人、メインキャラクターが登場し、握手をして記念撮影を行います。中にはセレブリティーの方々を招待し、一緒に公演会場でスケートを滑るというものもありました。
TVのためのPR撮影は早朝に設定されることが多く、朝の4時に会場へ行くこともあります。1時間ほどで終わる時もあれば、4時間近くかかるものまで様々です。
PR用に短く編集された演目を用意していますが、その都度、衣装やメイクを変更します。そのため、「Aの後でBを行い、またAを行う」などの場合は、着替えやメイク直しがとても大変です。
アメリカのショービジネス界で働く日本人の休日の過ごし方
普段の休日は日本食探し
休日をほとんど寝て過ごす人もいれば、観光に出かける人もいます。アメリカの観光地は食べ物や施設の入場料などが高額なので、私は近場に歩いて出かけることがほとんどでした。
アメリカツアーをしていると、本当に日本料理が恋しくなります!日本食レストランもありますが価格が高く、あまり美味しくないことが多いので、自分で調理していました。
そのため、移動するたびに日本の食材や調味料を売っている店を探し、見つけた際には即買い出しに行きました。
祝日は仕事仲間と共に
クリスマスや新年に休暇をもらって実家に帰る人もいましたが、その費用は自己負担です。そのため、祝日に実家に帰る人は少なく、ほとんどが残っていました。
パーティーを企画する係がレストランやホテルの会場を貸し切って、クリスマスやツアー前後のお祝いを企画してくれます。それ以外にも、参加者から500円ほど集ってBBQや飲み会をよく行っていました。
異国の文化を知る機会
様々な国からメンバーが集まっているため、伝統の料理を振る舞ったり、小さな催しを行ったりしてツアーの間の休暇を楽しみます。私も外国人に大人気の「餃子」や「寿司」を手作りしてパーティーを開き、とても喜んでもらえました。
クリスマスには「シークレットサンタ」というゲームを楽しみ、バレンタインデーは女性のための祝日であることを知りました。ハロウィーンの仮装は普段ショービジネス界で働いている賜物か、みんな完成度が高く、見ていて楽しかったです。
上司たちも仮装をしてパーティーを楽しむので、日本のような上下関係の堅苦しさは全くありません。
まとめ~ショービジネスに携わり世界の見方が変わった
ショービジネスは他の業種と違い休日が多くありません。しかし、ツアーに関わるメンバーと「仕事仲間」というよりも「家族」のように付き合い、厳しい仕事も楽しい時間も共に過ごすことで、何にも変えられない絆や経験を得ることができます。
世界各地から集まったメンバーとツアーを共にしながら、それまで持っていた偏見や価値観を変えることができます。自分がこれほどまでに無知だったのかと思い知ることも多々ありました。
アメリカのショービジネス界で働いて、新たな自分を見つけることができました。
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