外国への移住を計画する上でまず知っておきたいことは、その国の治安です。どんなに住み心地が良くても、治安が悪いと毎日を安心して過ごすことはできません。
ブルガリアはフランスやドイツで起きたようなテロ犯罪は起きていません。しかし小規模での犯罪は日常的に起きているため、多少の注意は必要です。
今回はブルガリアでの治安状況と危険な地域について、そして日本人がブルガリアへ移住する上で気をつけたいことをご紹介します。
統計から読み取るブルガリアの安全度
殺人件数の割合は欧州では少なめ
国連の2016年の犯罪調査統計によると、ブルガリアでの殺人事件の割合は10万人に対して1.14件です。この数字はわずか0.28件の日本と比較したら多い数字ですが、ほかのヨーロッパも見てみましょう。
ドイツが1.18件、イギリスが1.20件、フィンランドが1.42件、ベルギーが1.95件、アルバニアが2.70で、ロシアについては10.82件という数字です。ブルガリアは決してひどく危険な国ではないことがおわかりいただけると思います。
窃盗事件発生率も低い数値
ブルガリアの国立統計研究所の報告によると、2015年の窃盗事件発生率は10万人に対して531件です。
この数字についてもオーストリアでは1,586件、ドイツでは1,660件、ギリシャは923件、チェコは1,319件、スウェーデンについては3,828件となっています。
ブルガリアより窃盗事件の発生率が低いのは、ポーランド(363件)やクロアチア(320件)などの国です。こうした統計で見ると、ブルガリアはヨーロッパの中では比較的安全な国といえます。
実際にブルガリアで夜道を歩いても、それほど危険には感じません。ある程度注意して生活すれば、犯罪に巻き込まる可能性は低くなるでしょう。
ブルガリアの他民族都市は危険度も上がる
ブルガリア共和国国立統計研究所の報告によると、一般犯罪の多い地域はプロブディフ、ソフィア、ハスコヴォ、ブルガス、バルナそしてプレヴェンです。この中でも特に注意したいのはブルガスとプロブディフです。
ブルガリア国立統計研究所によると2017年のブルガスの人口は20万人ほどですが犯罪件数は2,208件で、120万人の人口を抱える首都のソフィアとほぼ同じ数となっています。
同じくプロブディフもブルガリア国立統計研究所によると2017年のプロブディフ人口はおおよそ50万人ですが、ソフィアよりも多い3,084件の犯罪が報告されています。
ブルガスとプロブディフで共通しているのはブルガリア系の住民だけでなく、トルコ系住民やロマなど多民族で構成される都市であるということです。
民族間の紛争などはありませんが、貧富の差は少なからずあります。トルコ系住民やロマよりも、ブルガリア系住民のほうが裕福な傾向があります。多民族都市では経済的格差が犯罪を招いているといえるでしょう。
注意すべき場所(アレクサンドロフスカ通り)
ブルガス市内で特に注意するべき場所はブルガス駅から北に向かって延びているアレクサンドロフスカ通り(Ул.Арександровска)です。
この通りは歩行者天国になっているため昼間は人通りも多く活気あふれる雰囲気ですが、夜になると若者たちがたむろしておりかなり怖い雰囲気になります。また麻薬やドラッグの売人なども見かけます。
注意すべき場所(市役所周辺)
また同じくブルガス駅の近くにある市役所周辺も注意が必要です。市役所周辺には大きなカジノ施設が並んでおり、やはり夜になると雰囲気も悪くなります。暴力事件などに巻き込まれないためにもこの付近は十分に注意してください。
注意すべき場所(プロブディフ中央地域)
プロブディフ市内で特に注意するべき場所はプロブディフ駅の北側にあるプロブディフ中央地域(Пловдив Център)です。
ルースキー通り(Ул.Руски)とツァールボリス大通り(Бул.Цар Борис)に挟まれた地域ですが、人通りが多く昼間でもスリや置き引きなどの犯罪に警戒が必要です。
またこの地域にはイスラム教のモスクがあるためトルコ系住民とブルガリア人が混在している地域です。そのため小競り合いが起きるときもあるので注意が必要です。
注意すべき場所(リューリン地区)
首都のソフィア市内で注意するべき場所はソフィア市の西側に位置しているリューリン地区(Ж.К.Люлин)です。
この地域では空き巣やスリなど被害が多発しており、バイクや自動車が窃盗被害も報告されています。ソフィアは中心部よりも郊外の方が犯罪率が高い傾向があります。
実例・ブルガリアではこの犯罪に気をつけろ!その1
日本人など外国人が注意すべき、場所と犯罪の組み合わせは3つあります。
人ごみの多い場所×スリ
特に気をつけたいのは地下鉄の駅やバスターミナルなど常に人の流れがある場所です。ブルガリアでは人ごみを狙ったスリがいます。スリはすばやい手口で、わずかな隙を逃しません。
日本ではスリが少ないため、日本人は油断して財布やスマートフォンをズボンやコートのポケットの中に入れてしまいがちです。またカバンなどもついつい、ファスナーを閉めずにいることもあります。
ブルガリアではなるべく大事なものは手から離さずに、カバンにはなるべく奥にしまうようにしましょう。
首都ソフィアのサッカー場×フーリガン
ほかのヨーロッパと同じように、ブルガリアでもサッカーは人気です。その中でも首都のソフィアにあるCSKA(ツェスカ)とレフスキーは人気があります。
そのためCSKA(ツェスカ)とレフスキーによるソフィア・ダービーの試合には、多くのサポーターが詰めかけます。そして中には熱狂的なサポーターもいて、試合内容によっては暴徒化することもあります。
残念ながら2018年の春に行われた試合では、けが人も出る事態となっています。試合が開催される時間帯には、興味本位でサッカー場に近づかないほうが安全です。また試合を観戦するときも、ファンをあおる行為は絶対に避けましょう。
街の郊外の幹線道路×売春婦
売春による犯罪も発生しています。特に街と街とを結ぶ幹線道路には売春婦がたむろしており、ヒッチハイクをするように誘っていきます。
ブルガリア人は南スラブの民族に属し、はっきりした目鼻立ちで容姿もきれいです。そのためワンナイト・ラブを楽しみたい外国人も残念ながらいます。
しかし法律では売春行為は犯罪ですし、そうした売春婦たちは慢性的な病気を抱えている場合もあります。また、マフィアが暗躍しており、売春婦のバックには組織が関わっていることもあります。
不要な犯罪やトラブルに巻き込まれないためにも、郊外の幹線道路の売春婦には近づかないようにしましょう。
実例・ブルガリアではこの犯罪に気をつけろ!その2
特別な場所でなくても、公道で日本では考えられない危険が潜む場合もあります。
法外な要求をする違法タクシー
タクシーには料金表が窓に張られており、初乗りや1キロメートルあたりの料金を確認できます。しかし、外国人の中にはタクシーのシステムを知らずに、白タクに声をかけられてそのまま乗車してしまう人もいます。
そのような場合には正規の料金の10倍以上の料金を取られることもあります。
なるべく流しのタクシーや声をかけてくるタクシーは避けるようにしましょう。駅やバスターミナルには認可されたタクシーの待機場所があります。
街中でニコニコ近づいてくるタカリや売人
街中でも注意が必要なときがあります。単にもの珍しくて声をかけてくるブルガリア人もいますが、お金目当てで近づく人もいます。そうした人たちは見た目にはフレンドリーに感じますが、親しくなるとお金を要求してきますので注意しましょう。
麻薬やマリファナなどを買うように声をかけてくる人もいます。コカインやヘロインなどの薬物犯罪もかなり多いのが現状です。そうした薬物を興味本位で試すのは大変危険です。
ブルガリアのロマに関しての注意点
ブルガリアには約75万人のロマがいます。地域によってはロマだけで構成されている場所もあります。
ロマの人たちはフレンドリーで、日本人から見ると純朴に見えます。実際にロマの人たちと交流して、楽しかった思い出としてブログなどに載せる方もおられます。
もちろんそういった交流は自己責任の下で個人の自由ですが、十分な注意も必要です。ロマの地域では薬物の犯罪も多く、アルコール中毒に陥っている人もいます。劣悪な衛生状態で病気感染の危険性がある場合もあります。
実際にほかのブルガリア人は必要がない限り、ロマの居住区には近づきません。そうしたことも覚えておきましょう。
まとめ
ブルガリアはヨーロッパの中でも比較的治安はいい国ですが、犯罪は起きています。基本的にはブルガリア人と同じような行動をとれば巻き込まれることはありません。
基本的にはブルガリア人と同じ行動をとるように心がけるようにし、ブルガリア人が近づかない地域や場所はなるべく避けるようにすることが大切です。
またブルガリアではアジア人に対する差別はほとんどありませんが、やはりアジア人は目立ってしまう傾向があるので、夜中などはなるべく外出しないようにしましょう。
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