私の住んでいるスウェーデンでは、外国人が銀行口座を作るのは少しハードルが高く、口座開設までに少し時間がかかってしまいます。銀行口座の開設には、様々な公的手続きが必要なためです。
ここでは私の体験をもとに、スウェーデンで銀行口座を開設するまでの手順とその方法についてご紹介いたします。
なお、今回紹介するのは銀行口座の開設方法は、法改正などで必要なものが変わることもあります。もしお手続きされる場合は、事前に公的機関の情報をご確認ください。※1SEK(スウェーデンクローナ)=約13円(2018年12月)
スウェーデンでの銀行口座の開設に必要なもの
銀行口座開設に必要なもの
私が銀行口座を開設した時に必要だったものは、以下の5点です。
- パスポート
- 雇用契約書
- 居住許可カード
- パーソナルナンバー
- スウェーデンのIDカード
銀行や担当者によっては、情報が変わることもあります。もしお手続きされる場合は、事前にご確認ください。
開設の理由を明確に
スウェーデンでは、銀行口座を開設する際に、必ず口座開設目的を聞かれます。給料振り込み用など、その使途を明らかにしないと口座の開設は難しいようです。無職だと、銀行口座が作れなかったという人もいるようです。
私の場合、スウェーデンに来た当初は仕事をしていなかったため、夫との共同口座という形で口座を設けることができました。
スウェーデンの居住許可カードの取得方法
居住許可カード取得の手続き
「居住許可カード(Uppehållstillståndskort)」は、スウェーデンの移民庁(Migrationsverket)にて、スウェーデン入国後に発給申請をします。
ストックホルム近郊では、スンビュベリ(Sundbyberg)にサービスセンター(Nationellt servicecenter)があります。
移民庁のホームページから手続き日時を予約し、訪問してから顔写真の撮影と、指紋とサインの登録をします。その際には本人確認のためパスポートが必要となります。
届くまで1週間ほどかかる
私の場合は、手続きから1週間ほどで、居住許可カードが郵送されて来ました。居住許可カードが手元にない状態では、パーソナルナンバーの手続きはできません。
一刻も早く生活基盤を整える準備をしたいところでしたが、居住許可カードが届くのを待つほかありませんでした。
スウェーデンのパーソナルナンバーの取得方法
パーソナルナンバーって何?
スウェーデンでは、「パーソナルナンバー(Personnummer)」なしでは銀行口座を開設することはできません。スウェーデン生活では銀行口座開設をはじめ、生活の様々な場面においてパーソナルナンバーが必要になります。
パーソナルナンバーは、西暦を含めた生年月日の6桁の数字と、個人で異なる4桁の数字を組み合わせた合計10桁の個人識別番号です。誕生から就学の記録、税金の支払いなど、全ての個人記録がパーソナルナンバーをもとに管理されます。
スウェーデンに1年以上滞在する場合は、外国人にもパーソナルナンバーが付与されます。
パーソナルナンバーはどんな時に必要か?
スウェーデンでは、日常生活でパーソナルナンバーが必要な場面が多くあります。銀行口座の開設はもちろん、医療機関にかかるときや処方薬を受け取るとき、家の売買・賃貸契約にも必要です。
また、お店や図書館のカード作成や、ネットショッピングでもパーソナルナンバーの提示を求められます。
パーソナルナンバー取得に必要なもの
スウェーデンのパーソナルナンバーは、税務署(Skatteverket)で発行されます。
ストックホルム周辺では、
- ストックホルムシティ(Stockholm city)
- クングスホルメン(Kungsholmen)
- スンビュベリー(Sundbyberg)
- シスタ(Kista)
にあるサービスオフィス(servicekontor)で手続きできます。
パーソナルナンバーの取得手続きには、以下の書類を持参しました。戸籍謄本は、日本の翻訳専門会社にて翻訳してもらった書類も添付して提出しました。
- パスポート
- 居住許可カード(Uppehållstillståndskort)
- 戸籍謄本
パーソナルナンバーは、提出から約4日程度で郵送で手元に届きました。
スウェーデンのIDカードの取得方法
IDカード発行の手続き
パーソナルナンバーを取得したら、パーソナルナンバー入りの身分証明書(IDカード)の発行手続きをします。スウェーデンの銀行口座開設には、IDカードも必要です。
残念ながら、IDカードはパーソナルナンバーを取得すると同時に発行されるわけではありません。
IDカードの発行は、パーソナルナンバー申請と同じく税務署の管轄です。しかし、IDカードの取り扱いができる税務署は、ストックホルムでは、クングスホルメン(Kungsholmen)オフィスのみとなっています。
IDカードの発行には、400SEK(約5000円)の費用がかかります。発行費用は、事前に、指定口座に銀行振り込みをしておく必要があります。
発行手続きは日時を予約してから、税務署で行います。必要なものは、カード発行費用の振り込み領収書、パスポートとなっています。
IDカードの受け取りは、直接税務署に受け取りに行く形でした。実は発行手数料を支払うのに苦労したのですが、それ以外はスムーズに行き、2週間くらいで入手することができました。
手数料の支払いで一苦労
IDカードの発行には手数料がかかりましたが、その支払い方法でとても困りました。窓口で支払うと思いきや、銀行振り込みで支払う必要があったのです。
銀行口座の開設前なので、口座を使っての銀行振り込みはもちろんできません。現金で振り込みができるATMを探したのですが、スウェーデンでは現金振り込みができるATMはありません。
また、スウェーデンでは、銀行の窓口でさえ現金を取り扱っているところがほとんどなく、銀行窓口での振り込みも一般的ではありません。キャッシュレス社会のスウェーデンを身をもって体験した瞬間でした。
最終的に、現金振り込みを取り扱ってくれる数少ない銀行窓口を探して、なんとか現金で振り込むことができました。
スウェーデンの銀行口座の開設手続き
手続きは意外にもスピーディー
銀行口座を開設する前に、必要書類を揃えるための行政手続きに多くの時間を費やしました。しかし、銀行口座の開設の手続き自体は、意外と容易にできました。私は銀行の口座開設の担当者に事前予約をしてから、手続きをしに行きました。
スウェーデンの主な銀行
スウェーデンの主な銀行は、 Handelsbanken(ハンデルスバンケン)、Swedbank(スウィードバンク)、SEB(エス・イー・ベー)などがあげられます。
スウェーデン国内で店舗数が一番多いのは、Handelsbankenで約420店舗、続いてSwedbankが約220店舗、SEBは約120店舗となっています。
口座ができるまでの資金繰りは大事
私の場合は、銀行口座を開設し実際に使用できるまでに、1か月ほどかかりました。そのため、現地通貨のお給料を受け取れるようになるまでは、思ったよりも多くの時間を要しました。
銀行口座が開設できるまでは、日本のクレジットカードやデビットカードなどで買い物などの支払いをしていました。
デビットカードは、ネットバンキングにて日本円をスウェーデンクローナへ両替してから使用するものがあったので、そちらを利用しました。
スウェーデンで生活をしていて、現金を使用する機会はほとんどありません。お水1本の購入やトイレのチップまで、ほとんどの場所でカードを使用することができます。
現金を使わなくても買い物などはできるため、スウェーデンに来てからは、日本円からスウェーデンクローナに両替する必要はほとんどなかったです。
キャッシュカード
スウェーデンでは、キャシュカードにデビットカード機能を付帯したものを使用するのが一般的なようです。私もこのタイプのカードを使用しています。
デビットカードを使用することで、決めた金額内でのやりくりが可能となるので、家計の管理にもとても便利です。
ほとんど現金を使用することが少ないスウェーデンですが、それでも現金が必要な場合はBankomat(バンコマット)というATMで現金を引き出すことができます。
バンコマットは、24時間利用可能で、どこの銀行でもお金の引き出しができます。いつでも手数料なしでお金を引き出せるので便利です。
スウェーデンのバンクIDとは?
本人確認方法としてのバンクID
銀行口座を開設する際に一緒に取得できるのが、バンクID(Bank ID)といわれる本人認証のための電子IDです。銀行口座を通して、本人確認ができる仕組みです。
例えば、以下のような例で使われます。
- 育児休暇手当の取得手続き
- 失業保険の手続き
- ストックホルム市の運営するカルチャースクールの申し込み
- スウィッシュ(Swish)での送金
- 通販利用時の本人確認
オンライン上で契約や取引をするときに、バンクIDを使用します。つまり、ペーパーレス、サインレスで契約ができる仕組みになっています。
スウェーデンにおいては、個人が特定できるパーソナルナンバーにひもづけて、銀行口座を作成します。そのため、銀行口座を保有していることで本人確認が容易にできるというわけです。
バンクIDはアプリで使用する
バンクIDを使う時は、携帯アプリ、モバイルバンクID(Mobilt Bank ID)を利用するのが一般的です。
また、バンクID用のパスワードは、銀行で口座を開設するときに登録します。バンクID起動時に何度か間違えると、パスワードが失効してしまいます。パスワードは忘れないにしましょう。
使い方はとても簡単です。ストックホルム市のカルチャールスクールの申し込みを例にあげてみます。
まずは、ストックホルム市のカルチャースクールの申し込みサイトにアクセスします。そこで、自分のパーソナルナンバーを入力し、携帯でモバイルバンクIDアプリを立ち上げます。
そして、バンクIDのパスワードを入力するか、携帯の指紋認証システムを使用することで、バンクIDの認証作業は終了です。
バンクIDの認証手続きをすることで、住所・携帯番号・銀行口座などの詳細情報の入力は不要で、本人確認が簡単にでき手続きが終了します。
スウェーデンでの銀行取引の基本はアプリ
各銀行専用アプリ
スウェーデンでは、銀行取引のほとんどをアプリで行うことが可能です。公共料金などの振り込みから、自分の口座内の資金移動、貯蓄、自分の口座に複数口座を作成することまで全てアプリで行うことができます。
自分の口座に別口座を作ることも可能なので、貯蓄など項目ごとに管理できてとても便利です。
アプリを使用すると、振り込みなどの手数料は発生しません。このように各銀行取引は、アプリで行った方が便利なため、直接銀行を訪れることはほとんどありません。
Swish(スウィッシュ)
スウィッシュは、スマートフォンアプリを利用した決済サービスです。アプリを起動し、送金したい相手の携帯電話番号を入力します。先述のバンクIDで本人認証をすることによって、瞬時に相手方の銀行口座に送金できる仕組みとなっています。
モバイルバンクIDで本人認証することで、携帯電話番号だけで、送金ができるという優れものなのです。しかも手数料は無料です。
フリーマーケットでの買い物の時、友達と割り勘をする時など、使い道は様々でとても便利です。私がよく利用するのは、学校の先生へのプレゼントを保護者で募って買う時です。係の人がスウィッシュでお金を集めてプレゼントの購入にあてます。
まとめ
スウェーデンで銀行口座を開設するためには、公的手続きを1つずつすませなくてはいけないため、少し時間がかかってしまいます。しかし、それに対応する準備をしておけば、そんなに難しいことではありません。
キャッシュレス化が進んでいるスウェーデンでは、銀行口座を持つと、便利さがさらに広がります。携帯電話番号だけで送金ができるスウィッシュ、身分証明として使用できるバンクIDなどはその良い例と言えます。
銀行口座を持つことは、スウェーデン生活の便利さの幅を広げる第一歩になりそうです。
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