カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン地方はワイン産業が盛んです。私がこの地のワイナリーの葡萄園で働き始めて8か月が経ちました。
冬が長く厳しいカナダでは、農作業ができる期間も限られています。ここオカナガンでも10月から翌3月までの半年間は雪景色が広がります。
農園で働くデメリットのほとんどは、カナダの広大な自然と天候に関わるものです。ここでは、そうしたデメリットを挙げてみます。
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カナダのワイン造りは自然との戦い
「この仕事は常に天気との戦いさ」と、私の働くワイナリーのオーナーは言います。ほかの農作物全般にも共通することですが、葡萄はまさしく天候に大きく左右される農作物です。
天候が悪いと当然、作物の育成は悪くなり、きちんと育たなかった作物は出荷できません。その結果、収益は減ります。
ワイン用葡萄も同様に、天候が悪いと葡萄そのものの育ちが悪くなり、生産量も減ります。そしてその葡萄の出来は、翌年に完成するワインの品質や生産量にも大きく関わってきます。
多くの農作物は即結果が出るのに対して、ワイン用葡萄の結果はワインが熟成されて出荷される1~3年後に結果が現れてきます。これがワイン造りの醍醐味であり、リスクでもあるのです。
カナダのブドウ園での仕事と給料は天候次第
葡萄畑で働く私たち農作業員の仕事は、9割以上が屋外である葡萄畑の中でのものです。残りの1割は、ワインのボトル詰めや出荷の手伝いなど、屋根のあるワイナリーの中での作業です。
外での仕事は天候に左右される
葡萄園では、すべて天候で作業を行うかどうかが決まります。気温が下がりすぎたり、雨が多く降ったりするとできなくなる作業があり、葡萄の状態によっても作業が中止になることがあります。
日々の仕事は朝の天気予報チェックから始まります。その日の湿度や気温によって作業の内容も変わるためです。
朝から天候が悪い日は自宅で待機してオーナーの判断を仰ぎます。また、畑で働いている途中に天候が悪くなり、作業を中止して帰宅することも多々あります。
作業がなくなれば給料も減る
農作業員はほとんどが時給制で働いています。したがって、天候に左右されて仕事ができないなんてことがあると給料が減る可能性が高い点が最大のデメリットです。
しかし、たいていの場合、その分の埋め合わせができます。天候さえ良ければ畑での仕事はいくらでもあるので、働けなかった分の時間を翌日、または休日である土日に取り戻すことも可能です。
実際に私は、平均すると規定の週40時間、みっちり働くことができました。
カナダのブドウ園での働き方は季節にも影響される
その日の天候だけでなく、季節によっても働き方が違ってきます。
日の出・日の入りに合わせて作業
年間を通して日の出・日の入り時間の差が大きくあるので、春先、夏、秋では仕事開始の時間が異なります。
葡萄畑のシーズンの始まりである2月は日の出が7時半。まだ薄暗い8時から作業を始め、午後3時に終了です。気温はマイナス6度以上なら作業可能、あまり積雪が多い日はお休みになります。
6月になると日の出が5時と早くなります。それと共に出勤も早くなり、朝6時に作業開始して13時に終了となります。
夏場は13時を過ぎると夕方までとても暑くなるので、それを避けるために早い時間に仕事を始めて終わらせます。気温はピーク時で38度近くまで上昇、農作業をするには厳しい環境です。
出勤時間は自由
私の職場では仕事開始時間は個々で自由に決められるため、朝4時から出勤する人もいれば、7時に出勤する人もいます。
ちなみに、このようにフレキシブルな対応をしてくれる葡萄園は珍しいそうです。
カナダのブドウ園では野生動物に遭遇することも
動物も棲みつく広大な葡萄畑
私の働く葡萄畑の大きさは45エーカー、東京ドーム4個分の大きさです。
葡萄園としてはさほど大きな規模ではないそうですが、周辺にも林檎畑やラズベリー畑があり、小川が流れ、その向こうには牧場があったり森があったりと、とにかく広いです。
そんな中で起こるハプニングは野生動物や虫との遭遇。敷地内でよく見るのは鹿、鷲、カナダ鴈(ガン)、地ネズミ、ウズラ、そして昆虫のススメバチです。
常に注意が必要
最も身近で気を付けなくてはいけないのはスズメバチ。幸い私は刺されたことはありませんが、従業員の半数くらいは作業中に刺された経験があります。
また、畑を横切っていく鹿の群れは一見優雅で可愛いですが、予期せずに遭遇してしまった時などには防衛本能で襲ってくることもあるそうで注意が必要とのこと。
そして、なかなか見ることはないもののよくいるのがコヨーテだそうで、その形跡は雪の上についた足跡などで分かります。夜から朝にかけて畑内で狩りをするそうで、時々、畑内で血痕が見られたり、鹿の白骨死体が転がっていたりすることもあります。
仕事中はオーナーの犬が常にいて、敷地内に入ってきた鹿などをよく感知して追い払ってくれるので助かっています。
カナダの農作業員は不安定なシーズナル雇用
冬の間は仕事がない
農作業従事者のほとんどはシーズナル雇用、つまり季節労働者で、私も閑散期である11月から翌1月までは解雇となります。
2月からまた働くことは可能ですが、解雇されている間は他の仕事に就くか、Employment Insuranceと呼ばれる失業保険を支給されて生活します。
厳しい冬が長く続くカナダでは、このようにシーズナルな仕事が多くあります。就労期間に高めのお給料をもらえる仕事であるならば良いですが、そうでない場合にはデメリットです。
優雅なバケーションに出かける人も
一方、閑散期と繁忙期とでライフスタイルをがらりと変えるカナディアンも多くいて、「夏の間にしっかりと稼ぎ、冬はキャンピングトレーラーでアリゾナに2か月住むのよ」と優雅に過ごす方も多く見られます。
そういう方にとっては、季節労働の仕事はメリットになりますね。
私はまだまだ下っ端の従業員で重機を扱えるわけでもないので、お給料も州の最低賃金である時給12.65ドル(約1,088円)です。そのため、1年のうち3か月間も解雇される期間があるのは辛いです。
※1カナダドル=86円(2019年4月)
まとめ~デメリットかどうかはとらえ方次第
8か月間、葡萄園で働いてみて、厳しいなと思ったことを挙げてみましたが、実際にこれらをさほど辛いと思ったことは今のところありません。
農業にとても興味はあったものの、未経験の女性である私に務まるのか、雇ってくれる農場があるのかと自信がなかったところを今のオーナーに拾われ、チャンスをもらいました。
とても心地よく働けているので、私の農業に対してのイメージは今のところ良いものばかりです。
自然の中で働く醍醐味
マイナス6度の中で仕事をした時も、太陽さえあれば雪ってこんなに暖かいんだと実感しました。ある朝、畑に鹿の白骨死体が転がっていた時にも、驚く一方で自然の摂理を目の当たりにして感動してしまいました。
これからも畑でいろいろなハプニングがあると思いますが、自然と一体になって働いている醍醐味だととらえて楽しめたらいいなと思っています。
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