カナダのワイナリー(ブドウ園)で働く私の仕事とお給料。ハードでも魅力の多いカナダの農業

トラクター カナダで働く

カナダのブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)の中ほどにあるオカナガン地方はワイン産業が盛んな地域で、州全体で作られている約8割のワインを生産しています。

私は8か月ほど前から、このオカナガンにたくさんあるワイナリーの1つで働き始めました。主に葡萄の木の育成を担当しています。

過酷だといわれている農業が、未経験かつ女性の私に務まるのかとても自信がありませんでしたが、以前からワイン作りと農業にとても興味があり、すぐクビになっても仕方ないとの覚悟で飛び込んでみました。

そんな私の仕事内容や給料などをご紹介します。

※1カナダドル=86円

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カナダのブドウ園で働く私のポジションと仕事内容

ワイン

農園従業員として勤務

私は一番下っ端の農園従業員で、葡萄の木の世話を担当しています。具体的には、冬場の剪定から始まって、枝の誘引、芽取り、葉取り、ネット掛け、ネット外し、そして収穫まで行います。

以下がワイナリーの中での職種と業務内容です。星の数が少ないほど上のポジションです。

★オーナー:出資者であり、葡萄園とショップを経営
★★葡萄園マネージャー:葡萄園と従業員を管理
★★★ワインメーカー:実際にワインを製造
★★★農園従業員:土壌調整、灌漑管理、葡萄の木の世話 ※私はこれに該当
★★ショップマネージャー:ショップ経理と従業員管理
★★★ショップ店員:在庫管理とセールス接客
★★総合経理:全体の経理

私の直属の上司にあたるのは葡萄園マネージャーで、常に彼の指示に従って動きます。朝と午後の2回、マネージャーとのミーティングが行われ、朝にはその日一日の作業の内容と手順を、午後には翌日の仕事内容を指示されます。

農園従業員にはほかに、肥料や薬品散布などの土壌管理をする人、散水用のパイプ管理をする人達がいます。

他の職種の従業員との交流も

月に1度、5千キロ離れたオンタリオ州に住むワインメーカーがやってきて、葡萄の栽培具合をチェックしたり、醸造中のワインの状態を見たりといった作業をします。

その際にワインメーカーから直接、葡萄栽培についてのより詳しい知識と指導を得ます

また、ショップでの仕事は私たち農作業員はほとんど関わることはありませんが、2週間に1度、ショップに出向いてお給料の小切手をもらいます。

ショップの従業員と農作業員の関係もとても良く、お給料日には毎回ワイン・テイスティングを無料でさせてもらえます。

カナダのブドウ園で働く私のお給料

最低時給での契約

私の給料はずばり、州の最低賃金である時給12.65ドル(約1,088円)です。それでも2018年現在、東京都の最低賃金は時給985円なので、今のレートだとBC州の方が100円ほど高いようです。

勤務は月曜から金曜の週5日間、1日8時間です。1か月に22日働いたとして得られる月給は2,226.40ドル(約191,470円)という計算になります。

給与の内訳

毎月の給与明細は、だいたい以下のようになります。

給与明細

総給与額2,226.40ドル(約191,470円)から、税金などで369.32ドル(約31,762円)が引かれ、手取りは1,857.08ドル(約159,709円)です。

差し引かれる内容は、上から雇用保険料(EI-Employee)、所得税(Federal Income Tax)、年金(CPP-Employee)です。

このほか、ベネフィットと呼ばれる福利厚生分が上乗せされる方もいますが、私のポジションでは残念ながらこれはありません。また、交通費の支給もなしです。

夫の収入が支え

私のような新米で経験のない農業初心者は福利厚生もなく、最低賃金での契約です。

ただ、私の場合は日本にいる会社員の夫が稼ぎ主なので、現在のところ困ることなく生活しています。夫は福利厚生も受けられるので、心配ありません。

なお、我が家は4人家族で、ここカナダで私が一緒に暮らしているのは留学中の次男です。夫と長男は日本で暮らしています。

昇給を目指すにはスキルアップ

給料アップを狙うなら、経験を積むこと、そして資格を取り、できる仕事の幅を増やすことが必要です。

大型重機を扱える人、農薬などの薬品を扱える人、ワインメーカーの資格を持っている人などは、さらに上のレベルの雇用形態で働くケースもあります。数年間の雇用契約を結ぶ人もいれば、福利厚生が受けられる人もいます。

できる仕事の幅が増えれば給料も上がり、時給ではなく固定給で支払われる従業員もいます。

カナダの農業での働き方は季節や天候に左右される

雪の積もった農園

バンクーバーやトロントなどの大都市ではオフィスでの仕事が多くありますが、カナダの小さな地方地域ではオフィス仕事は非常に限られ、林業・農業が主な産業です。

冬の間は解雇となる雇用形態

カナダは冬が長く厳しいため、農業はもとよりほとんどの産業が季節に大きく影響されます。そのため、農業従事者の多くがシーズナル(Seasonal)と呼ばれる雇用形態です。

シーズナルは一定期間だけ働く契約で、閑散期の冬季11月から翌年1月までは解雇されます。

その間は他の仕事をしても良いし、仕事をしない場合は失業保険(Employment Insurance)を申請することもできます。失業保険は週に547ドル(約47,042円)が支給されます。

ここBC州で季節労働をする農業従事者は、冬の間は上記どちらかを選んで1年間を過ごすのが一般的です。

私もこのシーズナル雇用ですが、同じ職場でも従業員の雇用形態はまちまちです。

悪天候に備えるための時給払い

また、固定給ではなく時給で支払われるのは、雨天時は作業ができなくなるなどの天候によるハプニングがあるためです。

実際に私の働く葡萄畑では、時々天気の影響を受けて作業が中止になります。

例えば、剪定時にマイナス6度以下になると葡萄の枝が折れやすくなるので、作業をやめます。収穫時に雨が続くと葡萄の実に含まれる水分が多くなりすぎることから、作業中止です。

悪天候のために作業できない日が続くと、今度はその遅れを取り戻すために、普段はお休みの土日に作業をすることになる場合もあります。

オーナーは言います。「農業は常に天気との戦いだ」

カナダで農業に就くために必要なもの

仕事

最低限の英語力

私が携わっている葡萄園での農作業は、ほかの職種に比べれば高いレベルの英語力はさほど必要ではありません。しかし、オーナーやマネージャーの指示が最低限理解できないと当然、作業はできません

中には英語がほとんど話せない新移民の方も働いていますが、マネージャーや他の従業員とのコミュニケーションを取ることが難しく、作業も間違うことが多かったりで、効率が悪いです。

幸い、オーナーたちはとても穏やかなので、皆でカバーしながら仲良く作業していますが、やはり言葉が通じないと信頼度が低くなります。また、きちんと言葉が分れば分かるほど良いことはたくさんあります。

忍耐と努力

一般に、肉体的に厳しいと言われる畑仕事。前述したように、スキルも経験もない初心者は福利厚生もないことが多く、お給料も安定しません。

しかし、食に関わる農業は、人々にとってなくてはならない重要な産業です。

農業では何よりも実際に労働しながら経験を積み、次々と新しいスキルを身につけていくことが非常に重要視されます。そして、スキルや資格を取得していくと他の農場でも通用する人材になれるという魅力もあります。

好奇心

私はまだまだ新米で、今は葡萄の木の世話が専門ですが、興味のあるワイン作りの話を聞いたり、はたまたワイン業界の出来事や経営について学べたり、得るものがたくさんあります。

その結果、日々の農作業が何倍にも楽しくなります。

実際に、何も経験のないところから農作業を始めて自分の葡萄畑を持ち、自分のワイナリーを持つようになった人々がオカナガンでは多くいます。

目の前の作業だけでなく、その周りにある業界の深さを知ることは、自身を高めるためにもとても重要だと思います。

まとめ~やりがいのある仕事に満足

農業初心者の私ですが、約10か月の葡萄の木の世話を1サイクル終えました。農業とワイン作りの奥深さについて多くを学ぶことができ、とても有意義な時間だったと思っています。

そして、ワイン産業にはまだまだ私の知らないことがたくさん。来シーズンも同じ職場で働いて、多くのことを学んでいきたいと思っています。

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記事を書いた人

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のケローナに移り住んで3年、かねてから興味のあったワイナリーのブドウ栽培の仕事に就き、驚きと発見の日々を過ごしています。

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