ラオスの首都ビエンチャンとはどんなところ?

ビエンチャン 東南アジア

ラオスは東南アジアの中心に位置しタイ、カンボジア、ベトナム、中国、ミャンマーの5ヶ国に接する国境をもつ内陸国です。

東南アジアの奥座敷、東南アジア最後の桃源郷などに例えられていた頃のラオスは東南アジア最貧国と言っても過言ではなかったのですが、近年急速に経済成長を始めた、典型的な後発国と言えるでしょう。

今回はラオスの首都ビエンチャンを紹介します。

ラオスの首都ビエンチャンの概要

タート・ルアン

※ビエンチャンのトレードマーク「タート・ルアン」は夕日に輝く時刻に訪れるのがおすすめです。

ビエンチャンは王室時代からラオスの首都としての機能を持ち、450年以上の歴史のある街です。

かつては訪れた外国人旅行者から「世界で最も寂れた首都」と言われていましたが、高度経済成長真っ盛りの現在は、新しいビルの建設ラッシュと並行して次々にショッピングモールがオープンする賑やかな街に変貌しつつあります。

政府直轄地ビエンチャン特別区

ラオスの行政区分は県、郡、町に分かれています。ビエンチャン県は存在するものの首都ビエンチャンはビエンチャン県に含まれず「政府直轄地ビエンチャン特別区」となっています。

ラオスの政治と経済の中心地で、ラオス国内で最も金銭的に潤っているエリアと言えるでしょう。

ビエンチャンの3つのエリア

ビエンチャンの街はラオス政府の省庁や各国の大使館や領事館が集まる行政エリアと、地元ビエンチャン人の生活エリア、そして旅行者の集まるツーリストエリアの3つに大別することができます。

ラオスの首都ビエンチャンへのアクセス

ラオスは近隣諸国と比べると日本からのアクセスが悪いので、旅行で訪れるのにはハードルが高いかもしれません。しかし年々利便性は改良されていますので、一昔前のような秘境感は薄れつつあります。

空路以外にも陸路を使って近隣諸国から首都ビエンチャンまで走行する国際バスが増え、入国は比較的便利になってきました。

空路でのビエンチャンへのアクセス

日本からビエンチャンを結ぶ直行便は、2017年11月現在、残念ながら就航していません。韓国、マレーシア、タイ、カンボジア、ベトナム、中国などの経由便を利用する必要があります。

国際空港ビエンチャン・ワッタイ空港は、ツーリストエリアから約5キロほど西にあるので、空港発の乗り合いタクシーを利用すれば10分程度で市内中心部に到着します。

近年エア・アジアが就航したこともあり近隣諸国のタイ、バンコクやマレーシアから空路でビエンチャンを訪れる旅行者は急増しています。

陸路でのビエンチャンのアクセス

タイ国内から直接ビエンチャンへアクセスする場合、タイのノーンカイを経由しメコン河を渡る第1友好橋国境を利用するのが、最も一般的なルートです。

バンコクを例に取るとますバンコク~ノーンカイの長距離バス(約10時間)を利用します。そしてノーンカイ~ビエンチャンの国際バス(約1.5時間)に乗り換えれば簡単にツーリストエリア近くに到着します。

バンコク~ノーンカイを列車(約10~12時間)で移動することも可能です。1部の列車は国境のラオス側の町タナ・レーンまで乗り入れています。

しかしツーリストエリアまで約30キロ離れているのに町中まではトゥクトゥクを捕まえるしかないので、便利な移動手段とは言いがたい状況です。

ビエンチャン市内には「タラート・サオ(中央バスターミナル)」、「キウ・ロッメー・サイヌア(北バスターミナル)」、「キウ・ロッメー・サイタイ(南バスターミナル)」の3つがあります。

ラオス南部やベトナム、中国などからビエンチャンに着いた場合、まずはツーリストエリアに直近のバスターミナルであるタラート・サオを目指しましょう。

また、タイのバンコクからビエンチャン直近の町であるタイ東北地方のウドンターニまでも毎日LCCが多く就航しています。

まずはウドンターニまで飛行機で行って、そこからビエンチャン行きの国際バスやタクシーに乗り換えれば、約2時間の陸路移動でビエンチャン市内まで行くことが出来ます。

ラオスの首都ビエンチャンの観光情報

ビエンチャンのツーリストエリアからはメコン河の対岸に、タイのノーンカイ郊外のターボーという町が見えます。

かつてはメコン河沿いの赤土の土手に屋台が立ち並び「メコン河に沈む夕日を眺めながらビア・ラオで喉を潤す」のが多くの外国人旅行者に人気でした。

現在は護岸工事が進みコンクリートで固められたメコン河の堤防では、毎晩ナイトバザールが立ち、賑わいを見せています

屋台村も建設中なので昔の風情は無いものの、再びメコン河を眺めながらビア・ラオを楽しむことができるようになりそうです。

また、ツーリストエリアには宿泊施設、屋台、レストラン、カフェなどの食事処、土産物屋、マッサージ店、コンビニ、雑貨屋など、旅行者が必要とする施設がほぼすべて徒歩圏内にあります。

ビエンチャンの宿泊施設の状態は?

ホテル

※プチホテルの中庭では毎日宿泊者向けにモーニング・ビュッフェが用意されます。

かつてのビエンチャンではゲストハウスの数が少ないことから、外国人旅行者にはゲストハウスの選択余地は非常に少なかったものです。

私は地方の役人が中央政府に陳情に来る際に利用する宿泊施設に潜り込み、ビエンチャンに滞在していました。

宿泊施設の現状

現在、ゲストハウスの数は増加したものの、やはり部屋の数は不足気味だと言えます。

逆に高級ホテルは供給過剰気味で、100ドルを切る金額でプロモーションを行っているのをよく目にします。予約サイトで手配をすればリーズナブルに利用できます。

ミニホテル、プチホテルのようなゲストハウスは1人1泊25~40ドル程度が相場です。

ベトナム人経営のドミトリー宿も急増していて、こちらは7~8ドル程度が相場です。こちらはウォークインで部屋の状態を確認してから直接交渉することをおすすめします。

部屋の階層(防犯面で上層階がおすすめですが、最上階は天井が太陽熱で熱せられ空調が効かないほど暑くなることがあるのであるので2~3階がベストです)、室内やバスルームの清潔さ、供え付けの家電品が使えるか否か、バスルームのお湯の出と排水の状態を確認しましょう。

万一壁に赤黒い汚れが付いている場合は「南京虫」の汚染が予想されるので、宿を変えたほうが無難です。

ビエンチャンの御食事処の状態は?

レストラン

※旅行者や在住欧米人に人気のベルギー・ビールとベルギー料理のお店Khopchai Deu(コップチャイ・ドゥ:ありがとうね)です。

メコン河沿いのナイトバザール周辺を中心に、ツーリストエリアには多くのカフェやレストランや食堂が集まっています。

イタリアン、フレンチ、インディアン、ベルギー、コリアン、チャイニーズ、和食とさまざまな種類の料理を楽しむことができます。ピザやパスタを1品頼むともう1品を無料でサービスしてくれるレストランもあり、人気があります。

地元ビエンチャン人に人気があるのが、国立サーカスの敷地内で営業するラオス風焼肉「シン・ダート」です。こちらはツーリストエリアから少し離れているのですが、トゥクトゥクのドライバーに言えば連れて行ってくれます。

各国料理をリーズナブルに堪能することができるビエンチャンは、実は隠れた「食い倒れの街」なのです。

ビエンチャン市内の観光スポットは?

パトゥー・サイ

※ビエンチャンのシンボルの1つパトゥー・サイの真下で見ることができる天井画です。

ワット・シェンクアン(ブッダパーク)

ガイドブックに紹介されているビエンチャンの観光スポットは、さすが仏教国らしく寺院が多いと感じるでしょう。ツーリストエリアの中にも8つの寺院があるので、お寺好きの方にはたまらないロケーションです。

「そんなにお寺に興味が無い」という方におすすめなのが、ビエンチャン郊外の国境の橋を過ぎた場所に佇む「ワット・シェンクアン(ブッダ・パーク)」です。

有名な高僧アンプー・プンルア・スラリット師が建立したこの寺院は、彼の独特の仏教観を小学生レベルの技量で表現した「脱力系観光スポット」として有名です。特に地獄、現世、涅槃、極楽を表現していると思われる4層の建物は必見です。

1975年のラオス建国と共に隣国タイに亡命した同師は対岸の町ノンカイにも同様の寺院を建立しノンカイで亡くなりました。即身仏となった同師の亡骸はノンカイ側で拝見することができます。

ラオス人民軍歴史博物館

ビエンチャンの博物館も全体的に脱力系の展示物が多いのですが、その中でキラリと輝くのが「ラオス人民軍歴史博物館」でしょう。この博物館にはラオスで使用されていた武器類が展示されています

弓矢から自動小銃、戦闘機、戦車などミリタリー好きにはたまらない品揃えでラオスの戦いの歴史を今に伝えています。

パトゥーサイ(凱旋門)

ビエンチャンの街のシンボルの1つが、パリの凱旋門を模した「パトゥーサイ」です。戦没者慰霊塔として1967年に建築が始まりましたが、内装などが未完成のまま工事が終了しています。

展望台からはビエンチャン市内が一望でき、発展したといってもまだまだ緑の多いラオスの首都を見渡すことができます

ブッダ・パーク以外のスポットは市内になるので散歩がてら回ることもできますが、日中のビエンチャンは日差しが強いので、水分補給をしっかりしながら観光するようにしましょう。

最近はレンタル自転車の利用も人気が高いようです。また日本が寄贈した市内循環バスを利用するのも手ではないでしょうか。

時刻表は存在しませんが、日本がODAの一環として開発に関わった、市バスが今どこを走行しているのかがリアルタイムで分かるウェブサイトhttps://lao.busnavi.asia/)があります。(ただし英語、ラオス語のみで日本語は対応していません)

市バス以外にも郊外のショッピングモールが客を誘致するために運航している電気自動車等がありますので、上手に利用すればリーズナブルに観光の足として使えるのではないでしょうか。

料金はバスによって異なりますがだいたい3,000~6,000キップ(0.375~0.75ドル)です。

ビエンチャン郊外の観光スポットは?

ナムグム・ダム

※2,000キップ紙幣の裏にも描かれるナムグム・ダムは、ラオスを代表する建造物の1つです。

ビエンチャンから日帰りできる郊外にも観光スポットは存在します。ラオスは公共交通機関を使うとまだ不便な国なので、チャーター車両や旅行会社の1日ツアー等を利用するのが時間を有効に使うための手段としておすすめです。

以下に郊外の観光スポットをいくつか紹介します。

タイ・ラオス友好橋

名前の通りタイとラオスを結ぶメコン川に初めてかけられた国境の橋です。橋の途中までは歩いて散歩することができ、時間が合えばタイとラオスを結ぶ列車が走っている所を間近で見る事も可能です。

ターゴーン

ビエンチャン市内から車で1時間弱南の方へ行ったところにある村で、メコン川の支流であるナムグム川に面しています。

いかだのフローティングレストランが有名で、フランス統治時代の古い鉄橋も味があります。また食用の昆虫市場なども人気のようです。

ナムグムダム

発電用ダムとして日本の援助で建設されました。ナムグム湖はビエンチャン人にも人気の行楽地になっており、その姿は2000キープ札にも印刷されています。

また、ナムグム湖の南端にはゴルフやカジノが楽しめるリゾートもあり、更に南には動物園や製塩工場もあります。

ラオスの首都ビエンチャンの楽しみ方とは

パラ・モーター

※ツーリストエリアのメコン河上空を飛ぶパラ・モーター。対岸にはタイのター・ボーの町が見えます。

「現在は目覚しい発展過程にある!」と言っても、ビエンチャンはスタート地点の位置があまりにも低すぎたために、タイの地方都市と比較しても見劣りします。

24時間営業のコンビニエンスストアも無く、22時を過ぎると営業している店舗もグッと少なくなるので、現在は「世界で最も夜の早い首都」だと言えるでしょう。

一説には「内戦当時の戒厳令が正式には解除されておらず、22時以降の外出が禁止されているから」だという話も耳にします。現在は24時以降でも人通りはありますが、やはり深夜の外出は控えるべきだと思います。

そんなビエンチャンにも実は深夜まで営業している「ディスコ・テック」は存在します。ツーリストエリアからは離れているのですが、空港付近に数件営業していて裕福なラオス人たちの社交場となっています。

しかし交通手段を持たない外国人旅行者が足を運ぶには、お世辞にも便利だとは言えない場所ですので、あまりおすすめはできません。

ビエンチャンの街を楽しむためには早朝に托鉢見学、日中はゆっくりと市内観光、夕方からレストランで食事を楽しむ等、詰め込みすぎずにのんびりとした旅行スタイルがおすすめです。

まとめ

ビエンチャンはラオスの首都機能はもちろん、タイからラオスへのゲートウェイとしての機能も持ち合わせた街です。

隣国タイのバンコクなどと比較すると驚くほど小規模な首都ですが、ラオス人独特のノンビリとしたゆる~い空気が漂っています。

ツーリストエリアもコンパクトにまとまっているので、2日も滞在すれば「どこに何があるか」を理解できるのではないでしょうか。

そんなラオスのゲートウェイ「ビエンチャン」でラオス旅行を満喫してください。

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2000年から東南アジアを中心に滞在型の旅行(タイに1年半、中国に2年など)を続け2008年にラオスに移住しました。
現在は飲食店の経営や旅行商品の開発を行いながら暮らしています。
趣味はバイクツーリングとビールを飲みながらギターを触ること。
ラオスに興味がある方はご連絡ください。

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