海外生活で「仕事をしたい」「アルバイトをしたい」と思ったとき、どんな仕事を選びますか?
海外でする仕事として「日本語教師」は一見すると手頃に見えるかもしれません。しかし、実は憧れや手頃さだけで日本語教師を目指すと「こんなはずじゃなかった……」という事態になってしまうことがあるんです。
日本語教師暦17年(日本で6年、イギリスで11年)の私の経験をご紹介しつつ、このテーマにご興味のあるみなさんと一緒に考えてみたいと思います。
- 日本語教師の就職状況・特徴を知る
- 正しい日本語を勉強し幅を広げる
- 日本語教師として働く自分をイメージする
- 海外での生活の様子を知る
- 転職サイトを利用する
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海外で日本語を勉強する人はどんな人?
国際交流基金が行った2016年の調査結果によれば、世界で日本語を学ぶ人はおよそ365万人。神奈川県の人口が370万人ほどなので、同じくらいだと考えると、そんなにもいるの?と驚く数字です。
でも、これは調査に協力した機関に所属する人数、つまり初等・中等・高等教育機関や語学学校などで学んでいる人たちなので、プライベートレッスンを取っていたり、自学自習したりしている人を合わせるともっと多いでしょう。
日本語を学ぶ理由
私が今までに出会った人で言うと、日本へ出張するから、日本へちょっと旅行に行くから、日本の大学で勉強したいから、日本のアニメや漫画が好きだから、日本のポップカルチャーに魅了されたから、日本の音楽が好きだから、という理由が大半です。
特に、アニメ人気はものすごいものがあります。
日本語教師歴17年の私が教える仕事のメリット
日本語教師をするメリットはどんなところにあるのでしょうか。
- 日本好きな人たちに出会える
- 日本文化・日本語の知識を生かせる
- 日本語を特異な技能にできる
- 時給がいい
海外での生活には孤独がつきもの。でも、日本というキーワードが土地の人とつながるいいきっかけになるものです。しかも「日本が大好き」な人はあなたにも興味を抱いてくれるため、この仕事を通して人と出会う機会もつくることができます。
また、海外において日本のことを知っている人は日本人以外、そうたくさんはいないので、今まで日本で生きてきた経験と知識をそのまま生かすことができます。
そして、とてもいいのが、他の業種と比べると断然時給が高い点です。私の住むイギリスが法律で定めている最低時給は2017年2月現在7ポンド(約1,000円)ほどですが、日本語教師の仕事は(もちろん地域や機関にもよりますが)最低20ポンド(約2,900円)ぐらいになるでしょう。
※1ポンド=約146円(2017年2月)
今まで見てきた日本語教師に向いている人・向いていない人
私が過去に出会った中にこんな人たちがいました。
一人目は「良い大学を出てとても頭が良くまじめそう、しかも美人」。
この人が先生デビューをしました。ところが、学生から苦情が……。実は、彼女はとてもあがり症のため緊張しっぱなしで授業が成り立たず、学生から不満が出てしまったのです。
二人目は「海外の生活が長くて日本語があやふや。しゃべるとカタカナ語ばかりだし、日本語でのメールも誤字が多い」。
どんな授業になるのか心配でしたが、学習者からは大人気。この人は人前では話すのがとてもうまいエンターテイナータイプだったのです。家族と英語でしか話さない彼女は綿密に授業プランを立てて、プロらしくきちんとした日本語で授業をしていたんですね。クラスは終始楽しく、笑いに包まれていました。
性格や人柄も大切
日本語の知識やそれを教える訓練も必要ですが、人前で話すこと、リーダーシップを取ることもとても重要です。日本語教師に向くのかどうか、自分の性格をちょっと考えてみてもいいかもしれないですね。
日本語教師は実はイソガシイ・タイヘン
「日本語教師ってすてきなお仕事」「日本好きな学習者に囲まれて楽しそう」という印象をよく持たれます。でもね、これが裏では結構大変なのです。
授業そのものよりも時間がかかる事前準備
日本語教師が一番苦労するのが準備。これが慣れないうちは実際に教える時間の2倍から3倍はかかります。たとえ時給がよくても、こういう準備の時間も含めると、実はそんなに割りのいい仕事ではないんです。
現地の言語が流暢で、その言語で日本語をすらすら説明できればいいですが、そうでなければなおさらそれを補完するために、絵や動画などのリソースがたくさん必要になるんです。そして、思うようなものがなかなか見つからないと、かなり時間がかかります!
日本語教材は日本に多い
日本語教師になりたての頃は、レッスンプランを考えたり教材を用意したりするのに何時間もかかり、夜更かしをしたことも何度もありました。
また、今はオンラインでいろいろ見つかりますが、日本語教材はなんといっても日本にたくさんあるので、日本に帰ったときには必ず新しい教材や教科書探しに専門店を訪れます。授業外の苦労が本当に多いのは教師の常かもしれませんね。
やっぱり日本語教師になりたいなら
「それでも日本語教師になりたい」というあなたはぜひがんばって!日本語教師になるにはいろいろな方法があります。
日本で経験を積む
一番良いのは日本で日本語教師養成講座を受講して資格を取り、経験を積むことです。ただ、日本語学習者の多いアジア諸国だと日本に求人を出すことも多いですが、欧米では皆無。これはビザの発給に関係しているからなんですよね。
私がいるイギリスでは就労が厳しくなり、残念ながら日本語教師としてビザを発給してくれることはほとんどありません。イギリス人と結婚しているなど、既に就労できるビザがあることが第一条件になってしまいます。
現地で勉強する
現地で日本語教師を目指す場合は、現地の大学で言語学を勉強するなどしましょう。運がよければ日本語教師養成講座を行っている機関も見つけることができます。また、日本から通信教育で勉強することもできるでしょう。
ただ、現地に住んでいたとしても就労するにはやはりビザが必要なので、その確認もしっかりとしておいてください。
ごく稀に、資格がなくても採用してくれる国や文化もあるようですが、運良くそういった機関で働くチャンスを得られても雇用形態などをきちんと確認しましょう。
海外で日本語教師の仕事を見つけるには
日本語教師として活躍している日本人は世界中にたくさんいます。みなさんどうやって仕事を見つけたのでしょうか。あるいは、どのような経緯で日本語教師をすることになったのでしょうか。
ここでは、海外で日本語教師として働く方の記事をいくつかご紹介します。各項目の下にあるリンクが本編です。気になるものがあればクリックして読んでみてください。
オーストラリア
友人が見つけてくれたブリスベンの日本語学校の求人に応募し、日本語教師として採用。
日本語教師の資格・経験はありませんでしたが、家庭教師の経験と英会話学校での勤務経験があり、さらに日本で約10年、様々な仕事をしてきたキャリアがあったことから、オーストラリアの企業にアピールすることができました。
レジュメとカバーレターの作成、面接対策もしっかり行って臨みました。
カナダ
大学時代のアルバイト先での出会いがきっかけで日本語教師を目指すようになり、日本語教師養成講座420時間コースを受講して資格を取得。
カナダに渡り、大学に通いながら、まずは要領をつかむためマンツーマン指導の日本語教師として働き始めます。大学や街の掲示板、インターネットサイトを利用して広告を出し、生徒を募集。慣れてきた約3年後にはグループレッスンも始めました。
台湾
人の温かさに惹かれて移住を決意、ワーキングホリデービザで台湾に渡ります。
インターネットサイトで日本語学校の教師の求人を見つけ応募したところ、その場で採用に。アルバイトのつもりが、ワーキングホリデー後も続けてほしいとの依頼があり、そのまま日本語教師として就職することになりました。
日本語を教える勉強をしたことはなかったため、最初は苦労しましたが、今はやりがいを感じています。
韓国
オンライン日本語教師として活動。在韓日本人向けのウェブサイトで求人を見つけ、応募しました。短大卒、日本語教師未経験という経歴でしたが、無事に採用されました。
ただし、日本語教師の資格や韓国語力はあった方がスムーズです。また、基本的に就労可能なビザを持っていることが前提になります。
好きな時間に働けて出勤の必要もありませんが、収入が不安定で家にこもりがちになるのがデメリットです。
メキシコ
就職で悩んでいた大学卒業時、メキシコで起業すると旅立った彼を頼ってメキシコへ。仕事の当てもなく、もちろん働いた経験もありませんでしたが、インターネットをフル活用して仕事を探し、現地メキシコでできた友人のつてで日本語学校への就職が決まります。
幸運が重なった結果、日本語教師として働くことになったわけですが、メキシコに来てよかったと思っています。
まとめ~日本語教師は日本語学習者の夢を支える仕事
私が日本語教師をしていて一番やりがいを感じるのは、「学習者の夢の実現のお手伝いをしている」と思えるときです。
就職先としてどこかに縁があったら、ラッキー!日本人だからとちやほやされてうぬぼれることなく、学習者の夢の実現に研鑽を怠らず、ぜひプロとして良い授業を提供してください。
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