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マレーシア・コタキナバルの先住民族、カダザン族の料理を楽しめるレストラン

カダザン族の料理

それぞれ独自の言語、文化、食生活を持った民族が多数存在するマレーシア・サバ州。今回は筆者の母系でもある先住民族の一つ、カダザン族の料理をピックアップしたいと思います。

カダザン族は古くから農耕・狩猟民族で、自然との共存を大切にしてきました。伝統的な家庭料理の多くは素材の味を生かしつつ、暑さで腐ってしまわないよう、酢や塩、唐辛子がふんだんに使われています。

調理も主に「蒸す」、「茹でる」、「焼く」といった方法で、さっぱりとしていながらパンチの効いた味が特徴です。そんなカダザン料理ですが、急速な経済成長や若者の伝統文化離れなどが原因で、都市部ではありつけないこともしばしば。

そんな中、サバ州のコタキナバル市で、伝統的なカダザン料理が味わえるレストラン「D’Place Kinabalu」が話題になっています。おすすめの料理とあわせてご紹介します。

目次

伝統的なカダザン料理が楽しめる「D’Place Kinabalu」

他では珍しい、カダザン料理専門のレストラン「D’Place Kinabalu」。

旧名称のD’Place Kepayan Perdana時は空港の近くにあり、街からのアクセスが少し不便でした。しかし中心市街地に移転後はスペースも広くなり、より快適になりました。豚肉もおいていないので、イスラム教徒の方でも安心です

以下のようなセットがそれぞれRM25.90(約662円)で堪能できます。マレーシアにしては少し高めですが、他では味わえない料理がたくさん。ランチ、ディナービュッフェもあります。観光客のみならず、現地の人にもよく利用されます。

以下、筆者が味と意外性でとりわけおすすめしたい料理です。

※為替レートは3月8日現在のもの(1RM = 25.55円)。

ヒナヴァ(Hinava)

ヒナヴァ(Hinava)

(ヒナヴァ:手前の列、一番右)

ヒナヴァは新鮮な生魚を生姜、大量のライム果汁、唐辛子、苦瓜、バンバガンの種と和えた料理です。いわばカダザン族流「お刺身」です。基本はikan tenggiri(サワラ)が使われますが、エビやサメ、tuhau(ショウガ科の植物)、バナナで作られることもあります。

味はラテンアメリカやカリブ海地域で食べられるセビチェによく似ています。なんといっても新鮮さが命の料理。爽やかなライムの風味と唐辛子の刺激が淡白な魚の味を引き立たせ、パクパク食べられます。

カダザン・ドゥスン族の収穫祭であるタダウ・カアマタン(Tadau Kaamatan)では定番の一品です。他にも結婚式などの特別行事では必ずと言っていいほど登場します。

ナンカ・マサック(Nangka Masak)

南国を代表するジャックフルーツ。果物の王様、ドリアンよりもサイズが大きく立派です。見た目は黄緑色で、トゲトゲしていないドリアンに少し似ています。

熟したものもとても甘くて美味しいのですが、未熟のものはカレーなどの具材として食べられます。

ナンカ・マサックは、単に「調理したジャックフルーツ」という意味なので、頼む時は「ナンカ・マサック・ラマック・チリ・アピ(nangka masak lemak cili api)」という風に、具体的に言いましょう

ちなみにラマック・チリ・アピとつくと、「ジャックフルーツのココナッツミルクと鳥の目唐辛子煮込み」になります。肉々しいので、しばしばベジタリアンやビーガンの方に肉の代用食品としても人気。あっさりとしていながら食べ応えのある料理です。

ナントゥン/アンブゥヤット(Nantung/Ambuyat)

ナントゥン/アンブゥヤット

カダザン族にとってのナントゥンは、日本人にとってのお米のようなもの。作り方は至って簡単。サゴでん粉に沸騰したお湯をぶっかけて混ぜただけの、料理と呼んでいいかもわからないほど単純な料理です。

そんなナントゥンですが、お湯を入れてからが勝負。手早く混ぜないと、でん粉なのですぐに固まってしまいます。どれほど早くかき混ぜられるかによって食感が変わってきます。

ナントゥン

写真に写っているのはベテランのおばちゃんによるもの。(あまりの手早さにぶれてしまいました。)筆者も挑戦してみましたが、なかなかうまく出来ず、すぐにギブアップ。もうこれ以上かき混ぜられないというぐらいに重く、もったりとしてきたら完成です。

食べる時の注意点ですが、噛まないようにしましょう。チャンダス(candas)という竹のお箸のようなものに巻いて、ソースにつけたらそのままつるんと飲み込みます。取る量を間違えると喉を詰まらせる恐れがあるのでご注意を

ソースにはいくつかバリエーションがありますが、大抵は味の濃い辛めのソースになります。

ソース

左:ナントゥン用のソース。右:サユール・パキス(sayur pakis)

あくまでお腹を満たすためなので、ソース無しではあまり味はしません。味というよりは食感を楽しむための料理。

母曰く、田舎の家庭では誰が一番大きい塊を飲み込めるかを競い合うことも。相当食べ慣れていないと危ないので、初めての人は少量から挑戦してみましょう

ブトッド(Butod)(※閲覧注意)

ブトッド

チーズたっぷりのピザの上に光る怪しい存在、ブトッド。ブトッドはこの木に生息するヤシオオオサゾウムシの幼虫で、貴重なタンパク源として好まれて食べています。

東南アジアあるあるの、見た目がエグい昆虫食です。揚げたり、焼いたり、または生で食べたりすることも。

筆者は芋虫が大の苦手なので未だに食べられませんが、いとこ曰く「淡白でクリーミー、皮はぶよぶよ。乾燥湯葉みたい」だそうです。

ちなみにD’Place Kinabaluではブトッドを乗せたピザが注文できます。価格はRM29.90(約764円)と割りと高め。勇気のある方はぜひ試してみては?

一緒に飲むならリーヒン(Lihing)

リーヒン

カダザン族のお酒といえばリーヒン(Lihing)。プルット(pulut)と呼ばれるもち米から作られた、伝統的なお酒です。(なぜかハイネケンの瓶に入って出てきましたが、ビールではありません。)カアマタン収穫祭でヒナヴァと共に出されます。

味は日本酒によく似ていますが、それよりも少し甘いように感じます。すっきりしていて飲みやすいので、飲みすぎ注意です。カダザン料理は酸っぱい味やしょっぱい味も多いので、お酒がとても進みますよ!

 店舗情報

  • 名称:D’Place Kinabalu(旧名称:D’Place Kepayan Perdana)
  • 営業時間:11:00-22:30
  • 電話番号:+60-16-833-2381
  • 定休日:年中無休
  • アクセス:Plaza Shellより徒歩1分(Mercedes-Benzショールーム真上)
  • 住所:Unit 2.01 & 2.02, Plaza Shell, Pusat Bandar Kota Kinabalu, 88300 Kota Kinabalu, Sabah, Malaysia
  • ウェブサイト:https://www.facebook.com/dplacekinabalu/

まとめ

今回ご紹介した以外にも、カダザン料理には野菜や果物、魚介類を使った料理がたくさんあります。また、D’Place Kinabaluは料理だけでなく、伝統的な踊りのスマザウ(sumazau)も観れる数少ない所です。

マレー料理、中華料理、インド料理にそろそろ飽きてきたなという方、新しいグルメを発掘してみたいという方、ぜひ一度カダザン料理を試してみてくださいね!

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この記事を書いた人

マレーシア生まれのサバっ子。大学生。旅と読書と美味しい物をこよなく愛す。愛するあまりウェストラインが犠牲になることもしばしば。
南国の魅力を中心に、これまでに住んできた国や旅先での経験を少しでも分かりやすくご紹介できたらと思います。

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