私は中国の人材会社で働いています。ここでは、仕事を求めてやって来る様々な日本人の方とお会いします。
大半の方はいわゆる日本的な態度・考え方をしっかりと持ち、人として、大人として、あるべき姿勢で就職活動に取り組んでいらっしゃいます。
しかし一部の方は、首をかしげてしまうような行動・態度を取っていたり、就職後にまさか!の事態を引き起こし、せっかく入った会社を辞めてしまったりするのです。
では、これまでにお会いした日本人のNG例をご紹介しましょう。
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面談をすっぽかす人
「●時に弊社でお待ちしております」とお約束をしたのに、その時間になっても一向に姿を現さず、携帯電話に連絡をしてもつながらない……。ということがあります。
何か急な用事が入ったのかもしれません。体調が悪くなったのかもしれません。
家(やホテル)を出発してみたはいいが道に迷ってしまい、たどり着くことができなかったのかもしれません。
我が社で面談を受ける前に他の会社で内定がもらえたのかもしれません。
人材会社との面談をキャンセルするなら、まだその場で収まることです。しかし、企業側との面談にキャンセルの連絡を入れないということは、自らそのチャンスを無駄にするだけでなく、自分という人材の足を自分自身で引っ張ることにもなりかねません。
電話することが億劫なのであれば、メールでも構わないと思います。何も連絡せずにすっぽかしてしてしまったことは、何かしら自分自身の中で小さなしこりとなり、いつか「あのとき、きちんと連絡をしておけば……」と後悔するのではないかと感じます。
服装のマナーを知らない人
以前、弊社にご登録頂いた女性の方が、ある企業様と面談を受けられました。面談後、企業側の担当者の方からご連絡が入り、このように言われました。
「服装などに関してのアドバイスなどはされていないのですか?」
その女性は、私服の上に色付きのトレンチコートを来て面談のある企業へ向かい、中へ入ってもそのトレンチコートは脱がず、そのまま面談を受けられたそうです。
日系企業なら面談や面接はスーツが一般的
中国であっても、日本人の方が面談や面接を受ける場合は日本と同様、スーツを着用する方が多いです。また、技術職でも面接日はスーツで臨むのが一般的です。
たまに技術職のご年配の方がポロシャツにスラックスなどカジュアルフォーマルで挑まれますが、割合としては少なく、またそういった場合には企業側も服装を重視していないことが多いです。
求められるものは日本的なビジネス習慣
トレンチコートを着たまま面談を受けた女性の件について、まず一番のミスは私の確認が甘かったということでした。
「面談にはスーツで臨むもの」という固定観念があったため、「スーツを着用、またはブラウス、シャツなどカチッとした格好で行って下さい。また、面談の会場に入る際にはコートを脱ぐのが一般的です」という基本的なアドバイスを怠ってしまったのです。
海外であったとしても、求められるものは「日本的な言葉遣い・対応・仕事の仕方」です。その中には服装ももちろん入っています。
自分がどういう格好をしたいかではなく、面談のその時間においては、相手にどのような印象を持ってもらいたいかを念頭において、服装選びには気をつけて頂きたいと思います。
退職の意思を告げずに姿を隠す人
就職活動を終え、念願叶って就職したけれど、思っていた業務となんとなく違う、求められていることに対応できない、もっと他にやりたいことが見つかった……などなど、入社してみてから分かることも多いと思います。
このままこの会社で続けていけるだろうか?もっと他に合う仕事があるのではないだろうか?など、悩むこともあるかもしれません。
そして悩んだ結果、最終的に出した結論が、せっかく決まった会社を辞める!というものであることもあります。残念ではありますが、仕方のないことです。
辞めると決めたら出社せず
退職という決断に至った場合、できるだけスムーズに事が運ぶよう動くことが望ましいのは言うまでもありません。しかし、辞めると決めた途端、会社に来なくなる人がいるのです。
連絡もなく急に出社しなくなるので、企業側は大変困ります。私が勤める人材会社にも連絡が来て、全ての連絡先をあたり行方を探すことになります。
実際にあった夜逃げ例
以前、あるスタッフが担当していた方の話です。
ある日会社に出社しないので、同僚の方が会社の寮に見に行ったものの反応がなく、合鍵を使ってドアを開けると物がなくなっていました。寮の監視カメラを見てみると、前日の夜中に荷物を搬送しているその行方知れずの方がばっちり映っていたそうです。
最終的に、連絡先として会社に伝えていた携帯も音信不通、日本側のご家族に尋ねても、全く連絡を取っていないからわかりませんと言われるのみ。結局、ご本人不在のまま、内定取り消しという事態を企業側と人材会社で共有したにすぎない結果となりました。
女性とのプライベートを優先する人
その方は50代半ば(日本に妻子あり)でした。
駐在員として中国に赴任し、数年経って会社から帰任の辞令が出たものの、まだまだ中国でやっていきたいと、その会社を退職して中国で別の会社に就職します。しかし、その会社が撤退することになったため再度就職活動です、と我が社に登録に来られた方でした。
ちょうど前職の経験に近い業務の企業からの募集があり、めでたく内定。早速新しい会社で働き始めました。
突然の退職、その驚きの理由とは
最初の数ヶ月は順調でした。しかしあるとき、我が社に企業側から連絡が入り、次の事実が告げられました。「●●さんには退職して頂くことになりました」と。
お話をよくよく伺うと、会社での大事な会議の際にその方の携帯に電話が入り、何かを話していた際に間違ってマイクボタンを押してしまったようで、相手の話し声が会議室中に響き渡ったとのこと。
なんとそれが中国でお付き合いをしている彼女で、今日の夜は何を食べるか?何時に帰ってくるのか?などの内容だったそうです。
日本の担当者を交えての会議だったこともあり素行が問題視され、双方話し合いの末、その方も気まずかったのでしょう、そのまま退職されたとのことです。
社会人としての常識の問題
今回の件でどこに問題があったか?と言えば、本来ならば、あとでかけ直す旨を伝える、大事な会議中なので電話に出ない、などの対応をするべきところ、相手が誰かわかった上で電話に出てしまい、そのまま話してしまっていることにあります。
個人的なお付き合いに関しては、会社から表立って何か言われることはないでしょう。
しかし、業務中、それも大事な会議のときに、ご家族の事故や病気ならいざしらず、些末なプライベートを優先してしまうことが社会で働く者としてどうなのか?ということなのです。
経歴を偽る人
ある登録者の方からお電話を頂きました。3ヶ月前に新しい就職先に入社されたばかりにもかかわらず、再度就職活動をしたいというのです。お話を伺うと、「思っていたよりスキルが足りないので試用期間で終了する」と言われたそうです。
企業側にもご連絡しお話を伺うと、新しい話が飛び出しました。
確かに、その方に伝えられた通り、企業側が求めていたレベルに到達しておらず、このままでは双方とも不幸になるので試用期間で終了という形を取ったということですが、それだけではありませんでした。
歓迎会の際にお酒が進み、現地の社長に向かって敬語ではなく、同僚に話すようなタメ口で話をしたあげく、暴言を吐いたのだそうです。このことが経営陣に問題視され、試用期間のみの雇用になったとのことでした。
面談での話は嘘だった
この方の問題点としては、できないのにできると嘘をついていたことに加えて、ご自身が酒乱であることを自覚せず、同じ過ちを繰り返していたことにあります。
この方は面談では、「こういった方面の経験は●年以上あるので問題なく業務をこなすことができる、今まで就業した会社で問題を起こしたことはない」とおっしゃっていました。
しかし蓋を開けてみれば、問題ないと言っていた仕事が全くできていない、お酒が入って問題を起こしたことが今までにもあったということで、とご自身の経歴を嘘で塗り固めていたのでした。
謙虚な姿勢が大切
嘘の履歴で入社しても、すぐに化けの皮は剥がれます。
それよりも、本当の自分を見せた上で、こういう経験をこのように活かしたい、この部分はまだ未熟だが応えていけるように努めていきたい、という姿勢で臨むことが大切なのではないかと思います。
まとめ~人としての基本に返ろう
ここでご紹介したのは日本でもありそうな例ですが、海外の日本人コミュニティは思った以上に狭いものです。そのときはよくても、以前にしてしまったことが人から人へ伝わって、自分の首を自分で絞めかねないのです。
先にも述べましたが、求められているのは「日本的な言葉遣い・対応・仕事の仕方」です。そして、嘘はいつかほころびが出てきます。
人としての基本に返って、自分自身に偽りがないかを再度自問し、履歴書の作成、面談、就業にあたって頂けたらと思います。
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