他の東南アジア諸国に比べても、時間がゆっくりと流れている感が強いラオス。そんなラオスで送るスローライフにも、非常に現実的な「税金問題」は発生します。
私は、飲食店の経営や旅行商品の開発を行いながらラオスで暮らしています。ここでは、ラオスで収入を得て、ラオスで生きていくためにはやはり避けて通れない税金について紹介します。
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収入にかかるラオスの税金
ラオスの税体系は複雑で、暮らし始めた頃は全く理解できませんでした。
法人登記前の約3年と法人登記を済ませてからの約3年近くの計約6年間、住んでいる町の税務署に納税を続けていたのですが、ある日、県庁所在地の税務署から出頭の督促状が届いたので驚いて行ってみると、
「法人登記から約3年経つのに一度も会計報告書が提出されていないのはなぜか?」
とのことでした。
町の税務署によれば必要なし
首都ビエンチャンで事業を営む知人たちは毎年、決算報告書作成に苦労しているというのに、私の住む町の税務署は全くその話を持ち出してこないので、
「ウチは法人になっているんだけど、法人税や決算報告書とか必要ないの?」
「所得税が発生するはずだけどどうすれば良いの?」
などの質問を何回かしたのですが、
「法人税に関しては毎月納めてもらっているから大丈夫。所得税もその中に含まれているから問題ない」
「決算報告書は社員数200~300人の事業所では必要だけれど、それ以下の小規模事業所では必要ない」
と毎回同じ回答を得ていたので、私もすっかり安心していたのですが、ダメだったようです。
報告書提出とともに所得税を支払う
県庁所在地の税務署の担当者にこの事情を説明すると、「地方の職員はよく分かってないから」とサラッと流され、「とにかく3年分の決算報告書を提出すること」と申し渡されます。
「報告書の雛形がないから参考になる資料はないのか?」と尋ねたところ、他社の決算報告書のコピーを取ってくれ、「この通りに作ればいいから」と手渡されてその日は終わりました。
収支のデータは一応、作成して保存してあったので、3週間ほどで決算報告書を仕上げて県庁所在地の税務署に提出したところ、「所得税が未納になっているから今、支払うように」との命令があり、支払い完了後、終了。
なお、税務処理に関しては首都ビエンチャンが最も厳しいようで、ビエンチャン以外では厳格に行われていない印象です。
所得税の計算方法
ラオスの所得税は雇用者側に支払い義務があるようです。
ラオス人の場合は月給から2,000,000kip(約28,000円)の基礎控除を差し引き、残った金額の5%が所得税として徴収されます。
外国人労働者だと、月給の10%を所得税として算出する場合と、ラオス人と同じように2,000,000kipの基礎控除を差し引き、残った金額の10%を所得税として算出する方法があるらしく、私は後者を選びました。
これは選択を迫られるわけではなく、勝手にこの算出法で計算してみただけなのですが、問題なく通ったので、それ以降もこの算出方で納税しています。
本来なら支給前に源泉徴収しておくべきところでしょうが、ラオス人の感覚では「会社が負担するべきもの」となっているようです。
支出にかかるラオスの税金
幸いにもラオスには消費税に相当するものがありません。例外的に、VATと呼ばれる付加価値税を徴収する店舗もありますが、ホテルのラウンジでの飲食以外で支払った経験がありません。
電気代や水道代などの公共料金は10%が課税された金額で請求がきますが、特別気になるような金額でもないので「あっ、支払ってるの?」くらいの感覚です。
一定の規模以上の宿泊施設(ホテルなど)では発生するもののような気がしますが、こちらも内税となって価格表示されています。したがって、知らないうちに払っているかもしれないものの、特別意識したことはありません。
日常的に行く一般の商店やマーケットでの買い物には消費税を支払ったことがないので、ここではラオスには消費税に相当するものはないものと結論付けておきます。
乗り物にかかるラオスの税金
ラオスには消費税に相当するものはないと結論付けたので、公共交通機関を利用するのにも税金はかかりません。
ここで紹介するのは、個人で所有する車両にかかる税金のことです。
自動車税的なもの
車両を購入し、ナンバープレートを発行してもらうために車検証の申請を行うと、タビアン・ロッ(車両登録証)とテクニック(車検証)が発給されます。
正式には車検料などに細かく分類されると思うのですが、この時に支払うものを自動車税としてまとめてしまいます。
車両登録証は毎年更新の必要があり、バイクの場合、延長に20,000kip(約280円)。車検証は、新車登録時は2年、その後は毎年更新となり、バイクの場合、延長に30,000kip(約420円)が必要となります。
重量税的なもの
カー・タァン(道路代)と呼ばれる税金があるのですが、日本風に言えば重量税に相当するものだと考えられます。こちらは毎年1回、最寄りの税務署で納付します。
ちなみに私は、2017年度の重量税を7月6日現在、まだ納付していません。
支払いが済むと、納付書とその年の年号が印刷されたステッカーが発給されるのですが、未だ税務署にその納付済みステッカーが届けられていないために、納付ができない状態です。
重量税の金額はバイクの場合、年間8,000kip(112円)になります。これだけステッカーの配布が遅れているということは、今年度辺りから増税されるのかもしれませんが、昨年度まではこの金額だったのでこれを明記しておきます。
国外からの持込物品にかかるラオスの税金
ASEAN加盟国として急速な経済発展が始まったラオスですが、残念なことに食料や衣料品、精密機器などを国内で生産するまでには至らず、国外からの輸入に頼っている現状です。
ラオス北部では中国製品、南部ではベトナム製品が目に付きますが、首都ビエンチャンがある中部ではタイからの輸入品が多く出回っています。
タイでの買い物に新たな課税
ビエンチャンの郊外にある友好橋を越えると、タイのノーンカイという町に着きます。
タイの中では小さな田舎町なのですが、大型ショッピングセンターが2軒、日本の業務用スーパーのような卸売り形式の大型スーパーが1軒あり、ビエンチャン人が国境を越えて買い物に訪れるため、いつも満車の状態の駐車場にはこれまでラオスナンバーの車が目立っていました。
しかし、昨年から国境での荷物検査が強化され、タイ国内で購入した物品の合計額が1,500バーツ(約4,500円)を超過した場合は10%が課税されることになり、大型ショッピングセンターの駐車場ではラオスナンバーの車が激減しました。
国境を越えるリスク
自家用車以外での入国時にも、パスポートコントロールの出口に新設されたX線検査でランダムに検査が行われ、1,500バーツを超える物品が発見された場合は課税されるようです。
ASEAN加盟国内では非課税措置とし、1つの経済圏として物流と経済の活性化を図るためにことが決議されているのですが、ラオスはその決議に逆行する形の措置を取っているのが現状です。
ビエンチャン近郊エリアで新しいパソコンやスマホなどが必要になると、どうしても価格が安いノーンカイで購入することを考えてしまうのですが、持ち込み時の10%の税金のリスクを考えるとタイで購入するメリットは薄くなったと言えるでしょう。
ラオスに住むためにかかる税金
日本の住民税(市県民税)に相当するラオスの税金は、非常に複雑でよく分かりません。行政区分が違うエリアから引っ越してきた人間に対し、地方政府は届出を求めているようですが、これが上手く機能していないようです。
私も現在の住まいに越した直後に一般警察、ツーリストポリス、地方政府、税務署の混成チームでの取り調べを受けたのですが、対応に出ると「何だ、ここに越してきたのか?」だけで終わりました。
他のラオス人の住民は世帯によって金額が違ったようですが、金銭の徴収があり領収書も発行されていたので、正式な調査(捜査?)ではあったようです。
求められた場合だけ支払っておく
以前、パスポートチェックの際に「TAX」と言われ、50,000kip(約700円)のTAX(住民税?)を妻と2人分の100,000kip(約1,400円)支払ったことがあるのですが、こちらも領収書が発行されたので、何かしらの正式な料金(おそらく住民税)でしょう。
しかし、支払いはその一度きりで、その後のスポートチェックの際には何も言われないので支払っていません。
ラオスで上手に暮らすコツとして、役人から言われたら大人しく支払い、そうでない場合は知らん顔しておくのがポイントと言えるでしょう。
まとめ~真面目に納税するのは日本人だけ?
ラオスは経済成長著しいものの、社会システムは未だ脆弱で、納税に関しても周知徹底されていない印象を受けます。
この状態が、ラオス人やラオスに暮らす外国人にとって良いのか悪いのかは私には判断できません。ただ、経験則で分かることは「言われるまで払わない」の文化であることです。
毎月25日に決まって事業所税を税務署に支払いに行っていたのはウチだけだったようで、周りの自営業者は「もう3ヶ月払ってない」や「10ヶ月前から溜めている」ような状態でした。
うっかり「日本人は生真面目なんだなぁ」と自分に感心してしまいました。
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