日本人が観光、一般的な商務、公用目的で香港を訪問する場合、90日間はビザなしで滞在することができます。私が頻繁に行き来していた20年以上前の上限は1か月だったので、それに比べると長くなりました。
しかし、香港で働くなら就労可能なビザの取得が必須です。さて、働くためにはどんな種類のビザがあるのでしょうか。
香港の永住権を持つ私から、この国際都市で働くための代表的なビザと申請に必要な書類をご紹介します。
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香港で働けるビザ1. もっとも一般的な「就労ビザ」
香港で仕事を探して就職する場合、まずはこの就労ビザを取得することになります。
香港での雇用企業が費用も含めたビザ取得のサポートをしてくれることが多いでしょう。私の勤めていた会社でも、採用者の就労ビザの手配をすべて行っていました。
時々、会社から必要書類だけ渡されて、個人で申請する場合もあるようです。それが大きなネックになるようであれば、ビザの手配に関して最初に会社へ確認しておいた方がいいでしょう。
就労ビザ申請に必要な書類
用意しなければならない書類は以下の通りです。なお、必要書類は随時変更になるので最新情報をご確認ください。
就労者が用意する書類
- ビザ申請書(ID 990A)
- パスポートのコピー
- 最終学歴証明(英文)
- 顔写真(縦5×横4cm、2枚) など
雇い主が用意する書類
- ビザ申請書(ID 990B)
- 申請者との雇用契約書や採用通知書
- 事業内容を示す書類
- 財政状態を示す資料(決算書や納税申告書)
- オフィス賃貸契約書 など
厳しくなる取得審査基準
実は4、5年ほど前までは、香港の就労ビザ取得の条件は比較的クリアしやすいと言われていました。
さらにもっと以前、私が香港に来た1997年より前には、言葉ができなくても簡単にビザが下りたような時代もあり、その恩恵を受けた方も多くいたようです。
しかし最近では、就労ビザの審査基準が厳格化されてきて、以前ほど簡単なことではなくなってきています。
管理職なら大卒+経験5年以上が必要
例えば、管理職や専門職の場合、以前なら大学卒業で3年の業務経験、また高校・専門学校卒業で5年ほどの業務経験があれば取得できましたが(業種、ポジションにもよる)、現在では
- 大学卒業で5年以上の業務経験
- 高校・専門学校卒業で10年以上の業務経験
があることが基準になってきています。
また、管理職、専門職のポスト以外も難しくなってきていると言われています。
価値の高い人材であるかが問われる
香港人は2~3か国語の言語を自由に使いこなし、仕事においても優秀です。
就労ビザを申請する際には、それでもあえて企業が日本人を雇用する理由、香港人では代替できないポストであるということをイミグレーションに説明する必要があるのです。
香港で働くためには語学、経験、より専門的な知識、日本人にしか持ちえないような経験、実力を持っていることに越したことはありません。
香港で働けるビザ2. 若者だけの特権「ワーキングホリデービザ」
世界中の多くの国で若者が就労を含む様々な体験をできるワーキングホリデー制度。香港へは、2010年からワーキングホリデービザでの渡航が可能になりました。
取得のハードルが低く、働きながら多くのものを見たい、経験したい、楽しみたいという方にはぴったりのビザであるといえるでしょう。
将来の夢につなげる
同一雇用主のもとで働くことができるのは3か月以内(2018年より6か月以内)、語学学校などへの就学は累計6か月以内、ビザ延長なしなど制約はありますが、将来的に香港など海外で働いてみたい、英語も広東語も勉強したいという人には最適です。
今までに私が香港でお会いしたワーキングホリデー滞在者は、目的意識を持って滞在をビジネスにつなげようとしている方、英語や広東語を学んでいる方など、ワーキングホリデーを将来の夢に向けての第一歩としている方が多いように感じます。
ワーホリビザ申請に必要な書類
対象は18歳から30歳未満(ビザ申請時)で、ビザの有効期間は12か月です。2017年現在、年間1,500人に発行されますが、先着順なので早く申請した方が確実です。
- ビザ申請書
- パスポートのコピー
- 銀行の残高証明書(英文)
- 往復の航空券のコピー、または、それを購入できるだけの十分な金額を保有している証明
- 証明写真 など
香港で働けるビザ3. 事業を行うための「投資ビザ」
投資ビザは、香港法人の事業主、雇用主として活動するために取得するビザです。
投資ビザの取得条件
一般的には、就労ビザや家族ビザ(後述)などに比べて審査のハードルが高いといわれ、ビザが承認されるまでの時間も長くなる傾向にあるようです。
条件として提示されている技能・資格、専門能力、学歴、実績や経験を満たしており、さらにオフィスが香港にあること(自宅兼オフィスは不可)は必須ですが、香港経済に貢献できるか否かも大きな判定基準になります。
そのため、事業に対して相当額の資本を投入しているか、 拡大が見込める事業計画や雇用計画であるかなど、ビジネスの将来性なども考慮の対象となります。
投資ビザ申請に必要な書類
事業主が用意する書類
- ビザ申請書(ID 999A)
- パスポートのコピー
- 最終学歴証明(英文)
- 顔写真(縦5×横4cm、2枚)
- 銀行残高コピー など
法人として用意する書類
- ビザ申請書(ID 999B)
- 申請者(自分)との雇用契約書
- 事業内容を示す書類
- 3年間の事業計画(売上・利益見通しなど)
- オフィス賃貸契約書
- 銀行預金残高コピー
- 監査報告書 など
運営状況に左右されるビザ延長期間
ビザ取得から2年経過した後には、香港イミグレーションによる再審査が行われます。会社の運営状況に問題がないと判断されれば、その後は3年間のビザが発行されます。
しかし、ビザ申請時に提出した事業・雇用計画が大幅に達成されていない場合は、延長期間が短縮されることもあります。
香港で働けるビザ4. 配偶者がスポンサーの「扶養家族ビザ」
日本から出向で香港に来ている方の家族や、香港人と結婚した日本人が取得可能な扶養家族ビザ(家族ビザ)。就労ビザや投資ビザなどの保持者、または香港人の配偶者がスポンサーとなります。
以前は、駐在員の配偶者が香港で働くことには制約がありましたが、2017年現在は就労に関しての制限はありません。
ただし、会社との出向契約に配偶者の就労に関しての規則が設けられていることもあるようなので、確認した方が良いでしょう。
家族ビザ申請に必要な書類
申請書のタイプにより必要書類は若干違います。
申請者が用意する書類
- ビザ申請書(ID 990A、992A、995A、997A または 999A)
- パスポートのコピーまたは香港IDカード
- 顔写真(縦5×横4cm、2枚)
- 家族関係の証明書(日本領事館に作成依頼)
スポンサーが用意する書類
- 香港IDカード(既にビザがある場合)
- パスポートのコピー(香港人以外の場合)
最初の有効期間は1年間
初回は1年間有効のものが発行され、その後はスポンサーの状況に合わせて延長されます。香港人と結婚した場合、初年度1年間の後は3年のビザが発行されます。
実は私もこの家族ビザを、香港に来てから7年間保持していました。現在は、次に述べる香港永久居民身分証明書(永住権)を持っています。
しかし、家族ビザをめぐる状況は今後、香港の雇用政策や経済状況によって変わるかもしれません。
香港で働けるビザ5. 制約なし、無敵の「パーマネントビザ(永住権)」
香港で滞在に有効なビザを保持しながら連続7年以上居住している外国人が申請することができます。
受諾されると、香港への永住権である香港永久居民身分証明書(パーマネントビザ)が与えられます。
自由に就業できる
パーマネントビザを取得すると、就業や転職、起業などに関する制約がなくなり、スポンサーがいなくても就業できるようになります。
就労ビザの申請が面倒だという方や、香港で転職したい方、また会社を設立したいと思っている方などにとっては、本当に喉から手が出るほどほしいものでしょう。
私の知り合いにも、滞在7年以上が過ぎて永住権を取った人がたくさんいます。そのうちの多くの方が、充分な経験、実力、資金と共に独立し、会社を作っています。
その活躍されている姿を見ると本当にうれしく思いますし、人生はどう転ぶか分からないと思わされることがあります。
連続3年間留守にすると失効
注意すべきことは、現時点ではパーマネントビザ保持者であっても、連続して3年香港を離れると失効となることです。
仮に香港を離れることがあったとしても、永住権を保持したいのであれば、有効なタイミングで香港に戻ってくる必要があります。
まとめ~ビザの獲得は夢への第一歩
私は家族ビザを持っていましたが、自分で一からビザを取得することは、ハードルが高いように感じるかもしれませんね。
でも、最初は難しいと見られていても、申請方法によってはビザが下りるケースもあります。どうしても不安に感じるのであれば、費用はかかりますが、ビザ申請の代行会社に相談するのもいいと思います。
ビザの取得は夢への第一歩です。ご自身の目標をしっかり見据え、確実に歩みを進めていってください。
※ビザをめぐる状況は頻繁に変わるので、申請前には必ず最新情報をご確認ください。
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