香港で働くには就労可能なビザが必要です。外国人が香港で働くための主なビザは、就労ビザ、投資ビザ、研修ビザ、配偶者ビザなどです。
私は香港で現地採用され、もっとも一般的な就労ビザを取得しました。おそらく、香港で働くことを考えている人の多くが、この就労ビザを取ることになると思います。
そこで、私の取得体験を交えながら、香港の就労ビザについてご紹介していきます。
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香港で就労可能なビザを持たずに働くのは違法
香港で働くためのビザはいくつかありますが、企業に雇用されるなら「就労ビザ」の取得が必須。
現地採用などの形で企業に所属して働くのであれば、基本的に就労ビザの取得が必要となります。雇用主である会社がスポンサーになります。
観光ビザでは働けないので気をつけましょう。
見つかるとブラックリストに載ってしまい、その後、香港に入れなくなります。実際、そういったニュースは年に数件あるので、みんなやっているからと甘い話に乗るのはやめましょう。
就労ではなく、商用(単なる香港出張)の場合はビザは不要です。
香港で就労可能なビザの種類
冒頭で挙げた就労可能なビザについて、簡単に内容をご紹介します。香港で働くなら、以下のいずれかのビザが必須です。
- 就労ビザ(労働査証/Employment Visa):
香港で企業に雇用され従業員として働く場合に必要。雇用主が保証人(Sponsor)となり申請。
- 投資ビザ(投資査証/Investment Visa):
香港法人の株主として香港に滞在し事業を行うためのビザ。
- 研修ビザ(研修査証/Training Visa):
香港法人での12か月以内の研修を目的とする場合に取得。
- 配偶者ビザ(配偶者査証明/Dependent Visa):
香港での就労が可能なビザを保有している人の家族(配偶者など)や、香港人と結婚した人が香港で就労するために取得。
ビザについての詳細は香港のイミグレーションのホームページに載っています。
- 香港特別行政区政府 http://www.immd.gov.hk/
この他、観光や就学も可能なワーキングホリデービザ、そして後述するパーマネントビザがあります。
日本人が香港で企業に現地採用されて働く場合、通常は私と同様に上記1番目の就労ビザを取得することになります。
香港の就労ビザ取得には「人材としての価値」が必要
香港で就労ビザを取得するのは決して簡単ではありません。
日本の入国管理局(イミグレーション)にあたる香港特別行政区政府入境事務所によって、就労ビザの発行には厳格な審査基準が設けられています。
あなたという日本人が本当に必要か
外国人が働くことで、香港人の就業先確保が困難になるという事態は避けなければいけません。そのためビザを取得するには、香港人にはない特別な知識、技術、経験などを持ち、香港経済に貢献できることが条件となります。
つまり日本人が就労ビザを取得する時、スポンサーである雇用主(会社)は、なぜそのポジションに日本人が必要なのか、そしてなぜ申請者(採用者)が適任なのかを明確に証明する必要があるのです。
待遇はその職にふさわしいか
また、給料や待遇が専門職にふさわしいものであるかどうか、という点も問題になります。
例えば「IT技術者」という肩書きで申請していても、その給料や待遇がコンビニの店員と同じ程度だと、「本当に専門職なの?」ということになってしまいます。
香港の就労ビザの申請方法
書類はきっちりそろえて提出
まずは、申請者(自分)と雇用主(会社)でそれぞれ以下の書類を準備します。
- 申請者:
申請書、パスポートのコピー、香港身分証のコピー(持っている場合)、英文履歴書、職務経歴書、卒業証明書、語学力テストの証明書 など
- 雇用主:
申請書、申請者との雇用契約書、商業登記証明書のコピー、決算書や納税申告書など財政状態を示す資料、会社の業務内容に関する詳細な資料 など
資料がそろったら香港特別行政区政府入境事務所へ提出します。
審査期間は通常1~2か月ほどですが、書類に不備があると追加提出の催促があるので、事前にしっかりそろえることが大切です。
また、ビザが許可される前に就労することは違法なので絶対にやめましょう。
手続きは会社が行う場合が多数
申請の手続きは雇用主の担当者が直接行うことが多いですが、申請者(採用者)の経験値に不安要素があったり、会社が設立されたばかりで実績が乏しいなど取得が困難と予想される場合は、代行業者に依頼することもあるようです。
代行業者に依頼する場合、その費用を雇用主が全額負担するのか、自分も出さなければいけないのか確認すべきでしょう。
私の場合は会社の人事部担当者が申請してくれました。
担当者はそれまでに何度も駐在員の就労ビザを申請していて慣れていたのか、追加書類の催促もなく、1か月半ほどで取得することができました。
香港の就労ビザ取得後はIDカードを申請
ビザが取れたら、香港の身分証明であるIDカード(Hong Kong Identity Card)を取得します。これは香港人、外国人問わず香港居住者に携帯が義務づけられているものです。
IDカードには個々にIDナンバーが付与されています。銀行の口座開設、携帯電話の契約といった際の本人確認にはこのIDカードを見せれば大丈夫です。
香港で制約なしに働けるパーマネントビザ
外国人が7年以上継続して香港に滞在した場合、半永久的居住権(Right of Abode)を取得することができます。
この権利を取得すればビザが不要となり、パーマネントIDカード(香港永久性居民身分証/Hong Kong Permanent Identity Card)が付与されます。
パーマネントビザ取得後は就業・転職の際に選ぶ企業に制約がなくなり、また選挙権も与えられます。
しかし、36か月以上香港を離れると資格を喪失してしまうので注意が必要です。
香港の就労ビザ申請は代行会社に任せるのが安心
就労ビザの申請は、代行会社を使う場合と自分で行う場合がありますが、代行会社を使うのが一般的です。
ノウハウを持っている
前項で述べたような条件を考えると、社会人3〜5年目ぐらいの営業を雇おうと思っても、簡単に就労ビザは取れません。
そこで、申請する際には、例えば肩書きを「部長」や「副社長」などとして「若いけれど能力があるので必要!」といった感じで記載するのです。
この辺りの事情について、ビザ申請の代行会社であれば、どういう肩書きで、どれくらいの給料だったら妥当かということをよく知っている(ノウハウがある)わけです。
単純に、イミグレーションに提出する書類の書き方でビザが下りるかどうかが決まることもあるようなので、そういった点でも代行会社に任せた方が確実です。
コストに見合う価値
代行会社に払う費用は15,000香港ドル(約225,000円)前後で、1~2ヶ月で就労ビザの取得ができるようです。これは一般事務員の1ヶ月分の給与に等しい額ですが、ビザの取得費用は雇用主である会社が負担するのが一般的です。
面接時や採用時に、申請手続きや取得費用について確認しておきましょう。
コスト的には自分でやった方がはるかに節約になります。しかし、ビザ申請代行には高いお金を払うだけの利点があり、代行会社を通した方がビザが下りやすいのも事実です。
香港の就労ビザ取得は1度失敗すると2回目も難しい?
自分で就労ビザを申請して却下されてしまった場合、2回目のチャレンジをしても却下される可能性が高いといわれています。
例えば、明らかに専門職で、雇用理由も文句のつけようがないほどはっきりしていて、絶対に却下されない自信がある場合は自分で申請してもよいと思いますが、そんな人はほぼ皆無でしょう。
2回目も却下されてしまうリスクを考えると、代行会社に頼む方が無難です。
いったん就労ビザを取得できれば、2年後の延長のときはそれほど審査も厳しくないので、個人申請も可能です。要は1回目が肝心ということです。
まとめ~万全の事前準備が欠かせない
香港の就労ビザは年々発行審査が厳しくなっています。雇用主と必要な書類をきちんと確認したり、不安要素がある場合は代行業者に相談したりするなど、しっかりとした事前準備が必要です。
また、就労ビザ申請にあたっては、新しいポジションでの申請、または後任者としての申請のどちらかになると思いますが、私の周りを見てみると後者の方が取得しやすいようです。
香港就職を考えているならビザについてもしっかりと情報収集し、不明点は面接時に確認しておくようにしましょう。
※この記事の内容は筆者の経験にもとづいています。
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