香港で現地採用社員として働くメリット・デメリットとは?

香港のビル 香港での働き方

香港は日本から飛行機で4時間弱と近く、買い物、グルメなどちょっとした海外旅行にはもってこいの場所です。また、現地の人も日本好きな人が多く、反日感情が強い土地柄ではないので、日本人にとってはなじみやすい場所だと思います。

ですが、実際に住んで働くとなると、悩みや心配事がいろいろと出てくるでしょう。香港で実際に日系企業の現地採用社員として働いた経験のある私から、香港で就職・転職することのメリットとデメリットをご紹介します。

※1香港ドル〈以下ドル〉= 約14.13円

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香港で現地採用就職するメリット6つ

国際色豊かな環境

ビジネス

香港人に本人や家族の背景、国籍などを聞くと、その多様さにびっくりすることがしばしばあります。

中国本土からの移民や、香港でキャリアを積むためにやってきた外国人に加え、子供の頃に移民として他国にいたけれど今は香港で働いているという人、両親が難民として香港へ逃げてきて、もし途中で死んでいたら自分はいなかったという人など本当に様々です。

多様な言葉が飛び交う

また、イギリスの植民地だったという歴史的背景もあって欧米への留学者も多く、現地学校でも英語を授業の言語として取り入れているため、英語がネイティブという方も多くいます。

そして、近年は中国から多くの移民を受け入れている香港。

そんな土地柄もあってか、日常の業務、ビジネスの商談では公用語の英語と広東語に加え、他の地域で話されている中国語が飛び交っていることも多く、対欧米、対中国それぞれのビジネス感覚を身につけている人が多いと感じます。

働くことで磨かれる国際感覚

したがって香港は、ここで働く経験を通して国際的なビジネス感覚を学び、身につけることができる環境と言えるでしょう。

近年は第三国と言われるASEAN(アセアン)の国々との結びつきも強まり、さらに国際化が進んでいる香港。刺激的であり、常に学びがあり、国際的なセンスが磨かれる環境であると言えます。

仕事の選択肢が幅広い

香港はアジアを代表する金融都市、貿易中継地です。一口に求人と言っても、金融、物流、製造、建設など業界はさまざまです。

上述の通り、香港の公用語は英語と広東語ですが、

  • 銀行、証券、保険などの金融業界は英語
  • 香港内の物流業界は英語と広東語
  • 中国の主に華南地域に生産拠点を置く製造業界は広東語とは異なる中国語

といったように、業界ごとに必要とされる言語が異なるので、就職活動時は自分がどの業界で何をアピールできるのかがポイントになります。

女性が働きやすい環境

香港に暮らし始め、女性が非常に大事にされていると感じました。また、仕事上も女性ということで差別されることは少なく、女性の管理職が非常に多いです。性別よりも個性、個人が尊重されています

そんな環境にある香港の日系企業も日本らしさは残しつつ、香港の男女平等という価値観を取り入れている企業が近年ずいぶん増えたのではないでしょうか。

私が働いていた会社も役員は男性でしたが、管理職には日本人女性、香港人女性もいました。

家事は女性だけがするのではない

また、夫婦共働きが普通の香港において、家事は女性だけがするものではないという考えが社会の中にあります。

夫婦であっても互いにできることをするほか、家事を容易にアウトソーシングしやすい仕組みになっているため、住み込みのお手伝いさんを雇ったり、パートタイムの家事代行を依頼したりしている家庭も非常に多く、女性でも仕事をしやすいのが特徴でしょう。

女性が仕事も家事も何もかもやらなければならないというプレッシャーはありません。

私は、会社勤めをしている時は出張が非常に多かったので、家族に手伝ってもらいながらパートタイムのお手伝いさんに午後に来てもらい、夕食の準備、洗濯、アイロン、簡単な掃除をお願いしていました。

日本人も暮らしやすい

香港のスーパー

香港には2万人以上の日本人が住んでおり、日本人にとって非常に暮らしやすい環境が整っています。 

公共の交通機関が非常に発達していて、どこに行くにも便利で移動のストレスをあまり感じません。通勤ラッシュはありますが、日本のようにぎゅうぎゅう詰めになることはありません。

また、香港は非常に治安が良い都市の一つで、女性が夜にひとりで歩いても比較的安心です(しかし、気を付けるに越したことはありません)。

日本製品も簡単に手に入る

さらに、日本の食材が比較的容易に購入できます。最近はローカルのスーパーにも日本食材が置かれるようになり、ローカル系スーパであるウェルカム(Wellcome)やパークンショップ(Parkn Shop)でも日本製品が手に入ります。

もちろん、日系のスーパーにはより豊富な食材があります。少し値段が高くなりますが、ジャスコ(Jusco)やシティースーパー(City’s Super)などは日本と変わらない品揃えです。

また、日本食レストランも数多くあり、本格的なものから香港人テイストにアレンジされたものまで幅広く楽しめます。

洋服も、香港そごうで日本のメーカーのものが手に入り、ユニクロやGUも香港に進出しています。

私は、香港は世界一便利な都市だと思っています。

充実した生活

香港

香港は遊びの要素も充分に満たしてくれる場所であると言えるでしょう。

気軽に楽しめる美食と自然

世界でも有数の美食の街、香港。高級食材を使ったハイセンスな高級料理から、地元の人に愛されるB級グルメ、多国籍の料理までバラエティー豊かに楽しむことができます。

値段は高級なものはそれなりにしますが、お財布に優しいものもたくさんあります。

そして、私が香港を気に入っている一番のポイントとも言える点。コンクリートジャングルという名にふさわしく、中心地は超高層ビル群が立ち並んでいるものの、少し足を延ばせば海に、山に、島々にと豊かな自然で溢れています。これも香港の暮らしやすさの一つでしょう。

平日は仕事でクタクタになりながらも、週末は船に乗って島を訪れ、新鮮な海の幸をいただき、夕日を眺めるということが簡単にできるのも香港の魅力ですね。

好きな場所でずっと働ける

これは香港に限らず、現地採用という形態で働くメリットになります。

駐在員は日本の本社から期限付きで派遣されることがほとんどですが、現地採用社員にはその縛りがまったくありません。日本へ帰国するのは自分の意志で、他の国へ転職などしない限りずっと香港で働くことができます。

ただし裏を返せば、いつまで香港で働くのか、どの時点で日本へ帰るのか、自分なりのキャリアアッププランを考える必要があるということです。

香港で現地採用就職するデメリット5つ

住居費・生活費の高さ

香港

香港は、世界で最も人口密度の高い地域の一つです。住宅費は日本の常識で考えると衝撃を受けてしまいます。

私が香港に来た20年前にも日本との差に驚いたものでしたが、現在はそれ以上に住居費の値上がりが起きています。

収入の半分以上が家賃となることも

日本では家賃にあたるコストが給料の3分の1と言われていますが、香港では半分以上が家賃となることも少なくありません

例えば、1ルームの部屋でも月5,000ドル(約7万円)以上はします。ベッドを置いたら歩くスペースがないような物件でもです。遠方の郊外でも2LDKで月最低1,0000ドル(約14万円)以上が必要となるでしょう。

例)2LDKマンションの家賃

  • 香港島:30,000ドル(約42万円)
  • 九龍島:20,000ドル(約28万円)
  • 新界:15,000ドル(約21万円)

同じ2LDKでも面積、低層・高層、風景、オーナーにより家賃は随分と変わってきます。なお、面積は日本人の感覚よりもかなり狭い上に、びっくりするような古い住宅も多く存在します。

生活コストも年々アップ

また、近年の香港の物価は上昇傾向にあります。これは、今の状況から見てしばらく継続すると言われています。確かに生活必需品の値段は確実に上がっています

食べ物や生活必需品は、贅沢をしなければ日本と同等ぐらいですが、輸入品や日本のものを買い続けているとやはり日本の2倍以上の物価水準になり、生活スタイルによりコストも大幅に違ってくるでしょう。

高価なもの、贅沢なものはお金を出せばいくらでも買うことができる一方、選択次第でコストを抑えた生活は可能です。

家賃をどれだけ抑えられるかがカギ

やはり一番のネックは住宅費とも言えます。

私は、新界でも日本人に比較的人気のあるエリアに住んでいるので、2LDKであっても上記以上の家賃が必要です。この家賃がなければ香港での生活は言うことなし……に限りなく近いです。

給与が安い

一般に、香港の給与水準は日本よりも低いと言われています。

現地採用の日本人社員として働く場合も、一般的には日本の水準よりも低い給与で働くことが多くなります(香港人よりは高い場合が多いです)。

特に日系企業の現地採用の場合、家賃手当なし、給与は低め、仕事は厳しいというようなところもあり、駐在員と現地社員の格差を思い知らされることになります。

将来を見据えた上での経験を得るという理由や目標があるか、好きな仕事でなければ厳しいかもしれません。

目的と覚悟が必要

しかし、現地社員でこのような状況を覆した方々もいます。先にも述べたように、駐在員は会社からの出向命令で来ているのに対し、現地社員は自分の意志なので、目的と覚悟があればどんな状況でもやっていけるものなのかもしれません。

ただし、契約社会の香港、給与形態、福利厚生などは入社の契約の際にきちんと確認が必要です。一概には言えませんが、現地採用でも外資系の方が日系企業に比べて給与も待遇も良いようです。

私の場合は、10年のブランクがある上に経験のない業種での日系企業再就職ということもあり、給与は低めでした。しかし、まず経験が必要だったのと、ここが再スタートという思いがあって働き始めました。

明確なキャリアプランが必要

日本人の駐在員と現地採用社員では、そのポジションに歴然とした差があります。

駐在員は現地法人のトップや幹部クラスを担当し、任期を終えると日本へ帰国します。

しかし、現地採用社員は現地法人でのキャリアアップシステムが確立されていなかったり、キャリアアップできる役職が限られていたりと、先の道がなかなか見えにくいのが現状だと思います。

先にも触れましたが、将来、自分はどのようにキャリアアップすべきかについて緻密な計画が必要になります。

増え続ける人口

人口密度が高い香港。繁華街に出かけると人の多さに辟易することも少なくないですね。

観光都市である香港には元々、観光客も多いのですが、近年は中国本土からの観光客増加が著しく、観光地でなくても中国本土の旅行客を見かけるようになりました。

ある調査によれば、1997年の香港返還から2015年までに中国本土から香港に移住した人の数は約87万9000人。香港の人口の8人に1人が中国本土の出身者です。これは2015年のデータなので、現在もその人口は増え続けていることになります。

この膨大な移民の影響もあり、香港では近年、生活における様々な分野での不足が叫ばれてきました。

様々なものが不足していくであろう未来

人口はさらに増え続け、住宅の不足、不足による住宅・土地の価格高騰、医療不足、教育現場の不足が香港市民の生活にさらに深刻な追い打ちを与え、状況が改善しないことに市民が不満を持っています。

香港に住まわせてもらっているいち外国人である者からすれば、生活環境の向上を目指す本土の中国人たちの「香港で良い暮らしをしたい、メリットを得たい」という気持ちは分かります。

しかし、このような急激な人口増加による生活の変化はなかなか受け入れがたいものがあります。

それでも、人口の増加は経済状況や香港の活性化という目で見れば悪いことばかりではないのでしょう。

年金の支払い

香港と日本ではそれぞれ年金制度が確立されています。

香港ではMPF(強制性公積金、Mandatory Provident Fund Scheme)という年金制度に加入する必要があり、給料の最低10%(個人5%、会社5%負担)を積み立てます。

これは65歳になると受給できますが、日本人のような外国人がもう香港に戻らないことを前提に帰国する場合、一括で受け取ることもできます。

日本では国民年金に加入することになりますが、住民票を海外に移した場合、強制加入の対象外となり、払わなくてもよくなります。

ただし、海外在住期間はカラ期間(合算対象期間)として受給資格に加算されるものの、支払っていないため年金額の計算には加算されず、受給額が減ってしまうことになります。

香港と日本、二重に支払う?

注意すべき点は、香港と日本の間には社会保障協定がないことです。

日本との協定を締結している国であれば、その国での年金の支払い期間が日本の国民年金の支払い期間に加算されますが、香港でMPFを何年支払い続けても国民年金の支払い期間には加算されません(ただし「カラ期間」は有効)。

2017年8月現在、国民年金保険料は月額16,490円、1年間で197,880円と決して負担の軽い金額ではありません。

香港に限らず海外で働く現地採用者にとって、将来の受給額を考慮してその国と日本の両方で年金を支払うか、香港であればMPFのみに加入するかは悩むところです。

香港で働くためのおすすめ転職エージェント3選

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香港の求人状況は絶えず変化しているため、時期により求人数や条件が異なります。

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まとめ~デメリットを上回る魅力がある

どこに住んでもメリットとデメリットがあるように、ここ香港にも良い面と悪い面があります。

しかし、私にとっては、暮らしにおいても、働くことにおいても、人生を謳歌するにしても、総合的に見てメリットの方が多いのです。そして、香港の魅力はまだまだ尽きません

あなたもこんな香港に来て暮らしてみませんか?働いてみませんか?自分を試してみませんか?香港はあなたに日本にはない何かを与えてくれるはずです!

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