イタリア在住者が電車で遭遇した対応に困るハプニング・トラブル集

ミラノ中央駅 イタリア生活・移住

※ミラノ中央駅

イタリア人の基本気質と言えば冗談好きで楽天的、時間にルーズで恋に夢中…そのような、世間一般に抱かれているイメージはおおよそのところ合っています。

もちろんイタリア人全員がそうだとは言いませんが「細かいことは大目に見てよ」というスタンスの人が多いのは事実。それはイタリアの主要鉄道会社トレニタリア(Trenitalia)の運行状況にも言えることです。

ここでは私がイタリアの電車内で体験した、様々なハプニングやトラブルをご紹介します。

単線での車両の不具合

イタリアの駅

ミラノからフランスのコートダジュール方面へ移動していたときに、トラブルに巻き込まれました。

現場はジェノヴァを超えたあたりの、単線の路線部分でした。私たちの乗った電車の前を走っていた車両が不具合のため緊急停止し、その路線を運航予定だった全ての電車がストップしました。

車内アナウンスでは「運航再開までしばらくお待ちください。」と流れるばかりで、状況はほとんどわかりません。私は友人たちと一緒だったため、おしゃべりをして時間を潰すことができましたが、さすがに3時間も経つと口数も減り、イライラが募ってきました。

車内では乗客間に妙な一体感が生まれ、車掌に状況を聞きに行った人が戻ってきてみんなに報告を入れてくれたりしました。

結果、ぴくりとも動かない電車に5時間以上缶詰になってしまいました。乗車料金の返金もお詫びも何もないまま、ただただ大幅に遅れて目的地に着いた私たちは憔悴しきっていました。

ポイント

慣れない場所でこのようなハプニングに見舞われると大きなストレスになります。言葉が通じない場合はなおさら、現状把握ができない分不安ですよね。

移動時間には充分に余裕をもって、数時間遅れても夜中の到着にはならないよう、早め早めの時間設定にすることをおすすめします。

人身事故

日本でもよくあることではありますが、イタリアの電車で人身事故に遭遇してしまった時は大変な思いをしました。「ガタンッ」という衝撃があった後、電車が止まりました。現場はモデナとボローニャの中間地点で、周りはひたすら野原が広がるだけの場所でした。

人身事故があったという車内アナウンスが流れ、車両の外には出ないようにと付け加えられました。警察車両が到着するなどの動きは窓から確認できましたが、待てど暮らせど電車のエンジンはかかりません。

結局この時も5時間缶詰になりました。原因が原因だけに、かなりの数の乗客がいた車内ではパニックを起こして泣き出す女性がいたり、空港に向かう途中だった人が通路を歩きながら「誰かボローニャ空港に行く人はいませんか?」と声をかけて回ったりしていました。

私はその後に特に予定はなかったのでまだましでしたが、飛行機を乗り過ごした人のことを思うと気の毒で仕方ありません。

日本では遅延が1時間を超すことはそうそうないと思います。迅速な対応と運航再開までの時間の短さに驚かされます。悲しいかな、人身事故が珍しくはない日本の社会の特徴と言えるかもしれません。

 

号泣の苦い思い出になったひったくり事件

ボローニャ中央駅

※ボローニャ中央駅

ミラノからコモへ向かう電車に乗っていた時に、ひったくりの被害にあいました。スペインで用事を済ませた私は、ミラノの空港に降り立ち、スイスとの国境付近の自宅へ帰る途中でした。

小さなトランクを足元に置き、手提げバッグを抱きかかえるようにして、車両の一番後ろの席にひとりで座っていました。これが大きな間違いでした。後から知ったことですが、出入り口付近の席に座るのは不用心極まりないことなのだそうです。

時刻は夜10時半を回ったころ、終電の一本前の電車でした。他にも乗客はチラホラ見えましたが、それぞれ離れた場所に座っていました。

途中の停車駅で電車が止まり、ドアが開き、再び閉まる合図のブザーが鳴った時です。背後から、抱えていたバッグを引っ張られました

びっくりしながらも必死で引っ張り返しましたが、相手はガンッガンッとバッグの本体の方を掴んで引っ張ります。取っ手を必死につかんでいた私の手に、引きちぎられた取っ手部分のみが残った瞬間、電車のドアが閉まり、逃げていく男の後姿が見えました。

近くにいた乗客が緊急停止ボタンを押し、車掌さんが駆け付け、状況を説明することになりました。電車は一文無しになった私を乗せたまま運行を再開し、私は翌朝コモの鉄道警察に出向くことになりました。いい大人が、ショックで涙が止まりませんでした。

幸い大した額の現金は入っていませんでしたし、カード類もすぐにブロックしたので損害は出ませんでしたが、家の鍵を念のために付け替えることになったのでその費用がかなりの額になりました。

ポイント

イタリアで夜間の電車移動は極力避けるのが賢明ですが、何らかの事情で夜の移動を余儀なくされる場合には、出入り口付近の席は避け、複数人数で乗車している他の乗客の傍に座るようにしましょう。

痴漢

残念ながらイタリアでも痴漢は出ます。満員電車ではなくても被害にあうことがあるので、注意が必要です。

4人掛けのボックス席にひとりで座っていた私は、斜め後ろのボックスからのおかしな視線に気づきました。

振り返ると男性がこちらを凝視しながら自慰行為をしています。ゾッとして急いで席を立ち、他の車両へ向かおうとした瞬間、近くの別のボックス席にひとりで座っていた女性が男に向かって声を荒げました。

「あんたいい加減にしなさいよー!!」

そして私の後について隣の車両に移動しました。どうやらその男は、私と彼女の両方を同時にオカズにしていたようです。彼女は私に、

「あなたと私は一緒にいましょう。いい?」

と言いました。彼女と一緒に席に着き、少し落ち着くことができました。日本女性ならまず男に怒鳴るような度胸は持ち合わせていないと思うのですが、彼女のいかにもイタリア人らしい行動に感心してしまいました。

これは真昼間の、ある程度人出もある電車内での出来事です。

謎の大荷物のご婦人

ボローニャ中央駅

※ボローニャ中央駅

6人掛け一部屋の個室が並んでいるタイプの電車に乗った時のことです。自由席の車内ではどの個室もある程度人が座っていて、私は人口密度のなるべく低い個室を探して電車内を歩いていました。

入口のドアにひかれたカーテンの隙間から見えた個室の中に、移民風の中高年のご婦人がひとりで座っているのを見つけて、ここにしようと決め、ドアとカーテンを開けて中に入りました。

荷物を置いて席に落ち着くと、ご婦人が私にカーテンを閉めるようにと言いました。寝る時間でもないだろうにおかしいなとは思いましたが言われた通りにしました。

婦人一人で巨大な旅行カバンが4つ

しばらく静かに乗車した後、ふと上の棚にある大荷物が目に留まりました。2つの荷物用の棚には巨大な旅行鞄が4つも乗っかっていたのです。どう考えてもご婦人が一人で持ち運べる量ではありません。そこでハッと気づきました。

他の個室はまんべんなく人で埋まっていたのにこの個室だけ一人しか乗客がいなかったこと、夜でもないのにカーテンを閉めろと注意されたこと、裕福ではないであろうご婦人の身なり…。

おそらく巨大な4つの荷物の中身は人です。乗車時は外に出ていて個室を埋めていたのでしょう。電車が発車してしばらくすると車掌さんが切符を確認しに来ます。その前に棚に登って鞄に隠れる。

一人分のチケットで家族5人が移動するために思いついた策だったのでしょう。もちろん私の想像でしかありませんが、気づいてすぐに慌てて席を立ちました。

まとめ

イタリアの電車内では他にも本当にたくさんのハプニングに見舞われました。まだ傷が癒えていないエピソードも盛りだくさんです。いつか笑い話にできたら良いなと願うばかりです。

みなさんもイタリアにご旅行の際には充分に注意して、夜間の移動は避け、自由席の場合は空いていても他の乗客の近くに座り、出入り口付近の席は避け、出来る限り利用料金の高い分安全な高速電車に乗ることをおすすめします。

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