フィリピン駐在員として勤務してわかった、フィリピン人の仕事に対する姿勢とは

フィリピン 駐在員

国民性というものは一括りにされることが多いですよね。例えば日本人であれば「勤勉」だとか「真面目」という言葉でまとめられることが多いように思います。

フィリピン人はどうでしょう?よく耳にするのは「陽気」だとか「手先が器用」。ネガティブなものだと「約束を守らない」なんていうのも聞いたことがあります。

さて、日本人の皆さん、あなたは勤勉で真面目ですか?残念ながら、私は自信を持って「はい」とは答えられません。

果たしてフィリピン人はレッテル通りなのか?フィリピンで4年間、駐在員として働いた私が考察してみたいと思います。

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フィリピン人のお給料事情

フィリピンペソ

本筋との関係は希薄なのですが、フィリピン人の仕事への姿勢を振り返る上で知っておいて損はないのが、彼らのお給料(税込月収)事情です。

2018年現在、フィリピンペソ表記は約2倍すれば日本円に相当するとお考えください。また、一般論というより、私の勤務していた会社の事情なので、そこはご承知おきください。

  • 事務系一般職員:30,000ペソ(約60,000円)
  • 技術系一般職員:40,000ペソ(約80,000円)
  • マネージャー(課長相当):60,000ペソ(約120,000円)
  • 会社役員:100,000ペソ(約200,000円)

※参考:フィリピンの一般的な弁護士、医者:100,000ペソ(約200,000円)

どうでしょうか?やはり日本人の感覚からすると少ないですよね。

ただ、フィリピンには「家庭の大黒柱」という考え方はありません。10人超の大家族構成が基本で、いくつもの若い労働力が束になって家庭を支えるというシステムのため、1家族あたりの収入という点では日本のそれと大差はないと思います。

しかし、会社の外に目を向けると、働き口のない人やメトロマニラの最低賃金(467ペソ〈約930円/日)で働く貧困層がいることを忘れてはなりません。

給与水準の改善こそが、フィリピンがこれから国際社会で途上国から抜け出すのに重要な要素であることは間違いないでしょう。

フィリピン人は約束の時間を守らない

約束

会社という組織で働く上で、決められた時間というものは絶対に守らなければならないものであることは言うまでもありません。フィリピン人はどうでしょうか?

答えは「守りません」です。

フィリピンタイムを受け入れる

例えば、「これ、明日までに仕上げてね」は絶対に通用しません。「明日まで」は「明日以降」へと変換されてしまいます。また、社内ミーティングが10時から予定されていたとします。10時にやってくるフィリピン人はゼロです。

全く褒められたものではありませんが、こればっかりはフィリピンタイムとして理解するしかありません。絶対に遅れられないミーティングがある場合は朝からきっちり見張り続け、一緒に行動する以外に術は見当たりませんでした。

でも、いいのです。我々の仕事(IT)は誰かの生死に関わっているわけではないので。4年間のフィリピン勤務でだいぶフィリピン寄りの考え方が板についた私なのでした。

フィリピン人は基本的に残業しない

仕事時間

外国人が日本の会社員を見たとき、特に気になるのが残業の多さだそうです。

特に合理主義の欧米社会からすると、残業が多い=無能という判断すらされかねないため、なぜそんなに残業するのか不思議で仕方がないのでしょう。

メリハリのある健全な働き方

フィリピン人はどうでしょうか?基本的には彼らも合理主義です。定時が来ればサッと帰宅し家族と過ごす。なんならそのために仕事をしていると言っても過言ではありません。

反面、責任感の強い国民性もあるのか、デッドライン(締め切り)に間に合わないと判断するや、連続の徹夜も辞さない几帳面なところも持ち合わせています。

これは社会で働く人間にとって国籍と全く関係なく、逆にそうでなければお給料をいただく資格などないということでしょう。

しかし、仕事がないのに帰りづらい環境の日本の会社と違い、上司も部下も時間が来たら帰るのは当然というフィリピン人の考え方は、私からは眩しいほどに健全でした。

フィリピン人の仕事中の会話は何語?

会話

フィリピンはアジア圏ですが英語を公用語としています。一般的な教育を受けたのであれば当たり前に英語を話せる、日本人にとっては本当に羨ましい国です。

しかし、そのことと英語を心から愛しているかどうかは全く別のお話。彼らが誇りに思い、愛しているのは本来の言語であるタガログ語なのです。

そのため、仕事中ローカルメンバー同士のコミュニケーションに英語が使われているのを見たことは正直あまりありません。

彼らが英語を使うのは我々日本人が加わった場面や、外国人顧客とのやり取りに限定されます(顧客がフィリピン人の場合は当然タガログ語が飛び交います)。

タガログ語ができれば深く付き合える

フィリピン人と心の底からうまく付き合っていきたければ、タガログ語を勉強して駆使できるようになるのが近道です。彼らにとっての格付けは、1位がタガログ語をしゃべる人、2位が英語をしゃべる人、どちらもしゃべれない人はそれ以下なのです。

というわけで、私もタガログ語を必死で勉強して、そうですねえ……現地小学生レベルにはなったでしょうか?

ところが、それを知らないフィリピン人スタッフは、私とのミーティング中、不都合があると英語からタガログ語に切り替えてヒソヒソと話していました。

私は完全に理解していましたよ、私の悪口を。

フィリピン人にとって会社は職業訓練学校

会社の階段

フィリピン人はコミュニティーが大好きです。それが会社というコミュニティーだとすると、誇りを持ち、愛し、全力で役に立とうとします。

しかし、そのことと、同じ会社で長く働くかどうかは全く別です。会社が彼らを利用するのと同じく、彼らも会社を利用します。

会社に属して経験や技術力を身につけ、自身で設定した目標に到達するやいなや、次のステップへ向けて簡単に辞表を提出します。それが当たり前なのです。

昨日まで仲間だったメンバーが今日からライバル会社の社員なんていうのは日常茶飯事。フィリピン人は常により高い頂きを目指し、より待遇の良いコミュニティーを求め、今日も会社で職業訓練をしています。

会社に文句の出ない合理的なシステム?

実際、私の所属していた部署は100人超のフィリピン人スタッフが勤務していましたが、4年間で半分以上のメンバーが辞め、そして新しく入って来ました

日本人にとっては異端に見えますが、これほど合理的なことはありません。

「こんな合理主義の下では絶対に会社に対する愚痴なんて出るはずもありませんね」と、連日会社終わりにクダを巻いていたのは、何を隠そう私でした。

フィリピン人はスペシャリストとして優れている

能力

日本の会社が社員に求めるもの、それはオールマイティーであることが多いと感じます。しかし、フィリピンの会社にはそれが全くありません。ないどころか、どちらかというと1つの専門的な分野を持つことを求められます。

本当に口が達者な人であれば、他に何の取り柄がなくとも営業職として立派に成功しています。

技術職であれば1つの絶対的な強みを身につけて、それを自分の最大の武器として駆使し、反面それ以外は全く知らん顔。知らん顔というか本当に知らないんですけどね。

会社はそういったメンバーの特性を承知の上、最高の布陣を組んでプロジェクトを推進します。

スキルを磨かなければ負ける

いくら「布陣」と言っても、そこには一蓮托生などという日本的な考えはありません。誰かがミスをしても他の人は知らん顔、誰もサポートなどしてくれません。メンバーから外され、代わりの人がそのポジションを奪い取るだけです。

この考え方が生み出す効果、それは容易に想像できます。みんな常に危機感を持ち、自分を高めることのみを念頭に会社勤めをしています。

4年間、フィリピン人の同僚たちを見てきて、それぞれが特化したIT技術力は到底日本人では敵わないものばかりでした。

まとめ~先入観は捨てよう

日本人、それも私世代の中高年者に本当に多いのが、「日本の方がフィリピンより上」という漠然とした、そして愚かな先入観です。

一体それはどこから来るのでしょうか?日本は先進国で、フィリピンは発展途上国と言われるからでしょうか?日本に出稼ぎに来るフィリピン人の噂を聞いたからでしょうか?

どうぞみなさん、ご自分の目で確かめてみてください。未来に向かって目をキラキラさせるフィリピン人に愚かな考え方を一蹴されることは間違いありません!

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