勤勉と言われる日本人の働き方と、のんびりしている人が多いフィリピン人の働き方では、たくさんの異なる点があります。海外で働くには、どちらが優れていてどちらが劣っているという次元の話ではない、グローバルな考え方とお互いの尊重が必要になります。
私は新卒でフィリピンの日系語学学校に就職しました。2年以上の海外生活を経て、私にもそうした感覚がやっと養われてきたかなと思っています。
では、私の視野を広げてくれた、フィリピン人の仕事に対する考え方や働き方をご紹介しましょう。
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フィリピン人は上司とも気軽にハイタッチ
私は日本で就職した経験がないので、日本で働くことがどんなものかは正確には分かりません。しかし、日本で直属の上司にハイタッチする場面があり得るでしょうか?
フィリピンではそれは日常の光景です。人と人との距離が非常に近いのがフィリピンの特徴の一つです。会釈の文化がないので、初対面のときは握手します。当初、私はこの握手の文化に慣れず戸惑いを感じていました。今も少しぎこちないですが。
フィリピン人は、例え相手が上司や年上だったとしてもフランクに話しかけ、距離を縮めようとします。それが彼らの尊重の仕方であり、日本人のように気を遣って話しかけず邪魔をしないようにするのは失礼にあたります。
現地の日本人同士の距離も近い
フィリピンにいる日本人もこの距離感の近さに慣れていて、日本人同士が親密なのも印象的です。日本人同士でも初対面で握手し、親近感を持って接します。
フィリピンの会社ではパーティーが頻繁に行われる
いい意味でびっくりしたことの1つは、就労時間内でも突然パーティーが始まることです。
チームメートの誕生日であったり、6ヶ月の試用期間が終わり誰かが正社員となったときであったりと、何かの節目に簡単なパーティーを開きます。みんなで集まって何かをするのが好きな国民性なのです。
たとえば誕生日なら、フィリピンでは誕生日を迎えた本人が周りにプレゼントをしたり食事を振る舞ったりします。つまり、祝ってもらう側の人間が宅配ピザなどを注文し、チームメートにごちそうするのです。
そして「ハッピバースデー!!」の声とともに、おいしそうなピザの匂いがオフィスに漂います。
フィリピン人は仕事よりも家族を優先
フィリピン人にとって一番に優先すべきものは「家族」です。常に家族を思い、家族のために働きます。
もし子供が風邪などで具合が悪いときは、もちろん仕事を休み看病します。家族に何かお祝い事があれば、仕事は二の次でそのお祝いの行事に出席し午後から出社なんてことも多々あります。
仕事を優先する日本人とは異なる価値観をフィリピン人は持っています。
フィリピン人は勝手におやつ休憩を取る
フィリピンには、ミリエンダと呼ばれるおやつの時間があります。
朝10時と午後4時くらいにミリエンダを取る習慣があるため、オフィスでもその時間になるとおやつを食べます。
食べながら仕事をするならまだしも、休憩時間でもないのにミリエンダ休憩を自由に設けて、チームメイトみんなで食べているグループもあるほどです。
フィリピン人は時間にルーズ、遅刻も当たり前
フィリピンには「フィリピン・タイム」という言葉があります。例えば、13時に集合であればフィリピン人は13時に家を出発し、30分は遅れて来ます。
仕事も定時に出社させるには、かなりの労力と時間がかかります。決して人がルーズなのではなく、時間を守るという教育を受けてないので、遅れることが当たり前のように感じているのだと思います。
また渋滞も深刻なので、これも時間に遅れてしまう理由の一つです。
私の会社では時間を守らせる対策として、1分でも定時に遅れるとその日の給料を2分の1にすることにしています。これによって遅刻はかなり改善されました。
フィリピン人は残業せず定時に帰宅
フィリピンで残業することは、かなり珍しいことです。基本的に彼らには、定時を超えて仕事するという考えはありません。先に、フィリピン人が時間にルーズであると述べましたが、仕事は時間通りに終わらせてすぐに家に帰り、家族とともに過ごします。
残業をするのは上司から言われた場合や、よっぽど仕事が終わらなかった場合のみです。日本には給料の発生しない「サービス残業」があると話したときには、「あり得ない!」とかなり驚かれました。
フィリピン人は同じ会社にとどまらず自由に転職
前述の通り、フィリピン人の最優先事項は「家族」です。決して「仕事」が一番に来ることはありません。「家族」のために「仕事」があります。
もし給料がより良い会社があれば、比較的簡単に今の勤務先を辞めて転職します。そのため、勤続年数は長くありません。
私が働く日系語学学校には100名程度の講師がいますが、4年前の設立当初から働いている講師は3名のみです。
フィリピン人は自分の意見をしっかり主張
これは日本人に欠けていて、フィリピン人に特徴的な点ではないでしょうか。今まで紹介したフィリピン人の特徴の集約になると思います。
人との距離感が近く、仕事は家族のためのものなので、職場で何か不満があるとすぐに口にします。相手が上司だろうと関係ありません。自分がこうしたいと思ったことは発言し、自分の意思を伝えます。
個人的にこの点は、彼らの非常に良い部分であると思っています。一人一人が発言することで、常に新しく、従業員の意見を反映した会社に育つからです。
フィリピン人は音楽を聴きながら仕事をする
音楽を聴きながら、または食べながらの「ながら」仕事をするフィリピン人をよく見かけます。
ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴いているので、「周りの雑音が耳に入らず、かなり集中して仕事ができる」ようです。
好きな曲になると体がリズムを取り始め、サビに差し掛かると歌いながら手を動かしてしまっている人もいます。デスクに向かって座っているだけで何もしていないよりはいいかもしれません。
まとめ~大切なのは違いを認めて尊重し合うこと
やはり、国が違えば仕事に対する考え方も違います。仕事一筋が当たり前とされてきた日本人にはなかなか理解しづらいこともありますが、フィリピンの人は真面目で堅実なので、ある程度の責任感は持って仕事をしています。
日本式の働き方を強要するのではなく、お互いに理解し、尊重し合って上手く関係をつくるのが大切だと日々感じています。
海外就職を考えている人にとって、私の経験がグローバルな考え方を生むきっかけになると幸いです。
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