語学留学を終えて英語を不自由無く使える様になったら、後は実践あるのみです。私はマルタでの語学留学を終えた2005年に、かねてから気になっていた「マッサージの勉強」を日本国外ですることにしました。
私はもともと腰痛持ちです。日本国内に比べて安価なコースがあるため、インド、タイ、ラオスなどでのマッサージコースを検討していました。
留学先を考えていた時に、学生のころからよく訪れていたタイで特定の女性のマッサージを受けると数ヶ月調子が良くなっていた事を思い出しました。そこで「タイマッサージ」の資格を取ることに決めました。
タイの北部、チェンマイには、タイマッサージの教諭資格を取得するためのインターナショナルマッサージスクールがあります。今回は、マッサージの教諭資格取得の為の留学体験記をご紹介いたします。
チェンマイでのマッサージスクールの選び方
マッサージスクールをインターネットで検索すると、タイ国内に数えきれないほどの学校があることが分かりました。
当初は伝統のある寺院でのコースを考えていましたが、国外でもマッサージの仕事をした事のある現地の友人から
- 有名な寺院でのコースは観光客向けのコースである
- 無名な学校からのコース終了証書は「お土産」扱いで、マッサージ師として働く時にあまり効力がない
とのアドバイスを受けて、当時は設立されてまだ間もなかったものの、政府の認定を受けている学校を選びました。
私が通ったのはThai Massage School of Chiang Maiです。この学校が開設している、政府公認のタイマッサージの基礎から指導者のトレーニングまでを終えるコースで、10週間、300時間のコースでした。
授業料金
2005年当時の授業料は失念いたしましたが、2018年現在の300時間のコースは92,800バーツです。(100バーツは約345円。2018年現在)
料金には教材や課外授業費、給食費、制服使用料などが含まれています。滞在費や交通費は含まれていません。
スケジュール
授業は朝9時から16時までです。途中に1時間昼食休憩が入ります。
滞在先が市内の場合はスクールバス(乗り合いタクシー)が迎えに来ます。朝8時30〜45分頃に滞在先にてピックアップしてもらい、学校に到着したらユニフォームに着替えます。
簡単なヨガと瞑想をしてから授業が始まります。午前中に一度、お茶の休憩が入ります。お昼ご飯は学校内にてベジタリアンメニューの給食です。肉食の欧米人は学校の向かい側にあるマーケットで買い出しをしていました。
午後の授業が終わるとスクールバスで滞在先まで送ってもらいます。授業の風景写真は学校の公式サイトに多数掲載されています。
- TMCの公式サイト:http://www.tmcschool.com/
クラスメイトは?
10週間でマッサージを教えるようになるにはかなりの努力がいります。私の参加していたコースでは、全くのマッサージ初心者はごく少数でした。
クラスメイトは世界各国から集まった20人程でした。年齢も20代から50代までと幅広く、看護師や整体師、リハビリの指導者など医療関係者が多く在籍していました。他にはヨガの先生やダンサー、高校の体育の先生などでした。
放課後の過ごし方
学校では主に手本を見る、施術される、施術する、のループでマッサージを学んでいきます。限られた時間の中で覚える事が大量にあるので、放課後はいつも生徒同士で集まり勉強会を開いていました。
中にはチェンマイでヨガや体操を教えている生徒もいたため、ヨガスタジオを空いている時間に借りる事ができたので、昼夜かまわずマッサージの練習や必要知識の勉強をしていました。
週末にはみんなで近場に旅行に出掛けたり、誰かしらの誕生日パーティーを開いたりと、大忙しでした。
クラスメイトの年長者であったインド人女性が、買い食いばかりするクラスメイトの体調を心配して毎週水曜日は彼女の手作り料理をごちそうしてくれていました。
この食事会のある水曜と週末を息抜きに、残りは昼夜かまわずマッサージ漬けという日々でした。
マッサージスクールの基本情報
- 名称:Thai Massage school of Chiang Mai
- 住所:203/6 MAE JO ROAD Moo 6, T.Faham Chiang Mai 50000 , Thailand
- Tel: 053-854330, 053-854331
- Fax: 053-246203
- Mobile: 08-1111-2001
- 公式サイト:http://www.tmcschool.com/
ビザの申請
30日以下のタイ渡航には日本人はビザがいりません。3週間までのコースに参加する場合は、学校に通う場合でも特に手続きはいりません。300時間コースは50日なので、60日滞在許可のビザの申請をする必要があります。
ビザの申請に必要だったものは
- 有効期限が6カ月以上あるパスポート
- 銀行の残高証明書(20万円以上)
- 学校入学証明書(支払い証明書)
- 滞在先の住所
- 顔写真
- ビザ申請書
のみでした。申請は有料で、申請してから数日で発行されました。
2018年現在のビザの申請、受理方法が当時と異なっている場合があります。タイの長期滞在ビザを申請するときは大使館、領事館などで最新情報を調べましょう。
- 在京タイ王国大使館のサイト:http://thaiembassy.jp/
チェンマイでの宿泊先の選び方
チェンマイは観光名所であり、数えきれない程の滞在先があります。高級ホテルから安宿まで、よりどりみどりです。繁華街も多く、夜中まで騒がしいエリアもあります。留学中にそういった誘惑に負ける訳にはいきません。
学校からは送迎があると聞いていたので、私は市内のある程度便利そうな地域から宿を選びました。カフェや飲食店から近い、ターペー門から徒歩10分程の小さな1泊300バーツ程度のゲストハウスに宿泊していました。
チェンマイに到着して1週間ほどしたある日、以前旅行で来た時に遊んだ事のある現地の女の子と再会しました。彼女が丁度引っ越すというので、ゲストハウスから彼女の住んでいた家に引っ越しました。
アパートは市内からバイクで10分ほどの山間部にあり、チェンマイ大学に住む学生が多く住む地域でした。
Wat Umongという古寺の近くの一軒家で、学生用に貸し出されているからか3部屋なのにトイレ、シャワーが2つあり、小さな庭にはバナナが生えていました。
野良犬や野良猫が勝手に入ってくるものの、住人以外には吠えるなど番犬の役割も果たしてくれたので、住み心地はとてもよかったです。
市内中心部より、学生が多い地域だからか物価が安かったのが印象的でした。例えばタイ名物のパッタイ(タイ風焼きそば)が、市内ではだいたい50-70バーツだったのが、家の付近では30-50バーツでした。
月5,000バーツで3部屋あったので、仲の良かったクラスメイトに声をかけて3人でシェアして暮らしていました。
長期滞在なら値段交渉ができる!
宿泊費は海外滞在では気になる出費です。ホテルも多くありますが、タイにいることを忘れてしまいそうな西洋じみた装飾なので、私はゲストハウスや「民宿」のような宿泊所が好きです。
なるべく抑えたい宿泊費ですが、背に腹は代えられないもので、いつも私の滞在先選びの優先順位はセキュリティーと安眠が第一条件です。
どこに行っても現地について最初の数泊は「お試し」としてとりあえず泊まってみています。滞在先が気に入り、2週間以上滞在する予定がある場合には、レセプション、もしくはオーナーに長期滞在の旨を伝えて値段の交渉をしてみましょう。
学校に通っていることなどを伝えると長期滞在の信用性が高まるので交渉がしやすくなります。
生活音は駄々漏れのタイ建築
タイは11月を除いて一年中暖かい気候です。建築も夏向けに建てられているものが多く、高級ホテルなど冷房完備の一部施設を除くとかなりオープンな作りをしています。
乾期、雨期と湿度の差が激しく、乾期には木戸がしっかり閉まらなかったりもします。
ある朝、ゲストハウス滞在中に、身支度をしながら鼻歌を歌っていました。2階の部屋から出ると、隣の部屋の人と、1階のレセプションの人に「さっきの歌、なんて題名だっけ?」と聞かれて少し恥ずかしかったです。
決して大声で歌っていた訳ではなく、鼻歌でもオープンな作りの場所では音漏れしてしまうのですね。
チェンマイ滞在中の交通手段
チェンマイ市内の交通手段には
- タクシー
- トゥクトゥク(三輪車の屋根付きバイクタクシー)
- 乗り合いタクシー(ソンテウ)
があります。乗り合いタクシーは行きたい方向の車線で止めて、行き先を伝えて料金を払います。この3種類のなかでは乗り合いタクシーが一番安いです。数キロまでの乗車で2005年当時は30バーツでした。
毎日移動するのであれば、待ち時間などを考えると原付バイクのレンタルをおすすめします。レンタルバイクの値段はお店によってまちまちです。バイクの種類にもよりますが、だいたい1日150バーツから400バーツでレンタルできます。
私は10週間まとめて同じレンタルから借りたので、1日60バーツで250ccのバイクをレンタルしていました。大型バイクでない場合、免許証の提示は求められません。
しかし、バイクの初心者にはルールに従わず思い思いに走行している車が多いチェンマイでの運転は危険です。バイクの運転に自信がある場合のみ、レンタルをしましょう。
パンクはしょっちゅう!
バイクのタイヤはしょっちゅうパンクします。バイク整備のお店がどこの地域にもあるので持ち込んで修理してもらいましょう。修理が終わっていれば特にレンタル主に報告しなくても大丈夫です。
ヘルメット装着を心がけよう!
警察は朝、夕と決まった場所で違反者の取り締まりをしています。抜き打ちで取り締まりをするときも、場所はだいたい同じです。
ヘルメットの装着をしてなかったり、バイクに不備があったり、定員以上の乗車の場合、違反切符を切られ、その場で罰金となります。
罰金も嫌なものですが、ヘルメットは身の安全のために必ず装着しましょう。タイでは外国人によるバイク事故が多発しており、死亡事故の件数も増えています。
ウィンカーが壊れたまま走行していたり、タイ人特有の運転スタイルもあるので、運転するときは周囲により気をつけましょう。
マッサージ学校の課題
学校では毎週末テストがありました。普通に出席していれば合格するような内容でしたが、セオリーのテストは暗記要項も多く、クラスメイトと毎日勉強会を開いていました。卒業には出席率が重視されるので、健康管理も大事です。
あらゆる人種、年齢の体格の違いは実践でしか学べません。マッサージコースでは、実習として慈善活動やチェンマイのイベントなどで学校のスタンドを設け、実際に一般人にマッサージを施術する機会が設けられています。
タイマッサージの基礎の勉強を終えると、近隣の少年院で留置されている少年達にマッサージを教える実習があります。少年院には、犯罪を犯した少年だけではなく、両親が逮捕されて行き場の無くなった少年も同じ環境で生活していました。
竹でピアスを開けたり、タトゥーを入れたりとたくましい15歳以下でしたが、私達にとっては正直で飲み込みも早かったです。教わりながら教える側の立場になるので、とても緊張の続いた日々でした。
学校の先生は英語が苦手な人もいましたが、皆親切に指導にあたってくれていました。マッサージ師としての経験値の高い先生方に10週間という短い間で、分からない事を質問しておかなければいけません。
宿題こそ出ませんが、卒業に必要な標準以上の成績を取るためには必死に努力する必要があります。
チェンマイでの食事
マッサージ学校の食事は月ー木が古代米を混ぜた米プラスおかず、デザートで、金曜日が麺類、デザートでした。休憩時間にはバナナなどの生徒のために用意されたフルーツも山盛りに積んであります。
学校での食事はタイのシンプル料理が多いですが、チェンマイは観光地だけあって各国のレストランが集結しています。マッサージ学校やヨガのコースも多くあるためか、ベジタリアンレストランもたくさんあります。
夜には屋台がそこら中に出るだけでなく、バイクに屋台を付けた移動式屋台も、特有のベルや音楽を鳴らしながら巡回しています。
私の好物はマンゴーライスでした。糯米の上によく熟れたマンゴーがのっており、練乳をかけて食べたものです。
タイ人は「辛くないはおいしくない」と言います。タイ料理では「辛くしないでください」と頼んでも、私にとっては普通に辛いものが出てくる事があります。
辛い料理も好きですが、毎日食べているとマンゴーライスのように、刺激のなく落ち着いて食べれるものが重宝するようになります。
マンゴーライスは屋台によって値段が違いますが、1皿60バーツから100バーツほどです。
おまけ:ロイクラトン(光の祭り)
タイには毎年11月に灯籠流しをするロイクラトンという伝統行事があります。チェンマイでは灯籠流しの変わりにコロヌーイという熱気球を飛ばします。光の祭典として、チェンマイで観光客にとても人気のある行事でもあります。
私の滞在中に丁度この時期が重なり、イベント自体初耳でしたが、多くの装飾がなされたターペー門にて私も熱気球を飛ばしてきました。
熱気球は紙製のものに燃料を置く簡易なもので、だれでも購入できます。夜の8時頃に次々と上がり始めるその様は、塔の上のラプンツェルの誕生日の様です。
が、この熱気球、結構危険です。風がふいて紙の機体が燃えたものが落ちてくる事があります。
最初は笑って見ていたものの、電線に落ちて当たり一帯が真っ暗になりました。帰宅するときには街灯が全てダメージを受けた電線の影響で消えていました。おかげで熱気球はより映えて見えましたが、電話の明かりがなければ帰宅は危うかったです。
闇の中、ネズミやゴキブリが動く音がする道中は、幻想的な上空と対照的に恐怖でした。
まとめ
タイでの学校生活は、国際色の強い学校だったこともあり、毎日新しい常識との出会いがありました。また、語学学校の外で実際に英語の授業を受けて卒業することにより、英語に自信がつきました。
マッサージは世界のどこでも必要とされている職業です。しかし、アメリカやヨーロッパの地域ではタイの授業のみでは資格保有者として認められない場合があります。
施術者として営業をするのには、各国で規定が違うので(解剖学を200時間以上勉強したもの、インターンシップで修行を積んだもの、など国により規定があります。)個人で営業する場合はしっかり調べてからにしましょう。
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