ドイツの働き方の短所やデメリットとは?メリットも解説

ドイツ ドイツで働く

日本とドイツの両方で働いてみると、2つの国の働き方の違いがよくわかります。ドイツで働いていて気がつくのは、男女に関わらずほとんどの人が仕事をしつつ、夫婦で一緒に子育てをしているということです。

ドイツ人は仕事をしながら、プライベートの生活もとても大事にしています。そして、それを可能にするための社会保障制度もかなり充実しています。

ドイツの会社に勤務経験のある私から、ドイツで働くことのデメリットや短所、そしてメリットについて詳しく紹介します。

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ドイツの働き方デメリット

税金が高い

ドイツ

ドイツは税金が高いことです。どれくらい高いかざっくり表すと、給料の4割は税金で、手取りは6割と思っていただければいいです。

医者も無料、失業保険も年金も手厚いということの結果として、どうしても税金が高くなってしまうのです。

税金の内訳は、所得税、健康保険、年金、失業保険の他、東西格差をなくすため、旧西ドイツの労働者は”連帯税”という税金も支払っています。日本と違い住民税はありません。

生活費は安くても貯金は難しい

ドイツの物価は、商品にもよりますが2018年のレートだと若干日本より安いです。消費税は19%ですが、食料品などの日用品は7%です。

日本と違い、ゲームセンターやパチンコ、遊園地などのアトラクションや娯楽施設が少なく、日曜日は法律によりお店が閉まっているので、日常生活にあまりお金を使いません。

社会保障制度がしっかりしているためか、それほど貯金をする習慣もありません。貯蓄をするのはなかなか難しいといえます。

企業や経営者にとっては厳しい環境

ドイツ

労働時間が短い、休暇が多い、残業や休日出勤もない、税金も高い。ドイツは人件費が高い国です。また、誰もが自分の権利をよく把握しているので、経営側や責任者の負担が厳しくなります。

労働者にはやさしいドイツですが、経営者にとってはいささか厳しい国。私もこちらで経営者だった時期があるのですが、社員の権利を守ることにかなり努力しました。

会計事務所などでも従業員の労働条件は守られていますが、その分、所長が働いていることも多かったです。工場を持つ企業などは、メインオフィスはドイツに置き、実際の工場は比較的人件費の安い東欧に構えることも多いです。

ドイツでの働き方 メリット

通勤は渋滞しらず

ドイツ

ドイツには大都市があまりなく、20万〜30万人の小中都市が多いです。人口もそれほど1カ所に集中しておらず、適度に散らばっています。そのため通勤時も渋滞はほとんど起こりません。

交通機関も充実している上、至る所に高速道路が整備されているので車通勤も便利。ドイツの高速は無料で速度も無制限のところが多いので、通勤が快適です。

郊外の一軒家に家族で住んでいても、通勤時間が1時間以上かかる人はまれです。

車通勤に替えて通勤時間が激減

ちなみに私が会社勤めをしていたころの通勤時間は、最初は50分くらいでした。これは比較的長い方といえるでしょう。というのも、会社が郊外にあるので地下鉄とバスを乗り継がなくてはいけなかったからです。

自宅と会社の距離は約6~7キロだったので、車通勤するようにしました。渋滞しらずの高速を通って、通勤時間は約15分に激減です。

有休消化率は100%

ドイツ

ドイツでは、すべての社会人が有給休暇を100%取ります。有休の日数は最低年間25日と決まっており、概ね25〜30日の間です。

経営者は従業員に100%の有休を取らせる義務があり、守っていない経営者は国のチェックによって罰せられます。そのおかげか、有休100%消化制度はドイツ中に浸透しています。

担当者が休暇でいなくても取引先はまったく苦情をいいません。逆に「良い休暇を」といわれることも多いです。自分も休暇を取るのでお互いさま、仕事から解放されリフレッシュできる時間が大切で必要なものだと理解しているからです。

そして、休暇明けには楽しんできた旅行の話で盛り上がります。

年に一度は1週間以上続けて取るルール

日数だけでなく、年に一度は最低1週間以上続けて取るように、有休はその長さまで法律で決められています。

そのため、ほとんどのドイツ人にとって休暇イコール旅行です。ドイツ語の「休暇 / Urlaub」という単語には”旅行”という意味もあります。休暇を取ると話すと必ず「どこに行く予定ですか?」と聞かれます。

こちらでは、休みを取って一日家にいることを休暇とは呼びません。

消化できない場合も取得の権利は守られている

休暇日数はしっかり労働契約書に明記されているので、後からうやむやになることもありません。

基本的には1年間ですべての有休日数を消化します。やむを得ない理由で年内に消化できなかった分は、会社側と話し合い次の年の3月まで延長することができます。

そこで消化できないと、残りの有休は会社の買取りです。しかし、この買取りのケースになるのはまれで、全員がしっかり有休を消化します。

病欠の義務がある

ドイツ

ドイツには、休暇取得とは別に病欠の義務もあります。

体調が悪く病院に行くと、医者の診察後、たいてい黄色い紙を渡されます。これは”労働不可能証明書”というもので、例えば風邪の場合、通常3日から1週間程度、働いてはいけませんという内容です。

社員は、この証明書を会社に提出します。会社は、労働不能証明書に書いてある日数は従業員を休ませる義務があります。この期間中に無理に会社に出てきて、もし事故が起きると保険の対象外となるので、働かせるようなことはしません。

周りの同僚も、無理に出てきて風邪をうつされる方が怖いので、具合が悪い社員には治るまで会社に来ないことを望みます。取引先も病人には非常に寛大で、急かすようなことはありません。

欠席しても仕事は回り、給与ももらえる仕組み

社内では有休時に備えて常に代理で仕事をする仕組みなので、誰かが病気になっても基本的には代理をすることができます。

休んだ社員にはそのまま給与が支払われます。会社はその日数分の補助金を健康保険会社から受け取ります。

6週間以上の長期療養になると、扱いが変わります。企業は給与支払い義務がなくなり、病人は給与の代わりに病人補助金を受け取ります。補助金で代理を雇うことも可能です。

病気になっても、治るまで経済的な心配をせずに安心して休むことができます。

基本的に残業がない

ドイツ

基本的にドイツ人は残業しません。特別な場合でも、1日2時間以上、週に10時間以上残業してはいけないという決まりがあります。

週末の休日出勤ももちろんなし、もしやむを得ず出勤する場合は、 通常の残業手当のほかに休日手当が上乗せされます。

平日もプライベート充実

みんなが定時に帰ることが定着しているので、平日もプライベートを充分に楽しむことができます。特に夏は夜の11時近くまで明るいので、仕事のあとテニスをしたり、家族と外に出かけたりと、屋外で楽しむこともできます。

最近さらに労働時間短縮の傾向にあります。金曜日は終業時間が2時間ほど早まり、平均的な1週間の労働時間は30時間台後半へと移行しています。

ただし、社長はじめ責任者クラスは高給に見合う仕事をしなければならないので、労働時間も長くなるのが普通です。

社会保障制度がしっかりしている

ドイツ

ドイツでは医療費は基本的に無料です。唯一の例外は歯医者で、最低限の治療以外は有料になる場合が多いです。

また、失業手当は最長1年間支払われます。

年金も5年間納めれば受給権を得て、年金支給の時期になれば受け取ることができます。ありがたいことに、日本とドイツは年金の協定を結んでいるので、将来、受給の年齢になったら日本の分とドイツの分を合算した年金を受け取ることができます

さらに、共働きの多いドイツでは、子どもを預ける施設も充実しています。しかも、給与額に応じた補助金制度もあります。子どもがいるドイツ人の同僚たちは、この制度を大いに利用していました。

自然災害が少ない

ドイツ

ドイツには自然が多く、街中にも緑がたくさんあり、鳥や小動物を見かけることも多いです。地形的には平坦で、あまり高い山脈もありません。

自然災害が少なく、地震はほとんど起こりません。ドイツでは一生のうち一度も地震にあわない人も大勢いるくらいです。私も18年のドイツ生活で、地震にあった覚えがありません。

博物館に行くと一目瞭然です。何百年も前の貴族が使用していた食器や貴金属が、昔からの様子を保ったまま、棚の上に無造作に、固定もなしに陳列されています。今でも無傷で残っているということは、何百年もこの土地では地震が起きていないのでしょう。

耐震対策をせずに自分で家を建てる人も

ドイツでは自分で自分の家を建てる人も多いんです、日本では考えにくいですよね。特に耐震対策をする様子もなく、実際に私の知り合いで自分で家を建てて長い間住んでいた人もいます。

自然災害の多い日本からすると、本当に恵まれていると思います。

気軽に近隣のヨーロッパ諸国へ行ける

ドイツ

ドイツはヨーロッパの中央に位置し、国境からなんと9つもの国と陸続きです。北はデンマーク、東はポーランドとチェコ、南はオーストリア、スイスと接し、西はフランスとルクセンブルク、そしてベルギー、オランダともつながっています。

そのため、わざわざ長い休暇を使わなくても、週末を利用して気軽に近隣の諸国に遊びに行くことができます。

私も、南ドイツに住んでいたころは週末を使って国境近くにあるフランスやベルギーに遊びに行っており、北ドイツに引っ越してからは、ポーランドやチェコ、オランダやデンマークがちょっとしたお出かけ先になっています。

多様性を尊重する姿勢が自然に育つ環境

大げさな旅支度なしで気軽に出かけるだけで、あっという間にドイツとは言葉も文化も違う世界です。食事や建物、場所によっては通貨も異なります。ほんの少し移動しただけなのに、明らかにドイツとは違う外国を経験できるのは、非常に刺激的です。

ドイツはもともと移民が非常に多い、国際色豊かな国です。その上、子どものころから気軽に他のヨーロッパ諸国に身を置くことのできる環境で育つことで、自然に国際的なものの見方と、自分と違う他者の意見に対する尊重が生まれるんだなと思います。

ドイツで働くためのおすすめ転職エージェント2選

ドイツで理想の仕事を見つけるには、転職サイトを使い、気になる求人をストックしておくことが大事です。

以下のエージェントは待遇がしっかりとした求人が多いので、不安の多いドイツ転職でも安心して利用できます。登録は3分程度、利用はすべて無料です。

ドイツを狙うなら「LHH転職エージェント(アデコ)」には必ず登録しましょう。

海外勤務・外資系を狙う年収600万円以上の方は「JAC Recruitment」にもあわせて登録することをおすすめします。

転職エージェント利用のポイント

ドイツの求人状況は絶えず変化しているため、時期により求人数や条件が異なります。

いざ、就職しようと思ったときに「興味のある求人」が見つからないこともあるので、希望の求人に出会う可能性を高めるためにもおすすめの転職エージェントに登録し、自分に合う求人を見逃さないようにしましょう。

まとめ〜こんなに休んでも経済大国

ドイツ

労働時間も通勤時間も短く、有休消化率100%、社会保障制度もしっかりしているドイツ。ドイツ人が毎日の仕事と、プライベートの生活の両方を充実させていることが分かっていただけたのではないでしょうか。

休暇もたっぷり楽しみながら世界で有数の経済大国として成功しているので、これ以上のことはないでしょう。

気軽にヨーロッパ諸国を訪れ、異文化を体験できる環境も、望んでもなかなか簡単に手に入れることができるものではありません。みなさんも一度ドイツで働いて、この環境を実感してみませんか。

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プロフィール 札幌出身。2000年よりドイツ在住。語学知識ゼロからドイツ語を始める。2009年南ドイツの大学にて修士課程卒業。2010年北ドイツのIT企業に就職、のちに代表を務める。本業のIT業務のかたわら社内ベンチャーにて、2015年当時都市で唯一の専門飲食店を立ち上げ繁盛店にする。現在はフリー。趣味はテニスと読書。ブログ等でさまざまな方向からドイツ情報を発信しています。

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