現在1ユーロ=約129円です。しかし、収入も支出も同じ外貨の場合、円高・円安はあまり関係ありませんね。
海外就職では、労働に見合った対価をもらえるのかどうかが一番気になる部分だと思います。
私はドイツのデュッセルドルフで日系企業に就職し、ラーメン屋に勤務していました。実際に私がもらっていたお給料(ドイツ語でGehalt:ゲハルト)事情について詳しくお話しします。
※記事中の金額は1ユーロ=約129円で換算
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ドイツの日系ラーメン屋グループに就職
私が就職したのは、いくつかの日系飲食店を経営するグループ会社です。
諸事情により、2018年5月から7月という短い間でしたが、勤務していたデュッセルドルフのラーメン屋では20代半ばから30代前半といった私と同年代の人が多く働いており、とても馴染みやすい職場でした。
また、会社自体は日系企業だったものの、日本企業特有の「多少の残業は当たり前」「新しく備品を持ち出したら逐一報告」といった息苦しさはありませんでした。
多国籍な職場
従業員数はグループ全体で80人ほどで、私の勤めていたラーメン屋は15人ほどの社員・アルバイトで運営していました。
全員日本人ではなく、3割程度のドイツ人を含む多人種だったため、職場での当たり前の会話が言葉の勉強にもなり、とても楽しかったです。しかし、引き継ぎや注意・指導などをする際にこちらの意思が上手く伝わらないことがあり、悩んだりもしました。
幅広い業務をこなす
主な仕事内容は、ホール(接客)・洗い場・キッチンでしたが、私はホール業務をメインで行っていました。朝はお店の開店準備から始まり、お客様を迎えてメニューを出し、オーダーを取る。そして料理を運び、会計をし、席を片付けることがホール業務の基本です。
これだけだと平和な一日のようですが、私の勤めていたラーメン屋はドイツでも有名なラーメン屋だったのです(入社した後で知りました……)。
そのため、外には常に行列ができており、回転率重視の店内はもう戦場です。基本のホール業務に加えて、食器とごみの分別作業や生ごみの処理、ドリンクの補充など、お客様からは見えない裏方の作業が同じくらいあり驚きました。
ドイツの日系企業での給料
入社してから最初の役職に就くまでは、1カ月の手取り額が一律1,100ユーロ(約141,900円)ほどでした。主任等の役職に就くと、その階級に応じて50~200ユーロ(約6,450~25,800円)の手当てが付きます。
さらに、飲食店勤務の場合にはチップがあり、200~400ユーロ(約25,800~51,600円)ほどプラスとなる月もありました。
実は、日本にはない習慣であるチップ(ドイツ語ではTrinkgeld=トリンクゲルド)を受け取る側の体験をしたいと思い、たどり着いたのが飲食店だったのです。
ドイツの日系企業での給料は手渡しも振り込みも可能
私が勤めた企業では、現金手渡しか銀行振り込みかを選択できました。
しかし、現金手渡しの場合は少し離れた事務所まで取りに行かなければならないので、時間と交通費がかかります。そのため多くの人は振り込みを選択していましたが、手数料やATMの設置状況などにより現金で受け取っていた方もいました。
なお、小切手は給料受け取り方法の選択肢にありませんでした。
給料振り込みの銀行は自由
特に銀行の指定はありませんでした。そのため、手数料や利用条件などが自分に合った銀行での口座開設ができました。
特にこだわりがなければ、Postbankで口座を開いている方が多かったです。
ドイツの日系企業での通勤交通費は?
通勤交通費は出ていました。
上限額はありましたが、ドイツの交通機関(トラム・バス・電車)のチケットは日本と違って距離による料金ではなく、ほとんどが1日券(約7ユーロ、約900円)や2時間券(約3ユーロ、約390円)といった時間ごとの料金なので、上限を超えることはありません。
お得な2週間定期や1カ月定期、半年定期もありました。
ドイツで給料から天引きされる税金・社会保険料
ドイツ語では税はSteuerと言います。引かれていたものは6種類ありました。
- Lohnsteuer(所得税)
- Solidaritatszuschlag(連帯付加税)
- Krankenkasse(健康保険料)
- Rentenversicherung(年金保険料)
- Arbeitslosenversicherung(失業保険料)
- Pflegeversicherung(介護保険料)
では、1カ月の給与にかかる各税金・社会保険料はいくらなのかを見てみます(単身、子どもなしの場合)。
Lohnsteuer(所得税)から順に、それぞれの頭文字を取って総支給額から天引きされていた大体の率を算出すると、
L=10%、S=0.5%、K=8%、R=9%、A=1.5%、P=1.6%
という結果でした。
給与の額面が2,500ユーロ(322,500円)だとすると、それぞれ引かれる金額は以下のようになります。
- Lohnsteuer(所得税)=250ユーロ(約32,250円)
- Solidaritatszuschlag(連帯付加税)=12.5ユーロ(約1,610円)
- Krankenkasse(健康保険料)=200ユーロ(約25,800円)
- Rentenversicherung(年金保険料)=225ユーロ(約29,000円)
- Arbeitslosenversicherung(失業保険料)=37.5ユーロ(約4,840円)
- Pflegeversicherung(介護保険料)=40ユーロ(約5,160円)
総支給額2,500ユーロのうち合計765ユーロ(約98,690円)が天引きされているので、Netto(手取り)は1,735ユーロ(約223,820円)ですね。
これらほとんどの税金・社会保険料は日本と同様のものですが、一つだけ異なる税金があります。S(連帯付加税)です。これは簡単にいえば旧東ドイツ地域の復興を目的とするもので、ドイツ特有の税金です。
ドイツでの貯金は月500ユーロ(約64,500円)
家賃(水道光熱費及びネット込)は毎月500ユーロ(約64,500円)でした。賄いが出ていたのであまり食材を購入したりはしておらず、チップを頂いていたこともあり、毎月500ユーロは無理なく貯金できていました。
外食や衣服などの購入や旅行を控えた月は800ユーロ(約103,200円)を貯金に回すことが可能でした。
まとめ~海外でもらえるお給料には金額以上の価値がある
私は飲食店勤務でしたが、企業勤めになるとまた違った給料事情があるのかもしれません。
仕事終わりには、勤務中には気付かなかった疲れがどっと押し寄せてきてとても苦しかったですが、頑張ったからこそもらえたお給料はとてもうれしかったです。
もちろん日本で初任給を頂いた時もうれしさはありましたが、言葉が違う環境で体力も消耗する業務だったからでしょうか、ドイツで1カ月間働き終えた成果としてお給料を受け取った時は、日本でのそれを超える喜びでした。
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