日本で転職する際にも、履歴書や職務経歴書は重要な要素ですね。オーストラリアで転職したい場合はそれを英語で、しかもネイティブと同等、もしくはもっといいものを作成しなければなりません。
オーストラリアでの履歴書と経歴書は、2つが一体となったもので「Resume(レジュメ)」または「C.V.(Curricuram Vitaeの略称、シー・ブイ)」と呼ばれます。レジュメは日本の履歴書や職務経歴書とは違う点が多くあり、転職を成功させるためには書き方に注意と工夫が必要です。
ここでは、海外就職経験のある私が考案した、とっておきのレジュメ作成の手順とコツをお教えします。
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まずは職歴の棚卸を徹底的に!どんな小さな業務でも書き出す
「何をしたか」がポイント
日本でも職歴の棚卸を経験した人は多いかもしれません。
しかし、英文レジュメ(以下レジュメ)では「どこに所属していたか」ではなく、「どこで何を担当して、実際に何をして、どんな成果をあげたか」を書く必要があります。職歴というよりも、そこでの担当業務内容を具体的に書くことがポイントです。
日本人から見たら「え?それって職歴に書くようなこと?」と思われるものも、意外に高く評価される場合があります。例えば……
- 新人職員のメンターになり、トレーニングだけでなく相談相手として時には励まし、やる気をキープさせた。
=面倒見が良さそう、小さなグループリーダーを任せられるかも。
- 役所関係の書類をきっちりと案件ごとに振り分けてファイリングし、誰でも見やすいようにした。
=整理整頓が得意で、情報をマネジメントする能力があるな。
- データを電子化して全員で共有、その結果、情報が瞬時に共有され、紙資源を使わないことでコストを削減した。
=新しい技術を積極的に取り入れて素早い対応を可能にした上に、コスト削減までした。革新的なリーダー候補かも。
など、「何をしたか」を具体的にしてみると、応募するポジションが求める能力に関係していることがあるかもしれません。
これまでの業務内容を洗い出す
そのためこの段階では、思いつく限りの業務内容を書き出しましょう。繰り返しになりますが、この際に大切なポイントは何をしたか、です。この視点に立って、もう一度自分の職歴の業務内容を見直してください。
もちろん、これは日本語で大丈夫です。後の作業がスムーズになるよう新しい職歴を最初に書き、その前、さらにその前とさかのぼって書きます。
これをまず「職歴棚卸」のファイルにしましょう。
現状を分析し応募するポジションを絞り込む
業務内容を書き出す作業と同時に、自分の職務経験からどんなポジションなら働けそうか、また働きたいかを考えます。冷静に、現在の自分の能力と業務内容を分析しましょう。
現状と理想を視覚化
今の業務のどこにどのような不満があり、どんなチャレンジをしたいのか、またどんなキャリアを上積みしたいのか、さらにどんな環境で働きたいのか。考えながら、これを手書きでイメージ図にしてみましょう。
視覚化することで、現状と理想、その間にあるギャップがどのくらいなのか、それはすぐに埋められるものなのかがわかってきます。こうして視覚化しながら、今の自分にとって一段高いポジション、またはやってみたい仕事を想像してみましょう。
今の業務内容と大きくかけ離れているものは難しいことがイメージ図から理解できると思います。
キャリアを活かせる希望の仕事を探す
これまでのキャリアが活かせず、一から勉強しなくてはいけないようでは採用される可能性は低くなります。現実的に考えると、現在の業務内容やこれまでのキャリアとはそんなに離れていない、そして自分の能力がゼロではない内容の仕事に絞られるでしょう。
その中で、頑張ればきっとできる、やってみたいという仕事や、働きたい環境がイメージできると思います。これが応募するポジションを探す際に役に立ちます。
そして、応募するポジションごとに書き換えるレジュメの志望動機を考える際にも役立つのです。
レジュメの「基本形」1. 書式自由!必要事項を分かりやすく
フォーマットは自分のセンス次第
レジュメには定型がありません。大きさはA4、枚数はできれば2〜3枚以内に収める、という程度の慣例です。キャリアが長い人は5枚くらいになることもあります。
必要な内容は「氏名・連絡先」「志望動機」「職歴」「資格」「学歴」そして「Referee(レフェリー=推薦者)」です。
定型がないレジュメで、どんなフォントを使うか、字の大きさやレイアウトはどうするか。すべてあなたのセンス次第です。そんなことを急に言われても、という方は日本の転職サイトを参考にしてください。テンプレートもあるので、それを活用するのも良い方法です。
レジュメテンプレートがある日本の転職サイト
- 外資系に強い転職エージェント、ロバート・ウォルターズ:https://www.robertwalters.co.jp/
- DODA:https://doda.jp/
テンプレートからレジュメ作成する際の注意点
テンプレートを使う場合、注意すべき点がいくつかあります。
- 日付:オーストラリアでは、日/月/年の順、22nd September 2018、22/09/2018のように記載します。
- 年齢・性別・未婚既婚:記入しません。オーストラリアでは年齢や性別による差別を徹底的に排除しているためです。
- 連絡先メールアドレス:携帯電話のアドレスは避けましょう。Gmailなどを利用する場合、お持ちのアドレスがプロフェッショナルらしいか要検討です。アソビ心が入ったものや子供っぽいものなら、新たにプロフェッショナルらしいアカウントを取得してそれを使いましょう。
ここまで準備ができたら、実際にレジュメ作成に取り掛かります。
レジュメ作成の手順
今から作成するのはレジュメの基本形です。
1. 氏名と連絡先を記入、志望動機は空欄に
氏名は少し大きく太字にするといいでしょう。連絡先は本文と同じ大きさで大丈夫です。
そして、レジュメで重視される志望動機をここではObject:とだけ書いて、空欄にしたまま改行してください。実際に応募するポジションに合わせた志望動機を後で書くために空けておきます。
2. 職歴を書き出す
レジュメで最も大切なパートである職歴を書き出します。職歴の棚卸でやったように、担当した各業務を基にしましょう。
まずは会社名、部署名、ポジション名、勤務期間を記載します。この勤務期間の日付の書き方も注意しましょう。
次に棚卸の結果から、その職場の業務内容の中で重要と思われるもの、アピールしたいものを上の方に書きましょう。上から順に、重要なものから軽微なものへと書いていきます。これを会社の数だけ繰り返します。
英語の時制にも気をつけましょう。現職の職歴は現在形で、過去の職歴は過去形で書くのが一般的です。もし複数の職場で同じような業務があっても、今の段階ではそのまま書いておきます。
なお、職歴の書き方のコツは次の章でご紹介します。
3. 資格・能力、学歴を記載
この段階では持っている資格や能力をすべて書きます。能力は、例えばブラインドタッチで聞き書きができるなら1分間に何ワードできるか、などです。
学歴は、職務に関係がある場合はその学校から、通常は最終学歴だけを書きます。
さらにRefereeを記載しますが、これについては後述します。
レジュメの「基本形」2. 職歴にはアクティブワードを使え!
職歴を書く際のポイントは、守秘義務や個人情報に抵触しない範囲で簡潔かつ明確に、できるだけ数字を挙げて成果を書くことです。
さらに「◯◯をした」の部分をすべてActive word(アクティブワード)、またはActive verb(アクティブバーブ)と呼ばれる動詞にして、それを文頭に持ってきます。
アクティブワードの例
アクティブワードには以下のようなものがあります。どのような時に使うのかも確認してください。
計画・立案能力
- 何かを計画した時には「Planned~」
- 今まであったマニュアルなどを見直して改正した時には「Revised~」
- 問題や課題を解決した時には「Solved~」
- 何かを企画した時には「Projected~」
- 人を組織した時には「Organized~」
業務遂行能力
- 航空券などを手配した時には「Arranged~」
- すでにある仕事のスキームなどを見直した時には「Reviewed~」
- 仕事の範囲を発展させたり顧客との信頼関係を深めたりした時には「Developed~」
- 業務をした時には「Performed~」
- トラブルなどに対処した時には「Handled~」
- 何かを運営した時には「Operated~」
- 書類や資料を整備した時には「Maintained~」
- 業務目標を達成した時には「Achieved~」
- 何かを準備した時には「Prepared~」
- 誰かと一緒に仕事をした、または助けた時には「Supported~」
指示・管理能力
- 書類や業務進行を管理した時には「Administered~」
- 何かを決定した時には「Decided~」
- チームなど組織を率いた時には「Headed~」
- 誰かにやり方を教えた時には「Instructed~」
- 人や業務をマネージメントした時には「Managed~」
- 新人などをトレーニングした時には「Trained~」
- 部下を監督した時には「Supervised~」
リサーチ・分析能力
- データ分析などをした時には「Analysed~」
- コストなどを計算した時には「Calculated~」
- 部下や仕事の進行を監督した時には「Observed~」
- 複雑な調査をした時には「Researched~」
- 簡単な調査をして学んだ時には「Studied~」
ヒューマンスキル
- 誰かと協議した時には「Negotiated」
- 誰かに何かを勧めた時には「Advised」
- 何かを調整した時には「 Coordinated」
- 売り上げなどに貢献した場合は「Contributed」
- 誰かに助言した時には「Counseled」
- 誰かに提言した時には「Recommended」
- 何かプロジェクトなどに参画した時には「Participated」
こうやって文頭に能動的な動詞が書かれると、あなたが積極的で能動的な人と印象づけられます。さらに文頭を見るだけで、あなたがそこで何をしたかがだいたいわかります。
この書き方をすると、主語のI(アイ)を書く必要がなくなりますが、それでいいのです。これはあなたの職務経歴です。他の人のことは書いていなくて当然なので、主語がなくてもわかります。
各業務は1行に収める
採用する会社側は、レジュメから素早くあなたの「能力」「経験」「スキル」を知り、募集しているポジションに本当にふさわしい人かどうかを事前に判断したいと思っています。職歴の各業務は簡潔に、できれば1行に収めるようにしましょう。
なお、アクティブワード(アクティブバーブ)の詳細は以下のサイトでも確認できます。
15秒で相手に印象づける
こんなにレジュメの職歴に力を入れるのには、理由があります。
一般にエージェントも会社の人事担当者も、レジュメに目を通す時間は平均で15秒、長くても2分と言われています。つまりあなたのレジュメが15秒で相手の印象に残らなければ、声をかけてもらえない可能性が高くなるのです。
あなたに与えられた時間は15秒か、もっと短い場合もあるでしょう。一目で相手に「お、いいな」と思わせることが必要です。常にそれを忘れず、レジュメ全体を簡潔にわかりやすく書きましょう。
ここまで出来上がったレジュメを「基本形」として保存します。
ここが鍵!応募したいポジションに合わせてレジュメを調整
さて、自己分析を基にして、いよいよ応募したいポジションが見つかりました。今度は「基本形」のレジュメを、応募したいそのポジションに合わせて調整します。
アピールしたい業務内容を上手に配置
応募したいポジションに関係する業務内容を上の方に移動し、相手の目に留まるようにします。場合によっては、基本形よりも詳しく書いてもいいでしょう。その場合は全体のボリュームが増えるので、応募したいポジションとはあまり関係のない実績を削除します。
複数の会社に在籍し、応募するポジションに関係のある類似の業務をしていた場合、一番直近の会社の欄に記入します。
こうすれば、自然に直近の会社、もしくは応募ポジションと関係のある業務をした会社の実績が厚くなります。最も古い最初の会社は簡単に書いて、全体のページ数をできれば2~3枚に収めるようにしましょう。
求人広告からキーワードを盗め!頭に叩き込め!
求人広告にはJob description(ジョブ・ディスクリプション=仕事の詳細)やDesired candidate(デザイアード・キャンディデート=求める人材像)が書かれているので、まずはそれらをじっくりと読みましょう。
そして、自分が書いた職歴の業務内容と、そのポジションで求められる仕事に似たワードがあれば、キーワードとして動詞や形容詞に使いましょう。これを見抜き、レジュメに記載すれば「あ、この人はちゃんと求人広告を読み込んで勉強してきたな」と一目置かれます。
また、Desired candidateの内容は面接の際に自分をPRする決め台詞として使えます。頭に叩き込むようにしてください。
自己分析から見えた志望動機を簡潔に
最後に志望動機を書きます。
最初の職歴の棚卸の際に行った自己分析を思い出してください。なぜそのポジションに応募したいのかが改めて見えてくると思います。
そして、自分がいかにそのポジションにふさわしい人間か、自分を雇ったら会社にどんなメリットがあるかという視点から、簡潔にわかりやすく志望動機を書きます。
基本形をポジションに合わせてアレンジ
ここまで出来上がったレジュメを「XXXX会社用レジュメ日/月/年」として保存し、XXXX会社へのポジション応募に使います。
基本形はそのままにして、応募するポジションごとにファイルを保存すればアレンジするだけ。別の会社の同じようなポジションに応募する際は、基本形レジュメに少し手を加えるだけなので、レジュメ作成作業を省力化できます。
推薦者Referee(レフェリー)とは
Refereeは身元引受人ほど重い責任はないのですが、あなたが実際に現在の会社に在籍しているか、どんな仕事をしているかを、エージェントや応募先の会社が聞いてもよい相手の名前と連絡先です。直属の上司である必要はありません。
ほとんどの場合は上司に黙って転職準備をしているはずなので、同僚や総務の人に頼むと良いでしょう。まだ具体的にこの人、と決めていない場合は、T.B.A.(To be announced=後で知らせます)にしておくことも可能です。
依頼と確認は事前に済ませておくこと
Refereeとして名前を出す人には、応募するポジションのためのレジュメ最終版を作成する前にきちんと承諾をもらっておくことが重要です。相手の承諾を得ずに勝手に名前を記載することはやめましょう。
個人情報を無断で応募先に漏らすことになるのはもちろん、バレた時にオーストラリアのビジネス慣習を知らない、プロフェッショナルらしくない人、と評価されて不利になります。
Refereeを引き受けた時の経験談
職場で、ある同僚が転職活動をする際のRefereeとなることを承知しました。
連絡なんてないだろうと高を括っていたら、エージェントと応募した会社、それぞれから連絡があったのです。応募先の会社からは在籍確認があっただけでなく、その人の働きぶりや私から見たその人の性格まで聞かれました。
こんな時に自分に有利なことを言ってもらうためにも、Refereeになってもらう人には必ず事前に話をして承諾を得ておきましょう。
レジュメ作成のポイント補足、遠慮控えめは無用!
傾向として、日本人は100%知っていてできることをしか「できます」と書きません。
オーストラリア人は20%しか知らず、できなくても「できます」と書きます。彼らにとっては知識や経験がまったくのゼロ、0%でなければ「できます」の範囲に入るのです。
そういう人と一緒に審査を受けるわけなので、少しでも知っていること、やれることは、そのポジションに関係があればぜひ書いてください。
まとめ〜レジュメは常にアップデートを
オーストラリアのレジュメは、日本の履歴書とは書き方も慣習も異なります。作成は簡単ではありませんが、これこそが転職の鍵となります。簡潔に、明瞭に実績をPRして、自分こそがこのポジションにふさわしいと堂々と書いてください。
そして、転職がかなった後でも定期的に情報を追加・整理することをおすすめします。オーストラリア人は、常にレジュメを追加したり整理したりしています。興味のあるポジションを見つけたらすぐに応募できるようにするためです。のんびりしていると思われがちなオーストラリア人のちょっと意外な一面ですね。
時間をかけてしっかりと準備し、よりHappyになれる転職がかないますように!
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