オーストラリアで官公庁や公的機関のポジションに転職するには

ビジネスメンバー オーストラリアの働き方

日本の官公庁は新卒者を一斉採用するケースが主流ですね。でもオーストラリアでは新卒の一斉採用というシステムが無いため、官公庁も必要に応じて募集をかけます。

そして企業と違ってエージェントを通すことはほとんどありません。

今回は、オーストラリアの官公庁への応募方法、また正職員のポジションへ転職する裏技をお教えします。

官公庁や公的機関はオーストラリアでも人気の職場

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官公庁や公的機関の特徴

官公庁や公的機関は一般的に企業に比べて手厚い福利厚生があり、また何よりもうれしい安定した雇用が望めます。

企業では組織改編で、突然自分の所属する部門がなくなってしまったり、会社自体が買収された結果、ポジションを失ってしまったりすることも珍しくありません。

経営不振で大量リストラはオーストラリアでも日常茶飯事です。

そのため安定した雇用が期待できる官公庁や公的機関は、日本と同様にオーストラリアでも人気の職場です。

オーストラリアは国の各省・州政府の各省・警察・市などの自治体の他に、大学職員も官公庁と同様の待遇を受けることができるので、こちらも人気があります。

実はオーストラリアの大学は、ほぼすべてが国立大学のためです。

さらにオーストラリアでは新卒の一斉採用が無いため、必要な人材をその都度募集します。

官公庁や公的機関は、特に業務経験者の採用率が高く、一年を通して何らかの求人がでているのが特徴です。

日本人が応募できるオーストラリアの官公庁や公的機関は?

会社

日本人を含めて外国籍の人が応募できるオーストラリアの官公庁は、州政府レベルまでです。国レベルになると、国籍保持者に限られます。また、州政府レベルでも警察官などいくつかの国の機密情報に近い部門は、国籍保持者だけが応募できます。

通常、オーストラリアでは永住権をとってから5年ほどで国籍の申請ができます。犯罪等の問題を起こした経歴がなければ、国籍の取得は可能です。

アメリカ、イタリアなどをはじめとする二重国籍が可能な国の出身者は、オーストラリアと自分の故郷の国、2つの国籍を持って生活をしている人がほとんどです。

しかし日本人の場合、日本政府が二重国籍を認めていません。オーストラリアの国籍を取るということは、日本国籍の放棄が必要です。

一度日本国籍を手放すと、今度はあなたが日本では外国人の扱いになり、日本滞在も原則観光ビザで3か月までになります。

将来日本にまた戻りたいと思った場合には、日本国籍を再取得しなければなりません。この手続きはとても複雑で大変です。

オーストラリアの永住権保持者は被選挙権が制限され、また国政選挙への参加ができません。同様に国の機関への就職ができません。

でもこれ以外は全て国民と同様の扱いを受けられるので、永住権保持までにしている日本人が大半です。

こうしたことから、日本人の転職先として有力な官公庁や公的機関は、州政府や市などの自治体、そして大学職員となります。

残念ながら労働ビザ取得をサポートしてくれるケースを私は目にしたことがありません。最低でも永住権を持っていなければ官公庁や公的機関への就職は限りなく不可能、と考えてください。

求人を探すには?応募方法は?

パソコン

官公庁や公的機関は、エージェントを通さずに直接職員を募集することが一般的です。Indeed、SEEKなどのサイトに求人が掲載されています。

これに応募する場合は、応募要項で指定された方式で、直接担当者にレジュメを送ります。

官公庁や公的機関への応募の際も、企業の場合と同様に求人広告中のJob descriptionとDesired candidateの詳細をよく調べましょう。

既に同じような業務を経験していたら、レジュメでそれが目につくように書きます。Job descriptionの動詞と、Desired candidateの形容詞についても、同じものを自分のレジュメで利用しましょう。

カバーレターを作ろう!

サイン

エージェントを通さない直接応募の場合には、レジュメにカバーレターと呼ばれる添え状をつけます

カバーレターは3~4段落の構成が一般的です。

1段落目は志望動機を書きます。

2~3段落目で、もしこのポジションで働けたら、自分の過去のどのキャリアやスキルを用いてどのように貢献できるかなど、自己PRを書きます。

最後の段落には、面接のお願いと読んでくれたことへのお礼を書きます。

カバーレターでは職歴を網羅せず、応募するポジションに関連のある経験を中心に、簡潔にわかりやすくまとめましょう

カバーレターを書く際のポイントは以下2点です。

  • 宛名は採用担当者にする
  • 履歴書の内容のうち、応募するポジションに役に立ちそうな経歴を中心に書く

カバーレターをつけることで、オーストラリアのビジネスマナーに基づいたプロフェッショナルであることをアピールできます。

なおカバーレター履歴書のフォントをそろえると、一層プロフェッショナルらしくなります

日本の求人サイトでもカバーレターのサンプルが紹介されています。

どうしても官公庁や公的機関の正職員になりたい!そんなときの裏技

パソコン

官公庁や公的機関の場合、国が掲げるEqual Opportunity(イコール・オポチュニティー=機会の平等。年齢・性別・国籍などに左右されず、能力を中心に選考する)を厳守しなければなりません。

そのため実際の結果を見ると、能力を中心に判断し、同じような仕事をした経験者を優先する傾向が顕著です。

そこでどうしても官公庁や公的機関で働きたい、できれば正職員になりたい!という人にとっておきの裏技をお教えします。

期間限定のポジションを狙う

それは最初から正職員に応募せず、まず半年から1年程度の期間限定のポジションに応募することです。契約期間が終わったらまた職探しをするなんて、と思うかもしれません。

確かにこれは賭けかもしれません。ですが期間限定の職であっても、まず立派な経歴になります。

さらにあなたには2つの可能性が開けます。

1つ目はお試し的に作った期間限定の新しいポジションと、そのために雇った人員が想定したよりも良く機能した場合です。

こうなった場合、期間限定お試しポジションが新しい正規のポジションに変更されることがよくあります。

その場合でも、官公庁はEqual Opportunityの原則から、求人広告をださなければなりません。

でもそこで最有力の候補者は誰でしょう?もちろん、あなたです。あなたは今回の期間限定の仕事をした実績があるので、誰よりも経験がある、と言えます。

そこであなたは今回の経歴を入れたレジュメを作成し、他の人と同様に応募します。

Equal Opportunityの原則から、全員のレジュメを検討した結果、募集する内容の仕事に最も経験がある人、一番の適格者はあなただった、という結果になることが普通です。こうしてあなたは晴れて官公庁や公的機関の正職員になれるのです。

反対に、産休・育休取得者の代わりの人を募集している場合は少し考える必要があります。必ずその仕事は期間限定と決まっているためです。

2つ目は、その期間限定のポジションが期間満了で終了になってしまった場合です。

この時は、あなたの働きぶりを知っているマネージャーや周囲の人にそれとなく、この先のことを相談してみましょう。

あなたが良い仕事をしていれば、同じ機関内の別のポジションを紹介してくれることがしばしば起こります。あなたの人柄と働きぶりは既に証明済みなので、あなたは有力な候補の一人になります。

もちろんこの場合でもEqual Opportunityの原則からまたレジュメを提出し、選考を受けなければなりません。仮にそのポジションがまた期間限定だとしても、そのポジションが次に常設の新しいポジションになる可能性はゼロではありません。

その時はあなたが最有力候補になるのです。こう書くとお気づきのように、官公庁や公的機関の職員募集の大半には既に最有力候補がいます。

その最有力候補を相手に、オーストラリアの官公庁や公的機関で働いた経歴も無いあなたが、いきなり正職員になるチャンスを捕まえることはかなり難しいとわかりますね。

だからまず「ここで働きたいな」と思う機関での仕事の実績を作ることです。もちろん、最有力候補がいないポジションの募集もあります。

ですから自分ができる、興味があると思うポジションの求人があったら、正職員であるか、期間限定であるかに関わらず、チャレンジしてみることが大切です。

繰り返しになりますが、この期間限定職員から正職員への道は裏技であり、あくまで賭けです。けれどもまったく見込みがない賭けとも言えません。実際にそうやって州政府の正職員になった友人が、私の周囲に複数います。

またなによりも、そこで働いたことは、あなたの実績になります。どうしても官公庁や公的機関の正職員を目指したい人は、期間限定のポジションを最初から排除せずに、挑戦してみてください。その結果、このような道が開ける可能性があることも覚えていてください。

まとめ

雇用が不安定なオーストラリアで、比較的安定した雇用が期待できる官公庁や公的機関のポジションは、日本と同じく常に人気があります

特にEqual Opportunity の大原則の元で選考されるので、外国籍の人でも、その職務に必要な能力さえあれば雇われるチャンスがある、魅力的な職場です。

結果的に競争率が高くなるので、多くの候補者の中から採用を勝ち取るためには、カバーレターが鍵になります。

カバーレターには単なる経歴の抜粋ではなく、自分のどのスキルと経験がこのポジションで役に立つかを具体的に書いて自分をPRしましょう。

カバーレターを作成したら、一度友人や家族に読んでもらいフィードバックを受けると自分では気づかなかった不備を指摘されることがあります。

その意見を参考に、再度カバーレターを作りましょう。

それだけ努力をする価値のある職場ですから、採用を勝ち取るためにぜひ頑張ってください!

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