カナダ中部「サスカチュワン州」の気候とは?真冬と真夏の気温差は80度

冬の雑木林 カナダ生活・移住

カナダと言えばどうしても、寒い国というイメージが強いでしょうか。フィギュアスケートやカーリングなど、冬季オリンピックが強い印象ですよね。

カナダは広い国ですので地域差はありますが、実は夏はとても暑くなります。7・8月はエアコンを連日使っている家も少なくないのがここ、サスカチュワン州です。

今回は、このカナダの真ん中にあるサスカチュワン州の気候について、ご紹介します。

カナダ・サスカチュワン州の位置と気候の特徴とは

菜の花畑

ここサスカチュワン州は、西側のアルバータ州、東側のマニトバ州に挟まれた、Prairie(プレーリー)と呼ばれる平原地帯の真ん中に位置しています。山も谷も少ない、いわゆる野っ原です。日本の盆地もそうですが、周りを山に囲まれた平らな地域は夏に暑く、冬に寒くなるという特徴があります。

アルバータ州のロッキー山脈と、マニトバ州のRiding Mountain(ライディング・マウンテン)国立公園にある山々の間に挟まれているサスカチュワン州は、まさにこの地形の影響を受けています。

夏には+40度前後まで気温が上がる一方、冬にはー40度以下になる日があったり……と上下差が大きくなっています。私の住むサスカトゥーン市は、州の真ん中あたりに位置しています。まさにこの、気温差が特徴的な街です。

この街に移り住んでもう15年以上になりますが、記憶しているだけでも、夏は+38度、冬はー42度(風を含めた体感温度はー58度!!)を体験したことがあります。

平均データについてお話しすると、

  • 1月の最低気温の平均がー20度
  • 7月の最高気温の平均は+25度

です。その差は45度となります。

東京は、一番寒い1〜2月の最低気温の平均がー4度、最高気温は8月が一番高くて+30度ですので、34度の差です。平均気温の温度差を比べてみても、サスカチュワンは夏暑くて冬寒い、という内陸の気候が見て取れるかと思います。

また、今年の夏は38℃を観測した日がありましたが、その数日後には最低気温が一桁になったりと、暑くなったり寒くなったり、日ごと週ごとの変化が大きいのが特徴です。

とても暑い日でも夜はぐっと気温が下がって15℃前後になることが多く、エアコンがない我が家などでは、最初は寝苦しくても数時間で平気になります。熱中症になる人も、ニュースになるほど多くはないようで、あまり聞きません。

公園の子供

子供たちはそんな暑さの中でも元気いっぱい。

街には暑さを和らげるために噴水やシャワー、浅いプールなどで水遊びができる公園が、幾つも設けられています。30度を超える暑さになると、近所の子供たちがこうして涼を求めて集まります。

カナダ・サスカチュワン州の冬ならではの光景

冬の川

ハンパない冬の寒さと美しい光景

タイトルに書きましたが、冬はー40度になる日も珍しくありません。風が出ると、体感温度はー50度以下になる日も!!こんなに寒いと、バナナで釘を打つ、ということもリアルにできてしまいます。

街の真ん中を流れる大きなサスカチュワン川も、このように半分以上の表面が凍ってしまいます

氷の上には雪が積もり、鳥や動物の足跡がくっきり。気温がー20度より下になると、外気温より水温の方がずっと高いので、白い湯気が川から上がっているように見えます。厳しい寒さを描写しているような光景で、なかなか迫力があります。

乾燥した空気

海までの距離を考えると納得なのですが、冬のサスカチュワンの空気は本当に乾燥しています。

シャワーの後、ドライヤーをかけなくても自然に髪が乾いたり、夜ごはんの後に食器洗浄機を回した後、乾燥機能を使わずともふたを開けておけば、翌朝までにはドライになるほどです。

初めてここに来た時には、湿度が低すぎたせいで急に声が出にくくなり、ホストマザーにのど飴を買いに行ってもらった思い出もあります。

雪を纏った木

寒さが少し和らいでー10度前後になると、湿度が高い時には美しい樹氷があちらこちらで見られます。

冬を快適に過ごすための備え

冬は確かに厳しいのですが、家や建物の造りはしっかり防寒仕様になっていて、隙間風などに悩まされることは少ないと言えます。窓は、古い家だと2重構造ですが、最近は3重構造がスタンダード。外は寒くても家の中はしっかり暖かく保たれます。

移動も車さえあれば、家から車までしか外気にさらされることがないので、それほど困りません。

車には基本、remote starterが搭載されていて、家の中からボタン一つでエンジンをかけて、車をあらかじめ温めておくことができます。小さな子供がいる家庭では、本当に重宝する機能です。

寒い日に起きた思わぬ事件

ある寒い日の夜、銀行へ行ったときの話です。用が済んで車へ向かって歩いているとき、手が滑って車のカギを雪道に落としてしまいました。すぐに拾って雪を払って、いつも通り車を運転して帰宅しました。

ところが翌日、車のキーが鍵穴に入りません。理由は思いもかけないものでした。前の日に鍵を落としたとき、ついた雪をきちんと払わなかったため水滴が鍵穴に入ってしまい、そのまま夜中に凍ってしまったというわけです。

結局、延長コードで家の中のコンセントにつないだヘアドライヤーを持ってきて、温風をしばらく鍵穴へ向けて当て、中の氷を溶かして無事運転することができました。こちらへ来る皆さんは、こんな事故にも気を付けてくださいね!

カナダ・サスカチュワン州の夏の暑さとスコール、そして山火事

空

夏はしっかり暑くなるのがサスカチュワンです。朝晩は気温が下がると言っても、日中は強い日差しとともに、ぐんぐん気温が上がりますしかし空気が乾燥しているため、じとっとした暑さと違い、割と過ごしやすい季節です。

急な雨が多い

雹

夕立やスコールは、こちらでもよく見られます。さっきまで晴れていたのに、と気づいたときにはもうぽつぽつ降り始めていて、そこからざーっと来るまではものの数秒。特に6〜7月は急な土砂降りとともにひょうが降ってくることも多いので注意が必要です。

こんな卓球球くらいの大きさのひょうが、ごろごろ降ってきたときは大変です。家の屋根や車はボコボコになってしまうし、当たりが悪いと窓ガラスなども割られてしまいます。

ちなみにいい車を運転している人は、SGI(Saskatchewan General Insurance)でアップグレードした保険をかけておくのがおすすめです。毎月の支払額は上がりますが、こんな天候による被害も全額保証してもらえますよ。

こちらがSGIの、車保険アップグレード(https://www.sgicanada.ca/)に関するページです。

天気予報によると、今日は……「煙」?!

晴れ、雨、曇りなどはもちろんこちらでも使われるのですが、他の国や地域ではあまり見かけないのが、「smoke」という予報。その名の通り、煙たい一日になるでしょう、という予報です。

カナダはその広さから、無人の森林地帯が多く存在します。その地域で、乾燥した時期が続くと、木々の摩擦などを理由に火災が発生してしまうのです。

バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州、カルガリーがあるアルバータ州と、ここサスカチュワン州は特に山火事のニュースが多く報道されています。

森林火災は木々を伝ってあっという間に燃え広がり、莫大な面積の森林地帯が一気に炎に包まれます。そうなってしまうと、少しの雨では消化できないので、近くの街から消防隊が駆け付けるのですが、それでも完全に消えるまではずいぶんかかります。

その間に、風の力で西から東へと、煙が運ばれていくことになり、1000キロ以上も先の街が、影響を受けることもあります。

道路

この写真は今年の夏にBCで起こった森林火災の煙で、100メートル先ですら真っ白で見えなくなってしまった時の様子です。こうなると、ぜんそく持ちの人などは窓を開けることもできなくなり、完全に締め切った室内で数日過ごさなければなりません。

健康上の問題がない私でも、外にいると目が痛くなったり、のどが痒くなったりしました。せっかくの天気の良い夏の一日も、煙が酷いと台無しです。

とはいえ、いきなり来る嵐や煙害は、サスカチュワンの夏でわずか数日のこと。それ以外の日は、雨も少なく、朝晩の涼しい気温が心地よい、過ごしやすい夏だと言えます。

カナダ・サスカチュワン州の春と秋はどのような気候?

遅い四月の雪も珍しくない

3月4月は、暖かくなったと思ったらまたー20度の日があったりと、数日ごとに気温の差が激しい時期です。急に+5度くらいになって雪が一気に解けたあと、またー10度くらいになって降雪があったりと、完全な春が訪れるまでは行ったり来たり。

我が家の上二人は、4月末産まれなのですが、お産の時に雪が降っていたのを覚えています。ー20度以下で数か月過ごした後に0度を上回る日が出てくると、そこらじゅうでTシャツ姿の若者を見るようになります。

慣れって、恐ろしいですよね。でも、急に20度も気温が上がると、0度でも本当に暖かく感じるから不思議です。

春には桜も咲く

桜

日本の桜とは少し違いますが、サスカチュワンでも桜の花が見られます。これは、我が家の軒先に植えられたナンキンチェリーという種類の桜。綺麗な花が散った後には赤い小さな実がなります。甘酸っぱくてなかなかおいしいんですよ。

ナンキンチェリー

こちらがチェリーそのものです。中に種があるので、小さな子供が食べるときは注意してみてあげましょう。

秋は短い

秋の木

木々の枝がアーチ状に交わりあって、黄色のトンネルができるこの季節。散っていく落ち葉も美しくて、個人的に秋が一番好きです。

夏から冬への移り変わりはあっという間の年が多く、今年は9月半ばにすでに初雪を観測。先週我が家の庭には雪だるまが3体いました。数日でその雪は溶けましたが、庭のトマトもズッキーニも寒さでやられてしまい、すっかり寂し気な風景です。

10月末のハロウィンは、大抵雪の中をトリック・アンド・トリートで歩き回ります。こんな寒い地域ですので、ハロウィンも多少アレンジされてしまいました。

ハロウィンの子供

小さな子供たちがずいぶん寒い中、外を長いこと歩き回るのはかわいそうだということで、市内のショッピングモールでは、室内トリック・アンド・トリートを開催します。

これならよちよち歩きの赤ちゃんでも、凍えることなくお菓子集めに繰り出せるということで、小さな子供は特にモールでハロウィンを楽しんでいることが多いです。

川辺川べりは木々が色々な色に染まり、色彩豊かなパレットを眺めているようでとてもきれいです。

まとめ

1年の半年以上は冬、と言えるここサスカチュワン州。確かに寒さは折り紙付きですが、そんな厳しい冬があるからこそ、他の時期をより慈しめるのも事実です。春の訪れを楽しみにする気持ちは、世界のどこに住んでいる人よりも強いと言えるでしょう。

湿度の低さと昼夜の寒暖差などのおかげで、夏の暑さはしのぎやすいので、暑がりな人にとってはむしろ暮らしやすいかもしれませんね。真冬のサスカトゥーン市でー40度を体験してみるのも、貴重な経験になりますよ!

ただ、防寒着をしっかり準備するのだけは、くれぐれもお忘れなく!

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記事を書いた人

カナダ・サスカトゥーン市在住。カナダでカフェのバリスタ、和食レストランでウエイトレス、日本語教師をしています。
2年間のカナダ留学経験。

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