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シンガポールの医療レベルは?入院してわかったシンガポールの医療事情

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シンガポール

海外生活で最も不安なのは病気になった時です。環境や食生活の変化で思いがけず病に倒れる場合もあります。救急車の呼び方、入院の手続きなど全て日本とは勝手が違います。事前に万が一に備えての情報を知っておくことが大切です。

以下は、日本人駐在員である夫がシンガポールの公立病院に入院した時の経験です。周囲のサポートに助けられて何とか乗り切りましたが、シンガポールの医療にはやはりお国柄が表れていました。

少しでもシンガポールに住む方の参考になれば幸いです。

※この記事の内容は2018年11月現在のものです。

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シンガポールで救急車を呼ぶ時は

病院の看板

シンガポールの救急番号は995

日本の119番にあたるものが995番です。救急GOと覚えると良いでしょう。基本的に無料ですが、緊急性がないのに利用するとお金を請求されます

私は全く医者に縁のない生活をしていたせいで、この救急車の番号を知りませんでした。あわててネット検索して995にかけました。

ただし、この番号にかけると病院の選択はできません。自動的に近くの公立病院に運ばれます。病院を指定したい場合は、有料の救急車1777番を呼びます。日本円で1万円くらいかかります。

有料救急車ならキャッシュレス病院も可能

ほとんどの日本人駐在員は日本の民間医療保険に入っています。シンガポールでもキャッシュレスの病院(病院が保険会社に直接請求するので患者は治療費を支払う必要がない)がいくつか指定されています。

995の行き先である公立病院はキャッシュレスではありません。このことは覚えておいてください。

一方、日本人がよく利用するラッフルズ・ホスピタルは指定病院です。ラッフルズ・ホスピタルへ行きたいなら有料の救急車、もしくはラッフルズ・ホスピタルが持っている救急車を呼びます。

しかし、これはあくまで病院を選ぶ余裕やかかりつけ病院がある場合です。緊急を要する場合はやはり995を呼びましょう。

シンガポールの救急車を呼んでから病院搬送まで

案内看板

救急番号の対応はもちろん英語です。私はこちらの住所を聞かれても上手く伝えられず、落ち着いてと何度も言われました。その後すぐに折り返しで、今度は救急車の中からコールがありました。患者の年齢、意識はあるか、呼吸はしているか、などを質問されます。

そして、10分くらいで自宅に到着。高層住宅のエレベーターに担架は入らないのでしょう。大きな車椅子のような装置と救急隊が6名でやって来ました。大人数なので少し驚きました。

その椅子に夫を座らせ、すぐに心電図などいくつかチェックして搬送。救急車は各地区の総合病院から来るので、搬送先を探す必要はありません。自宅はシンガポール国立大学病院の該当地区で、最先端医療を受けられる場所でした。

シンガポールの医療システム

シンガポールの病院

シンガポールは自由診療で、医療機関により診察費や治療費が異なります。

自分で医療費を積み立てる

シンガポール国民は健康保険の代わりに、各自が給与から天引きで医療積立をしています。自分や家族が使う医療費はそこから賄います。つまり、自分で積み立てたお金を使うわけです。積立金は医療費以外には使えないため、健康で医者にかからない人はお金がたまることになります。

これ以外にもシンガポール国民は、大きな病気などで積立金を使ってしまった時にそれをカバーする保険にも加入しています。

日本では、健康で全く病院に行かない人も同額の保険料を支払っていますが、それとはだいぶシステムが違います。もちろんシンガポールにも貧しい人のためのセーフティネットはありますが、自分の身は自分で守る、病気は自己責任という考え方です。

アルコール類がとても高価なのは、そうした考え方に基づく政策です。

外国人の入院には高額なデポジットが必要

シンガポールの医療を受けるにあたっては、次のような区分があります。

  1. シンガポール国民
  2. 永住権を持つ外国人
  3. 就労ビザを持つ外国人
  4. 単なる外国人

以上の4つで、外国人に対する値段設定は高くなります

夫は3の「就労ビザを持つ外国人」ですが、医療費に加えて必要になるのがデポジット、つまり入院保証金です。外国人は医療積立がないので、当然要求されます。

駐在員保険に入っているとはいえ、まずは個人で立て替えて支払います。入院した途端に日本円で約80万円のデポジット請求がありました。ただ、病院によっては、会社による医療支払い保証書で済む場合もあります。

シンガポールの病院の病室と食事

病室

エマージェンシーで処置後、病室に移動しました。ICUのような、ナースが常駐する大きな部屋でした。入院手続きは各階にあるペイシェントサービスという場所で行い、デポジットなどの支払い関係もそこです。

国立大学病院は大きな病院で、慣れるまでは迷路のようでした。各科の病棟があり、WARDという単位に分かれています。1つのWARDにナースステーションと大部屋や個室がいくつかあり、大体50名くらいの患者がいました。

ロビー階にはフードコートやカフェがあり、MRT(地下鉄)の駅に直結しています。

個室は入るまでにも多額の費用がかかる

病室のランクは、

  • A:エアコン付き個室
  • B:エアコン付き4人部屋
  • C:エアコンなし大部屋

があります。私たちは個室をリクエストしましたが、いくら待っても移動できません。空きがないからと言われてしまいます。

いろいろ勝手が分からず困っていたら、在住30年の友人が助っ人に現れて、請求書の内訳や病室の仕組みを教えてくれました。よく見ると、個室をリクエストした日から、意味不明な消耗品項目の値段が驚くほど上がっています。その上、追加のデポジットも請求されました。

個室は空きがあれば入れる、つまり個室待機です。すなわち、払える能力のある人と見なされ、実際に移っていなくても同様の費用がかかるのです。とにかく自由診療なので文句は言えません。

食事は主に3種類から選択可

入院生活で部屋の次に大事なのは食事です。食事は宗教上の理由で3種類から選択できます。中華風のチャイニーズ、イスラム教徒用のマレー、それにヴェジタリアンの3つです。

時々ウェスタン、洋食もありました。どれも食欲をそそりませんが、温かい状態で用意されます。

食べ物の持ち込みはそれほど制限はありませんでした。ある患者さんのところでは、大家族がベッドを取り囲み、食べ物をどんどん出してみんなで食事していました。

シンガポールのドクター

病院の入り口

多国籍で威圧感なし

シンガポール国立大学は国内唯一の医学部です。出身者だけでは足りないので、シンガポールでは外国の医師免許を持つドクターも働くことができます。夫の主治医は中華系シンガポール人でしたが、インド人やマレーシア人のドクターもいて多国籍でした。

ドクターは白衣を着ていないので、最初は隣のベッドのお見舞い客と間違えてしまいました。教授回診らしきグループも、ものものしい雰囲気はありません。やはり白衣を着ていないと威圧感が少ないです。女医さんはバッグまで抱えていました。

英語での説明に苦労

医学用語は難しいので、ドクターによっては図を描いてわかりやすく説明してくれる人もいましたが、斟酌なくしゃべる人もいました。通訳に電話して、代わって説明を聞いてもらうこともありました。

また、ドクターの話を録音しようと試みましたがNOと言われました。大事な時は日本語ができる病院の人が一緒でしたが、正式な医療通訳ではないので首をかしげることもありました。とにかく苦労は言葉につきます。

ちなみに私の英語力はTOEIC600くらいで、一応日常会話はできます。ですが、半分も理解できなかったと思います。

シンガポールのナース

ナースステーション

日本の病院に比べてナースは人数の余裕があり、恵まれた職場のように見えました

食事の世話やシャワーの介助は専門のスタッフがいるので、ナースは医療的な仕事だけです。よくナースステーションで楽しそうにおしゃべりしていました。iPhoneの翻訳機能を使ってコミュニケーションを取る若いナースもいました。

私の印象では、シンガポール人はとりわけ親切だったりフレンドリーだったりするわけではありません。割と淡々としています。ですが、病院のナースたちはとても親切でした。普段は不必要な愛想は振りまかず、親切は必要な時まで取っておく感じです。

私は最初はマダムと呼ばれていましたが、そのうちアンティ(おばちゃん)になってあれこれ世話を焼いてくれました。

シンガポールでの保険金請求の手続き

無事に退院となった時に大事なのが、保険金請求のための書類の申請です。立て替えた医療費を日本の保険会社に支払ってもらうためです。医療費のレシートの他に主治医の診断書が必要です。これは日本の保険会社の用紙に書き込んでもらいます。

ただし、先に述べたキャッシュレス指定病院だと必要ありません。

その他に、生命保険の入院特約(入院1日あたりに支払われるもの)に基づく請求も、日本とのやりとりを含め面倒でした。メディカルレポートのセクションで申し込みますが、かなり時間がかかります。8週間と言われましたが、実際にはもっとかかりました。

デポジットを精算後、余りのお金が出ますが、その場では返金してくれません。数週間後に小切手で郵送されてきます。

シンガポールの医療費

請求書

レベルが高い分、高額

シンガポールの医療水準は高いです。近隣のアジア諸国からの患者搬送も多いと聞きました。それだけに医療費は高く、単なる風邪でも薬代を含めて日本円で2万円くらいかかります。

入院となると大変です。ベッドとケアで1日あたり4万円、MRI検査で8万円、カテーテル術は40万円くらいになります。ただし、これはあくまでも公立病院の場合で、私立病院はもっと高額です。

シンガポールの私立病院には近隣諸国や中東のお金持ちも入院するそうで、一流ホテル並みの部屋もあります。

質もサービスもお金次第

私立病院が高額な理由として、その運営システムがあります。病院とドクターには雇用関係がありません。病院は場所と設備を提供するだけで、専門医がいわばテナントとして開業するオープンシステムになっています。

上述したようにシンガポールは自由診療なので、質やサービスははっきり言ってお金次第です。私立病院は全て迅速でサービスも良いですが、まさにビジネスです。

日本人が働く会社の中には限度額なしの保険に加入しているところもあるので、日本人駐在員=ドル箱のように見られているふしもあります。

公立病院の思うようにいかない「かったるいサービス」ともども、異国での入院は心許ないです。

まとめ~自分の身は自分で守るのがシンガポール流

最近、日本では、「国民皆保険」を不法に利用して高額治療を安く受ける外国人の問題が取り上げられています。

それとは対照的に、合理的とも厳しいとも思えるシンガポールの医療事情ですが、政府はあえて福祉国家にならないことを明言しています。過剰医療による政府の財政圧迫を避けるためです。

シンガポールは金銭に関して甘くはありません。駐在の方は当然ですが、旅行に行かれる方も海外旅行保険には必ず加入してください

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