アジア経済の中心であり、就職先や留学先としても人気が高いシンガポール。一人当たりのGDPは日本よりはるかに高く、世界経済のハブとしての役割もどんどん大きくなっており、投資家も注目する国です。
私は、日本でも業務経験のあった電子機器部品分野の会社に運よく転職が決まり、シンガポールで役員秘書の仕事をしていました。
ここではシンガポール就職経験者である私から、シンガポールで働くために知っておきたい情報を紹介します。シンガポールでの就職・転職を目指す方、ぜひ参考にしてください。※1SGD=80円
- シンガポールの就職状況・特徴を知る
- 中国語や英語などを勉強し仕事の選択肢を広げる
- シンガポールで働く自分をイメージする
- 日本人向けの求人を探す
- 転職サイトを利用する
【海外求人をチェックしたい方はこちら】
- リクルートエージェント (未経験から幅広く求人を探す)
- LHH転職エージェント(全世界から幅広く求人を探す)
- JAC Recruitment(海外勤務・外資系を狙う年収600万円以上の方向け)
シンガポールは日本人が働くにはおすすめの国
シンガポールには日系企業が数多く進出しており、日本人にとって就職しやすい国です。
さらに、日系企業だけではなくさまざまな国の企業がシンガポールに進出しているので、キャリアアップしたい方には絶好の場所です。
シンガポール就職をおすすめする理由
- キャリアアップを狙える
- 多国籍の環境で働ける
- 語学力を活かした仕事ができる
- 先進的な環境
- アジアのハブで働ける
シンガポールで働くにはある程度の語学スキル(英語や中国語)が必要となるので、渡航前にできるだけ語学力を伸ばしておくと就職先の選択肢が増えます。
日系企業ではあまり語学力は求められず、英語が苦手という方にとっては狙い目です。ただし、日本での働き方とさほど変化がなく、当然、語学力もなかなか伸びません。
英語ができれば外資系企業就職も可能
変化を求めている人は、英語をどんどん勉強してシンガポール企業や外資系企業を狙いましょう。シンガポールの有名企業には以下のようなものがあります。
- 通信のスターハブ
- 倉庫業のグローバル・ロジスティック・プロパティーズ
- 病院のラッフルズ・メディカル・グループ
- 郵便のシンガポール・ポスト
- 不動産のUOLグループ
- メディアのシンガポール・プレス・ホールディングス
- 金融のDBSグループ
現地の大手企業、有名企業
- DBS Group Holdings Ltd(DBS銀行)
シンガポールで最もメジャーな銀行のひとつで、現在では18カ国280以上の支店を持っています。与信・貿易取引サービス、市場金融商品、資本市場のアドバイザー業務などを提供している会社です。
- Wilmar International Limited(ウィルマー・インターナショナル)
アジアでも有数の農業ビジネスを行っている会社で、特にパームオイルの生産に力を入れています。
- Singapore Telecommunications Ltd(シンガポール・テレコム)
アジア最大級の総合通信事業会社です。アジアを中心としたICT(情報通信技術)サービス、21か国と提携したモバイル事業を行っています。
- Oversea-Chinese Banking Corporation Ltd (オーバーシー・チャイニーズ銀行)
1932年に、三つの華僑銀行が合併してつくられた銀行で、シンガポールで二番目に大きな銀行です。シンガポールの他に、インドネシア、マレーシア、中国を中心に19カ国、540支店以上を持っています。
シンガポールで働くメリット
ビジネス英語を習得できる
シンガポールのビジネス現場で使われるのは基本的に英語です。日系企業でも英語を話す人が多く、外資・日系問わず英語環境に身を置くことができます。
私は英語がある程度できる状態でシンガポールに行きましたが、ビジネス英語に最初は苦戦しました。しかし、それにも徐々に慣れTOEICなどのスコアが伸びました。
テキストや映画で英語を勉強するのとはまったく違い、実戦で英語を使うと効果をより実感します。インプットも重要ですが、英語で思考し英語で発信する環境に身を置けることは、シンガポールで働く魅力の一つです。
世界とつながりができる
シンガポールには多くの外国人が住んでいるのを知っていますか?英語圏であり、タックス・ヘイブンといわれているため、投資家が海外からシンガポールに移り住んで来るのです。
シンガポールはとても小さい国なので、このような人たちとつながりやすいです。キャリアアップや、世界のどこかでの起業を目指すなら、シンガポールで築くことのできるつながりはその夢の実現の近道となるでしょう。
アメリカ移住のチャンスも
シンガポールには、アジアのハブとして支店を置く多数のアメリカ企業があります。シンガポール支店で成績を残せば、アメリカ本社に異動できる可能性があります。
私もアメリカを本社とする会社で働いていましたが、2年間シンガポール支社にいる間に結果を出せばアメリカ本社に異動できる契約でした。
キャリアアップを考えている人には、魅力的な環境だと思います。
上述の「シンガポール就職をおすすめする理由」と重なる部分もありますが、シンガポールで仕事をするメリットには以下のようなものがあります。
- 英語を使って仕事ができる
- 多国籍の環境で人脈ができる
- スキルアップできる
- 交渉力がアップする
このように、キャリアアップにつながることが多いです。いずれ日本に戻るとしても、シンガポールでの仕事経験はグローバル化の進む日本でも活かせるはずです。
シンガポールで働くデメリット
起業するのが難しい
スタートアップとして起業を考えるなら、シンガポールは投資家などが多く、資金調達がしやすい点でメリットがあります。しかし、ケーキ屋や八百屋など個人事業主のようなビジネスの場合は物価や地価が高く継続するのが難しいでしょう。
シンガポールでは起業しやすいと耳にすることがあります。しかし、実際には起業するよりも転職を通して給料アップを狙う傾向が強いようです。
その理由の一つとして、シンガポールが学歴を重視するキャリア社会であることが挙げられます。シンガポールの学校教育はとても厳しく、子供にとって放課後は外で遊ぶという環境ではありません。勉強していい学校に入ることが求められます。
キャリアアップは職場次第
シンガポールで働くと一口にいっても、ポジションという意味では日系企業と外資系企業でまったく異なります。
現地採用社員として日系企業で働く場合は、駐在員の指示を受ける立場になります。そのため、自分で仕事や人を動かしていくマネジメントの経験ができない場合があります。これではキャリアアップは望めません。
自ら仕事を動かすような経験を目標にしている場合は、外資系でキャリアを積む方が将来的には自分の力になるでしょう。
解雇・ビザ失効の可能性
シンガポールに限らず海外で働く場合に共通して言えることですが、会社との雇用契約がなくなった時点で就労ビザは失効になります。そうなると滞在自体できないので、その国を離れなければいけなくなります。
特に、外資系企業の場合は突然解雇になることがあります。常にビザのことを心配しておかなければいけません。
シンガポールで働く準備とは?日本でやるべきこと
求められているのは日本人としての能力を把握する
なぜシンガポールのビジネスで日本人のためのポジションがあるかご存知ですか?
外資系と日系では理由が違いますが、外資系企業の場合は、アメリカやヨーロッパの会社がアジアの統括拠点としてシンガポールにオフィスを置いていることが多いためです。日本人社員は、日本と欧米本社とのパイプ役を期待されているのです。
一方、日系企業では、日本からの駐在員のサポートができる人材を求めています。日本の独特な文化には、例え日本語ができる外国人でも対応できないことがよくあるからです。駐在員の中には、シンガポールにいるのに日本人コミュニティにどっぷりという人もいます。
つまり、外資系であれ日系であれ、シンガポールで働くのであれば日本人としての能力を求められることを忘れないでください。
TOEICやTOEFLを受ける
シンガポールで就職する際に重要視されるのが、職務経歴と英語のスキルです。特に外資系企業に就職したい場合、英語力がなければ話になりません。
英語のスキルをアピールする方法として一番有効なのがTOEICやTOEFLのスコアです。日本で受験できるので、渡航前にチャレンジしてみてください。取得したスコアは、次に述べる履歴書に忘れず書きましょう。
レアジョブ英会話などを使えば、月に6,000円前後の格安料金で毎日英語を話すことができます。 英語でコミュニケーションを取る機会は日本でもたくさん作れるので、できるだけその回数を多くしたいですね。
英語の履歴書を作る
シンガポールに限らず海外就職を目指すなら、英語の履歴書を事前に作っておきましょう。外資系でも日系でも英語の履歴書は求められます。
形式は自由、大切なのは中身
英語の履歴書は、日本の履歴書と違いフォーマットがありません。インターネットで検索するといろいろなフォーマットが出てくるので、自分が使いやすいものを選べば大丈夫です。なぜなら、大事なのは中身だからです。
日本のように控えめに書いていたら、評価してもらえないこともよくあります。日本人の場合は、誇張しすぎではないかと思うくらい実績をアピールするのがちょうどいいです。
特に、外資系企業への就職を希望する場合は、英語力と職歴が全てと言っても過言ではありません。英語を使う仕事の経験があると評価してもらえるので、自信を持って書いてください。
誰が読んでも分かりやすい文章に
たとえフォーマットがあったとしても、英語で履歴書を書くのは簡単ではありません。まずは日本語で履歴書と職務経歴書を書いてみましょう。その後、その内容をわかりやすく英語でまとめあげてから履歴書の形にしていきます。
英語ネイティブでないのであれば、文法が少し間違っていても大丈夫です。ただし、スペルミスがあったり内容が通じなかったりする履歴書では見てもらえません。
就活ではシンガポールに強い転職エージェントに登録する
現地で仕事を探す前に、日本で転職エージェントに登録しましょう。シンガポールの場合は、リクナビNEXTやJAC Recruitmentがおすすめです。
リクナビNEXTは日本の会社ですが、JAC Recruitmentはロンドンで日本人が設立した会社で、海外案件も豊富です。この2つに登録しておけば、幅広い求人情報が手に入るでしょう。
登録後は早めにシンガポールへ渡るのがおすすめ
登録すると履歴書や職務経歴書の提出を求められるので、すぐに出せるよう事前に用意しておきましょう。その後、スカイプなどを使って面談を行います。希望する職種を伝えると、どのような仕事があるのか教えてもらえます。
ただ、日本にいる登録者に紹介してもらえる求人は少なく、質もあまり良くないことがあります。というのも、本気でシンガポールで就職したい人は、現地で就職活動をしているからです。
そのため、日本でできることを終えたら早めにシンガポールに入り、現地で就職活動することをおすすめします。紹介される求人の幅が広がり、企業と面談できる可能性も高くなります。
シンガポールで働く日本人のお仕事
シンガポールで働く日本人は、様々な業界で活躍しています。
金融業界
金融業界には海外駐在員として銀行や証券会社で働く日本人が多い印象です。
- 投資アドバイザー
- アナリスト
- マーケッター
参考:現役海外駐在員が教える「海外駐在員」として海外で働く方法とは
IT業界
- ソフトウェア開発
- システム開発
- ネットワーク管理
- Webデザイン
参考:海外でITエンジニアとして働くには?未経験でもなれる?英語は必要?
マーケティング業界
- マーケティング戦略の立案
- プロモーション
- 広告ブランディング
教育業界
- 英語教師、日本語教師
- 小学校、中学校、高校など教師
- 幼稚園の先生
その他
- 営業職
- 通訳・翻訳
- ホテルスタッフ
- 美容師
- コンサルタント
- 研究者
- 秘書
- 領事館や在外公館の職員
シンガポールで働く方法
日系企業に就職する
冒頭でも述べた通り、私はシンガポールで電子機器部品の会社に就職しました。やはり日本人が就職しやすいのは日系企業です。
シンガポールの日系企業には、私が働いていたような電子機器系の企業のほか、飲食店、カスタマーサービス、建設会社、人材派遣会社などの求人があります。金融やIT、カスタマーサービス関係は比較的就職しやすいようです。
また、経験のある業界であれば、採用の決定が早い傾向にあります。
- 日系企業の主な業種:メーカー、商社、金融、IT、サービス、建設など
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- JAC Recruitment(海外勤務・外資系を狙う年収600万円以上の方向け)
外資系企業に就職する
日本での専門的な職業経験やキャリアがある方には、外資系企業がおすすめです。とにかくシンガポールで働きたいなら日系企業の方がハードルは低いですが、専門スキルがあるなら外資系企業でキャリアアップを狙った方が、日本に帰国することになった時にもメリットが大きいです。
外資系企業を狙うには、専門知識に加えて英語力があると有利です。英語(中国語)力を鍛え、交渉力・マネジメント能力を向上させて、スキルをさらに磨きましょう。
シンガポールで働くからには、実力を試せる外資企業でスキルアップ・キャリアアップを目指したいところです。
駐在員になる
スキルアップ、キャリアアップに加えて給料アップも叶えたいとなると、狙うべきは海外駐在員です。
海外駐在員は、日本の企業から現地の子会社に派遣される社員で、現地で責任ある立場につくことが多いです。海外駐在中は、日本の給与+駐在手当が支払われるのが一般的で、現地採用社員よりも給与が高くなります。
転職サイトなどのシンガポール駐在案件を見ると、年収は500万〜1200万円クラスです。私の友人のシンガポール駐在員たちは、家賃会社負担の社宅に住み、貯金もかなりしています。
業務経験があり、マネジメント力に自信があれば、ぜひ駐在員を狙ってみてください。
簡単には手に入らない駐在員ポスト
とはいえ、駐在員になるのは容易ではありません。
シンガポール駐在員を募集している求人に応募するか、自社のシンガポール駐在枠を狙うことになりますが、自社の駐在枠がない場合は転職するしかありません。シンガポール駐在員は給料を含めた待遇が良いため倍率が高いです。粘り強くチャンスを待ちましょう。
シンガポール駐在案件を探すなら、30代以上で語学力がある方向けの転職エージェントJAC Recruitmentを利用するのがおすすめです。
インターンシップをする
シンガポールでの就職を考えている方は、インターンを経験してみるのも効果的です。シンガポールは2020年の世界銀行による「ビジネスがしやすい国ランキング」で2位を記録しています(日本29位)。
世界から優秀な人材が集まっているため、企業側は人手不足でインターンを受け入れるのではなく、インターンシップを「成長する機会」として与えています。
シンガポールでは、IT・コンサル・メディア業界のインターンシップが豊富です。
インターンシップのエージェント
英語力を必要とするものもありますが、興味があるものには積極的に応募してみてはいかがでしょうか。
ワーキングホリデーをする
ワーキングホリデー用のビザ枠は2,000人と限りがありますが、ビザが降りればインターンシップやアルバイトなど、「シンガポールで働く」経験ができます。
シンガポール労働省が示す条件は、以下の4点です。
- 18歳~25歳であること
- 日本を含む10カ国のいずれかの(政府によって認められた)大学に在学中、または卒業していること
- 滞在期間は最長6カ月
- ビザ発行費用175シンガポールドル
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ビザ取得方法は直接シンガポール労働省にて申請、またはエージェントを通しての申請も可能です。
新卒でも就職できるのか
結論からいうと、新卒でシンガポール就職するのは非常に難しいです。新卒よりもある程度の業務経験がある方が、シンガポールで就職する上では有利になります。
どうしても新卒からシンガポールで働きたい場合は、就職とは少し違いますがワークホリデー制度を利用しましょう。ワークホリデービザで働いた企業があなたを必要な人材と判断すれば、就職する道も開けてきます。
シンガポールで働く現地採用社員の給与相場
一般に現地採用者の給料はそこまで高くありません。それでも現地のシンガポール人と比べれば割高ではあります。
なお、シンガポールの就労ビザを取るためには最低でも「Employment Pass」と呼ばれるビザで月3,900SGD(シンガポールドル、約29万円)、「S Pass」は月2,400SGD(約18万円)以上の給与が必要です(2020年5月現在)。
現地採用者の平均給与
2020年の給与相場(Guanxi Times調べ)
※1SGD=約75円
住宅手当は基本的になし
現地採用の場合は住宅手当などもないことがほとんどなので、住宅に関する費用はすべて自己負担です。シンガポールは家賃が高いことでも有名です。そこで、家賃を抑えられるシェアハウスを選ぶことが一般的です。
一方、JAC Recruitmentやリクルートエージェントなど日本の大手転職サイトを利用し転職した場合には、住宅手当がつくことが多いです。ただ、利用するエージェント次第で待遇面に大きな差があります。内容をよく確認しましょう。
健康保険は会社負担
健康保険については会社がカバーしてくれるので、安心できると思います。私の場合は、入社後すぐに健康診断がありました。その費用も会社負担でした。
シンガポールで働く日本人の口コミ
- 30代・女性
- 業界:食品(日系企業)
- 役職:アシスタントマネージャー
- 年収総額:60,000シンガポールドル(約450万円、1SGD=約75円)
待遇・福利厚生
月給+ボーナス年1回。年次休暇12日+病気休暇10日程度です。
簡単な保険に加入していました。病院ではキャッシュレスで診察可能です。ただ、提携病院が少なかったです。
仕事のやりがい・成長できるポイント
業務は全て英語なのでビジネス英語のスキルが上がりました。例えば、メール・プレゼンテーション・取引先との交渉などで必要な英語力です。
また、メーカーだったので、シンガポールで日本ブランドが現地に受け入れられ、浸透している様子を間近で見られたのがうれしかったです。
人間関係・社内の雰囲気
日系企業だったため、駐在員・現地採用社員・ローカルスタッフの3つのグループが出来上がっていました。個人では良い人ばかりですが、若干のグループの壁があり、さみしさは感じました。
満足している点
学生の頃から漠然と海外で働きたいと考えていたので、その夢が叶いました。日本以外の文化圏の商習慣を経験できたことに満足しています。
また、シンガポールは税金が安く、振り込まれた90%以上の給与が手取りになりました。
後悔している点
日系ではなく、外資系企業に就職するという選択もよかったなと思っています。
日系企業の場合、裁量権は全て駐在員・本社が握っているので、やりたいと思う企画ができません。また、承認に時間がかかり、モチベーションが低下することもあります。全ての日系企業がそうだとは思いませんが、その傾向が強い気がします。
利用した転職サイト
JAC Recruitmentを使って転職しました。
シンガポール就職におすすめの求人サイト・転職エージェント
求人の特徴
求人の特徴をいくつかあげてみます。
- 日系企業/外資系企業の求人がある
- 業種が多岐にわたる
- 英語力不問の求人もある
- 業界経験1年以上を求める求人が日系企業で多い
- スキルを求めない求人はビザを既に持っている人を対象にした求人が多い(事務・営業など)
- 管理職、マネージャー候補の求人も数が多い
その場合、給与も比較的高い(月給3,500~7,000SGD=270,000~540,000円)が平均となります。
転職エージェントの利用がおすすめ
シンガポール就職・転職を考えるなら、人材紹介会社(転職エージェント)がたくさんあるので、それらを利用するとスムーズです。転職エージェントを使うメリットは、相談しながらシンガポールへの就職・転職活動を進められる点です。
初めての海外就職であれば、なおのこと不安がつきものです。例えば、
- 給料はいくら?
- 就労ビザは出るの?
- 不法に労働させられない?
海外就職でのトラブル例:現地採用は甘くなかった!夢の海外就職で直面した”ビザ奴隷”の現実
など、聞いてみたいことがたくさんあると思います。エージェントを使うことでこういった不安や疑問も解消できる上、福利厚生のしっかりした求人を紹介してもらうことができます。もちろん、転職エージェントの利用はすべて無料です。
私のおすすめはJAC Recruitment、リクルートエージェントです。どちらも業界大手で実績が豊富です。
エージェントに話を聞くだけでもシンガポールで働く自分の姿がイメージでき、より具体的に何をすべきかが見えてきます。海外就職で一番大切なのは情報収集です。登録即応募というわけではなく、「とにかく情報を集めること」が重要です。
日系企業を狙うならリクルートエージェント
専任のアドバイザーが付いて就職・転職活動を徹底的にサポート。海外就職未経験の方はリクルートエージェントの利用がおすすめです。
親身な対応が好評で、求職活動時のアドバイスはもちろん、企業へのアピールも代わりに行ってくれるため非常に心強いです。
海外求人案件は、一般の転職エージェントと比較すると数倍にも上る量。求人情報の9割は非公開求人です。シンガポールでの就職・転職を考えている方はまず登録してみるとよいでしょう。
外資系企業を狙うならJAC Recruitment
JAC Recruitmentはシンガポールだけでなく、世界各国の求人情報に強い転職エージェントです。非公開求人がメインですが、シンガポールのさまざまな求人を見ることができます。
各分野・業界通の転職コンサルタントが多数在籍しています。そのコンサルタントが直接企業を訪問して情報を得ているため、質の高いきめ細かな求人内容です。
海外駐在員や外資系企業を狙うなら、ぜひ登録したいエージェントです。
【対象】年収600万円以上、30代以上で語学力のある方
海外企業のスカウトを待つならGuanxi
海外求人・アジア就職を面白くするGuanxi(グアンシー)は、スカウト機能が充実しています。プロフィールを詳しく記入すると、企業からオファーが来ます。
自分で企業を探すことが難しい場合や、自分に興味を持ってくれる企業の話を聞きたい場合などに、上手に利用してみてください。
就活準備、リクナビNEXTで自己分析
リクナビNEXTには20分程度でできる無料の「グッドポイント診断」機能があります。この機会に一度、自分の強みを再確認しておくと良いでしょう。
転職エージェントへの登録後の流れ
登録後、連絡が来るのでエージェントと面談し、希望職種や条件などの相談をします。その時に履歴書などを提出しますが、事前にメールなどで送付しておくとスムーズです。
気になる企業があれば、斡旋→希望の会社に履歴書提出→面接という流れになります。
すぐに応募先が見つからなくても心配はいりません。コンサルタントがあなたにマッチする企業を探し、面接までのコーディネートをしてくれます。
また、職務経歴書の書き方や面接時の対応などのアドバイスももらえます。積極的にコミュニケーションを取り、内定をつかみましょう。
在職中なら仕事を続けながら転職活動を
「シンガポールで働きたいから日本の会社を辞めよう」と思っている方、少し待ってください。シンガポールへの転職を考えているなら、在職しながらの転職活動の方が有利です。
シンガポールの転職先がすぐに決まるとは限りません。就労ビザの問題や転職先の手続きなどで時間がかかることがあります。今、仕事を辞めてしまうと、そうなった場合にお金の心配をしなければなりません。
金銭的な問題を避けるためにも、在職したまま転職活動を始めましょう。転職の進め方については以下の記事も参考になります。
シンガポールの産業や企業
主要産業
シンガポールの主な産業は以下の4つの産業となります。
- 製造業(20.9%)
- 小売り・卸売業(17.3%)
- ビジネスサービス業(14.8%)
- 金融・保険(13.9%)
*カッコ内は、2019年シンガポールGDP産業別割合(シンガポール統計省より)
製造業では、特に石油化学、半導体を中心としたエレクトロ二クス産業が中心となります。
また、シンガポールはアジアの金融ハブとも言われ、シンガポールを拠点にする金融機関(資産運用、保険会社を含める)は2018年時点で1,200社を超えています。
最近では観光産業への投資や取り組みも積極的に行っており2018年にはシンガポールへの訪問者数は過去最多を記録しています。
進出している日系企業(代表的な企業や数など)
シンガポールに進出している日系企業は、2023年時点で1,600を超えています。
有名な日系企業でいうと、三井物産、三菱重工業、富士ゼロックス、KDDI、パソナ、郵送トラベル、三菱UFJ銀行、東京海上日動、富士通、デンソーなどがあります。
ジェトロによると、2014年をピークに、日系企業の地域統括拠点(多国籍企業が各地域ごとに戦略を遂行するため、欧州、米州、アメリカなどに地域本社を設けること)がシンガポールに設置されました。
それに伴い、その日系企業を支える日系コンサル・人材業界などもシンガポールに進出しています。また、シンガポールの世帯所得は年々増えており、消費市場も拡大しています。
それに伴って世帯当たりの外食支出も高いため、和民やモスバーガーなどの飲食業、伊勢丹や髙島屋などの小売業も増加しています。
シンガポールの就労ビザを取得する
ビザの種類
シンガポールの就労ビザ(労働許可証)は13種類あり、まとめて「Work Pass(es)」と呼ばれます。日本人がシンガポールで働く際には、一般に次の7種類のうちいずれかを取得することになります。
- Employment Pass(EP)
- S Pass
- Letter of Consent
- Training Employment Pass(TEP)
- Personalised Employment Pass(PEP)
- Work Holiday Programme
- Entre Pass
主な就労ビザはEPとS Passですが、特にEPを取得するのはかなりハードルが高い状況です。鍵となるのは学歴と年齢です。有名大学出身で若い人ほどビザを取得しやすい傾向にあります。
EPビザよりももう少し緩和された基準で取得できるのがS Passです。ただし、こちらは発行できる企業や数が限られているので競争率が高くなります。
自国民の雇用を守ることが優先されるため、外国人が無制限に受け入れられるわけではありません。
大手の転職サイトに求人情報を出している企業では、問題なくビザを取れることが多いです(例外あり)。面接の際、ビザは出るのか、ビザ取得のサポートはしてもらえるのかの確認も忘れないようにしましょう。
就労ビザ(労働許可証)申請の流れ
日本で行う申請手続き
オンラインで申請する方法と、申請書類を郵送にてMOM(Ministry of Manpower)へ送付する方法があります。
オンライン方式の特徴
審査ステップの大半がコンピューター処理によるもの。結果判明まで1週間以内とスピーディーですが、特殊技術や経験値の高さなどをアピールできるスペースはありません。
郵送方式の特徴
審査の際、有利に働きそうな資料などを申請書と一緒に提出することができますが、結果判明まで3〜5週間かかります。
シンガポール入国後に行う発給手続き
MOMから就労ビザ発給許可のレターを受け取ったら、シンガポールに入国して発給手続きを行います。労働許可証の保持者には、プラスチック製の労働許可証カードが付与されます。
再審査を求める「アピール」
EPまたはS Passに限っては、審査結果が発給不可であった場合に再審査を申し込む「アピール」手続きを行うことができます。
シンガポールと日本の働き方の違い
効率性重視
日系企業が「詳細・完璧」を求めるのだとしたら、シンガポール人の働き方は「Quick and Dirty(クイックアンドダーティー)」と言えます。
日系企業の場合、提案書や見積もりを出す際、上司やクライアントに提出する前に念入りな打ち合わせを行ったり、細かい数字を出そうとする傾向にあります。
一方シンガポールでは、最初から精密さを求めるのではなく、最初にざっくりとした見積もりを行い、最終の見積もりを出すプロセスで数字を整えていくイメージです。
フレキシブルな働き方
日本でも、フレックスタイム制を取り入れている企業がありますが、シンガポールにおいては、日本よりもフレキシブルな働き方が社会的に浸透しています。
例えば、2018年に日本が「フレックス制」を取り入れている企業は全体の7.8%(2019年は8.2%)です(厚生労働省より)。
対して、シンガポールの労働省は「FWA:flexible work arrangement (柔軟な働き方政策)」を企業に提案しています。
2018年時点でFWAを暫定的に取り入れている企業は全体の84.1%、正式に取り入れている企業は53.1%にも上ります(シンガポール労働省MOMより)。
共働きの浸透
シンガポールは結婚・出産後の女性も夫婦で共働きの家庭がごく普通です。
以下は、2019年と2010年の日本とシンガポールでの女性が働く割合です。現在はもちろん、10年前からシンガポールでは女性の社会進出が進んでいることがわかります。
2019年
- 日本:44%
- シンガポール:61.1%
2010年
- 日本:41%
- シンガポール:56.5%
日本のデータ:TRADING ECONOMIC
シンガポールのデータ:STATISTA
そのため、シンガポール女性の管理職・マネージャー職の割合も日本と比べて高くなります。2018年でシンガポールの女性管理職の割合は30%、対して日本は22%。
また、女性の社会進出が進んでいるため、外食文化が進んでいる、またメイドを雇う家庭も少なくはありません。
シンガポールで会社員以外として働く方法
経営者になる
会社設立の条件は以下です。
- ENTRÉE PASS(起業家ビザ)を取得すること
- ビザの取得条件は、会社を設立してから6カ月以内であること
- カフェ、バー、マッサージショップなど一部の事業を除く
- 経営者、導入者のいくつかの基準をクリアすること
- 最低$1SGD(約77円)が会社設立のために必要
このような条件を満たせばオンラインにて1週間ほどで会社を設立することができます。
しかし、ビジネスがしやすい国ランキングで1位なだけあって、たくさんの企業がシンガポールに集まっているため、起業家としてのハードルが高いことも否めません。
フリーランスとして働く
よく、海外在住者がフリーランスで暮らすという方法がありますが、シンガポールでは副業は通常、違法となります。
どの国でも、外国で働くには就労ビザが必要となります。シンガポールでは、就労ビザ取得の条件として雇用主に雇われ、雇用主がビザの発行をします。
フリーランスの例を挙げると、以下のようになります。
- 通訳士
- ブロガー
- フリーランス・エンジニア
- YOUTUBER
- 先生(英語教師・ヨガの先生など)
ただ、上記はあくまでもフリーランスとしての働き方において違法という意味です。
- YOUTUBERだったら、事務所に所属してビザを発行してもらう。
- ブロガーだったら会社を設立する。
など、別の手段を考えることもできます。
詳しくは、シンガポール労働省MOMに問い合わせる必要があります。
芸術家
シンガポールで芸術家(画家・ダンサーなど)になるには、政府に認定されたのち、シンガポール永住権を取得する必要があります。
また、活動予定分野予定での教育や業績があることが必要です。
教師
シンガポール在留日本人は2017年で3万6千人以上と言われています。
そんなシンガポールでは多くの日本人コミュニティーが存在しており、日本人学校や日本人が多く所属する幼稚園なども存在します。
業界経験が必要になる場合が多いですが、シンガポールの幼稚園で日本人の先生の募集はよく見かけます。
シンガポールで働く前に押さえておきたいポイント
ここからは、シンガポールで暮らすため、また働くために押さえておきたい情報をコンパクトにまとめてお伝えします。
項目の下に記事リンクがあれば、それが本編です。それぞれより詳しい内容が書かれているので、気になるものはクリックして読んでみてくださいね。
あらためて将来の自分の姿を思い描いてみる
「今の会社であと10年働く」と考えたことはありますか?
海外へ行くチャンスは昔に比べていくらでもあります。しかし、チャンスをふいにし行きそびれた人もたくさんいます。「若いうちに海外へ行きたかった」と思っている40代、50代の人も数多くいることでしょう。
将来、「あの時シンガポールへ行っておけばよかった……」と人生の後悔をすることがないよう、自分の未来を思い描き、シンガポール就職・転職が本当にやりたいことであるなら挑戦しましょう。思い立ったが吉日です。
日本人の多い地域
クイーンズタウン周辺やオーチャード周辺が日本人に人気のエリアです。
また、ウエストエリアには工業団地があり、日系企業も進出しています。
家賃を抑えたい人やローカルな環境を満喫したい人の中には、ノースエリア、イーストエリアなどに住む人もいます。
- クイーンズタウン周辺
- オーチャード周辺
- ノースエリア
- イーストエリア
就職後の生活費
シンガポールはアジアの中でも物価が高いことで有名です。
特に、家・車・お酒が高価だといわれていますが、車に関してはプライベートではほぼ必要ない人も多いでしょう。公共交通機関やタクシーで十分便利に安く移動できます。また、年中夏服で過ごせるので洋服代はあまりかからず、ホーカー(屋台街)なら食事も安価に済ませることが可能です。
下の記事では、約2,500SGD(約20万円)で生活し、残りを貯金するという一人暮らしの現地採用者のライフスタイルが紹介されています。貯金の中からやりくりして近隣の国へ年に数回の旅行をすることも可能だそうですよ。
仕事のタイムスケジュール
シンガポールで働いている人はどんなタイムスケジュールで仕事をしているのでしょうか。
例えば、シンガポールのローカル企業の勤務時間は午前9時〜午後6時が一般的です。また、シンガポール人はスロースターターなので、午前中はゆっくりとした仕事になることが多いようです。
下の記事では、シンガポールの外資系企業で働いている30代女性のスケジュールを紹介しています。
英語方言シングリッシュ
シンガポールには、独自の英語方言シングリッシュがあります。ビジネスの席で使われることは少ないですが、友人同士での会話などではよく登場します。
こういった現地ならではの言葉を理解しておくと、シンガポール人に親近感を持ってもらえることも多く、公私共にサポートしてくれます。
そして、言葉は話せば話すほど力がつきます。シンガポールへ行ったら臆せず英語やシングリッシュを話すようにしましょう。
シンガポール就職後の可能性
昇進を狙う
日本と同様、会社内で昇進する方法です。
シンガポールでは、日本と比べて転職が一般的なため、社内での人の入れ替わりがあります。そのため、年功序列というよりは、経験・実績を重視します。
良く言えば、実績次第で管理職ポジションを長い時間をかけずに狙うことができます。
ビジネススキルをみがく
世界中からシンガポールを拠点に、多国籍企業が集まっています。
その理由は、
- 世界でビジネスがしやすい国ランキング1位
- アジアの金融ハブである
- 法人税の優遇措置が取られている
そんなビジネスの最先端の国、シンガポールで企業にてビジネスを学ぶことはキャリアアップにもつながります。
また、将来事業を持ちたいと考えている方にとっては、シンガポール就職の経験を活かしたり、ビジネススタートアップのコネクションをつくったりすることもできます。
日本へ帰国しでグローバル人材になる
海外就職先の中でも特にシンガポールではグローバル・ビジネススキルを磨くことができます。
理由は以下の点です。
- 国策として外資系企業を誘致している
- ビジネスの公用語が英語
- 多民族国家
- アジアの金融ハブ「ビジネスでの取引は基本的に国際規模」
グローバル化が進み、日系企業も外資系企業との関りを切っても切り離せない中、実際にグローバルな環境で業界経験・実績があることは大きな強みになります。
グローバル人材としての強みをアピールするのなら、3年以上の在住経験、またはシンガポールの外資系企業で経験を積むの良いでしょう。
転職してキャリアアップ
転職でキャリアアップを狙う場合、以下の3つの方法があります。
日系企業への転職
シンガポールでの経験は、日本のグローバル企業、外資系企業で役立ちます。
英語を使ってのビジネス経験、グローバルな環境での業界経験を強みとして日本企業で活躍するチャンスを得ることができます。
シンガポール国内での転職
シンガポールの永住権の永住権取得は難しいと言われていますが、視野に入れることもできます。
永住権を取得して、自身のキャリアをシンガポールで築けば、CPF(日本の年金にあたるシステム)の加入権利を取得などの待遇を得ることができます。
他国への転職
シンガポールでの経験は、世界中の企業に通用します。
働きたい国ができたら、新しい国でキャリアアップを狙うことも可能です。
まとめ〜就職が叶ったら転職を重ねてキャリアアップ!
シンガポールでは、日系企業であれば日本人にとって比較的就職しやすいことも紹介しました。ですが、現地採用されて同じポジションのままずっと働き続けることはキャリアアップにつながりません。
日本のように転職にネガティブなイメージはシンガポールにはなく、むしろ「転職=キャリアアップ」という考え方です。数年働いて実績を積んだら、ポジションアップを狙って転職活動を始めるのが主流です。
さらなる高みを目指す方には、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。どんどん転職し、キャリアアップしていきましょう。
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