日本で働く場合と、ニュージーランドで働く場合では雇用形態をはじめ、さまざまな違いがあります。現在ニュージーランドでは終身雇用は一般的ではなく、契約期間のある雇用形態が増えています。そのため転職率が高い現状があり、仕事への姿勢も日本とは異なります。
日本ではネガティブなイメージがある転職ですが、ニュージーランドでは逆に前向きに捉えられているようです。今回はニュージーランドで働く上で知っておくと安心な、転職事情と失業時の社会福祉制度について紹介します。※1NZドル=約77円(2018年12月)
ニュージーランドの離職率
ニュージーランドの離職率は非常に高いといわれています。
政府機関State NZのリサーチによると、ニュージーランド総労働人口の半数が18カ月未満で離職しており、同じ企業で働く期間は平均して1カ月~3カ月間と記載されています。この数字には契約期間を満了する形での離職も含まれています。
現在のニュージーランドでは短期間の雇用契約が多く、これが離職率を高めている要因になっています。
業種などによっても離職率はかなり変わってきますが、2017年のニュージーランドの離職率平均は18.8パーセント、同年の日本の離職率は約15パーセントとさほど違いがないようです。(厚生労働省調査)
ニュージーランドの雇用形態
ニュージーランドにはフルタイム、パートタイム、Fixed-Term、カジュアル、コントラクトなどと呼ばれる雇用形態があります。
フルタイムとパートタイムは勤務時間数で呼び方が異なり、一般的に週30時間以上の勤務時間があればフルタイムと呼びます。Fixed-Termは契約期間のある雇用形態で、育児休暇中の社員の代替などが含まれます。
コントラクトは期間の定めがある契約社員のこと(契約延長も可能)で、カジュアルは企業側の必要な時だけ働く不規則な雇用形態です。
ニュージーランドでの転職理由
転職理由としては、キャリアアップ、他にやりたい仕事がある、ヘッドハンティングされたなどが挙げられます。会社の風習・上司と合わない、給料に満足がいかないという内容も非常に多いです。
ニュージーランドではEmployee Satisfaction 通称ES(従業員満足度)が重要視され、雇用形態や環境に満足できなければ辞めるのが普通です。
労働者が主張できる環境
私の以前の勤務先では、ほぼ同期に入社した4人中、半年後に離職しなかったのは私だけでした。辞めた理由はそれぞれですが、給料が安い、仕事内容がつまらない、上司と折り合わないなどという理由です。
入社直後で経験がない場合でも自分の意思を主張することが多く、「○○を改善してくれなければ、辞めます」「あの上司の下から外してほしい」なんていう発言も普通です。
ニュージーランドでの転職は再就職に有利?
日本では転職数が3回以上あると就職に不利になり、逆に海外では転職回数が多いほどキャリアにつながるなんて聞いたこともありました。
実際に移住してみて思うことですが、それはやはり一概に言えないようです。知人の人事担当者に話を聞くと、ニュージーランドでも転職回数が多い場合、人間性に問題があるのではないかとネガティブに思われるそうです。
また面接後の選考の際には、応募者の前職場に直接評価を聞くのが一般的だそうです。納得できる転職理由がない場合、やはり転職回数の多さはポジティブには捉えられません。
ニュージーランドで異なる職種への再就職は?
ニュージーランドは転職率も高いですが、異なる職種への転職も普通です。私の友人は現在水道管の配管工をしていますが、前職は小学校教員です。
別の友人はシェフとして数年働いていましたが、20代後半でパイロット学校へ通い現在はパイロットをしています。
お隣さんはトラックの運転手、看護師などの経験を経て、現在はお給料の高いIT業界で活躍しています。
ニュージーランドでは専門職は一般職に比べ給与も高いため、お隣さんのように社会人になってから資格取得する人もいます。
ニュージーランドで失業したら?
ニュージーランドは世界でもいち早く、1938年に本格的な社会保障制度を導入しています。
そのため、国民の生存権や生活権などを守る社会保障制度が非常に充実しています。仕事を辞めた場合はMinistry of social development (政府機関)のWork and Income 通称WINZという機関から失業手当がもらえます。
65歳までもらえる失業保険
失業した場合はWINZからJobseeker Supportと呼ばれる失業手当がもらえます。この手当は自己都合による退職が対象です。一般的な同世代の平均給与の65%ほどが次の就職先が決まるまで支払われます。
受給開始も日本のように待つことはありません。提出書類に不備がなければ、書類を提出した翌週から支払いがはじまります。
解雇された場合はUnemployment Benefitと呼ばれる失業保険手当がもらえ、こちらは自己都合に受給される額の約2倍になっています。
失業保険の受給資格
もちろん求職していることが前提です。受給資格は子どもがいない場合18歳以上(子どもがいる場合は20歳以上)からで、社会経験がなくても受給できます。しかも最長で65歳まで受け取ることができるのです。
失業保険は日本人でもニュージーランドの永住権を保有し、最低2年間こちらに住んでいれば申請できます。
就職で必要な資格取得も支援(私たち家族の場合)
私たち家族がニュージーランドに移住した当初は、夫は求職中でJobseeker Supportを受けていました。1週間に約630ドル程度の失業保険が支払われました。登録中はセミナーや、WINZ担当者との面会なども必要になります。
求職者の希望する職業で資格が必要な場合、WINZ担当者に交渉すると資格取得するための資金を支援してもらうこともできます。夫も資格取得のため国のサポートを受け学校に通い、無事に希望する職につくことができました。
失業した国民の生活は、国が保証するという有難い社会構造です。
生活に必要なもの
Work and Incomeでは、求職者の生活面もサポートしてくれます。子どもの制服代、光熱費、食費、車の修理代が払えないということに関しても支払いをサポートしてくれます。
費用は後で返さなければなりませんが(返金必要のない場合もある)、WINZ担当者と相談して分割も可能なうれしい制度です。このサポートは、働いている場合でも受けられます。
ニュージーランドなら再就職は簡単?
ニュージーランドでは求人のほとんどが経験者を募集しています。高学歴でも経験がなければ再就職先を見つけるのは難しい現状があります。より良い条件での転職を目指し、学校に通い資格を取っても就職できなければ意味がありません。
そんな時は人とのつながりがとても大事になってきます。ニュージーランドでは知人が知人に仕事を紹介するというケースがよくあります。
コネでパートとして働き、フルタイムにシフトしたり、インターンシップやボランティアなどで経験や人脈をつくり、再就職を目指すのが一番確実な方法なのかもしれません。
まとめ
ニュージーランドで働くには、コミュニケーションが十分にとれる語学力があることが前提です。また仕事に限らず社会全般に人と人とのつながりを大事にするニュージーランドでは、コミュニケーション能力がとても重要です。
また、実際に働いていると「仕事=報酬」の単純な形式ではなく、報酬にプラスして人生をより楽しく、充実させてくれる役割があると実感しています。
いくつになっても自分の夢を追いかけられるのは、ポジティブな転職が可能だからこそだと思います。
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