イタリアの失業率は常に10%ほどで推移し、若者の失業率はなんと約30%(2018年10月現在)※1)です。これはEU諸国の中でも高い数字です。
しかし、現地で就職活動してみると仕事はあります。実際、私はフィレンツェのジュエリー店に採用されました。
では、就職難のイタリアでお給料はどれぐらいもらえるのでしょうか。私の例をもとに、日本ではあまり知られていないイタリアのお給料事情をお伝えします。
※1)JETRO(日本貿易振興機構)「10月の失業率はEU、ユーロ圏ともに横ばい」
※記事中では1ユーロ=約122円として計算
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イタリアで私が働くジュエリー・ショップ
フィレンツェのファミリー企業
私が勤めるジュエリーショップは、フィレンツェ市内では有名な古くから続く高級貴金属店です。市内に数店舗あり、家族代々で経営しています。
社員数は約40人、全ての社員が正社員として契約されています。入社して1年間は期間限定の契約社員になりますが、基本的には1年後に正社員登用されています。
各店舗にスタッフが4人と店長が1人、本部にはその全てのスタッフを統括するマネージャーが5人、そして事務員数名から成り立っています。
仕事内容と勤務時間
私は現在、この企業に勤めて3年になります。店舗スタッフとしての契約なので仕事は接客業がメインですが、勤続年数が長いスタッフ達は接客だけでなく各店舗で扱う商品の買い付けなども担当しています。
店舗の営業時間は繁忙期と閑散期で異なり、勤務時間はシフト制で設定されています。
サマータイムの繁忙期は朝9時半から夕方5時半までと、お昼12時から夜8時の二部制、客足が減る冬の間は一律で午前11時から午後7時の勤務になります。
イタリアの販売員も日本同様、売り上げが一番重要とされているので、開店準備と閉店準備の時間以外は基本的に接客をし、すきま時間で新入荷商品の検品作業や陳列を行います。
イタリアの知られざる給料事情
ずばり、イタリアの労働者のリアルなお給料情報をお伝えします。
平均月給は1300ユーロ(約16万円)
イタリアは他のEU諸国と比べて給料がとても低いことで有名です。なぜなら、お給料から引かれる所得税がとんでもなく高いからです。
南北で経済格差が激しいイタリアですが、国全体の平均的な月給は約1,300ユーロ(約158,600円)と言われています。日本の初任給と比べても低く感じられるのではないでしょうか。
基本的にイタリアでは勤務時間に対してお給料が発生します。そのため、私の勤務先ではハイ・シーズンの忙しい時期だと残業時間も増え、自動的にお給料が高くなります。逆に、冬の閑散期になると勤務時間が少なくなるため、収入も減ります。
税金が引かれて口座振込
私の契約初期のお給料は1時間8ユーロでした。日本円で時給1,000円ほどです。フルタイムの週40時間で計算され、残業時間や日曜日の出勤は30%上乗せされます。
月にもよりますが、額面上1,600ユーロ(約195,200円)が支給額で、そこから所得税や年金が引かれ、1,200ユーロ(約146,400円)くらいが毎月手元に入ります。
締め日は月末のため、その前に従業員がおのおの前月の労働時間を自己申告します。その時間をもとに給料が計算され、毎月10日に個人の銀行口座に振り込まれます。
あわせて日本同様、給与明細が渡され、労働時間や引かれる税金額の詳細がここで確認できます。
イタリアで働く人にボーナスはある?
クリスマス前に誰でも1カ月分
日本のボーナスは夏と冬、経営状況によって給料〇カ月分、といったふうに、各会社の業績で支給額が変動していたことを覚えています。
イタリアのボーナスは日本のものとは大きく異なります。ほぼすべての業種で、会社側が雇用者に対し「Tredicesimo(13回目の月給)」というお給料1カ月分のボーナスを支払うことが法律で義務付けられています。
つまり、従業員は会社の営業成績に関係なくボーナスを受け取ることができるのです。
時期は12月のクリスマス前に決められていて、クリスマス・ギフトなど1年で一番出費が多い時期に合わせて設定されていると言われています。
働き方によっては夏の時期にも
さらに「Quattrodicesimo(14回目の月給)」というもうひとつのボーナスも存在します。支給の有無は契約によりますが、サービス業や販売業、運送業、技術職(食品や化学)に従事する人に払われます。
私は販売員という契約形態のため、この2回目のボーナスの支給対象となります。
こちらは7月の支給と決められています。クリスマス同様、バカンスでお金を使うイタリア人にとっては出費が多くなる夏に支払われます。
イタリアのボーナスは、日本のように会社の経営状況によって増えることもありませんが、ボーナスゼロでがっかりするということもなく、この国らしい理にかなった制度です。
イタリアで働いた場合の各種手当は?
住宅手当、交通費はなし
まず、日本でいう住居手当や交通費にあたるものはイタリアではほぼ存在しません。そのため先にお話ししたとおり、毎月の給料は基本的に時間勤務した分がそのまま支払われるシステムです。
そのため、勤務地が家の近くにある人はラッキーといえるでしょう。
以前は私も中心地に住んでいたため、交通費は実質ゼロでした。しかし、今の職場になってから引っ越して電車賃を毎月60ユーロ(約7,320円)ほど自分で支払っています。
そのほかにも、通勤目的のガソリン代や駐車場代など移動に関する出費はすべて自腹。交通費の高いイタリアでは痛手となります。
子供手当はしっかりと
一方で、家族を大事にする国、それがイタリアです。
家族に関する扶養手当にあたるものはしっかりと存在し、一家の世帯収入など条件にもよりますが、子供1人に対して毎月約100ユーロ(約12,200円)が支給されます。
売り上げがよければ報奨金がプラス
私の勤務する企業ではインセンティブ(報奨金)にあたる売り上げ手当があります。店舗ごとにノルマがあり、毎月達成すればお給料プラスアルファで手当が出るシステムです。
前年度同月と比べて店舗の売り上げが上がっていれば、その伸び率に応じて手当が支給されます。その月にもよりますが、平均150ユーロほどの営業手当(約18,300円)をもらっています。
オフイス・ワークにはインセンティブはほぼありませんが、販売系の業種だと営業手当を保証している会社もあります。入社する前の条件に目を通しておいてもいいかもしれません。
イタリアで昇給するには?給料アップの交渉術
イタリアで昇給交渉はできるのでしょうか?ずばり、可能です。
今の自分のレベルを知る
イタリアでは、まず雇用契約の際にそれまでの経験によりレベルが設定されます。このレベルによりお給料の額が変わってきます。
私が初めて今の職場に就いたとき、販売員としての経験はありましたがジュエリーを販売したことはありませんでした。そのため、経験レベルの一番低い「5」からのスタートとなりました。
先にお伝えした通り、当時の時給は8ユーロ(約1,000円)。低くは感じたものの、専門用語を知らない私は、徐々に仕事を覚えたあとに昇給交渉しても遅くはないと考えました。
自信がついたら直接交渉
その条件で勤務を開始して1年半後、自ら社長に昇給の交渉をしました。
接客のスキルが上がった点や店舗のルールなどを十分に理解できるようになった点、それに同僚からの評価をあわせてレベル「4」への昇格と時給のアップを打診。
店長とマネジャーを含めての面談で、日々の業務に対する姿勢や今後のビジョンも話し合い、晴れてレベル昇格と時給アップが認められました。
まとめ~常により高い場所を目指して
現在は待遇に満足しており、充実したワークライフを送っています。しかし、どの国にいても、どんな仕事をしても、常に上を目指すことを忘れてはいけないと私は思います。
就職難の上に、年功序列などもないイタリアでは、しっかり自己評価・自己主張することが求められます。
今後も接客のスキルやイタリア語力のアップに励むとともに、さらに高いレベルを目指していきたいと思います。
※この記事の内容は2019年7月現在のものです。
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