イタリアで就職する際に確認するべき5つの項目。経験者が解説します

コロッセオ イタリアで働く

イタリアの求人情報を見ていると、会社によって様々な条件を目にします。業種やエリアにもよりますが、イタリアでは中小企業の数がとても多く、そのほとんどは個人経営で、それぞれが独自の条件を設けているのです。

しかし、就職するからには長く、気持ちよく働けるよう、最低限の条件は確認しておきたいもの。

イタリア・フィレンツェのジュエリー店に就職した私から、契約前にチェックするべき点を具体的にお話しします。

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イタリア就職でのチェック項目1. 一番重要!雇用契約

挨拶

ビザで許可された労働時間か

雇用契約を結ぶにあたり、何よりも大切なのは雇用形態です。

例えば、学生ビザでイタリアに渡航した場合の就労可能時間は原則週20時間と法律で決められています。したがって、自動的にパートタイム契約となります。

反対に、すでに就労ビザを取得している場合は40時間のフルタイム契約が可能です。

違法な雇用形態Nero

イタリアでは雇用に伴う高い税金を逃れるため、法律に則った契約をせずに「Nero」と呼ばれる状態で雇う雇用主が多くいるのも現状です。つまり、Neroは法律に反した雇用形態です。

給料は手渡しでもらえて制限時間を超える就業もできますが、給与明細は存在せず、納めるべき年金や税金を支払うことができません。

また、万一の病気やケガをしてしまった場合もNeroの状態であれば合法的な雇用契約がされていないため、補償もありません。

そのため、面接時には正規の雇用契約をしてもらえるのかどうか、ビザで許可された雇用形態になるのかどうかを必ず確認しましょう。

オーナーから直々にNero契約依頼!?

以前、ある企業に面接に行った際、勤務時間はフルタイムで契約はパートタイムにしてほしいと雇用主から直接言われました。つまり、半分はNeroです。

受け入れてしまえば、私自身も脱税に加担することになります。残念ながらこのオファーは断りました。

仕事欲しさに受け入れたくなる気持ちもわかりますが、雇用契約は経営者が法律に従って結ぶべき義務です。

イタリア就職でのチェック項目2. ビザサポート

マップ

政府の労働許可制度「Flussi」

イタリアはヨーロッパへ仕事を求めて多くの移民が入国してくる、いわばEUの入口です。そのため、アフリカや東ヨーロッパからの外国人労働者が増え続けており、常に外国人移民問題について議論されています。

イタリア政府はイタリア人の仕事を守るため、そして移民に労働する権利を平等に与えるため、不定期で外国人に労働許可を申請する機会「Flussi」を割り当てます。

このFlussiがうまく割り当てられれば労働ビザが申請できますが、Flussiは職種や業種、国籍によって人数制限があり、申請したすべての人に許可が出るわけではありません。

就労ビザを得るには会社の助けが必要

イタリアで労働ビザを取得したければ、まずは企業と雇用契約を結び、このFlussiが発表されたタイミングで必要書類を用意して申請するという手順を踏まなければなりません。

これには勤める企業の協力が絶対不可欠です。

そのため、面接後に晴れて会社と契約できることになったら、企業側がFlussiに関する手続きに手を貸してくれるかどうか、またそれに見合った信頼を置ける企業であるかどうかを自分自身で見極めることも大切です。

Flussiについては以下の記事にも説明があります。

イタリア就職でのチェック項目3. 給与・賞与

給料は応募者のスキルにより決定

イタリアの求人情報は、給料や賞与についての記載をしていないものが多くあります。CVと呼ばれる履歴書を企業に送り、面接が決まったタイミングで給料がいくらになるのか知らされます。

一般的には、応募してきた人材の前職の給料やキャリアに応じて初任給を提示する雇用主が多いです。

ただし、金額は雇用主側と交渉が可能です。自分のスキルと企業側が提示する金額が合わないと感じた場合は、正直に意見を伝えることが大切です。

ボーナスの有無も確認

また、職種にもよりますが、冬のボーナス(tredicesimo=13ヶ月目の給料)、夏のボーナス(Quattrodicesimo=14ヶ月目の給料)が発生するのかどうかも面接時に細かく説明があります。

イタリア就職でのチェック項目4. 時間外手当・祝日手当

業種によって多少違いはありますが、イタリアでは法律によって時間外勤務や日曜日・祝祭日の勤務には手当の支払いが義務づけられています

しかし、ここでも気を付けなければいけないのが、日本の企業のタイムカードのようなシステムがイタリアではそこまで普及していないこと。

もちろん、従業員が多い大企業に所属すれば話は変わりますが、イタリア企業の多くが中小企業です。そのため、個人の労働時間のチェックがあいまいになっている企業が多いのも現状です。

1日の業務が8時間を超える場合に残業代(Straordinario)が出るのか、祝日の勤務がある職場は祝日手当(Festivo)が支給されるのかは、明確にしておく必要があります。

イタリア就職でのチェック項目5. 有給休暇

プール

有給休暇はイタリア人にとって重要事項です。

一般的に、フルタイムやパートタイムで契約を交わせば企業は毎月2.5日の有給休暇の付与が義務となるため、必然的に毎月加算される仕組みです。

また、日本と比べると有給休暇の消化はとてもしやすいのが特徴。日本の企業のように「有休を使いたくても上司が許可してくれない」といったことはイタリアではほとんどないため、そうした心配は無用です。

一般的な企業は8月にまとまった休みを許可するところが多いですが、業種によっては繁忙期に合わせて取得期間が限定される場合があります。

年末年始など日本の休みに合わせて帰国したい場合などは、休暇の付与状況を雇用主と話しておくといいと思います。

まとめ~希望を伝えることはマイナスではない

晴れて就職先が決まっても、あまり質問しすぎると企業側に悪い印象を与えてしまうのではないかなどと心配になるかもしれませんが、雇われる側にとってマイナスになることはありません

イタリアでは個人の主張はどんどんするべきであり、また不明点は契約前にクリアにしておくべきです。

希望や条件に合った、納得できる仕事が見つかるよう就職活動を進めてください。

※この記事の内容は2019年6月現在のものです。

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記事を書いた人

イタリア・プラト在住。イタリアで食材やワイン販売、ジュエリー販売として働く。フィレンツェにて3年間の留学経験あり。

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