イタリア人からバカンスを奪ってしまったら何も残らないのではないか?と思えるくらい、イタリア人にとって夏のバカンスは重要です。イタリアの労働者は一年に一度の夏のバカンスを目標に頑張って働きます。
春の復活祭(イースター)が終わると職場では自然とバカンスの話になり、時には同僚間でケンカをしながら(?)各自バカンス時期を決定します。
家族第一主義のイタリア人は、夏のバカンスを夫婦や家族で心ゆくまで一緒に過ごせるかけがえのない時間であると考えています。イタリア人がバカンスを当然の権利と考える大きな理由の一つです。
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イタリアの夏休みシーズンはいつごろ始まるの?
6月後半~8月いっぱいがイタリアでの夏休みシーズンです。その中でもハイシーズンは8月15日の聖母被昇天祭の祝日を挟んだ2週間と言われています。実際、この時期はリゾート地のホテル代が一番高い設定になっています。
職場によって夏期休暇の取得方法はさまざまですが、みんなシフトを工夫して1週間~2週間の休暇をまとめて取得するようにしています。
一緒に休暇を過ごす家族や恋人との調整もあるので、同僚間で何度も話し合って決定します。また、旅行の予約などの都合もあるため、4月くらいから夏の休暇の話を始めても、誰も「早すぎる!」とは言いません。
イタリア人に人気のバカンスの行き先は?
海辺や外国旅行がポピュラー
夏になると、イタリア人から「もう海に行った?」または「いつ海に行くの?」とよく聞かれます。そのくらいイタリア人にとっては「夏=海」なんです。山に行くよりは海に行く人の方が多いです。
また、アメリカやアジアなど、長い休暇だからこそ行ける遠い国を選ぶ人も多いです。日本も近年大人気の旅行先です。
ヨーロッパ内だとスペインやギリシャなどの海岸リゾートが人気です。ヨーロッパの観光都市は短期間でも行けるので、夏のバカンスではなく他の短い休みを利用したりシーズンオフなどを狙ったりする人が多いです。
国内での宿泊先はバラエティー豊か
イタリア国内でのバカンスの滞在先は、ホテル、貸しアパート、キャンプ場、個人の別荘などです。
某有名民泊サイトなどを利用して個人のアパートや家を借りたりする人もいます。一家族で借りることもあれば、友達同士や親戚同士などグループで大きな家を借りる場合もあります。
キャンプ場はテント、キャンピングカー、バンガローなどでのキャンプが可能で、大きな敷地内にプールやレストランなどが備わっています。夏のイタリアのキャンプ場はヨーロッパ(特にドイツやオランダ人など)のキャンパーでいっぱいです。
滞在先予約におすすめのサイト
私がイタリアでの滞在先の予約によく利用するBooking.comは、条件を細かく指定して検索できる点がとても便利です。イタリアでは多くの宿泊業者が登録・利用しているので、どのサイトよりも多く宿が見つかります。
また、予約のキャンセルが無料という条件を提示しているホテルも多く、休暇の予定が詳しく決まる前にとりあえずホテルを押さえておくこともできます。
イタリア人はバカンス中、何をして過ごすの?
バカンスの間、イタリア人は基本的にはのんびり過ごします。
バカンスは体を休め、次のクリスマス休暇まで頑張って仕事をするためのリフレッシュ期間です。旅先でもあまり予定をたくさん入れません。
予定を立てたとしてもそれはあくまで遊びの予定なので、全部こなさなくても良いと考えます。それよりバカンス中に余計なストレスをためないことが大事です。
朝起きて、お天気や体調に合わせて「今日は何をしようか?」という具合にその日の予定を決めます。
海のリゾートでは
日中はビーチで寝そべって本を読んだり、スマホを見たり、太陽の下で体を焼いたりしながらのんびり過ごします。昼食後には昼寝し、日が落ち始めたら夕食を済ませ、暗くなると夕涼みをしながら散歩します。
若い人たちはそのまま飲みに出て一晩かけて遊び、明け方ホテルに戻って午前中はずっと寝て過ごしているようです。
子どもたちも午後にお昼寝するので、夜の22時~0時頃でも小さな子どもを連れた家族がジェラートを食べながらウインドーショッピングをしています。
ビーチバレーやサイクリングなどスポーツをする人も多く、ビーチでのダンスエクササイズレッスンなども開かれています。
人気の海のリゾート
シチリア島、サルデーニャ島、アドリア海沿岸(ロマーニャ地方とマルケ州)、アマルフィ海岸、プーリア州、リーグリア州などです。
山のリゾートでは
トレッキングやハイキング、自転車(ロードレースやマウンテンバイク)、バイクのツーリングなどを楽しみます。トレッキングやハイキングはコースがきちんと作られていて、初心者から上級者まで楽しめるようになっています。
また、山のリゾートにはスパ付きのホテルなどもあります。
海ほどナイトスポットやショッピングスポットなどは充実していないので、海に比べてバカンス客の年齢は若干高めです。
人気の山のリゾート
ドロミーティ地方、北イタリア湖水地方(マッジョーレ湖、コモ湖、ガルダ湖近辺)を選ぶ人が多いです。
イタリアで働く私のバカンス体験談「海編」
以前、アドリア海へバカンスに出かけ、リミニという町のホテルに泊まりました。ビーチまで歩いて3分。ホテルを出てすぐの大通りを渡ったその向こうにビーチが広がっていました。
アドリア海の海岸沿いには、オーシャンビューが魅力の比較的大きくグレードの高いホテルが立ち並んでいます。そして、海岸沿いから一本入った道には、私が滞在したホテルのような小規模・中規模の家族経営のホテルが立ち並びます。
海水浴シーズンがほぼ終わりつつある9月上旬の宿泊だったので、3つ星のホテルが1泊2食付きで50ユーロ(約6,500円)/人でした。まだ夏休み期間中で子どもたちの姿もありましたが、滞在客の多くは年金生活者と思われる60代以降の年配の夫婦でした。
※1ユーロ=約131円(2017年9月現在)
散歩やショッピングを楽しむ
海といえばビーチで日焼け……というのが定番です。でも、ビーチだけでなく、海岸沿いの遊歩道もきれいに整備されていて、散歩やジョギング、サイクリングなどのアクティビティにぴったり!早朝に湖風を感じながらのんびり散歩することができて、とても気持ちよかったです。
また、リミニの町はお店(主に衣料品やアクセサリーなど)も多く、大型ショッピングセンターもあるのでショッピングも楽しめます。
おいしい料理を満喫
ホテルの夕食は量がたっぷりで、前菜はブッフェで好きなものを選べ、パスタ、メイン料理、デザートは数種類のメニューの中から希望のものを選べるようになっていました。
どの料理もホテル内の食堂の奥にある調理場で作られていて、出来立てがサーブされます。とても質の高い家庭料理で、隣の席に座っていたミラノからの年配の夫婦も大満足だと言っていました。
朝食も手作りの焼き菓子やフルーツが並んでいて、豊富な食事を楽しめました。
食事はイタリア人にとって常に重要
イタリア人はとても食いしんぼうなので、ホテルの予約サイトや旅行の口コミサイトには食事のことが詳しく書かれています。ホテルを探す手がかりになるのでいつも口コミは参考にしています。
家から離れてもおいしいものを食べたいというイタリア人の情熱のおかげで、イタリアの外食はほとんど外れがありません。
イタリアで働く私のバカンス体験談「山編」
イタリア北部にはユネスコの世界遺産に登録されているDolomiti(ドロミーティ)山地があります。スキーリゾートとしても世界的に有名ですが、夏の間は自転車やバイク、または登山の愛好家がヨーロッパ中から集まります。
特に、ジーロ・ディ・イタリアという自転車レースと同じコースを走る目的で来るサイクリストが多いです。1,000m以上の高低差を乗り越えて標高2,500mの峠頂上まで登る体力には脱帽です。
冬はゲレンデとして利用されているので、山の至るところにロープウェイやリフトが通っています。麓から自分の足で登らなくても高所でのハイキングが楽しめます。
自炊のできるホテルに滞在
私はあるバカンスをここで過ごし、自炊のできるレジデンスホテルを利用しました。満足するキッチン道具が揃っており、町には充実したスーパーマーケットがあったので、食材を買い込んで自炊を楽しみました。
イタリア人は料理にこだわる人が多いので、キッチン道具の品揃えにもお国柄が出ているなと思いました。電子レンジがないのもイタリアらしい!イタリアは電子レンジ普及率が低いんですよ。
レストランやホテルの食事も美味
山の上にはRifugio(リフージョ)と呼ばれる山小屋があり、レストランとして営業しています。お弁当を持たずに山小屋で食事をするのを楽しみにハイキングやトレッキングをする人もいます。
また、食事付きで滞在できるホテルもたくさんあります。食事付きのホテルにも泊まったことがありますが、山の食事も最高です。
海のホテルの食事よりは全体的にこってり目です。酪農が盛んであちこちで羊や牛が放牧されている土地柄なので、チーズやヨーグルトの種類が多く充実しています。
まとめ〜重要なのは日常から離れること
夏になるとイタリアには世界中から観光客が集まります。6月になると私の住んでいる町でもドイツ、ベルギー、オランダ、イギリスナンバーの車が増え、普段買い物をするショッピングセンターでも観光客の姿を見かけます。
実は、私が住んでいるところは世界的に人気のバカンス先なのです。町を離れなくても、夏になると観光している気分を味わえます。それでもイタリア人は、日常から離れバカンスを満喫しに出かけます。
一般的なイタリア人家族と知り会いたいという人は、夏に海や山のリゾートに出かけましょう。イタリア人的バカンスの過ごし方が垣間見られてとても興味深いと思いますよ!
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