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イタリアで働くことを選んだ理由〜ソムリエ&パティシエになるまで

イタリア

憧れていた国に住みたい、外国語のスキルを身につけたい、日本と違う環境で実力を試したい。海外で働いてみたいと思う理由は人によって様々だと思います。

私はイタリアでソムリエ、そしてパティシエとして働くようになりました。もともと海外と食に興味はありましたが、イタリアのことはあまり好きではありませんでした。

では、なぜそのイタリアに留学し、どのように今の仕事をするようになったのか、その経緯をお話ししたいと思います。

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目次

イタリアに惹かれた大学時代の旅行

車

良いイメージのなかったイタリア

ヨーロッパの中ではイギリスやフランスなどの国に興味があり、実はイタリアには良いイメージがありませんでした。泥棒が多そうな混沌としたマフィアの国、という少し怖いイメージでした。

そのため、自分からイタリアへ旅行したいなどと思うことはなかったのですが、就職が決まった大学4年生の夏、友人に誘われてユーレイルパスでヨーロッパの複数の国を横断することになりました。

フランス・パリからスイスを経由してイタリアに入り、ローマから日本へ帰るというルートです。

未知のエネルギーに魅入られる

当初イタリアへ行くことに気が乗りませんでしたが、実際に旅行してみるとイタリアが一番好きになりました

フランスやスイスが想像通りの落ち着いた綺麗な国だったのに比べて、イタリアは鉄道も街の壁も落書きだらけ。人も大声でうるさく、洗濯物も外に無造作に干したままで景観に統一性がありません。

それなのに、料理が驚くほどおいしく、建築は華麗で美しいものが街のあちこちに散らばり、人も好奇心旺盛で親切でした。

混沌としているけれど、人にパワーがあって何が起こるかわからないところに可能性を感じたのです。

イタリアで働く前に日本でしていた仕事

書く

もともと海外と食に興味があり、商社で働くことを希望していた私は、運良く食品専門商社へ就職することができました。

食について学べることも多い仕事でおもしろかったのですが、輸入された食品を国内配送する部署だったので、期待していたほど海外との接点はありません

イタリア旅行から帰国してすぐにイタリア語学教室へ通っていたこともあり、いつかイタリアへ留学してイタリア語と食について知識を深めたい、そしてイタリア食材を輸入する会社へ転職したいと考えるようになります。

イタリアへ留学

建物

4年間日本の会社で働いた後、イタリア・ローマへ留学しました。

語学は現地で学ぶのが一番

学生ビザを取得し、最初は語学学校へ通いました。

日本で週1回、2時間のイタリア語教室へ4年通っていましたが、イタリアに留学すれば最初の2ヶ月くらいでそのくらいのレベルまではいけると思います。

やはり現地で学ぶのが一番手っ取り早く、上達も早い方法だと感じました。

けれどもモチベーションの面でいうと、日本の語学教室で知り合った友人がどんどん留学して行くのを見て自分もやる気が出て、イタリアへの情熱が途絶えなかったという面もあるので、無駄になったとは思いません。

ソムリエ資格の勉強もスタート

ローマではその後、語学学校を続けながらソムリエの資格を取る学校へも通い始めました。

ソムリエの資格を取ろうと思ったのは、何かひとつのことを専門的に勉強し、日本に帰国した後、それらに関する輸入業務に携われればいいと思っていたからです。

イタリアでのアルバイトからパティシエに

ワイン

ソムリエの資格を取るための学校が1年半と長期間だったので、アルバイトを探すことにしました。

レストランでの初バイトが決定

最初のアルバイト探しは、イタリア人の友人が一緒に履歴書を持って街をまわってくれました

ソムリエの勉強にもなるから良いとアドバイスしてくれ、エノテカ(ワインが中心のレストランのこと)などを中心に履歴書を配りました。

後日、その中のひとつから電話があり、週に2〜3日アルバイトをするようになります

予定が立てられない働き方

しかし、問題がありました。

数ヶ月間そのエノテカで働いたのですが、ワインを出すお店だけあって仕事が終わる時間がとても遅く、家へ帰るのが大変です。

しかも決まったシフトというものがなく、1週間前に「来週はこの日に来て」と指定されるだけだったり、ひどい時は前日に電話で「明日来て欲しい」と言われたりで、予定を立てることが全くできません。

そのため早い時間から開店していて、働く曜日が固定されているカフェタイプのレストランにアルバイト先を替えました。

代理でパティシエを務める

新しく勤めたカフェレストランでしばらく働いていたら、たまたまパティシエが辞めてしまいました。

私はお菓子に興味があり、日本で製菓学校とお菓子教室に通っていたのですが、シェフがそのことを知り、一時的にでもパティシエとして働いてくれないかと打診されたのです。

仕事としてお菓子を作ったことがなかったので心配でしたが、始めてみるとおもしろく、どんどんのめり込んでいきました。

イタリアで食への興味が仕事に結びついた

パン

その後、ソムリエの資格を取得する一方、レストランではパティシエとして働き続けました。

そして、学生ビザが切れる頃に結婚し、結局イタリアに住み続けることになります。

家族ビザが出たのでアルバイトから正社員として働くことができるようになり、いくつかレストランを替わりながらミシュランの1ツ星・2ツ星レストランやホテルで働く機会を得ました。

日本で会社員として働いている頃はパティシエになるなんて考えられませんでしたが、もともとあった「食についてもっと知りたい」「食に直接携わる仕事がしたい」という欲求が満たされたことが、この仕事が自分に合っていた理由だと思います。

イタリアで働くには

イタリア

とにかく最初の仕事を見つけること

イタリアでは最初の職場を探すまでは大変ですが、その後は「〇〇で働いたことがある」というと経験を買われて仕事が決まりやすかったり、知人の紹介など縁故で採用が決まったりすることが多いです。

頑張って「ひとつ目の仕事」を探しましょう

都市により需要の多い職種は異なる

ローマは観光と官公庁の街なので、駐在員以外の現地採用ポスト、いわゆる営業や事務などの仕事を探すのは難しいように思います。

私も当初、商社の現地採用のような求人を探したのですが、日本や日本に関わりのある商社でローマに支店を置いている企業はほとんど見つかりませんでした。

私自身が経験・実感しているわけではありませんが、ミラノの方が経済都市なので日本からの駐在員や現地採用も多いと聞いています。

それでもローマに住みたいという方は、旅行会社やツアーコンダクター、ホテル、観光客が多く訪れるお店など、観光業界での経験があると有利です。観光関係の求人は多いです。

希望の職種があれば、事前に就職の可能性を調べてから都市を決めた方が良いと思います。

スキルや経験が必要

ただし、イタリア人でも仕事がないと言われているくらいなので、外国人である日本人が条件の良い仕事に巡り合うことはなかなか難しいようです。

大学卒業後、何年も就職活動をしているイタリア人の友人もいれば、留学してイタリアの大学を出たにもかかわらず思うような仕事がなく、結局日本に帰って就職したという日本人の友人も何人もいます。

イタリアと比べると日本での就職の方が待遇でも給与面でも有利なことが多いと思いますが、それでもイタリアで働きたいなら観光業や通訳の経験、または手に職があるなど、具体的な仕事につながるスキルがあると仕事が見つかりやすいのではないでしょうか。

まとめ~魅力あふれる国で勉強を続ける毎日

陽気なイメージのイタリアですが、長年の経済の停滞により仕事を取り巻く環境はあまりよくありません。

それでも歴史を感じる美しい建築、地方ごとに異なるおいしい料理、情の厚い人々と、日本にはない独特の魅力にあふれる国だと思います。

私の場合、当初の予定とはずいぶん変わってしまいましたが、パティシエとして手に職をつけるというかけがえのない経験ができました。これからも「海外」と「食」を通して、専門性を磨き続けたいと思っています。

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この記事を書いた人

2004年よりイタリア・フランス在住。
イタリアソムリエ協会認定ソムリエ。パティシエール。
ローマ・フィレンツェ・パリ・ボルドーに在住経験あり。
お菓子レシピサイトChicca Foodを運営しています。

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