ニュージーランドで雇用主とトラブル!トラブルの原因・対処法などを経験談を交えてご紹介

ニュージーランド ニュージーランドの働き方

ニュージーランドで働くときに、雇用主との間で給料の未払いやパワハラといったトラブルが起こってしまったらどうしよう、と心配になりますね。

今回は、ニュージーランドで実際に起こった雇用主とのトラブルを例に、発生経緯、対処法、ニュージーランドの無料公的機関、解決策、 そしてトラブルに巻き込まれないための予防策について、経験談をもとにご紹介します。

ニュージーランドでの雇用主とのトラブルの発端

デスク

教育関連の会社で働くニュージーランド在住15年目のあかねさん(仮名)に話を聞きました。

ニュージーランドには、Study leaveという制度があります。被雇用者が新たに資格を習得したい、または今まで勉強してきた内容をさらにリサーチしたい場合、勉強内容が仕事に関連していれば、休暇を取れるという制度です。休暇は、雇用主によって有給の場合も無給の場合もあります。

あかねさんは業務に関連する新しい資格を取得したいと思っていましたので、雇用主にStudy leaveを取りたいと申し出て、雇用主の了解を得ました。

しかし、直後に同僚のスタッフが仕事を辞めてしまいます。すると、雇用主はあかねさんに対して「Study leaveの話は聞いていない」と言い出したのです。

ニュージーランドでの雇用主とのトラブルの経緯

空

Study leaveを申請したのは、スタッフミーティングの場でした。(会社によってStudy leaveの申請方法はさまざまです。)

そこであかねさんは、ミーティングに同席していたスタッフたちに証人になってもらい、確実に雇用主に申請した、と主張します。しかし、雇用主は「聞いていない」の一点張りで、聞く耳を持ちません。

あかねさんは勉強のチャンスを失い、働けと言われてしまいました。しかし、法律では雇用主側が事情によってはStudy leaveの承認をキャンセルできることになっています。この場合は、あきらめざるを得ませんでした。

雇用主がStudy leaveを認めない理由をきちんと説明してくれず、全く誠意が見られなかった、ということに、あかねさんはがっかりしました。

退職希望を出したらハラスメント

すっかり雇用主に失望してしまい、資格取得やキャリアアップのチャンスもなくしたあかねさんは、会社に希望が持てなくなってしまいました。そこで、退職したい旨を契約に則って1ヶ月前に雇用主に申し出しました

「そこからが地獄のような日々でした」とあかねさんは語ります。

職場で起きたトラブルや身に覚えのないミスは、すべてあかねさんのせいにされました。ときどき嫌がらせのように呼び出しを受けては、あることないことで怒鳴られるなど、パワハラのターゲットにされたのです。

あらたなトラブル

しばらくすると、退職の意思を申し出てから1ヶ月の期間がまだ終わっていないにもかかわらず、突然上司から「もう明日から来なくていい!」と言われてしまったのです。

あかねさんは、その月の末まで働く権利がありましたし、2週間分のお給料がなくなるのは経済的にも痛手です。そこで、「自分には契約上、最終日まで働く権利がある」と主張しましたがダメでした。

雇用主とのトラブル対処方法・頼った公的機関

書類

あかねさんはまず、従業員としての自分の権利を明確にするために、日本でいう労働基準監督署にあたるEmployment New Zealandのウェブサイト(https://www.employment.govt.nz/)で、ニュージーランドの労働基準法を確認しました。

すると“雇用主も従業員も契約書に定められた日数前に雇用終了の告知をすること”と定められていることがわかりました。

自分の契約書の確認

あかねさんの雇用契約書には、「雇用終了の告知期限は1ヶ月前」と書かれていました。雇用主側から雇用契約の終了を告げる場合も、1ヶ月前でなければなりません。

法律では、契約書に定める告知日数は“reasonable”つまり「適切な」とあります。「適切」という表現が少々曖昧ですが、Employment New Zealandによると、ニュージーランドでは役職によりますが、2週間~1ヶ月前の告知が労使双方にとってフェアで一般的とされています。

今回のように、雇用主が勝手に「明日から来なくいい」と雇用契約を中断することは解雇とみなされ、よほどの理由がなければ法律違反ということになっています。

自分の契約書の理解

次にあかねさんは、自分が契約書を正しく理解しているかどうかを確認しました。

みなさんも一度は「契約書」というものを見たことがあるかと思います。条項がたくさんあるうえに言い回しがとても専門的で難しく、あまり理解せずにサインをしてしまっている方もいるのではないでしょうか。

あかねさんは英語で契約書が書かれていたので、念のため、自分が理解している内容が合っているかどうかを弁護士に確認することにしました。

無料の法律相談機関

ニュージーランドには、Citizens Advice Bureau(CAB)という、さまざまな日常のトラブルの相談に乗ってくれる無料の法律相談機関があります。あかねさんもCABを利用することにしました。

CABはニュージーランド各地に点在しています。自分のエリアのCABをウェブサイト(https://www.cab.org.nz/)で見つけたら、そこへ出向いて秘密厳守で相談することができます。

CABの相談員には、さまざまな分野のプロフェッショナルがいます。必ずしも弁護士とは限りません。弁護士に自分の契約書を一度読んでもらいたい場合は、前もって連絡して、雇用専門の弁護士が常駐している場所や時間を聞いてから行くことをおすすめします。

雇用主との妥協ポイント

ドア

あかねさんはEmployment New Zealandのサイトの文章などを示しながら、雇用主との話し合いに応じました。CABのおかげで、契約書をしっかり理解出来ているという自信があり、冷静に対応することができていました。

退職時のトラブル

あかねさんは冷静でしたが、雇用主の方は感情的で、全く解決の糸口が見えなかったそうです。

そうこうしているうちに退職の期日を迎えました。ところが、最後の2週間分、つまり雇用主がもう来なくていいと言った週の分のお給料があかねさんに支払われなかったのです。

あわてて雇用主に連絡を取ろうとしましたが、電話に出ずメールにも返信がありません。あかねさんは途方に暮れてしまいました。

弁護士とのやり取り

会社に出向いたところ、「弁護士を立てたので全て弁護士を通してやってくれ」と言われます。あかねさんは、不当な言いがかりをつけられ、解雇のような形にされたあげく、最後の2週間分のお給料が支払われなかったことを先方の弁護士に伝えました。

まわりのスタッフの証言やEmployment New Zealand文の文章をメールで送って自分の権利を主張したところ、雇用主側が妥協案を提示してきたのです。

それは、給料未払い分の3分の2を支払いましょう、というものでした。

妥協と和解

ニュージーランドの法律上、本来ならば、未払い賃金は全額支払われるべきものです。しかし、あかねさんはこれ以上話し合いを続けても前に進める見込みはないと感じていました。

転職をしても、同じ業界でこれからも顔を合わせる可能性があります。これ以上やりあっても精神衛生上良くない、と判断したあかねさんは、条件を受け入れ和解に応じたのです。

その後、あかねさんは同じ職種の会社に無事転職しました。このボスとは今でも業界の会議やイベントなどで顔を合わせることがあるそうですが、今のところ何も問題は起きていないそうです。

トラブルを解決へ導くために大切なこと

道

あかねさんにとっては苦い思い出ですが、「今後ニュージーランドで働くみなさんの参考になれば……」ということで話していただきました。

最後に、トラブルを解決へ導くための大事なポイントや、トラブルに巻き込まれないための方法を具体的にあげていただいたのでご紹介します。

契約書を交わす

どんなカジュアルな仕事でも、必ず契約書を交わしましょう。口約束はトラブルのもとです。

通常、時給制の仕事では現地法に基づいたEmployment New Zealandが示しているテンプレート内容の契約書が交わされます。それでも念のため契約書にサインをする前に、専門家に一度契約書をチェックしてもらったほうがよいでしょう。

契約書のチェック方法は、

  • 英語のネイティブスピーカーに目を通してもらう
  • 無料法律相談所(CABなど)を利用する

などがおすすめです。

権利を知る

契約書にはその会社と取り決めたさまざまな条件が書かれています。もしもその契約書がニュージーランドの労働基準法に沿っていなければ、無効となるということを覚えておきましょう。

まずは、働く上での基本的な項目である

  • 最低賃金
  • ホリデーペイ
  • お互いが契約を解消する際の告知期間

について、法律に則った自分の権利を理解しましょう。Employment New Zealandのウェブサイトで調べることができます。

メールでやりとりする

トラブルが起こった後に、雇用主側から「話がある」と言って呼び出されたり、電話があったりするかもしれません。その場合は「メールでお願いします」と断り、直接の会話には応じないようにしましょう。

メールなら、内容が証拠として残ります。万が一、裁判沙汰になったときのことを考えて、メールでやりとりすることが最善です。

場合によっては妥協ポイントをみつける

自分が汗水流して稼いだ賃金は1円たりとも諦めたくないものですね。しかし、時と場合によっては妥協ポイントをみつけることも大切です。

あかねさんのように、弁護士側から妥協案を提示された場合は、妥協ポイントを協議して早期解決を目指すことも解決策の1つです。

まとめ~トラブルに巻き込まれたら泣き寝入りしない!

今回は、ニュージーランドで実際にあったトラブルの経験談をご紹介しました。些細な出来事から雇用主側が感情的になり、あかねさんに不当な扱いをしたことがトラブルの原因でしたね。

もし、あなたもニュージーランドで働いているときに自分の最低限の権利がうばわれた、給料が支払われなかった、という経験をしたら、1人で悩んだり我慢したりせずに、無料の公的機関などにまずは相談してみましょう。

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