海外で通訳として働くには?仕事内容や事前準備など

海外転職ノウハウ

語学が得意!だから海外で英語を使った仕事をしたい、中国を使った仕事をしたいと思った時に、最初に思いつく仕事が通訳のお仕事です。会議や打ち合わせ、視察などあらゆる場面で言葉を使ったやりとりが必要になるため、通訳は重要な仕事です。

では通訳として働くためにはどんな準備をして、何をしたら良いのでしょうか?今回は海外で通訳として働く方法をご紹介します。

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海外での通訳の仕事の内容・特徴

打ち合わせ

どんな仕事?

通訳とは、単にある言語を他言語に変換するだけでなく、異文化間のコミュニケーションをサポートするのが仕事です。

例え同じ英語であっても使用される国や業界が違えば、単語や言い回しも変わります。

そうした言語の根底にある文化的背景や価値観、独特な専門用語などを瞬時に理解し、変換先の言語の中から正確かつ適切な言葉をみつけ、時にはニュアンスまで伝わるようにと慣用句を用いるなど、言語能力はもちろん臨機応変な対応力が求められます

国際会議や展示会、TV番組での海外ゲストへのインタビューなど、様々なプレゼンテーションの場はもちろん、最近のオンライン会議の増加を受け、活躍の場はデジタルの世界にも広がっています。

海外で需要が多い場所(企業)は? 

通訳と聞くと国際会議をイメージされる方も多いと思いますが、近年では産業界(ビジネスシーン)での需要が高まっています。

中でも、グローバルビジネスの伸展と共に問題となりがちな企業の知財(IP: intellectual property)や商標・特許申請に関わるリーガル通訳の需要は、日本に限らず海外でも高い需要が引き続き期待できます。

都市でみると、輸出対応をしている製造業が盛んなエリアや展示会を開催する世界的な都市での求人が多いように思います。

また、コロナウィルスの感染拡大により会議や大型イベントのオンライン化やリモートワークが世界的に進んでいることや、近年のe-Sportsの活況など、新分野やオンライン化に対応できるvideo /remote interpreterの需要拡大も今後期待できます。働く

海外で通訳として働くメリット

オフィス

海外通訳として働く最大のメリットは、自分の身ひとつで、いつでもどこでも働けることです。通訳者は長期でキャリアを形成することができ、経験に応じて活躍の場は世界に広がっていきます。

海外通訳の場合、下積み以降はフリーランス(登録型)として会場にスポットで出向けばよいため、生活の場所を国内外どこでも選べます。

拠点を海外にする場合には、日本からの派遣通訳よりも費用を抑えられるだけでなく、日本文化だけでなく現地文化や最新情報にも精通した人材として案件受注の際の強みにもなります。

ライフステージや自分の高めたい専門性に応じて、柔軟な生き方・働き方を実践できるのは海外通訳者ならではの魅力です。

海外で通訳として働くために必要なスキル

パソコン

資格

海外での通訳業務にはこれといった国際資格が存在しません。通訳分野の学歴または実績(education or work experience)のいずれかを問われることが多く、学歴よりは実績(通訳や言語関連分野における実務経験2~3年以上が目安)が重視されます。

国内通訳サービス企業の訓練生からキャリアをスタートする方がほとんどだと思いますが、将来的に独立を目指す人であれば、海外求人サイト(indeedなど)から応募基礎・技術要件(technical requirements)を検索してみるとよいでしょう。

証明が必要な場合、海外大学院やオーストラリア政府の公認資格であるNAATI(National Accreditation Authority For Translators and Interpreters) のコースを修了(または認定を取得)することで証明を受けられます。

NAATIについては、段階別の認定要件があり数年おきの更新制であることから、現在の技術証明として活用できます。

経験

海外通訳として国外で活躍されている方でも、多くは日本国内の通訳翻訳サービス企業が開講する通訳講座を受講し、講座終了と同時に企業に登録して実地経験を積んだ後に独立されています。

英語や他言語が話せる(または海外経験がある)というだけの素人が通訳案件を受注できることはまずありません。そのため、講座で通訳に必要な技能を身に付け、国際会議や商談通訳といったOJTに参加して下積み経験を重ねることからキャリアが始まります。

通訳は「長く働ける仕事」といわれますが、それだけ経験値が高い人から優先的に仕事が回る厳しい世界でもあります。

語学力

日―英(またはその他言語)の通訳をする場合、いずれかの言語におけるネイティブ(または同等)レベルがあることは前提条件として、より高いスピーキング能力が求められます。

日本語を例にとると分かりやすいのですが、日本人誰しもが豊富な語彙力や多彩な表現能力を有しているわけではありません。

プロ通訳の方になると、どうしたらもっと耳あたりのよい・馴染みのある言葉で理解してもらえるだろうかと日々考え、中には古語や和歌を学び始める人もいます。

また、英語以外の言語であっても専門用語に英単語が採用されていることが多いため、海外通訳を目指すのであれば専門の語学+英語は基本的なスキルとして身に着けておくとよいでしょう。

海外で通訳として働く方法

女性

現地採用として働く

現地採用を狙う場合は、自分が希望する言語や地域に沿った求人サイトを活用するとよいでしょう。

例えば、東南アジアでの勤務を希望する場合はシンガポール企業が運営するJob Street.comが、欧米であればindeedやexpatなどです。いずれも会員登録をせずとも求人詳細を閲覧できるので、海外通訳の平均待遇や需要が高い言語や分野をリサーチするのに役立ちます。

変換先言語に日本語を使用する案件を探す場合は、日系企業の進出状況がわかる外務省作成の海外在留邦人数調査統計が参考になります。日本人駐在員や労働者の多い地域にはそれだけ産業・医療通訳の潜在的需要があるからです。

海外での通訳の給与相場

お金

北米年収状況など

海外求人サイトのZipRecruiterの調査によると、北米における海外通訳の平均年収は60,341ドル(約640万円)となっています。

ただし、この平均年収は上位数%(年収1,000万円以上の通訳者達)によって引き上げられており、実際は28,000~60,000ドル(300~640万円)程度が相場であり、時給換算すると29ドル(約3,000円)程度となります。

英語が母国語である米国では、募集言語でみると中国語のほか、東南アジア言語(ラオス語・タガログ語)やアラビア語などの少数言語が多く、分野でみると医療・法律分野での通訳需要が多いようです。

どのような経験・学位を積んでいる人が多いか(または経験年数に応じた想定年収)などは、米国の求人サイトindeedの公開レポートが参考になります。

オーストラリア年収状況など

給与情報サイトPayScaleや海外求人サイトindeedの検索結果をみると、オーストラリアにおける通訳の平均年収は約60,000AUD(約440万円)となっています。

ただし、首都メルボルンでなくアデレードで働く場合は時給が20%程高くなる(逆にパースに行くと5%下がる)など、技術や経験だけでなく都市間でも差があるようです。

indeed(オーストラリア版)では具体的な給与情報付き求人情報を会員登録せずとも閲覧することができるので、まずは情報収集に役立てるとよいでしょう。

東南アジア年収状況など

日系企業の進出が多い東南アジアでは、日本語を話せる海外通訳需要が恒常的にあります。タイの求人サイトJobsDBでは、2020年6月時点で通訳に関連するタイ国内求人が10,800件あり、製造業を中心に日系企業の現地採用情報が多く見つかります。

タイでは外国人採用における最低賃金相場が月収50,000THB(約17万円)であるため、日本人であれば80,000THB(約27.5万円、年収になおすと約330万円)程度の収入が見込めるでしょう。

ただし、フルタイム雇用であれば現地駐在員のサポートなど通訳以外の業務を兼任することが多いようです。

求人の探し方

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大手の転職サイトを利用する

王道の求人の探し方は、転職エージェントに登録する方法です。リクルートエージェントLHH転職エージェントなどの大手転職エージェントに登録すると求人を紹介してもらうことができます。

通訳としての求人は限りがあるため、根気強く探す必要があります。情報収集をしながら、求人を探していきましょう。

linkedinなど自力で探す

通訳派遣企業や転職エージェントからの案件紹介以外にも、自力で通訳案件を探す方法はあります。手段は大きく①海外求人サイトの利用、②直接応募、③知人の紹介にわかれます。

①は、現地求人はもちろんですが最近ではリモート通訳の案件もあるため、日本にいながらでも海外通訳として実績を積むことができおすすめです。

求人サイトは数が多いため、自分が希望する言語で「通訳、仕事(英語であればinterpreter jobs)」で検索すると現地サイトが見つけやすくなります。英語サイトのindeedでは、会員登録をせずとも求人検索と閲覧ができます。

また、EUや国連などの国際機関は随時HP上から国際会議通訳者の登録/応募が可能となっています(国連は不定期に募集)。

海外で働く通訳経験者の声

通訳と聞くと、海外経験がある人やもともと英語が得意だった人が就く仕事と思われがちですが、中には生まれも育ちも日本人でありながら、海外で活躍する方もいます。

キャリアの歩みはそれぞれ違っても、皆さんが共通して言われているのが「努力を裏切らない仕事」だということ。生き物のような言葉を相手に、終わりのない学びにどこまで食らいつけるか、試行錯誤をむしろ楽しまれている方が多いようです。

通訳・翻訳を仕事にする人を応援するサイトHi Career(ハイキャリア)では最前線で活躍する方々の通訳にかける想いや失敗談が多く掲載されているので、是非インタビュー記事に目を通してみてください。

海外で働く通訳の1日のスケジュール

各国の要人が集う国際会議や国際企業が参加する展示会の場合、半日開催などであれば4時間程度の拘束時間で済むこともありますが、会食を伴うイベントの場合には丸一日の長丁場となります。

とはいえ、その間ずっと通訳をしているわけではありません。会議通訳であれば複数人でチームを組み、1人あたり15分程度の交代制で通訳にあたることが一般的です。

このほか、通訳の質をあげるためには、当日を迎えるまでの資料の読み込み・関連用語や時事問題のリサーチといった準備や、会議場所や事前打ち合わせのための来賓エスコートが発生することもあります。

海外で通訳として働くには

通訳は非常にタフな仕事です。相手の言葉や表情を読み取り間違わないよう、常に高い集中力が求められることはもちろんですが、「わからない言葉」に遭遇したときに襲い掛かるストレスにどう打ち克つかが試されます。

口頭のコミュニケーションは、巻き戻して修正したり、削除したりはできません。この重いプレッシャーに圧し潰されて辞めてしまう人もいるようです。

また、時と共に常に変化し続ける「言葉」を相手にした仕事であるため、通訳の技術力を日々磨くことはもちろん、専門用語の学習・時事ニュースなど情報収集が欠かせません。

こうした地道な努力をできる人や、人や新しい学びに対する好奇心が旺盛な人には通訳は向いているといえます。

海外で通訳として働く注意点

海外通訳として活躍する方のほとんどはフリーランス(個人事業主)になります。訓練生として取り組んでいるときは日本の通訳派遣企業からサポートを受けられますが、独立後は社会保険・税金・報酬や契約内容の確認については全て自己責任です。

特に海外通訳者として海外に拠点をおいて活動する場合には、日本との社会保障協定の締結国かどうか、税金の申告方法や期限をよく確認しましょう。これを怠ると、二重課税となるケースもあります。

また、報酬についても業務委託契約が基本となるので、金額が事前準備を含めた労力と費用、自分の経験や技量に見合っているかは自分で決める必要があります。

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