スペインに観光ビザで滞在できるのは90日までなので、91日以上滞在する場合はビザの取得が必要です。
学生として長期滞在する場合、91日以上180日までの場合は短期学生ビザ、181日以上の滞在は長期学生ビザの取得が必要です。短期学生ビザは延長はできません。181日以上の滞在のための長期学生ビザはスペイン国内で延長することが可能です。
ここでは長期学生査証(長期学生ビザ)の取得方法をご紹介します。日本で準備し手続きしなければならないこと、スペインへ来てから手続きしなければならないことの2種類があります。
スペインと日本の間でのやり取りはもちろん、スペイン国内での申請にも時間がかかるものです。不備なく申請して、スムーズに取得できるよう準備をしたいところですね。
なお、スペインでの学生ビザの延長方法は以下の記事をご参照ください。
スペイン学生ビザを日本で申請する方法
まずはスペインへ渡航する前に日本で行う必要がある手続きについてです。
日本での学生ビザの申請、受け取りは本人がスペイン大使館へ足を運んで行う必要があります。郵送でのやり取りはできないので、ご注意ください。
申請は渡航の3ヶ月前より可能です。手続きが完了するまでは2ヶ月ほどかかるので、書類が揃い次第早めに申請をしましょう。
日本国籍の人は申請にかかる費用は一切ありません。
1. スペイン大使館領事部へ連絡して必要書類をもらう
まずは、長期学生査証(長期学生ビザ)の申請には何の書類が必要なのかを知らなければいけません。スペイン大使館領事部へ連絡し、必要書類のリストをメールか郵送で送ってもらいます。
- 「留学・研究・研修査証(長期、6ヶ月以上)」
- 「査証申請書」
- 「査証申請書の書き方見本」
- 「健康診断書」
連絡すると、上記が送られてきます。必要な書類等の詳細は「留学・研究・研修査証(長期、6ヶ月以上)」というファイルに記載されています。
未成年が留学する場合は、学校名、滞在期間、スペインにおける法定代理人(保護者となる人)を記載した「渡航同意書」に親の署名が必要となります。
2. 申請に必要な書類を揃える
ビザの申請に必要な書類の中には、作成・発行依頼をしてから時間がかかるものがあります。時間がかかりそうなものから順に下記に記載していくので、参考にしてみて下さい。
入学証明書
大学や語学学校等の留学先の学校から発行される入学証明書の原本を提出する必要があります。
スペインの学校から国際郵便で原本を送ってもらうことになるので、最低でもビザ申請予定日の1ヶ月前には入学の申し込み、入学金など必要な費用の振り込みを済ませておきましょう。
なお、学生ビザの場合は週に20時間のクラス受講が必要で、その内容が入学証明書に記載されていなければなりません。
ビザを取得できる大学、語学学校の担当者は手続きに慣れているので、「ビザを申請するために入学証明書がほしい」と伝えれば、必要事項が記載された証明書を発行してもらえます。あわせて原本を郵送で送ってほしい旨は確実に伝えましょう。
宿泊証明書
滞在期間中の宿泊先が用意されていることを証明します。滞在開始から最低90日先までの宿泊先が決まっている必要があります。学校で宿泊先を手配してもらう場合は、入学証明書に「学校が宿泊先を手配する」という記載があれば問題ありません。
海外留学保険
海外留学保険を取り扱っている会社へ資料を請求し、保険に加入します。
「滞在中の傷害・疾病に備えての医療費及び日本への一時帰国をカバーする」という内容です。詳細は保険代理店の担当者に確認すると良いでしょう。
「スペインに長期留学するための保険に加入したい」と伝えれば、どの保険に加入しなければいけないかを説明してもらえます。
留学期間全てをカバーする保険に加入する必要があります。1年だと最低でもおおよそ15万〜20万円程度で、保険の内容によってさらに高額になる場合もあります。
契約が完了し入金を済ませた後、1週間程で保険契約証の原本が郵送されます。契約証は英文またはスペイン語文で提出する必要があるので、事前に代理店担当者に伝えておきましょう。
海外留学保険を取り扱う会社は複数ありますが、渡航日(保険が有効開始となる日)があまり先だと加入を受け付けてくれない場合があるので注意が必要です。
無犯罪証明書
管轄の警察署に取りに行きます。初日は指紋採取を行います。その際に「次回は○日以降に来てください。」と言われるので、その日付以降に証明書を取りに行きます。
指紋採取から証明書発行まではおおよそ1週間〜2週間です。無犯罪証明書は発行日から3ヶ月以内のものが有効となっています。
健康診断書
大使館から送付された健康診断書の雛形に基づいて医師が記入と署名を行い、医師及び病院が捺印したものが必要です。事前に病院へ健康診断書を見せて、対応してくれるかどうかを確認しましょう。
特別な検査があるわけではないので、診断書の作成はその日のうちにしてもらえるケースが多いようです。健康診断書は発行日から1ヶ月以内のものが有効です。
経済能力の証明
- 残高証明書
経済能力の証明として、金融機関または郵便局が発行した口座の残高証明書を提出します。和文の証明書で提出可能ですが、押印されているものが必要です。自分が口座を持っている支店の窓口で発行してもらえます。
残高は、日本〜スペイン間の往復の交通費(飛行機代)と月額535ユーロ相当額以上のスペイン滞在費、とされています。少なすぎるとビザが下りないので、滞在希望期間を十分カバーできる残高を揃えて証明書を発行しましょう。
学生で親の残高証明書を提出する場合は、親子関係を証明するために戸籍謄本と住民票を添付します。
発行から1ヶ月以内のものが有効です。
- 給費・奨学金の証明書
奨学金制度等を利用して留学する場合は、給付をしてくれる公的・私的機関からスペインで勉強するために充分な額を受けていることを証明するものを提出します。
査証申請書
査証(ビザ)申請書は英語かスペイン語で記入します。自身の情報、入学する学校の情報、滞在先の情報等を記入し、証明写真を添付します。査証申請書は書き方見本も送られてくるので、それを参考にしましょう。
注意事項としては、スペインへの入国日は学校の授業開始日とおおよそ一致するように、と記載があります。
この際に添付した証明写真がパスポートのVISADO(スペインで学生カードをもらうまでの間の仮のビザ)のページに印刷されます。なお、証明写真はスペインでのビザ申請の際にも利用します。
スペインの写真館で写真を撮ることもできますが、渡航したばかりで土地勘もなく、スペイン語もままならない状態で写真を撮りに行くのは心細いと思うので、証明写真はスペインにも持参することをおすすめします。
返信用定型封筒
住所、郵便番号、宛名を記入し82円切手を貼った封筒を用意します。申請書類をきちんと準備したにもかかわらず、意外とこの82円切手の貼付を忘れてしまうケースが多いようです。
近くのコンビニでも買えるので最悪忘れても問題ありませんが、事前にチェックするようにして下さい。この封筒に「ビザの交付手続きが終わりました」という通知が入って届きます。
パスポート原本
申請からビザ交付手続き完了までは、パスポートをスペイン大使館領事部へ預けます。
3. 書類集めのポイント
初めに旅立つ日から逆算して、いつビザの申請手続きを行うのかを自分でスケジューリングしましょう。そして、証明書の発行までに時間がかかりそうなものは、早めに取り掛かるようにしましょう。
具体的には、スペインから書類を送ってもらう必要がある「入学証明書」「宿泊証明書」です。海外留学保険についても比較や検討に時間がかかりそうだと思う方は、早めに資料請求して検討に入りましょう。
発行日から1ヶ月等、有効期限があるものはあまり早くに入手し過ぎて期限切れとならないよう、スケジュール調整をして下さい。なお、原本のみ必要なものと、原本とコピー1部ずつ必要なものがあります。書類に記載の指示に従って下さい。
4. スペイン大使館領事部での申請手続き
上記の書類を準備したら、六本木一丁目にあるスペイン大使館領事部へ足を運びます。日本にあるスペイン大使館はあまり混んでいない印象があります。スペイン大使館領事部の営業時間は土日祝日以外の9:30〜12:30です。
入り口で簡単なセキュリティチェックを受けたら、窓口に並んで申請書類を提出します。窓口担当者は日本人なので、「長期の学生ビザを申請したいので書類を持参しました」と伝えれば対応してもらえます。
担当者が書類を一通り確認したら、申請は終了です。ビザの交付手続き完了通知を待ちましょう。
5. ビザ交付手続き完了
提出した返信用封筒で交付完了の通知を受け取ったら、再度スペイン大使館領事部へ行きます。パスポートの査証のページに、提出した自分の写真付きの「VISADO」というシールが貼られています。
このビザは仮のもので、スペインに入国した後に正式な長期学生査証(長期学生ビザ)を申請する必要があります。シールにはこの仮のビザの期限と、発行日、本籍地、N.I.E(外国人登録番号)が記載されています。
スペインでの学生ビザ申請方法
日本での仮のビザの取得が完了し、無事スペインへ入国したら、今度はスペインでの長期学生査証(長期学生ビザ)の申請手続きが必要です。仮のビザは90日間の入国許可なので、スペインへ到着したら早々に申請手続きに取り掛かりましょう。
日本でスペイン大使館領事部から発行される書類には「入国してから1ヶ月以内に」と記載がありますが、スペインは何でも時間のかかる国なので、入国後すぐに手続きしに行くことをおすすめします。
1. 管轄の警察署の外国人事務所(Oficina Extranjera)へ行く
まずは長期学生査証(長期学生ビザ)交付の申請に必要な書類をもらうため、管轄の警察署(Comisaría)の外国人事務所(Oficina Extranjera)に出向きます。
警察署は市内に複数ありますが、外国人事務所は1つしかないので、どこにあるのか確認しておきましょう。ちなみに私が住んでいるセビリアではスペイン広場(Plaza España)にあります。
パスポートと日本で発行されたビザの書類を持って、担当者に「長期滞在の学生ビザの手続きをしたい」と伝えます。
混雑を覚悟で
外国人事務所はとても混雑しています。30分〜1時間は並ぶことが多いと思うので、時間に余裕を持って行くようにしましょう。9:00に事務所が開きますが、8:00過ぎから並んでいる人もいます。
なお、大学や語学学校はこのビザ申請手続きの日は休むことができるので、学校の担当者にも「ビザ申請の手続きで外国人事務所に行くので休みます」と伝えておきましょう。
地域により多少異なる部分があると思いますが、セビリアでは以下の書類をもらいました。
学生査証申請書
名前、セビリアでの住所、パスポート番号等、簡単な情報を記載するようになっています。
振込用紙
ビザの申請手続きに必要なお金を振り込みます。次回、外国人事務所に行くまでに入金を済ませておく必要があります。金額は地域により異なると思いますが、20ユーロ程度です。
どこの銀行でも振り込めるので、近くの銀行の窓口で行員に振込用紙を渡して(住所等を記入)現金で支払いを済ませ、控えを保管しておきます。
次回のアポイントが記載されている紙
以下のようなことが記載されています。
「次のアポイントは○月○日の○時~○時です」この時間に事務所に来てくださいということです。
「パスポートを持参してください」
「銀行で振込を済ませておいてください」
「身分証明写真の白黒コピーを持参してください」
身分証明用の写真は日本から持ってきていればベターですが、ない場合は近くの写真館等で撮りましょう。
次回のアポイントはおおよそ2ヶ月後です。
②初回アポイント日に警察署の外国人事務所へ行く
持参する書類は、学生査証申請書(初回訪問でもらったもの)、手数料振り込み用紙の控え、パスポート、身分証明用写真とそのコピー(白黒)、アポイント日が記載された紙です。念のため、日本で申請した書類のコピーも持っていきます。
アポイントをもらっているとはいえ、1回目と同じく外国人事務所の長い列に並ばなければなりません。セビリアで申請した私の場合は、自分の順番が来てアポイントの紙を見せると、通常の窓口とは異なる別室に通されました。
学生査証申請書と振込用紙の控え、パスポート、写真の白黒コピーを渡すと、指紋採取に移りました。
次回アポイントの用紙をもらう
その場でN.I.Eと次回のアポイントが記載されている紙「RESGUARDO DE SOLICITUD O RENOVACION DE TARJETA DE EXTRANJERO」が発行されます。
これはtarjeta de estudiantes(学生査証)が発行されるまでの間の代わりとなるもので、この紙があれば学生として長期滞在することが認められていることになります。
次回のアポイントはさらに2ヶ月後です。スペイン国内の手続きで何故そんなに時間がかかるのか不思議に思うこともありますが、全てマドリードに書類を送って処理するためのようです。
3. 2回目のアポイント日に警察署の外国人事務所へ行く
次のアポイント日が来たら、再度外国人事務所を訪問します。ここでもまた、長い列に並んで待ちます。
窓口でアポイントが記載されている紙を提示すると、その場でカードが保管されている中から名前を手がかりに探し出してくれ、tarjeta de estudiantes(学生査証)を受領することができます。
まとめ
日本で準備する書類は結構多くて大変ですが、特にスケジュール調整が鍵となります。
スペインでは申請書類は少ないですが、複数回外国人事務所に行かなければならず、外国人事務所は混雑しているのでかなり待たされます。さらに手続きにも時間がかかります。
スケジュールに余裕を持ってビザの申請を行うことをおすすめします。
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