子どもが好きで、海外でも子どもに関係する仕事をしてみたいと思っている人も多いのではないでしょうか?
私は「レッジョ・エミリア・アプローチ法」という教育法のとりこになり、2015年までカナダで幼児教育者(Early Childhood Educator)として働いていました。
その教育法の内容とともに、カナダで幼児教育者として働く魅力や給料事情など、私の海外転職体験談をお話しします。
カナダで働こう!必要だったのは勇気と決断
日本を離れることは、社会人だった私にとってすごく勇気のいる決断でした。安定した環境から離れ、ゼロ、もしくはマイナスからのスタートです。
生まれてから高校、大学を卒業するまで、数年ごとに迎える新しい生活や環境になじんできましたが、海外転職となると想像を絶することだらけです。
勤務先の異動などで新しい環境になることはあっても、その会社から飛び出さない限り収入が突然なくなるわけでもなく、人間関係も何かしらつながっています。
環境をリセットするには自分で選択するしかありません。学校のように期限が決まった卒業もなく、辞めるタイミングも自分で決めなければいけません。かなり勇気のいることでした。
カナダでの生活が始まるも先の見えない状況が続く
この後、カナダで幼児教育者として働くことになるのですが、日本でのキャリアを生かせない(生かさない)職種への転職だったので、ますます先の見えない状況です。
また、カナダでの仕事が決まってカナダに入ったわけでもないため、収入もありませんでした。出費がかさんでいくだけです。
労働許可証(ワーク・パーミット)を取得するまで就労は違法なので、身分を証明するものはパスポートのみ。信用もありません。
カナダで出会った「レッジョ・エミリア・アプローチ法」とは
※Early Childhood Educatorのライセンス
そんな不安な状態でしたが、カナダの「レッジョ・エミリア・アプローチ法」という教育に惹かれ、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の幼児教育者育成プログラムを受講することを決めました。
個々を尊重し協調性もはぐくむ教育法
ブリティッシュコロンビア州の幼児教育者育成プログラムでは「レッジョ・エミリア・アプローチ法」を軸に学習します。
これはイタリアのレッジョ・エミリアという村で実践されていたもので、その村の幼児教育施設のひとつが「世界で最も優れた学校」に選ばれたことで注目され、世界中に広まりました。日本でも導入する保育施設が出てきています。
私はこのアプローチ法を学び、育児に対するもやもやが晴れたというか、本当にしっくりときたというか、筋が通った方法だと実感しました。
「個々を尊重し協調性もはぐくむ」
一見、相反することなのに、それをどちらも育てる教育法。とても素晴らしいと思いませんか?
アートアクティビティ中心のプログラム
この「レッジョ・エミリア・アプローチ法」の特徴は、アートアクティビティに力を入れていること。想像力、創造力、表現力を育てることに重きを置いています。
子どもたちが楽しく自由に表現できるようにフォローするのが、私たち幼児教育者です。なるべく「Yes」「No」では答えられないような質問を投げかけながら進めさせます。
また、子どもたちと一緒に1週間から長いと1年にも及ぶ長期的なプロジェクト(例えばロケットを作るなど)を計画、実行することも特徴です。
この過程で自然と協調性を学ぶ。その環境を作るのが大人の役目なのです。
グローバル化の進む社会に適合
現場によってプログラムなどの違いはあるとは思います。
それでも、私が学んだ「レッジョ・エミリア・アプローチ法」は、多様な人種や文化が共生するカナダにとても合っているし、グローバル化していく日本や世界でも通用するものではないのかなと思っています。
カナダを離れてしまった今でも、この「レッジョ・エミリア・アプローチ法」を現場で深く知ることができたことは、自分にとって有益なことだったと思います。
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[/col][col][/col][/2col]カナダで幼児教育者として働く魅力
1. 多様な人々と深く触れ合える
カナダは移民大国といわれ、職場の同僚や教室に通う子どもたちの多くも移民の2世や3世だったりします。
見た目や少し話しただけではネイティブかノンネイティブかを見極めるのは難しく、またそんなことになど関心がないのか、皆「カナダ人であることを誇り」にしているんだなと感じます。
多様な人たちが自然に共存していることは本当に美しいです。彼らは、カナダ国旗を持ち物に付けることも好きなんですよ。
普段の暮らしの中でお互いを尊重
私は、海外旅行が好きでいろんな国を訪れています。それで思うのが、カナダほど疎外感がなく安心感のある国はないということです。
外国人だろうと英語ができない人だろうと受け入れる余裕を感じます。暮らしの中で、お互いの文化を話題にしたり共有したり、お互いを尊重する姿勢が見られます。
幼児教育施設で働くと、子どもたちだけでなくご家族ともコミュニケーションを取るので、さまざまなことを話しながら深く触れ合うことができます。
教育現場って大変じゃない?と言う人もいますが、私自身は特に感じたことはなかったです。
2. 公私のバランスが良い
いまだ「仕事最優先が当然」という考え方が根強い日本に比べて、カナダでは「仕事」も「私生活」も大切にします。
有給休暇(カナダではバケーションと表現)は、基本的に全員が全部使います。翌年に持ち越すことなどほとんどありません。本当にみんな使います。「シンプルで平等」です。私は、1週間から10日ほどの旅行や、約1カ月間の日本への一時帰国などで使い切っていました。
仕事と私生活のバランスがいいと、心が健康になります。カナダにいた頃は心が健康でスッキリしていることを日々実感しながら過ごせていたなと思います。
カナダで幼児教育者として働く、その収入は?
気になるのはお給料ですよね。平均的な時給はカナダの方が若干高いのですが、年収で比べるとカナダの幼児教育者は日本の保育士よりも低いようです。
個人的に、これはかなり意外な結果でした。現地の他の職種と比べて高収入ではないなと思ってはいましたが、拘束時間や有休、健康保険など待遇面のことまで含めて考えると日本よりいいと私は感じていたからです。
カナダの幼児教育者の平均時給と年収(2017年現在)
- 平均時給は15.64カナダドル(約1,300円)
- 平均年収は34,373カナダドル(約286万円)
日本の保育士の平均時給と年収(2015年現在)
- 平均時給は1,251円
- 平均年収は323万円
※1カナダドル=約83円(2017年5月1日現在)
まとめ〜たった1割のワクワク感に賭けた行動が自信に
カナダに行く前は、こわい気持ちが9割、ワクワクした気持ちが1割くらいだったように思います。気の合う友人や家族とも離れることが、私にとって一番のネックでした。でも、その1割に私は賭けました。
働くまでにはいろいろ大変なこともあったし、自分の無力さを感じてへこむことや、日本に帰りたいと弱気になることもありました。でも、そういった苦労も含め、日本を飛び出さないと体験も実感もできなかったことばかりで、失敗から学ぶこともたくさんありました。
「日本を飛び出して海外に出てよかった」「カナダで働いてみて良かった」と、自信を持って言えます。
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