10人いれば10通りの個性があるのは、日本でもイタリアでも同じことだと思います。私はイタリアで何年も働き、たくさんのイタリア人に出会いました。日本人がそうであるように、同僚であるイタリア人も皆、それぞれに長所や短所を含めた個性を持っています。
ここでは、一癖も二癖もある個性を私に強烈に印象づけたイタリア人たちのエピソードを紹介します。そして、そんな個性的な人たちと円滑に仕事を進めるにはどうしたら良いかもあわせて考えていきたいと思います。
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職場で出会ったイタリア人1. 口を開けば文句ばかり
まず、同僚の女性の話をしたいと思います。
60を過ぎたこの女性は非常に身だしなみもよく、遠目には感じの良い人に映ります。しかし、彼女と仕事をするのは簡単ではありません。なぜなら、彼女がいったん口を開ければ出てくるのは文句ばかりだから。
「あの人の服装は嫌だ」「何なのあのしゃべり方は?」
時には自然現象にまで怒りの矛先は向かいます。「今日はなんで雨なの?」「なんて寒い日なの?ああ嫌だわ、こんな天気」
距離を置くのが一番
こういう人と仕事をすると、悪いエネルギーを吸収してしまいそうで、早くその場から離れたくなります。実際、このような人への対処法は、しっかりと距離を取るということ以外にないように思います。
職場で出会ったイタリア人2. 世界の中心は自分
また別の60近い女性の話です。
彼女は自分の仕事はしっかりとこなします。完璧主義者と言っても過言ではありません。それ故、一緒に働く人間が彼女の思い通りにならないことに非常に敏感です。彼女の要求に忠実でないと、すぐに嫌味を言われます。
彼女とともにバリスタとして働いていた時、すべてのものは彼女が定めた通りに配置されていなければなりませんでした。あるはずの物がなかったり、不必要な物が置いてあったりしようものなら「なんで言ったことができないの?」とすぐ小言を言われます。
一度、「あなたが言うようにやらないと、世界が滅亡でもするのか?」と言ってやったことがありました。
言いたいことを言わせた上で意見を述べる
この人と対話するときは、まず主張させ、言い分をすべて聞いた後で自分の意見を言うようにしていました。と言っても、自分の意見を聞き入れてもらえることはあまりありませんでしたが。
職場で出会ったイタリア人3. 職人気質の頑固者
70歳を過ぎても家具を作ったり、ペンキ塗りをしたりと現役で働くドイツ生まれのイタリア人の話です。
さすがはドイツ生まれ、仕事は正確です。しかし、彼は人から意見されるのを嫌います。
大きな家具作りを手伝っていたある日のこと。もう一人のイタリア人アシスタントが、彼に意見を述べました。最初は聞き流していた彼でしたが、徐々に顔が赤くなり、しまいにはけんかが始まりました。
「誰がお前に意見を聞いた。俺のやり方が気に入らないなら出ていけ」
呆気にとられた私はどうすることもできず、ただ立っているだけだったのを覚えています。
言われた通り仕事をするのみ
普段は良い人、でも仕事になると頑固者。しっかりと仕事をするのだから問題はないのですが……。4年ほど一緒に仕事をしましたが、ほぼ彼に言われたことをこなすだけの毎日でした。
職場で出会ったイタリア人4. 権利ばかりを主張
また別の同僚の話です。
彼は私よりも10歳ほど若く、用心深い性格でした。例えば、仕事の契約書などは隅から隅まですべて読む徹底ぶり。それ故、契約書に書かれていないことはやろうとしません。
例えば、決められた週の労働時間を超えるような時、「契約書に書かれていないから働かない」と言います。間違ってはいないと思います。でも、時々は契約から少し外れるようなことがあるものです。
結局は、他の従業員が働いているので渋々受け入れるのですが、すぐ上の人間に話をしに行きます。
彼自身の成長に期待
上司に話をすることも間違ったことではないのですが、時にはやりたくないことも受け入れなければならない時がありますよね。
彼はまだ若いので、時間が経てば分かることもあると期待しています。
職場で出会ったイタリア人5. 思い込みを正当化
最後に、ある女性の同僚のお話です。
彼女は仕事はでき、たくさんの仕事をこなします。ただ、仕事が多くなるとすべてのことを記憶しておくのは容易ではありません。
彼女に仕事について何度か聞きに行きました。すると
「その件は、前にも何度も言ったでしょ?」
実際には何も言われてないのに、この繰り返しです。
いろいろな記憶が交錯し、彼女は確実に言ったと思い込んでしまっています。「言われてない」と伝えると、「忘れるあなたが悪い」の一点張り。自分の非を絶対に認めないのです。
普段からほめておく
この人とは本当に合わず、正直、私はこの人恐怖症になりました。幸い、絡むことはほとんどなかったのですが……。
プライベートでは悪い人ではないのに、仕事になると豹変する。そういう人には、プライベートでちょくちょくほめるようにしておきましょう。いざという時にちょっとだけ優しくしてくれるかもしれません。
まとめ〜欠点も個性ととらえれば気にならない
癖のある人と上手く付き合っていくことは簡単ではありません。毎日会う人ならなおさらです。
自分に短所があるように、他人にも欠点はあります。しかし、短所があるからといって単にダメな人と考えるのではなく、短所と見えるものをその人の個性と考え、受け入れることが大事。これを私はイタリアで学びました。そうすると、ちょっとしたことは「まあ仕方ないか」と思えるようになります。
イライラして生きるのも人生、笑って楽しく生きるのも人生。私は後者を選びます。
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