韓国は日本よりも上下関係の厳しい国。他人のマナーに対しての目も厳しく、マナーができていないと育ちが悪く見られたり、周りの人に不快な思いをさせてしまったりする恐れもあります。
外国人に対してはそこまで厳しくないものの、韓国のマナーを知り身につけていると一緒にいる韓国人も喜んでくれます。また、食事マナーを知ることで韓国の文化もより深く知ることができます。
韓国在住の私から、食事やお酒の席で気をつけるべきマナーをご紹介します。
韓国の食事マナー:姿勢
あぐらをかくように座る
座敷席の場合、あぐらをかくように座るのが韓国スタイルです。片膝を立てても問題ありません。
また、女性でスカートをはいている場合もあぐらをかいて座って大丈夫です。
韓国の食事マナー:配膳・準備
料理の位置
ご飯茶碗が左、汁物は右へ置きます。これは日本と同じです。
おかずの置き方は要注意です。冷たいおかず、乾燥したおかずは左に置き、熱いおかず、水分の多いおかずを右に置きます。野菜は左側、肉類は右側です。
スプーン・箸
食堂などカジュアルなお店では、テーブルの側面にカトラリーの入った引き出しがある場合が多いので、食事を待っている間に自分でスプーンやお箸を出して準備します。
スプーンとお箸は右手に縦に並べます。この時、左側にスプーン、右側にお箸を置きましょう。箸置きがない場合は紙ナプキンの上にスプーンとお箸を置きます。
なお、食事中のスプーンとお箸の使い方は後述します。
圧縮タイプのおしぼり
通常、おしぼりなどのお手拭きは出ないことが多いですが、たまに圧縮タイプのおしぼりが出ます。席に置いてある水をかけ、ふやかして使用します。
韓国の食事マナー:食べる順番
スープやキムチの汁を先に飲み、その後おかずに手をつけます。スープ類を飲む際はスプーンを使います。
なお、汁気が多く、辛味のない「水キムチ」が韓国ではよく出てきます。このキムチの汁部分に乳酸菌が多く含まれ、美容にも良いと言われているので、水キムチが出てきたらぜひ汁まで飲んでみてください。
韓国の食事マナー:スプーン・箸の使い方
使い分け
- スプーン:スープ類、ご飯
- お箸:おかず
日本とは違い、お味噌汁もスプーンを使って食べます。
スプーンとお箸は同時には使用しません。箸を使用する時はスプーンを置き、スプーンを使用する時は箸を置きます。
使い方と注意点
お箸の持ち方は日本とほぼ同じです。箸に関するマナーは日本ほど厳しくはありませんが、お箸で食器を引き寄せる「寄せ箸」は韓国でも禁止です。
取り箸はありません。おかずを取る時も、鍋を食べる時も、自分のお箸やスプーンで取ります。
食器にスプーンや箸が当たって音が鳴らないようにしましょう。また、スプーンや箸を使用後、食べ物が付着しないようにします。
食事中にちょっと休む際や食べ終わった後はスプーンや箸を食器の上には置かず、元の位置に戻します。
韓国の食事マナー:食事中に気をつけるべきこと
席を立たない
- 食事中はできるだけ席を立たないようにしましょう。
遠くの食べ物や調味料を取りたい時は、席を立たず近い人へ声をかけましょう。そして、両手で受け取るようにします。
日本と異なる食べ方
- 食べる際に器、食器を手で持ってはいけません。韓国の食器はステンレスが主流で、熱くて持てないことからこのマナーができたといわれています。スープ類を飲む時も食器を持ち上げず、置いたままの状態でスプーンで飲みます。
- 食事中は音を立てないようにしましょう。日本人は特に麺類を音を立てて食べる習慣があるので気をつけましょう。
- おかずとご飯はどちらか片側から食べるようにします。
ちなみに、スープへご飯を入れることは韓国ではマナー違反になりません。汁物を注文するとたいていご飯が付いてくるので、スープと混ぜて楽しみましょう。ただし、ご飯の器にはスープを入れないようにしましょう。
人前では上品に
- 魚などを食べる際、口に骨が入ったら、顔をそむけて周りに見えないように紙ナプキンへ出します。
- 咳やくしゃみをする際は人がいない方へ顔を向け、口をおおってできるだけ静かにするよう心がけましょう。
- 人前で、また食事中に鼻をかんではいけません。どうしてもかみたい場合、席を立ちましょう。
残してもOK
- 食べ残しは問題ありません。中国と同じくたくさんの料理でもてなす文化なので、基本的に量が多めです。
韓国の食事マナー:上下関係を忘れずに
目上の人を優先
着席、離席は立場や年齢が上の人が先です。目上の方より先に着席、離席をしないようにします。席次の考え方は日本と同じで、入り口から見て奥側が上座になります。
一番目上の方が口をつけた後、他の人も食べ始めます。飲み物も同様です。食べるペースは一番目上の方と同じくらいにしてください。
会話をする際は、目上の方の目をじっと見ながら話すと失礼にあたるので、適度に目を外しながらしゃべりましょう。
お酒についてのルール
お酒も目上の人から注ぎます。片手でビンを持ち、もう片手でその手を支えて注ぎます。注いでもらう際には両手でグラスを持ちます。
お酒を飲む際は、立場が上の方へグラスの底が見えないよう横を向いて飲みます。そして、グラスを持つ反対の手で口元を隠します。
お酒の注ぎ足しは禁止です。お酒を注ぐ際は相手のグラスが空になってからにしましょう。
もし、グラスが空いていないうちに相手が自分にお酒を注ごうとしたら、すぐに残っているお酒を飲み干し、両手でグラスを差し出して注いでもらいます。
なお、基本的に女性がお酌をすることはありません。
韓国の食事マナー:代金の支払い
韓国では基本的に割り勘で支払うことは少ないです。
接待の場合は接待する側が全額支払います。プライベートの食事では目上の方が全額支払い、その後に他の店に行った場合は相手がお返しに支払います。
昇進、結婚、誕生日などお祝いの際は、良いことがあった本人が全額支払います。
カード社会なので屋台以外ではたいていカードで払えます。万が一、割り勘で会計する際も、別々にカード払いが可能です。
韓国人に聞いた、日本の気になる食事文化
麺やスープをすすって食べる
韓国の食事にも麺類が多いのですが、先に述べたように食事中は基本的に音を立てないことがマナーとなっているので、麺類を大きい音ですすっている人を見ると「日本人だ」と思うそうです。
プロトコールという国際マナーでも音を立てて食事をすることはNGなので、海外で暮らしたい方は音を立てずに食事する習慣を身につけましょう。
お酒が残っているのに注ぐ
これも上述した通り、韓国ではグラスが空いてからお酒を注ぐ文化です。しかし、それを知らない日本人のせいでお酒を飲み過ぎてしまったという話をよく聞きます。
まだ半分くらいお酒が残っているのに日本人が注いでこようとするので、急いでグラスを空けて注いでもらい……ということを繰り返しているうちに飲み過ぎてしまうそうです。
特に韓国は上下関係が厳しく、目上の人からお酒を勧められた場合、断りづらい文化です。相手のグラスが空いてから注ぐこと、無理にお酒を勧めないことを心がけましょう。
お通しが有料
多めの料理でおもてなしするのが韓国の文化なので、日本より品数も量も多いです。
基本的にメインの料理のみ注文すれば、サイドメニューは注文する必要がないくらい無料のおかずがたくさん出てきます。さらに、たいていおかわりも無料です。
上の写真もケジャン(蟹)とポッサム(蒸した豚肉)の2品しか注文していません。
韓国の人が日本に行くと、お通しや漬物が有料であることに驚くそうです。
日本人に聞いた、韓国で驚いた食事文化
何でも分け合う
韓国では「豆一粒でも皆で分け合う」と言われているくらい、分け合う文化が浸透しています。
グループの1人がアイスクリームを買ったら、その1つのアイスクリームをその場にいる友人皆で食べていて驚いたという話を聞きました。
職場でお菓子などを食べる場合も皆で分け合います。同僚がいる前で何か食べたい時は分けるか、全員分買うようにしましょう。
直箸、直スプーン
先述通り、韓国では取り箸はないので、鍋やおかずなど皆で食べるものもすべて直箸です。
美味しいおかずがあった時、直箸でそのおかずを取り、こちらのご飯の上に乗っけてきたという話もあります。
辛いものが苦手と話すと、それを聞いた相手は自分の箸でキムチの表面についてる唐辛子をそぎ落とし、「こうしたら辛くなくなるから食べてみて」と皿に乗せてきて驚いたという話なども。
様々聞きますが、韓国人は好意でそのようにしてくれているので、頂いたものは食べるのが賢明です。
お酒の量が多い
韓国のビールには様々な種類がありますが、基本的にスッキリとした味わいのため、ビールに焼酎を入れて飲むことが多いです。ソジュ(焼酎)+メクチュ(ビール)なので、頭文字を取ってソメといいます。
大学生はもちろん、社会人でもソメを一気飲みすることが多いので、そこまでお酒が強くない人でも鍛えられていきます。飲み会の途中で何度も乾杯します。
まとめ~文化を理解し溶け込もうとする努力が大切
日本の隣にあり、日本と同じくお箸を使う国とはいえ、マナーについては異なる部分が多いです。ただ、やはり日本人は他の国の人よりは簡単にマスターできるのではないでしょうか。
最初にも述べましたが、外国人が韓国のマナーを習得していると喜ばれます。また、何よりも韓国の文化や社会に溶け込もうと努力する姿勢が好印象を与えるので、韓国滞在の予定がある方は早いうちから韓国のマナーを身につけておくことをおすすめします。
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