手続きが煩雑!中国から日本に犬を連れ帰る方法ー私の体験談

犬 中国生活・移住

私は中国に住んでいますが、日本に愛犬を連れ帰る準備をしています。この手続きは非常に厳しく複雑です。また、7ヶ月以上前から連れ帰る準備をしなければなりません。

突然、中国から日本への完全帰国が決まった時に間に合わないのは怖いので、あらかじめできる所まで準備しています。

今回は中国から日本へ愛犬を連れて帰る方法をご紹介します。

中国から日本に犬を連れ帰る手続きは非常に複雑

私は中国の自宅で小型犬を飼っています。中国で購入した犬です。今では家族の一員として可愛がっているので、完全帰国する時は犬を日本に連れ帰りたいと思っています。

そのための手続きについて調べてみると、その複雑さに圧倒されてしまいました。よく準備しないと犬とお別れすることになってしまいかねません。

中国から日本に犬を連れ帰る方法について書かれたホームページがあります。

これらを熟読する必要があります。ですが、これらの記事をよく読んでも、中国での手続きについて詳しく書かれていないので、調べるのに大変苦労しました。

愛犬のために注意深く準備したので、今は犬を連れ帰る準備が順調に進んでいます。中国から日本に犬を連れ帰るために実際に行っている手順をお伝えしたいと思います。

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中国から日本に犬を連れ帰るための手順

動物病院

中国から日本に犬を連れ帰るためには、日本に戻る7ヶ月以上前からの以下の準備が必要です。

  1. マイクロチップ装着
  2. 狂犬病+6種ワクチン注射(2回)
  3. 狂犬病に対する抗体価検査
  4. 180日以上の待機
  5. 日本の検疫所へ事前届出書の提出
  6. 帰国7日前の臨床検査
  7. 出国手続き

マイクロチップ装着と第1回目狂犬病+6種ワクチン注射

狂犬病の予防接種はマイクロチップ装着後2回以上行う必要があります。通常、指定の動物病院に犬を連れて行って規定のマイクロチップを挿入してもらいます。同じ日に第1回目狂犬病+6種ワクチン注射が可能です。

指定の動物病院は上海と北京に1箇所ずつはありますが、中国の他の地域の指定病院については案内がありません。以下がそれらの病院です。

北京観賞動物病院 (北京市出入境検験検疫局の指定病院)

  • 住所:朝陽区北三環中路7号(安華橋西100メートル)
  • 電話:400-700-1542(0800)、(010)62051944、(010) 62371359
  • 受付時間:8:00-11:30、13:30-17:00
  • 参照:中国日本大使館 www.cn.emb-japan.go.jp/

上海出入境検験検疫局服務中心 申普寵物医院 *総部・第3門市部

北京や上海の近くにお住いの方は、直接指定の動物病院に行くことができると思います。ですが、私は上海の隣の江蘇省に住んでいます。上海から少し離れているので、認可がある近場の動物病院でこれを行なうことにしました。

中国各市には“畜牧兽医站”と呼ばれる保健所があります。近場の保健所が知りたい方は“百度地图”など地図アプリで検索してみましょう。

近場の動物病院で聞いてみたら、その保健所が発行する狂犬病ワクチンの証明書を発行できるということでした。

上海申浦宠物医院に電話して保健所の認可のある狂犬病ワクチン接種証明書が発行できる病院であれば有効であることを確認しました。また、マイクロチップを挿入する前後の手続きについて詳しく問い合わせておきました。

上海申浦宠物医院には英語だけでなく日本語が話せる人がいたので大変助かりました。

私は一時帰国時に必要な物を購入しておきました。日本の神奈川県にある畜産生物科学安全研究所のホームページを通してマイクロチップと血清保存容器を購入しました。合わせて1,710円でした。

医療器具

私はマイクロチップ読み取り機は借りませんでした。マイクロチップ読み取り機貸し出しには19,000円(使用料3,000円+保証料16,000円)が必要です(※全て税込料金)。6ヶ月以内に返却された場合、保証料は返金されます。

そしてそれらを持って近場の動物病院に行きました。動物病院では犬を日本に連れ帰る準備をするため、私の要求通りに処置してくれるよう頼みました

まずは私の持参したマイクロチップを犬に挿入してもらいました。背中に太めの注射をする感覚で一瞬で終わりました。うちの犬は鳴き声を出さなかったので、あまり痛そうに見えませんでした。

そして、続けて第1回目の狂犬病+6種混合ワクチン注射を打ってもらいました。背中のマイクロチップを打った部分から少し後ろの方に打っていました。うちの犬は暴れることなくあっさり終わりました。

そして最後に狂犬病+6種混合ワクチンの証明書を記入してもらいました。

証明書

証明書を確認すると、マイクロチップ挿入日を記入する欄がありませんでした。マイクロチップ挿入日の記載は必須です。

なので、証明書の一番下の空白に「マイクロチップ挿入〇〇年〇月〇日」と手書きで書き込んでもらいました。これで通用するかちょっと不安でした。

この日マイクロチップ挿入代と第1回目狂犬病+6種ワクチン注射代で合計150元(約2,565円)かかりました。

第2回目予防接種と血液採取から抗体値検査まで

公共医療センター

※“畜牧兽医站”と呼ばれる最寄りの保健所

この手続きが最も複雑でした。上海申浦病院に電話で問い合わせた結果、私の場合以下の手順が必要なことがわかりました。

  1. 江蘇省の保健所で犬の検査後、“狗狗运输证”(犬輸送許可証)を入手
  2. 上海申浦病院で犬に第2回目狂犬病+6種予防接種を行う
  3. 同病院で血液採取・分解処置後、容器に入った血清と書類を受け取る
  4. 約5日後に上海浦江局动检一课(上海市動物検疫局)に書類を取りに行く
  5. 血清を持って飛行機に乗り、日本の空港動物検疫所で書類を見せる
  6. 日本の「畜産生物科学安全研究所」に血清を郵送する
  7. 抗体値検査についての合否結果を待つ

病院に問い合わせると、血液採取と抗体値検査のための準備は「上海申浦病院」でなければできないと言われました。中国では抗体値検査ができず、日本への血清輸送委託業者も現在利用できないそうです。

ドイツの会社に委託すると費用は確か4,000元(約67,000円)くらい掛かるようで、無理だと思いました。それで私は一時帰国時に日本で抗体値検査を行うことに決めました。

中国では犬を連れて省を跨ぐ時は、犬輸送許可証が必要です。これがないと狂犬病抗体値検査の手続きをしてもらえません。

これは上海申浦病院に行く2〜3日前に保健所に行って入手する必要があるそうです。ただ日曜祝日などは保健所が休みなのであらかじめ調べてから行きましょう。

私は犬を“滴滴”という民間タクシーで運び、保健所に行きました。通常、タクシーではカゴに入った犬を車のトランクに入れる必要があります。

保健所に着いたら“犬防疫证书”(狂犬病予防接種証明書)とパスポートと犬を見せました。その検査は簡単に済み、輸送許可証を貰うことができました。

上海申浦病院によると、一時帰国の7日前に同病院に犬を連れて行く必要があるそうです。またもや“滴滴”というタクシーに約2時間乗って病院に行きました。そこで以下の物を提出しました。

  • 犬輸送許可証
  • パスポート
  • 予防接種証明書
  • 飛行機チケットの印刷物
  • 狂犬病抗体検査証明書(動物検疫所のホームページから入手)
  • 血清保存容器(無くてもよい)

医療器具

第2回目狂犬病予防接種後、同日に血液採取が可能です。ですが、第2回目予防接種約2週間後に血液中の抗体値が高くなるのでその頃に血液採取をした方が確実らしいです。

私は何度も上海まで犬を連れて行くのが難しかったので、同日に血液採取をしました。

当病院で血液を分解し血清を取り分けてくれます。1時間くらいで医師記入済みの「狂犬病抗体検査証明書」と、「予防接種証明書」、容器に入った血清を受け取ることができました。血清は冷凍か冷蔵保存するよう指示を受けました。

医師記入済みの「狂犬病抗体検査証明書」

※医師記入済みの「狂犬病抗体検査証明書」

ついでにマイクロチップ番号を読み取り機(マイクロチップリーダー)で確認してもらうと、無事に読み取れました。費用は全部で380元(約6,300円)でした。

そして、それから5日後以降に“上海出入境検験検疫局 浦江局動検一課”に行って「動物検疫合格証明書」を受け取ります。この検疫局は土日祝日が休みなので気をつけましょう。

「動物検疫合格証明書」

※「動物検疫合格証明書」

上海出入境検験検疫局 浦江局動検一課

  • 住所:上海市 中山東一路13号3楼 358号室
  • 電話:6321-5328

一時帰国時は魔法瓶の水筒に氷を入れてその中に血清入りの容器を入れ持ち運びました。預け荷物のスーツケースにそれを入れて運びましたが、上海の空港でひっかかることはありませんでした。

そして、日本の空港検疫所で「血清」と「動物検疫合格証明書」、「兽医证书(衛生証書)」、「狂犬病抗体検査証明書」を提出しました。そして輸入検査申請書を記入しました。空港検疫所は無事に通過することができました。

あとは、日本で立ち寄ったお土産屋さんで保冷剤を購入し、郵便局に急ぎました。その時、血清と共に以下の物を同封する必要がありました。

  • 狂犬病抗体検査証明書
  • 抗体検査費用振込済み領収書

私はあらかじめ抗体価検査費用13,000円を畜産生物科学安全研究所に振り込んで、その領収書を印刷しておきました。血清を輸送する時は郵便局のクール便を利用しました。

抗体値が十分にできているかどうか、腐敗していないかどうかかなり不安でした。2週間くらいして畜産生物科学安全研究所から封筒が届きました。

ドキドキしながら開けると「ペットの狂犬病抗体値は基準値(0.5IU/ml)以上でしたので、問題ございません。」と記載されていました。両手を上げて狂喜しました。

私は突然完全帰国が決まった時のために、犬を連れて帰られるようここまでの準備を行っています。証明書の有効期間は採血日から2年間ですが、ワクチンの有効期間が過ぎると失効してしまいます。

第2回目の予防接種から1年以内に1度ワクチン接種を行いました。もうじき2年の有効期間が切れてしまうので、その前に再度ワクチン接種と抗体値検査を行うつもりです。

180日待機と事前届出

犬

その後は180日以上中国で待機する必要があります。また日本帰国の40日前までに到着予定の空港を管轄する動物検疫所に事前届出をしなければなりません。FAXやメール、インターネットのNACCS(動物検疫関連業務)から届出できます。

東京や大阪、福岡などにある特定の空港しか輸入検査ができないので、この時にどこの空港を利用すべきか確認しましょう。

7日前に輸出前検査を受ける

上海申浦病院に問い合わせた結果、帰国7日前に上海申浦病院に犬を連れて行って臨床検査しなければならないことがわかりました。犬が狂犬病やレプトスピラ症にかかっていないかを確認します。

そして5日後以降に上海の動物検疫所へ証明書を取りに行かねばなりません。

輸入検査

今まで準備した書類を提出します。以下の書類が必要です。

  • 届出受理書
  • 輸出国政府機関が発行する証明書
  • 狂犬病抗体検査の結果通知書
  • 輸入検査申請書
  • 航空運送状(犬用飛行機チケット)の写し
  • 輸入検査申請書

輸入検査で問題がなければ、無事に犬を連れ帰ることができます。輸入条件を満たしていなければ、最長180日間の係留または処分となります。

中国から日本に犬を連れ帰るための手順まとめ

中国から日本に犬を連れ帰るための手続きは結構なお金と労力がかかります。

私が今までに掛かった費用の合計は23,575円です。さらに今後は7日前の輸出前検査代(未定)と犬の飛行機チケット代20,000円が掛かりそうです。※物品の送料や交通費は含みません。

ですが、もしこの準備が不十分で動物検疫所の委託ペットホテルに最長6ヶ月(180日)預けることになったら、目が飛び出るくらいのお金がかかってしまいます。

羽田空港付近のペットホテルなら1日5,000円くらい掛かる可能性があります。詳しくは空港動物検疫所に問い合わせましょう。

中国の可哀想な野良犬をますます増やすことはしたくないと思います。そのためには、動物検疫所のホームページを読んだり、中国の指定動物病院に電話したりして徹底的に調べましょう

愛犬といつまでも一緒に暮らすために、私の経験が参考になることを願っています。

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