イタリア人は議論好きです。彼らは、思っていることを言い合うことで分かり合おうとするからです。言葉に出さなくても相手を分かろうとする日本特有の文化をイタリアで理解してもらうのは難しいかもしれません。
そのためイタリアで働いていると、価値観の違いに戸惑うことがあります。
言語も文化も違うイタリアで仕事をするなら、すれ違いによるトラブルを避けるためにも、イタリア人の考え方を少し理解しておきましょう。
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イタリア人は生きるために働いている
オンとオフの区別がきっちり
イタリア人は仕事中、適度に休憩を取ります。コーヒーを飲んだり、タバコを吸いながら談笑したりと、オフの時間を作ります(その時間が少々長くなることもありますが……)。
また、アフターファイブの使い方が上手いのもイタリア人の特徴です。お酒を飲んだり、友人と笑顔で話したりしながら、仕事の後にストレスを発散します。
やるときはしっかりやって休むときはしっかり休む。イタリア人は仕事とプライベートをきっちり分けて考えるのです。
決められた時間内で仕事をし、休憩やその後の時間は好きなように使います。最低限の仕事を片付けたら、あとは自分の時間だということです。
人生は仕事優先ではない
“働くために生きるのではなく、生きるために働くのだ”
イタリア人がよく言う言葉です。人生は謳歌するためにあるのです。
イタリア人は時間にルーズ
個人的な意見ですが、イタリアで何よりもストレスに感じるのが、イタリア人の時間に対するルーズさです。
皆が皆というわけではありませんが、約束した時間に遅れることは多々あります。始業時間には遅れるけれど、終業時間は正確という人も中にはいます。
電車やバスの時間も、場所によってはあってないようなこともあります。時計を見てはため息をつくという状況がしばしば起こるのです。
日本ではないと割り切る
しかし、ストレスを感じてばかりではいけません。きっぱりと割り切って「ここはイタリア、日本ではない」と自分に言い聞かせることが大切です。
公共交通機関での出勤はしっかりと余裕を持って計画を立て、遅刻癖のある人との待ち合わせには、待ち合わせ時間の15分から30分前の時間を提示してみましょう!
イタリア人は言いたいことを我慢しない
「察する」日本人との違い
日本人はよく忍耐力のある国民だと言われます。よく怒るイタリア人に対して、あまり感情を表さない日本人。よく言えば忍耐強いのかもしれませんが、悪く言えば日本人は感情を表すのが苦手ということでもあります。
イタリア人は何かあれば文句を言います。少し言い方を変えれば、納得のいかないことに対して自分の意見をしっかりと言うことができるということです。
逆に、日本人は言いたいけれど言えないことが多く、いろいろな感情を自分の中にしまい込んでしまいがちです。
口に出さなければ分かり合えない
イタリアでは日本のやり方は通用しません。私も、「どうして何も言わないんだ」と、よくイタリア人の同僚に言われます。
イタリア人は日本人のように、黙ったまま他人を分かろうとする文化を持っていません。彼らの方法は、議論して分かり合うというものです。
議論の後、「そうだったのか、それは悪かった」となり、「コーヒーでも飲みに行こう」となって終わりです。
イタリアで働くなら、思っていることをしっかりと表現しましょう。忍耐強い日本人がイタリア流のコミュニケーション能力を身につければ、無敵ではないでしょうか?
イタリア人とうまく付き合うには
心にあることを声に出す
繰り返しになりますが、溜め込むのではなく、言いたいことをしっかりと言う。これに尽きます。
騒ぎを立てないのが優等生だと習ってきた日本人には、声を荒げることに抵抗を持つ人もいるかもしれません。しかしイタリアでは、黙っていることで状況が良くなることはまずありません。
喧嘩してもいいというぐらいの気持ちで、自分の思っていることを相手に伝えることが大切です。
分かり合えて初めて壁が崩れる
正確なイタリア語でなくてもいいのです。気持ちを込めた言葉は相手にしっかり伝わります。言語も文化も違う人と人との壁は、黙っていては崩せません。
議論を交わし、分かり合えて初めてコミュニケーションが取れたと言うことができるのです。
言いたいことを言ったら、試しに議論した相手を抱きしめてあげてください。壁が崩れた瞬間の爽快感は素晴らしく良いものですから。
イタリアで働くなら日本人であることを武器にする
イタリアでは我々は外国人です。「郷に入っては郷に従え」、当たり前のことですが、イタリアにはイタリアのやり方があります。
それに敬意を払いつつ、一方では日本人の良さも忘れずにいましょう。
日本人の最大の武器、それは勤勉さときめ細やかさです。イタリア人は特にその長所をリスペクトしてくれます。
雇う側にもメリットになる
イタリア人がわざわざ外国人を雇うのは、大きなリスクでもあります。しかし、日本人の良さを活かすことができれば、雇った側にとっても大きなメリットになるはずです。
他人を思いやるという、簡単そうで実は難しいことが、我々日本人には身についています。自然にできることがイタリアでは大きな武器になるということを忘れないでください。
まとめ~理解し合おうとする努力が欠かせない
よく日本のスポーツ選手が海外に出て行きますが、結果を残せる選手と残せない選手の差はなんなのでしょうか。
海外で長く活躍する選手は、語学はもちろんですが、外国人選手とのコミュニケーション能力という点で大きな違いがあるように思います。
生活する国の言語を話し、相手の言いたいことを理解し、自分のことを理解してもらう。それは、どんな国でも、どんな仕事をするにしても同じではないでしょうか?
心を込めたコミュニケーションはいかなる壁をも取り除いてくれる、私はそう信じています。
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