韓国で日本人に人気があり、かつ目指しやすい職業のひとつが日本語教師です。私も日本語教師として働いていますが、韓国で日本語を教える職に就くためには、会話指導ビザ(E-2)が必要です(居住ビザや結婚移民ビザをのぞく)。
基本的に、雇用主である日本語学校の指示に従って書類等を用意すればよいのですが、中にはビザの申請に慣れていないところもあります。そこで、E-2ビザを申請するために必要な書類と手続きについてまとめてみました。
会話指導ビザ(E-2)とは
上で述べたように、韓国で日本語教師として働くために必要なビザが会話指導ビザ(E-2)です。韓国で外国人が就労ビザを取得するのは難しいと言われていますが、E-2ビザは比較的容易に取得することができます。特に、韓国で働きたいと思っている人、ワーキングホリデービザの期限が切れたけれどそのまま韓国に残って働こうと思っている人などに人気があります。
とはいえ、ビザの取得はどこの国でも複雑であることは事実。取得にあたっては基本的に雇用主である学校側がサポートしてくれますが、本人が準備しなければならない書類がいくつかあります。
まずは、韓国で日本語教師として採用され、E-2ビザを所得するまでの流れをおさえておきましょう。
就職活動から会話指導ビザ(E-2)取得までの流れ
求人を探す
まずは求人サイトの確認から。日本語のサイトや韓国語のサイトがありますが、やはり求人数が多いのは韓国語のサイトです。
韓国で日本語教師として働くなら、やはり韓国語ができた方がいいです。日本語で会話授業をすることがほとんどですが、学生から韓国語で質問されることもよくあるのです。
以下の求人サイトから、日本語教師の仕事を探してみましょう。
- 日本語教師の集い:http://www.e-tsudoi.com
- JOB KOREA(韓国語):http://www.jobkorea.co.kr
- SARAN(韓国語):http://www.saramin.co.kr
履歴書・自己紹介書の作成
韓国語(学校によっては日本語も可)で履歴書と自己紹介書を作成します。日本で就職活動をした経験があれば、その時の要領で書けば大丈夫です。
学校側がどの部分をチェックしているのかというと、学歴の項目かなと思います。というのも、E-2ビザの取得要件のひとつが4年生大学卒業(学士)であることなのですが、韓国でも有名な早○田大学だと、熱烈に歓迎されます。
私は某国立大学を卒業したのですが、面接の時に「〇〇大学の学生さんだったら、小論文の添削もお願いできますね!」みたいな感じで、いきなりハードルを上げられました。
もちろん、日本語教育の経歴や日本語教師の資格があることが大前提ですが、韓国で就活していると、日本以上に学歴社会だということを実感します。
面接
履歴書を送ったら連絡が来るのを待ちましょう。早ければその日のうちに来ますが、忘れた頃に連絡してくるところもあります。
面接は日本語でのやり取りになることがほとんど。10分ほど雑談した後、「じゃあ、模擬授業をやってもらいましょうか」という流れになると思います。
その後、勤務時間、給料、担当クラスなど事務的な説明が入り、後日連絡しますと言われ面接終了。
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採用決定、書類提出
採用が決まったら、契約書の作成とビザ申請のための準備がスタートします。
基本的に学校側からの指示にしたがって書類を提出すれば問題ありませんが、この書類の準備がなかなか大変です(これについては後述します)。
会話指導ビザ(E-2)の発給
こちら側で準備すべき書類を送ったら、あとは学校の担当者がビザの申請をしてくれます。何も問題がなければ「査証発給認定書」と査証番号が発行されます。
日本の韓国領事館でE-2ビザの申請をする際には、この査証番号が必ず必要になります。というか、この番号がなければE-2ビザの発行はできないので、早く査証番号が送られてくるのを祈って待つばかりです。
会話指導ビザ(E-2)申請のために準備する書類
ワーキングホリデービザと違い、学校の担当者が申請の準備をしてくれるという点でE-2ビザ取得は楽ですが、書類準備にはお金と時間がかかります。
私たちが準備しなければならない書類は以下です。
- パスポート(写真欄のコピー)
- 履歴書
- 写真(3ヶ月以内に撮ったもの)
- 警察証明書
- 学位立証書類
- 雇用契約書
- 健康診断書
このうち健康診断書に関しては、面接後に指定された病院で受けるように言われると思うので省略します。
ここでは、これらの書類のうちなじみのないものや、気をつけるべき点を紹介したいと思います。
警察証明書
諸外国への移住や永住の際に求められる公的書類のひとつで、犯罪経歴証明書とも呼んだりします。韓国のE-2ビザ申請の際にも、この証明書の提出が必要です。
証明書の発行は日本の各都道府県警、もしくは韓国滞在者の場合、ソウルにある日本大使館でも申請することができます。私はソウルにいたので、日本大使館で手続きをしてきました。この場合に必要なものはパスポートで、指紋原紙に指で捺印するだけです。所要時間はだいたい30分くらいです。
時間に余裕がないなら日本国内で申請を
ただ、韓国滞在中に警察証明書を取る際は、時間がかかるという難点があります。証明書が発行されるまで1ヶ月半から2ヶ月かかるので、時間的な余裕がない場合には日本国内で申請した方がいいと思います。
なお、日本国内で申請する場合、必要なものが変わってくるので、各都道府県警にお問い合わせください。
学位立証書類
前述したように、E-2ビザを申請するためには4年制大学卒(学士)以上の学位が必要になります。そのため、これを証明するための書類を準備しなければなりません。
具体的には、下記の3つのうちいずれかを提出します。
- 学位記のコピー
- 成績証明書の原本
- 学位授与証明書の原本
学位記以外は、大学に直接足を運び事務室で発行してもらうか、郵送で送ってもらえます。もし「大学が遠いし面倒だ」という場合には、学位記を使うのが一番確実だと思います。
ただし、ここで気をつけたいことがあります。E-2ビザ申請のために提出する学位立証書類には、必ずアポスティーユをつけなければなりません。
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アポスティーユ
アポスティーユ(Apostille)とは簡単にいえば、公文書に対する外務省の認証です。外国での手続きの際に、日本の公文書を提出する必要がある場合、このアポスティーユという認証付きの書類を求められることがあります。
韓国のE-2ビザや永住権の申請時にも、アポスティーユ済みの書類の提出が必要です。今回のE-2ビザ申請の場合、上で述べた
- 警察証明書
- 学位立証書類
この2つの書類にアポスティーユが必要になります。
アポスティーユの取得の仕方
アポスティーユは公文書に対する認証なので、私文書に対してはできません。上記の学位立証書類は私文書なので、まずは公文書にする手続きが必要になります(警察証明書は公文書なのでそのままアポスティーユが取得できます)。
公文書にするためには、最初に公証役場に赴いて、公証人から学位立証書類を認証してもらいます。学位記の場合、原本だと難しいのでそのコピーに認証してもらいます。手数料は5,500円です。
次に、公証人が所属する地方法務局に行き、「公証人押印証明」を取得します。これらの手続きを経て、学位立証書類が公文書として扱われます。
最後に、外務省でアポスティーユの手続きをします。東京・霞が関の本館、もしくは大阪にある外務省大阪分室のどちらでもできます。地方にお住まいの方は、郵送でも手続きすることが可能です。なお、アポスティーユの手数料は無料です。
以上をまとめると、
- 公証役場で学位立証書類(学位記など)の認証を受ける(警察証明書類は公文書なのでこの手続きは不要)
- 公証人から認証を受けた書類に対し、法務局で公証人押印証明を取得する
- 外務省で警察証明書と学位立証書類へのアポスティーユを取得する
このような流れになります。
会話指導ビザ(E-2)を申請する
アポスティーユ取得済みの書類が帰ってきたら、雇用主の日本語学校に連絡し、書類を郵送します。あとは、学校側が出入国管理局で手続きをしてくれるので、査証番号が出るのを待ちます。
学校から査証番号が送られてきたら韓国領事館に行き、ビザの申請をします。パスポートと写真、そして査証番号を控えて、領事館に置いてある申請書に記入します。日本人の場合、ビザの申請費用は無料です。
ビザは3日ほどで受け取ることができます。なお、ビザの申請時間と受取時間はそれぞれ決まっているので、間違えないようにしましょう。
入国したら外国人登録を忘れずに
韓国に渡航後、90日以内に外国人登録をする必要があります。この外国人登録をもって滞在許可が付与されます。その後は、外国人登録証の更新時期が来たら、出入国管理局で滞在延長の申請をします。
まとめ~会話指導ビザ(E-2)の申請は一人でも難しくない
どんな種類であれ一般にビザの申請は面倒ですが、韓国で日本語教師として働くためには会話指導ビザ(E-2)の申請は避けて通れません。ビザ申請の代行業者にお願いすると手っ取り早いかもしれませんが、一人でも十分にできます。
また韓国のビザ関連情報はたびたび変更されます。「Hi Korea」という外国人の滞在ガイドなどをチェックされることをおすすめします。
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