文化の異なる韓国で働くと、様々な常識や感覚の違いやズレでストレスを感じたり、トラブルが起きることもあります。私自身が韓国の企業に所属し、韓国人相手に仕事をする中で、いろいろなストレスを感じました。
この記事では韓国と日本の文化の違いから起きる仕事のストレスやトラブルを紹介します。あくまで個人的な経験ですが、これから韓国で仕事を始める人に「こういうこともあるんだな~」という心のクッションになればと思います。
韓国人との職場トラブル
丁寧さ VS 速さ
日本人は仕事が丁寧、韓国人は仕事が速い。これは、韓国と日本の仕事文化の違いあるあるの1つで、私自身も強く感じたことです。
日本人は仕事の完成度にこだわりますが、韓国は日本と比べると完成度よりもスピードを重視する人が多いです。日本人と一緒に仕事をする韓国人からよく聞くことにも「丁寧なのはいいが、時間がかかる」という不満があります。
日本人の仕事はしっかり計画を作り、確認しながら進める方ですが、韓国で求められる仕事のスピードに慣れるまではすごく大変だという話を聞きます。
逆にこちらが依頼した仕事は、完成が早いが質が低く、何度もやり直すことになることも多いので、コミュニケーションを上手にとって進める必要があります。
韓国人の時間の感覚
仕事をするにあたって、時間の感覚というのは重要なポイントになります。時間の感覚にズレがあると、お互いにストレスが溜まったり、スムーズに仕事が進まないこともあります。韓国と日本とでは仕事に対して若干の感覚の違いがあることがわかりました。
約束の時間
韓国人は、仕事を進めていくうえでスピードがあるのに対し、約束の時間や期限に関しては、日本よりも少しルーズなところがあります。
日本人だとアポイントメントや打ち合わせがあれば10分前には到着しておこうと心がける人も多いですよね。しかし、私も打ち合わせの時間に待たされたり、突然に時間を変えられたり、と振り回されることが時々あります。
日本人のように時間厳守!という人ばかりではないので、少しの遅刻や時間変更はいちいち気にしないような心持ちでいると、気持ちが楽になります。
夜遅い時間の連絡
日本では、仕事の連絡はEメールや電話ですることも多いと思います。しかし韓国では機密文書が含まれていなければ、カカオトークというLINEのようなSNSサービスを使って連絡を取り合うことがかなり多いです。
そのためか、かなり気軽に連絡することができ、夜10時以降など遅い時間でも、仕事関連の連絡が来ることが多いと感じます。もちろん、職種によっては仕方のないことですが、仕事のオンオフをはっきりさせたい人にとってはいやな部分かもしれません。
韓国のコネ文化
日本でもビジネスには人とのつながりや人脈が大事だといわれてはいますが、韓国では、想像以上にこれが重要視されていることが多いです。
能力や、仕事の質に関わらず、知り合いだからとか、○○さんの紹介だから、という理由で仕事をもらったり、逆に自分の仕事を他の人に奪われてしまうこともあります。
ですから、関係が浅いと、どれだけ実績や経験があっても仕事をもらえなかったり、理不尽に仕事を振ってもらえないなんてこともありえます。
韓国でスムーズに仕事を進めるため、飲み会に毎回参加したり、ふだんから親睦を深める努力をしているという人もいますが、これも私はストレスに感じることの一つです。
ケンチャナヨ文化
丁寧さ、正確さ、質の高さが大事と考える日本人にとってストレスにもなるのが、ケンチャナヨ文化です。つまりは何でも「大丈夫、だいじょうぶ~」と適当な部分があるんです。
仕事の質の他に、私が一番驚いた経験が「給料は1日~15日の間に支払います」と告げられた時でした。小さな会社だったので仕方ないかな、と思いましたが、月初めに早々と振り込まれることもあれば、15日まで受け取れない時もあり、すごく不安でした。
なので、給料日がわからないと都合が悪いことがあると伝え、それからはできるだけ同じ日に給料をもらえるようになりました。
規則などがあいまいだったり、納得いかないことがあれば遠慮したり空気を読もうとしたりせずに、はっきりわかるまで聞く事が大事です。
約束や契約
ケンチャナヨ文化の延長線にあることなのかもしれませんが、韓国には約束や契約をしたからといって、日本のように100%安心できない部分があります。正式な契約は破られることは多くはないですが、口約束はあってないようなものと考えたほうがよいです。
逆にいうと、契約や約束に寛容な部分もあり、仕事の期限が間に合わないとか、前回話した内容から変更したい、という理由がこちら側にある場合は、融通が利くということにもなります。
また、契約書にサインをして締結する前に、仕事を同時進行されていくケースも。これは韓国にせっかちな人が多いからかもしれませんが、日本の感覚からすると少し驚かされる部分です。
韓国企業での事件1. 取引先が売掛金を払わず逃げる
韓国の中小企業の社長は皆そうなのか分かりませんが、私が勤めていた貿易会社の社長は契約を書面ですることを嫌いました。いわゆる口約束でなんでも進めようとするので、それが原因となるトラブルが絶えませんでした。
一度、商品の卸先の業者に売掛金400万円ほどを丸ごと支払ってもらえず逃げられたことがあります。契約書がないので法的に処理することはできません。結局、そのまま泣き寝入りすることになりました。
そんな事件があった後でもなお、社長は口約束での契約のスタイルをやめることはありませんでした。困ったものです。
韓国企業での事件2. 社長が音信不通
これは結構深刻な事件でした。2012年に当時の李明博大統領が竹島に上陸し、日韓関係が一気に悪くなった時のことです。
私の勤めていた貿易会社は日本向けに商品を輸出していました。そのため、日韓関係悪化の影響をもろに受け、会社の経営状態は一気に傾きました。
さらに、卸先の業者が売掛金を支払わずに逃げてしまうという前述のトラブルがあったのもこの時です。
突然、社長が失踪
悪いことが重なっていたそんなある日、社長が会社から姿をくらましてしまいました。ちょっと気分転換に旅行に行ってきます、というメッセージを残して。
社長がいない間に会社にはあちこちから支払いの催促の電話がかかってきます。社長は携帯電話の電源を切っていて音信不通。為す術のない私たち社員は、ただただかかってくる電話に出ては怒鳴られるのに耐えるだけ。
まるでドラマに出てくるシーンを演じているような気分でした。
数日後、なんとか資金繰りをした社長が帰ってきて、督促の電話から解放されました。日本も韓国も、経営者のストレスは計り知れないものがあるのですね。
韓国企業での事件3. 事務所の入ったビルがリフォームを始める
勤務先の貿易会社が入っている雑居ビルは3階建てで、2階が事務所、3階はビルの所有者が住居として使用していました。ある時、その所有者が小さな子どものいる家族に替わった時に問題は起こりました。
なんと新しい所有者は、建物をリフォームしたいと言い始めたのです。
外観と住居部分の変更に3ヶ月
もともとのビルは、韓国の古い建物によくある赤レンガ造りのものでした。
新しい所有者も以前の所有者と同じく3階を住居にするようで、赤レンガを真っ白な壁にしてメルヘンチックな外観にする計画だというのです。また、外観だけを変えるのではなく、住居の3階は柱などを全部取り払い、全く違う間取りにするのだとか。
工事期間は約3ヶ月。まさかとは思いましたが、本当に建物のリフォーム工事は始まりました。
その期間中だけ事務所を移す経済的余裕はビル所有者にも貿易会社にもなかったので、私達は3ヶ月の間、工事中の建物の中で仕事をすることになったのです。
騒音と振動の中の日々
毎日絶え間ない騒音と振動。粉塵にまみれての業務。よくもあの状態に3ヶ月間も耐えたと思います。
晴れてリフォーム工事が終わった時は、静寂がどれほどありがたいものだったか身にしみて感じることができました。
韓国企業での事件4. 寒さでトイレの水が凍った
釜山は朝鮮半島の南端にある都市です。海に面しているので気候は温暖で、冬は雪もめったに降りません。けれども、真冬の何日かは明け方に気温が氷点下まで下がることがあります。
そんな寒い冬の朝、会社に出勤すると、トイレの水が凍って使えなくなっているというトラブルが度々ありました。建物が古いためにトイレの窓の建て付けが悪く、完全に窓を閉めることができなかったからです。
対処法は?
そんな時は、やかんにお湯を沸かしてタンクと便器の氷を溶かして対応します。
ただ、水道管が凍ってしまった時はどうしようもありません。凍えながら、近くの地下鉄の駅まで走って用を足しに行きました。
見かねた近所のコンビニの店主さんが、トイレが使えるようになるまではコンビニのトイレを使っていいよと言ってくれました。とってもありがたかったです。
韓国企業での事件5. 配達されたはずの新聞が届かない
会社では新聞を取っていました。ビルに新聞受けはあったのですが、毎朝配達の人が2階の事務所のドアの前に置いていってくれていました。
ある時、配達員が変わったのか、新聞が1階の建物入り口に置かれるようになります。
それからしばらくすると、毎朝来るはずの新聞が、日によっては届いていなかったりするようになりました。その度に新聞の集配所に電話をして問い合わせても、配達員はきちんと配ったと言います。
早朝出勤の社員が見つけた「犯人」とは
そんなことが続いたある日、ついに新聞が届かなかった原因が判明しました。用事があって早朝に出勤した社員が、廃品回収のリヤカーを押したおばあさんが新聞を回収していこうとするのを見つけたのです。
韓国の古い住宅地や商業地では、老人がリヤカーを引いて新聞紙やペットボトル、空き缶などの廃品回収をして回ります。こうして日銭を稼いでいる貧しいお年寄りの姿は、韓国ではたまに見かける光景です。
おばあさんには申し訳なかったのですが、新聞は以前と同じようにビルの2階の入り口に置いてもらうようお願いし、問題は解決しました。
韓国企業での事件6. 冷蔵庫に眠っていたキムチ
最後に、まさに韓国ならではのハプニングをご紹介します。
社員共有の冷蔵庫
会社には休憩室があり、そこで社員が昼食を食べることができるよう冷蔵庫や電子レンジ、テーブルが置いてありました。
昼食はお弁当を持ってくる人が多かったのですが、たまにキムチを入れたタッパーをそのまま冷蔵庫に保管している人もいました。
冷蔵庫の中に入れたものはそれぞれ自分で管理します。そのため、冷蔵庫にその黒いビニール袋が長い間放置されていても、誰も気に留めることはありませんでした。
発酵しすぎたキムチが出てくる
ところが、さすがに半年ほど過ぎると、みんな口には出さなくともその黒いビニール袋をどうにかしないとと思うようになります。
勇気ある社員が黒いビニール袋を取り出して開けてみると……。
その先を文章で詳しく書くことは控えますが、とにかく中身はかなり発酵して黒くなったキムチだったようです。
まとめ
丁寧な仕事がよいとされ、規則や契約をきっちりと守りながら仕事をするという意識がある日本人にとっては、感覚の違いに少しびっくりするような韓国社会。
ポジティブに捉えると、かた苦しくなりすぎず寛容な働き方ができる、と考えることもできます。しかし、日本で社会人経験がある人にとっては戸惑う場面もあると思います。
この記事を参考に、こんなことがあるかもしれない、と心の片隅に置いておくと韓国での仕事が少し楽になるかもしれません。
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