豊かな自然に囲まれてゆっくりとした時間が流れるニュージーランドは、日本人にも大人気。たくさんの人が毎年、観光や留学、ワーキングホリデーで訪れたり、思い切って移住を試みたりしています。
私自身もそんなニュージーランドで暮らしていますが、ここに住む日本人の中には「ニュージーランドが好きじゃない」「もう住みたくない」という人が結構多くいることをご存知でしょうか?
なぜそう思ってしまうのか、その理由を探りながら、ニュージーランドが好きではなくなりそうになった時に試してほしいことを考察してみました。
ニュージーランドを好きじゃなくなる理由は?
青い空にたなびく白い雲、羊だらけの牧草。そんな風景ときれいな空気が広がる中、美味しいワインとチーズでのんびり乾杯し、夜は満点の星空の下で眠る……。
魅力いっぱいのニュージーランドですが、たくさんのお金や時間、労力を費やしてやっと獲得した永住権を放棄し日本に帰国してしまったり、新天地を求めて他の国などへ出て行ってしまったりする日本人も少なくありません。
一体なぜなのでしょうか。
私が実際に経験したり、他の日本人から聞いたりしたことをもとに、ニュージーランドを嫌いになってしまう理由で多かったものを挙げてみます。
1. 刺激がなくてつまらない
町によっても違うと思いますが、ニュージーランドは日本と比べるとお店や遊び場の数も種類も少なく、大体午後6時までに閉まってしまいます。
しかも、遊べるようなところに行っても外食しても値段がそんなに安くないので、ちょっと敬遠してしまったりもします。ビールやお酒の値段も年々上がっており、気楽に飲みにも行けなくなってきてしまいました。
特に若い学生さんや、子育てなどに追われておらず自由な時間がある人たちにとっては、刺激がないというのは分かる気がします。
2. 寒い時期が長い
ニュージーランドは四季のある国で、基本的に
- 春は9月から11月
- 夏は12月から2月
- 秋は3月から5月
- 冬は6月から8月
になります。
そして、ニュージーランドは日本と同じように縦長の島国ですが、南半球にあるため北が暖かく南が寒いです。
ちなみに、私がいるクライストチャーチという街は南島の真ん中辺りに位置し、気候は比較的穏やかな方だと思います。
夏の暑い日でも30度を超えることは稀です。乾燥しているので、日向では日差しが痛いと感じるほどですが、いったん日陰に入ってしまえばとても心地よく過ごせます。
夏でも20度以下になることも
ただ、涼しすぎることもあり、夏でも20度以下の肌寒い日があるのも事実。太陽が見えない日、雨が降っている日は寒くてジャケットが手放せません。
夏でも夜になると一気に気温が下がったりするので、昼間にノースリーブのワンピースで冷たいビールを飲んでいても、日が隠れるとダウンジャケットを着てホットチョコレートをすするなんてこともあります。
1日に四季があると表現されてしまうぐらいなので、衣替えもできません。
寒くて天気が悪いとあまり行くところもないので、引きこもりがちになると思います。
古い家は日当たりが悪い
そういった気候に加えて、古い家だと部屋の日当たりが悪いという問題もあります。
これはその昔、北半球からの移民達が「南向きが暖かいはず」との固定観念から家を設計して建てたためではないかということです。
上述したように、ニュージーランドは南半球にあり、南が寒く北が暖かいのですが、それを考慮せずに建てられた家がまだ多く残っているのです。
断熱や暖房機器が不十分
また、家の断熱や暖房機器が十分でないことがあるため、ニュージーランドは家の中でも寒い!と感じる人が多いです。
しかし、住居のヒーティングの問題はここ最近、政府が関与するようになってきたので改善の方向に向かっています。我が家では市からの依頼で専門家が来てくれて、無料で屋根裏と床下の断熱材をチェック・改善してもらいました。
貸家の断熱は大家がきちんと整備しなければならないという政府からのお達しも出ているので、今後は今まであった「寒すぎる家」というのは徐々になくなっていくでしょう。
3. 物価が思ったよりも高い
私も日本からニュージーランドに来てすぐの頃は、物価が思ったよりも高いのが気になることがありました。
例えばレストランで外食すると、ニュージーランド料理ならランチでも大体20NZドル(約1,540円)前後、セットなんてものはまずないので、前菜やデザート、ドリンクなどを付けると50NZドル(約3,850円)は軽く超えてしまいます。
日本だったら高級レストランの美味しいランチを想像する額ですよね。しかし、ニュージーランドでは普通の値段であり、質も素晴らしいものが出てくるのははっきり言って稀です。
洋服や靴なども、質やデザインがいいものは結構高く、日本で買って送ってもらう方が送料込みでも安く上がることもあります。
※1NZドル=約77円(2017年4月)
少ない人口に合わせた値段
だからといって、ニュージーランド人が欲張ってぼったくっているというわけでもないのです。
物価の高さにはいくつか理由がありますが、一番大きな理由は人口の少なさでしょう。日本の人口は約1.3億人、かたやニュージーランドは約450万人。
物の生産量も消費量も少なく、他の国から輸入するにしても割高になってしまいます。薄利多売ができないので、1つ1つの値段がどうしても高くなってしまうのです。
ニュージーランドが嫌いという人に共通すること
ニュージーランドが好きではないという人の話を聞いてみたり、彼らの様子を見たりしていると、共通することがいくつかあります。
その中でも、これが原因でニュージーランドにネガティブなイメージを持ってしまっているのではないかと個人的に思ったことを挙げていきます。
1. 大きめの街に住み、あまり移動しない
私が出会った「ニュージーランドがつまらない」という日本人の中には、引っ越しも旅行もあまりしたことがないという方が多い傾向が見られます。
具体的には、
- 比較的便利な大きな都市部にしか住んだことがない
- 他の土地を知らなくて旅行もあまりしない
- 旅行をしても、ガイドブックに絶対載っているような観光地しか回ったことがない
というような感じです。これらがどういうことなのかを分析してみます。
日本の田舎の方が刺激がある
たとえ都市部に住んでいたとしても、日本の市街地と比較してしまえば、日本の方が(例え地方だったとしても)便利でエキサイティングなことが多いのでしょう。
有名観光地は“予習通り”
また、ガイドブックに載っているような有名な観光地では、素晴らしい景色が見られて面白いアクティビティができますが、そういう場所はガイドブックを読んだり他の人からの話を聞いたりして、行く前にいわば「予習」をしてしまっているのです。
そのため、実際に行ってみると、予習した通りだな、なんだこんなもんかという感じになってしまうのではないかなと思います。
自分のオリジナルな感情が湧き起こらないと、人はつまらないと感じてしまうものです。
そして、観光地にはほぼ観光客しかいません。観光客用にできた施設やお店では本当のニュージーランドを感じることができないので、やっぱり、なんだこんなもんかと思ってしまうようです。
2. 現地の人との交流が少ない
これは言い換えると、日本人としかほぼ交流がないということです。
日本人との交流が悪いわけではありません。母語で話せる機会があることはとても大事です。しかし、 日本人だけの集まりでよく起こるのが、ニュージーランドと日本の比較です。
便利で、美味しいものが安く食べられて、家族や仲のいい友達がいる故郷は、やっぱりどうしても恋しくなるものです。
3. 趣味ややるべきことがない
日本で忙しくしていた人がニュージーランドに来ると、暇な時間が多いことに驚くと思います。最初はそののんびり何もしない時間が嬉しいかもしれません。
しかし、趣味ややるべき仕事がないとその時間を持て余してしまうので、つまらなくなってしまいます。そして、このままでいいのかと不安になってくる方も多いのです。
4. 積極的に行動・活動している
上記3つに反するようなことですが、これは結構多くの方が最近特にハマりやすいパターンなのです。
先にも述べたように、ニュージーランドでは普通の生活の中にそれほどエキサイティングなことが転がっているわけではありません。しかし、日本から来た人は楽しんでいないといけないような気がしてしまい、頑張って刺激を探そうとするのです。
そして、一生懸命になって探しても満足のいくものがなかなか見つからないために、だんだん不安になったり、このままここにいてもいいのかと思うようになったりするのです。
頑張ったのに結果が得られないということでガッカリしてしまうんですね。
努力が実らない不満が爆発
この頑張っている方たちは、自分が楽しんでいないことやハッピーでないことを簡単に認めたがらないのも特徴です。
人にも言えないために、ガッカリが気がつかないうちに積もり積もってしまい、ついにはもう嫌だという気持ちが爆発してしまうのではないかと思います。
つまり、頑張りすぎてしまって疲れているのです。
ニュージーランドがつまらないと感じたらやってほしいこと
ニュージーランドに来る理由や滞在期間は人それぞれだと思います。そして、ニュージーランドを好きではないと思ってしまう環境や状況があるのも分かります。
しかし、せっかく赤道を越えてまで来た国で、毎日つまらないと思いながら暮らすのはもったいないです。
そのままの気持ちでニュージーランドを離れてしまう前に、簡単にできることでとりあえず試してほしい一般的なことをいくつか挙げてみます。
1. 思っていることを吐き出す
1人で悶悶と考えていると、どうしてもネガティブな感情は大きくなってしまい、どんどん暗くなってしまいます。友人や家族に話してみるのも、適当な人が見つからなければ紙に書いてみるのもいいでしょう。
そして、自分の中のニュージーランドへのネガティブな感情を一度思い切り認めてあげましょう。
生活していてこんな嫌なことがあったとか、全然面白いことがない!など、思い切り吐き出してみてください。
自分に嘘をつかない
平和で自然がいっぱいのニュージーランドはいいイメージで語られることも多いので、マイナスの部分を認めてしまうのは怖いかもしれません。
しかし、無理にいいところを探すことで自分に嘘をついていることもあります。その嘘は、自分を知らないうちに痛めつけてしまっているのです。
吐き出した後は、意外にスッキリして、明日がまた楽しみになっていると思いますよ。
2. 自然に触れる
水辺でのんびりする
ニュージーランドは海に囲まれた島国。大きな街はたいてい海沿いにあり、たとえ内陸の方にいても綺麗な川や湖など水のある場所が近くにあります。
水のある場所は気持ちを浄化してくれます。ビーチや河原で、のんびりと何もしないでぼーっとする時間を持ってみてはいかがでしょうか。
高い場所に登る
ブッシュ・ウォーキングをしたり、丘などの高い場所に登ったりするのもいいです。
普段、運動不足だと結構きついかもしれませんが、傾斜のゆるい場所もあり、車で上まで登れるスポットもあります。何より、緑に囲まれて汗をかくのは身体にもいいことです。
遠くまで行かなくても、近場で気軽に景色を楽しめるのがニュージーランドのいいところの1つです。
ぜひ高いところに行って、景色を眺めてください。おいしい空気を吸って、深呼吸してみてください。
3. マッサージを受ける
実は私の本業はマッサージセラピストなのですが、結構な確率でニュージーランドが好きではないという人がマッサージを受けに来るんです。心も身体も疲れているんですね。
そして、終わった後にはケロっとして素敵な笑顔を見せてくれます。何か憑き物が落ちたような。
実話ですが、以前ある若い女性に、「今日マッサージを受けてニュージーランドにいる意味が分かったような気がします」と言われたこともありました。
その時は、嬉しいけれど大袈裟だなあと思ったものですが、マッサージを受けることで血液循環が良くなり、神経が刺激されて、モヤモヤしていた感情がスッキリしたのかもしれません。
4. 何もかも休む
どんな人でも、生活する環境が変われば身体も心も疲れます。何もしていないようで、必死に頑張ってしまっているんです。
そんな頑張っている自分に休憩をあげましょう。習い事や趣味、また誰かに会ったり、SNSで近況を発信したりすることも全部休んでみてください。
そして、いつもより早く寝てください。朝起きたらきっと少し気分が変わっていると思います。
ニュージーランド在住者が教えるとっておきの対処法
最後に、5番目の方法として私が個人的におすすめすることをご紹介します。それは、旅に出て小さな町に行くこと。
お仕事している方も、何日か休暇を取って旅に出ましょう。行き先はあえて決めないで出発するか、ガイドブックにあまり載っていないような小さな町を目指してみましょう。
観光地の周りの町や集落(30分以内)がおすすめです。あまり遠いと宿がない場合もあるので気をつけてください。
そして、現地では地元の人たちに話しかけてみましょう。お土産屋さんやデイリーのショップスタッフはたいていフレンドリーで親切です。周辺の見どころを聞いてみてもいいですね。
と、ここまではそれほど面白くないかもしれません。
地元のパブに行ってみよう
気分を変えるための効果的な方法はここからです。
旅先で、小さな町でも必ず1軒はある、地元の人達が集まりそうなパブに行ってみてください。できれば金曜か土曜の夜、午後8時以降の賑やかな時間がいいです。
お酒が飲めない方でもジュース片手に、バーのカウンターの隣で飲んでいる陽気なKiwiのおじさんと乾杯してみましょう。話は分からなくても、聞いていると面白くなってくるかもしれません。
フレンドリーな会話ができる
なぜ小さな町の地元のパブをおすすめするかというと、お客さんは大体みんな知り合いで普段、観光客が少ないため、珍しい顔がいると結構フレンドリーに話しかけてくれることが多いからです。
そして、もちろん絶対とは言えませんが、地元人は悪いことをするとすぐに噂になったりして大変なので犯罪なども起こりにくく、比較的安全です。
少し非日常的な場所へ行って普段話さないような人達と話してみるのも、ちょっとした刺激になるかなと思います。
NZの別の顔が見えるかも
旅先での恥はかき捨てです。
英語が分からなければただ踊ってもいいし、ひたすら乾杯をしてもいいし、変な日本語を教えてあげてもいいです。恋の悩み相談をしてもいいでしょう。
とにかく楽しい時間が過ごせればいいと思います。いつもと違うニュージーランド、そしていつもと違う自分に出会えるかもしれません。
ただし、あまり飲みすぎてハメを外さないように。また、ご自身の責任で行動してくださいね。
まとめ~頑張りすぎずリラックス
反論もあるかもしれないのを覚悟で書いてみましたが、故郷から離れた土地で長期滞在するとネガティブな感情が芽生えることはよくあります。それは多くの人が体験する当たり前のことです。
新しい場所に行った時ほど、無理せず、頑張りすぎないように、特にニュージーランドではLay Back (背もたれに寄りかかるようにリラックスすること)スタイルで生活したいものです。
それでもどうしてもしんどい時は、故郷に帰るのもいいと思います。帰った後に不思議と、あ、やっぱりニュージーランドは楽しかったかも、と思えてしまうものですよ。
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