ドイツは住宅不足が深刻化しており、ベルリンも例外ではありません。
ワーキングホリデーでやって来た私も今の場所に落ち着くまでに3か月かかり、その間に5回の引越しを経験しました。日本から長期で住める家を押さえていたのですがトラブルがあり、短期間のみ入居できる物件を渡り歩いていました。
住居が見つかるまでは「これからどうなってしまうのか?」と不安な毎日でしたが、やっとの思いで今の家(シェアハウス)に出会い、とても快適にドイツ暮らしを満喫しています。
ドイツ・ベルリンの賃貸物件事情
ドイツの賃貸物件の現状
ドイツで長期生活を送るためには、生活のベースとなる家を探すことが必要です。ベルリンはここ最近人口の増加で家探しが困難になっているのが現状です。
またベルリンの人でも家を探している人が多いので、家賃が年々少しずつ上がってきています。
ドイツの住居は天井が高くとても開放的です。なので部屋の敷地の広さ以上に広く感じるのではないかと思います。せっかく暮らすのあれば自分のイメージに少しでも近い住宅を探しましょう。
ベルリンは比較的安い
それでもまだ他の都市に比べると比較的安価で家を探すことができます。
ベルリンの住宅は大きく分けて部屋ごとに借りる方法か、WG(ヴェーゲーと呼びます)という他の住人とのシェアハウスで借りる方法の2つがあります。
一部屋を借りる
一部屋を借りる場合、広さや場所にもよりますが、安いところでも600ユーロ以上(光熱費は別)の物件がほとんどです。
WG(ヴェーゲー)で借りる
WGの場合も条件により次第ですが400から600ユーロの間くらいが今の相場となっています。
もちろんWGで借りる方が家賃は安く済みますが、他の住人との共同生活になり、それによって起こるトラブルも少なからずあることを知っておいた上で、自分に相応しい住宅を探されるのが良いかと思います。
もちろんWGには良い面もたくさんありますので、自分に合っていると思えばチャレンジしてみるのも良いでしょう。
ドイツ・ベルリンで私が住む家の立地(クロイツケルン)
クロイツケルンと呼ばれる、ベルリンのクロイツベルク地区とノイケルン地区の境目エリア。移民が多く住むことで知られるこの街に私の家はあります。
アクセス良好、買い物にも便利
駅から徒歩2分と好立地なので、ベルリン市内であればほとんどの場所へ30分以内にアクセスできてとても便利です。
近所は郵便局、ドラッグストア、デパート、スーパー、ショッピングセンターなどが充実しており、この辺りで全ての用事を済ませることができます。
また、家の前の道を挟んだ反対側には、小さいですがアジアンマーケットもあります。そして上の写真の広場には、平日はマーケット(市場)が立ち並びます。
少し歩けば公園やおしゃれなカフェもたくさんあり、ふらっと気分転換に出かけられるのもお気に入りのポイントです。
ドイツ・ベルリンでこの家を選んだ理由
重視した条件
私はもともと移民に興味があってドイツに来ているので、彼らの生の生活にできるだけ触れたいと思いこの地域を選びました。
そのほかの条件としては、
- 住民登録が可能であること
- 月の家賃500ユーロ(約58,500円)以内
- ベルリン中心部(ABエリア内)
- 家具付き
- WG(他人とのシェア)の場合はできれば少人数
- アルトバウ(第二次大戦前に建てられた建物)
の6つを特に重視しました。
しかし、実際には住民登録ができて家賃が月500ユーロ以内であればどこでも受け入れる覚悟でいました。
物件を見つけるのが難しい状況
というのも、私が部屋探しをしていた10〜12月は大学生・院生の新学期が始まった直後ということもあり、そもそも貸しに出されている物件があまりなかったのです。
たまに募集を見つけて内覧に行くと、10人くらい見学に来ている人がいるような状況でした。
そのため、いくら「ここに住みたい」と思っても、大家さん(貸し手)から選ばれなければなりません。これは滞在歴が少ない私のような外国人には圧倒的に不利です。
ドイツ語ができないことに加え、家賃の支払い能力の証明として3か月分のドイツ国内での給与明細やシューファと呼ばれるクレジットヒストリーのようなものを求められるためです(全ての物件で求められるわけではありません)。
妥協寸前に巡りあった理想の部屋
短期物件を渡り歩く生活もそろそろ限界だったので、家賃に関しても妥協しようかなと思い始めた時に、なんと全ての条件を満たす今の家に巡りあいました。
しかも、家賃は月400ユーロ(約46,800円)で2人WG(シェア)、さらに駅から徒歩2分と、もうこれ以上言うことがないくらいベストな条件が揃ったお部屋だったのです。
一軒家の一室で、もともとこの家を借りている日本人の方が使っていた部屋なのですが、その方が日本に一時帰国されている間に住める人を探しているとのことでした。
「選んだ」というより「選ばれた」
一番に連絡したのが私だったということと、内覧時に共通の知人がいることが分かったこともあり、なんとか入居者として選んでいただけました。
そのため、この家を「選んだ」理由というよりは、「選ばれた」理由とする方が正しいですね。
ドイツ・ベルリンの家の間取りと設備
家自体は2DKで、そのうち自分の部屋は8〜10畳くらいです。
とっても寝心地の良いキングサイズのベッドや、在宅での仕事もしやすい4人掛けの大きなダイニングテーブルが備え付けです。また、2人掛けのソファーもあります。
これだけ存在感のある家具があっても、第二次大戦前に建てられたアルトバウ物件で天井が3m近くもあるため、とても広々としています。
また、部屋が直接キッチンにつながっているので、ワンルームのアパートに住んでいるような使い勝手の良さがあります。
シャワー、トイレ、洗濯機は部屋の外にあり共用ですが、この家に住んでいるのが私を含めて2人なので、朝晩でも取り合いにならず快適です。
温水暖房
ドイツの暖房にはいくつか種類があるのですが、この家ではHeizung(ハイツング)という温水暖房が入っています。
これは、ボイラーで温めたお湯を家の中に張り巡らせることで建物全体を暖める仕組みです。あらかじめ設定パネルで温度設定をしておき、写真のつまみ(バルブ)を回して調整します。
しかし、これを1に合わせても熱くなることもあれば、反対に4にしても冷たいままのこともあって、最初は使い方がよくわかりませんでした。
ベルリン歴が長い友人に相談したところ、このバルブは温度そのものではなく、温度の「感度」を調整するのだと教えてもらいました。
バルブを数字の高い方に回すにつれて中に入る空気の量が変わります。その空気で温度を測っているため、数字を高くしておいた方がより設定温度に近い温度に保たれるという仕組みなのだそうです。
最初は難しいと思ったのですが、基本的にはあまり調整しなくても大丈夫です。
エアコンより使いやすい点
長期間の旅行でない限り外出中もそのままでよいことや(下げてしまうと逆に温めるのにエネルギーを余計に消費してしまう)、日本のエアコンのように顔が火照ってしまうこともないのがメリットです。
また、上にタオルなどを干すこともできます。乾くのもとても速く、部屋を加湿できるので一石二鳥です。
2way窓ガラス
こちらの窓ガラスはハンドルを90度回すとドアのように開き、180度回すと手前に倒れて上部が開きます。
日本では時々ビルなどでは見かけても一般家庭にはあまり馴染みがないこのタイプの窓ですが、ドイツのお家ではたいていの窓ガラスがこの仕組みになっています。
少し換気したい場合や、室内の熱を逃がしたい場合など、用途に応じて使い分けることができるので便利です。
また、手前に倒す開け方では、窓の下部は閉じている状態のため、雨の日でも雨が室内に入ることがありません。
なかなか考え抜かれています。
ドイツ・ベルリンでの賃貸物件を探す方法
とにかく早く探し始めることと人脈を活用することが、希望に近い住居を見つける近道だと思います。
私は以下のウェブサイトを中心に探しました。
MixBクラシファイド
- Mixb:http://ger.mixb.net/
ドイツ在住の日本人コミュニティーサイト。部屋以外に仕事や家具なども探せます。私が最終的に今の部屋を見つけたのはこのサイトでした。
初めての海外なので日本人と住みたい、ドイツ語があまりできないので、日本語でやり取りがしたい・・・といった方におすすめです。
WG-GESUCHT
- WG-Gesucht:http://www.wg-gesucht.de/
ドイツで有名な部屋探しサイト。WG(シェア)以外にアパートなども探すことができます。
基本はドイツ語ですが、英語を話せる人も多いので、英語でコンタクトを取っても大丈夫です。
情報量も多く、更新頻度も高いのですが、その分利用者も多いため、1つの部屋に入居希望者が殺到するなど、倍率がとても高く、メールを送っても返信すら来ない時があります。
気になる物件にはかたっぱしからメールを送ってみましょう。
Zwischenmiete.de
- Zwischenmiete.de:http://www.zwischenmiete.de
すべてドイツ語表記になりますが、このサイトはWG-GESUCHTよりも倍率が低いのが特徴です。
少し値段は高い印象がありますが、MixBやWG-GESUCHTで見つからなかった場合はこちらも覗いてみてください。
その他のサイト
immobilien scout 24:日本で探すよりも様々な物件が紹介されているので、選択肢は大きく広がります。
ユーロエステート:ベルリンだけでなくヨーロッパの様々な街の不動産を紹介しています。
あっとベルリン:ワーキングホリデーを考えられている方向けの情報サイト
口コミ
交友関係が広がるに連れ、いろんな情報が入ってくるようになります。大事なのは、家探しをしているということを多くの人に知らせておくということ。
そうすれば、意外なところから情報が入ってきたりするものです。一緒に住む人が信頼できるという点でも、口コミは大変安心できる手段で、おすすめです。
足を使って探す
ベルリンで物件を探す方法はインターネットだけではありません。街の中には不動産屋さんがあり、日本と同じようにショーウィンドウに物件を貼り出しているので、そこから良い物件を探すという方法があります。
また不動産屋さんだけでなく、普通に街を歩いていると「部屋を貸します」という看板や紙が貼ってあり、そこに住所や電話番号、アドレス等の連絡先が書いてあるので気になった物件があれば直接連絡をとって契約をするという方法もあります。
これらはアナログの探し方ではありますが、とても良い点が一つ。それは歩いて探すことでその街の雰囲気を感じられることです。
ベルリンはいくつかの大きなエリアに分けられていて、そのエリアごとによって雰囲気はそれぞれ違っています。そしてそのエリアの中でも一つ通りが違うだけで、雰囲気ががらりと変わるのです。
インターネットで探す場合はどうしても気になった物件だけを見がちになりますが、歩いて探すとその街の雰囲気を感じながら探せるので、より自分に相応しい物件と出会える可能性が高まりますよ。
ドイツで不動産会社を使う場合
ドイツの不動産で物件を借りる場合は、いくつかの証明書が必要になります。シューファーと呼ばれる無借金証明書に、貯金残高証明、収入証明が必要になるケースが多いです。
要は貸す側が、借りる人がきちんと支払いをしてくれるのかどうかを審査するのです。
とりわけ外国人の場合は、そのような証明がさまざまなケースで必要になってくることがあります。なのでベルリンで探すことを考えられている方は、あらかじめ収入証明や残高証明を日本で準備しておくことをおすすめします。
ドイツの家賃相場
ドイツは都市によって性質がまったく異なりますので、“ドイツの家賃相場”というものはなかなか明言しかねます。
ベルリン
ベルリンのシェアハウスの相場は、400から600ユーロです。
ベルリンはドイツの中でも家賃が安いと言われています。
物価の高いミュンヘンやハンブルクに住む場合はプラス100ユーロくらいは多めに見た方がよいでしょう。
ドイツ・ベルリンでの部屋探しの注意点
部屋の探しやすい時期
特に7月や8月は学生達が新学期を迎える前で人が流動的になって部屋を探しやすい季節。その機会に次の物件を探すという方法もありますよ。
詐欺や悪徳業者に注意
ただし、なかなか部屋が見つからない人の弱みにつけ込んだ詐欺や高額な仲介手数料を取る業者も多いので注意してください。
私も、被害にはあっていませんが、詐欺メールが送られてきました。
また、エージェントに高額な手数料を払ったのにもかかわらず、紹介された大家さんと連絡が取れなくなったこともあります(その後、きちんと返金してもらいましたが、この件で「明日住む家がない」という恐怖を味わいました)。
簡単にあきらめない
もちろん、条件を広くする(妥協する)ことも家探し作戦の1つですが、慣れない海外生活で自分のライフスタイルに合わない家に住むことほどストレスの溜まることはありません。
ドイツでの生活を充実させるためにも、是非「毎日帰りたいと思える家」に出会うまであきらめずに頑張ってください。
ドイツでは自己紹介が大事
内覧に行く前には、普通家主や、未来のシェアメイトとメールのやり取りをすることになります。その際「自己紹介」は極めて重要です。
「お部屋を見せてくれますか?」というようなシンプルなメールでは返信すら来ないことが多いです。
- 自分の名前
- 何のためにドイツに来ているのか
- ドイツで何をしているのか
- 自分はどんな人なのか
ということだけは最低でも名言しておきましょう。たったそれだけのことで、メールの返信率がぐっと高まります。
内覧には一人でいかないこと
特に女性の場合、内覧に1人で出かけるのはやめましょう。
残念ながら、内覧時に事件に巻き込まれたというケースも報告されています。なるべく知り合いに一緒に付いてきてもらうようにしましょう。
光熱費、インターネット代は必ず確認すること
インターネット代や、光熱費、水道代が家賃に含まれているのかどうか、追加請求があるかどうかは必ず確認してください。
ドイツは1年に1回、光熱費や水道代をまとまて払うシステムになっており、基本的にシェアの場合の家賃は、それを計算した上で家賃が算出されているのですが、場合によっては追加で徴収されてしまうこともあります。
後々のトラブルを避けるためにも、契約書を自分で作っておくのもよいでしょう。
住民登録ができるかどうか
ドイツに来て一番最初に行わなくてはいけないことが「住民登録」です。
これは基本的に、その都市に着いてから2週間以内に行わなくてはなりません。ビザの申請や公的手続き、銀行開設をする場合、この書類は必ず必要となります。
長期的に住む方は「住民登録ができるかどうか」は必ず確認しましょう。
まとめ~部屋探しは仕事探しと似ている?
「ベルリンの家探しは日本の就活みたいだね」私の友人はそう表現しました。数十通も送らなければならない問い合わせメール、選ばれるという立場、不安につけ込む詐欺、相性、そして運。
これを聞いて嫌になってしまう人もいるでしょう。しかし、家は生活の基盤となるもの。私は安心して住める場所を失って初めてその大切さに気づきました。
幸せややりがいをもたらしてくれる天職を探すのと同様に、安心感や充足感を味わわせてくれる自分にぴったりの家を見つけてくださいね。
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